個人タクシーとして開業するまでの道のりを詳しく解説しています。さまざまなハードルはありますが、開業すると個人事業主として自分で何もかも決めることができます。
個人タクシーを目指す方はぜひ最後まで読み進めてください。
個人タクシーとして開業するための方法
個人タクシーとして開業するためには2つの方法があります。それぞれの方法を紹介していきましょう。
新規許可
新規許可とは名前の通り新たに営業許可を取る方法です。ただし、どこでも営業できるわけではありません。つまり東京都で営業許可をとった場合、神奈川県では営業してはいけないということです。
自分が営業したい区域の地方運輸局で申請を行います。地域ごとによって申請時期などが異なるため、注意しましょう。また、タクシー台数が多い場合、申請を受け付けていないことがあります。
譲渡譲受許可
譲渡譲受許可とは、個人タクシーを行っていた人から営業権を譲ってもらうことです。譲渡譲受契約を結んで地方運輸局に申請を出す流れとなります。
こちらの場合、申請時期はなく、いつでも提出しても大丈夫です。
最近では多くの個人タクシードライバーはこの譲渡譲受許可を選ぶ傾向にあります。
個人タクシーとして開業するための条件
個人タクシーになるためには、いくつか条件があります。それぞれ紹介していきましょう。
必要な免許
個人タクシー問わずタクシーを運転するためには普通自動車第二種免許を所持していないといけません。
ただし、免許を所持しているだけでなく、過去3年間や申請以降に反則金の納付命令が下されていないこと、自動車運送業において営業停止などの行政処分を受けていないことも条件に当てはまります。
年齢による条件
まず個人タクシーを開業するには65歳未満でないといけません。そして65歳未満の場合でも年齢によって条件が異なります。
35歳未満
申請する営業区域で10年以上継続してタクシー運転手の経験があることです。そして10年間無事故無違反であることも条件となります。
35歳以上40歳未満
①申請する営業区域において自動車の運転を仕事とする職業を10年以上経験していること。ただし、バスやタクシーといった旅客運送業以外の仕事(トラック運転手など)は半分に換算されます。つまり10年働いていても5年にカウントされます。
②タクシー会社においてタクシーやハイヤーを運転する職務を5年以上経験、3年以上継続していること。
この①または②のどちらかを満たしていることが条件です。
40歳以上65歳未満
①過去25年間で自動車の運転を仕事とする職業を10年以上経験していること。ただし、バスやタクシーといった旅客運送業以外の仕事(トラック運転手など)は半分に換算されます。
②過去3年以内にタクシー会社においてタクシーやハイヤーを運転する職務を3年以上経験していること。
この①または②のどちらかを満たしていることが条件です。
資金条件
個人タクシーの開業に当たって資金面でも条件があります。最低資金は200万円と言われています。その内訳について詳しく解説していきましょう。
設備資金・運転資金
まず設備資金(車両をタクシー専用に改造するなど)として70万円以上、運転資金(軌道に乗るまで継続して営業するための資金や自賠責保険を支払えるだけの金額など)として70万円以上用意しないといけないとされています。
これは地方運輸局によって異なりますが、最低でも合計140万円以上所持していることが必須条件となります。
組合に加入するための資金
個人タクシーを営んでいる方の90%以上が全国個人タクシー協会という組合に加入しています。加入条件として銀行の預金口座に200万円以上の入っていることが条件になります。
少し厳しいと感じる方がいるかもしれませんが、無線配車や国民年金基金、健康診断の料金サポートを受けることができるので、加入することをおすすめします。
営業所とガレージの確保
個人タクシーを営むためには車両を保管する車庫や営業所が必要となります。多くの方の場合、自宅を営業所、ガレージを車庫として申請されています。
もし賃貸物件の場合は契約期間が3年以上の賃貸契約書の提出が必要となります。
健康診断書の提出
申請前に健康診断をうけて特に支障がないという診断書を提出しないといけません。特に心臓や血圧などに疾患がないかといった面が重要となります。
健康診断書以外に適性試験を受験しないといけません。特に難しいことはなく、自動車事故対策機構などでテストを受けて問題なければ適性診断書をもらえるため、こちらも提出します。
個人タクシーの開業には試験に合格する必要がある
上記で紹介した条件以外に試験に合格しないといけません。試験ついて詳しく紹介していきましょう。
開催時期
開催時期は地域によって異なりますが、おおよそ3月・7月・11月の年に3回行われています。試験の3か月前までに申し込みをすると受験できます。
試験内容
試験は「地理試験」と「法令試験」の2種類あります。
地理試験
地理試験では、自分の営業する区域内についての問題が出題されます。地名や道路名、駅の名称といった問題から目的地までの最短距離や運賃、所要時間などが問われます。
地理試験は年に1回ありませんが、所定の条件をクリアしていると試験が免除されます。
その条件とは、
①タクシー運転手として15年以上の経験があること
②申請日からさかのぼった過去5年間、無事故無違反であること
このどちらかを満たしていれば地理試験が免除となります。
法令試験
法令試験では、車の運転に関する法律問題、交通事故の防止や事故発生時の対応に関する問題、乗客とのトラブルなどの対応策に関する問題が出題されます。
答えは記述ではなく〇か×を選ぶ方法です。
法令試験は個人タクシーを営むにあたって重要な試験であるため免除の条件はありません。事前にしっかり学習するようにしましょう。
難易度
試験の合格ラインは9割以上とされています。地理試験は全30問中27問以上、法令試験は全45問中41問以上正解しないといけません。
これだけを聞くと難しいかと思いますが、実際の合格率は約70〜90%と言われております。事前に参考書を読むか全国個人タクシー協会が実施する勉強会に参加するなどで対策を行えば問題なく合格できるでしょう。
法人タクシーか個人タクシーどちらがいい?
個人タクシーとして開業するまでの流れについて紹介してきました。なかなか手間や条件面で厳しいところがあると感じたのではないでしょうか?
今のタクシー会社で働いたほうがいいのかどうか迷うかと思います。どちらがいいのかそれぞれのメリット・デメリットについて紹介しましょう。
自由に働きたいなら個人タクシー
個人タクシーは営業時間を自分で決めることができます。休日なども自由に設定できるため、旅行や遊びにも行きやすいでしょう。
また勤務時間も自分で決めることができるため、しんどい時は短めに、頑張りたい日は長めにするなどフレキシブルに対応できます。
お金の面で不安なら法人タクシー
法人タクシーの給与体系はさまざまですが、基本的には歩合制です。営業収入の6割ほどで個人は100%のため個人の方が魅力的に感じますが、車両の保険代や修理費、維持費などは全て自分持ちであるため、しっかり営業しないと赤字になることがあります。
法人の場合は車両の不備などは会社持ち、万が一の事故の場合も会社で処理してくれるため、お金の面で安心できます。
長く続けるなら個人タクシー
個人タクシーは75歳まで働くことができます。申請は65歳までですが、いざ開業すると定年が長いため、長く働き続けたい方には魅力的でしょう。
個人タクシーについてのまとめ
個人タクシーになるまではいろいろな道のりがあることがわかりました。法人とどちらがいいのかは人ぞれぞれですが、自分でさまざまなことを決定できる点では魅力を感じます。
もし開業するならスムーズに進められるように事前準備をしっかり行ってくださいね。
関連記事:個人タクシーは儲かる?法人との違いや特徴を詳しく解説!
タクシー求人をお探しの方へ
ドライバーキャリアは、運送・旅客・物流業界に特化した転職支援サービスです。
- 希望条件に合う求人のご紹介
- 履歴書など書類作成のサポート
- 企業との条件交渉/面接日程の調整
無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
求人を検索する(無料)