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ライドシェアのデメリット7選|国内解禁が遅れている理由とは

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ライドシェアとタクシーの問題

ライドシェアは、その便利さと効率性で多くの支持を集めていますが、デメリットについても目を向ける必要があります。

利用者と提供者双方にとっての安全性の確保、事故発生時の補償の不確実性、ドライバーの労働環境の問題、そして既存の公共交通システムへの影響など、ライドシェアが普及するにつれて、これらの問題が顕著になってきています。

本記事では、ライドシェアサービスの利用がもたらすデメリットやライドシェアの国内への導入状況などについて解説します。

ライドシェアのデメリット7選

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まずは、ライドシェアのデメリットを7つ紹介します。

ドライバーの質

ライドシェアのデメリットの1つ目は、ドライバーの質です。

ライドシェアでは、一般の人々がドライバーとして参加することが可能なため、その運転技術や接客態度にはばらつきがあり、時には乗客の期待を満たさないケースも出てきます。

加えて、ドライバーによっては交通規則を遵守しない危険な運転をすることもあり、乗客の安全を脅かす要因にもなり得ます。サービス提供者はドライバーの選定や教育に努めていますが、参加者の多様性や運用の柔軟性を考慮すると、一定レベルのサービス品質を保証することが難しいのが現状です。

このため、利用者はサービスを選ぶ際にドライバーの質を重視する必要があり、安全で快適な移動を確保するためには、利用者自身の判断が求められるのです。

事故発生時の補償

ライドシェアのデメリットの2つ目は、事故発生時の補償です。

一般的な自動車保険は、商業目的の使用を前提としていないため、ライドシェア中に発生した事故については適切な補償が受けられない可能性があります。

また、ライドシェア会社が提供する保険があっても、その補償範囲や条件はサービスによって大きく異なり、ドライバーや乗客が十分な保護を受けられるとは限りません。事故の際に補償される額が不足することや、保険適用外のケースが発生するリスクも存在し、乗客やドライバーが不利益を被ることが懸念されます。

このため、ライドシェアを利用する際には、事前に補償内容を確認し、必要に応じて追加の保険加入を検討するなど、自己防衛策を講じることが重要です。

ドライバーが加害者になる危険性

ライドシェアのデメリットの3つ目は、ドライバーが加害者になる危険性です。

一般のドライバーが自家用車で乗客を運ぶライドシェアでは、タクシー運転手のようなプロフェッショナルな訓練を受けていない場合が多く、結果として交通事故に巻き込まれる可能性が高まります。

さらに、ドライバーが交通規則を遵守しない行動を取った場合、乗客だけでなく他の道路利用者にも危害を加える可能性があることは大きな懸念材料となります。これらのリスクは、ドライバーの選定や管理を徹底することである程度は軽減できるものの、ライドシェアの本質的な問題として残ります。

したがって、利用者はサービスを選ぶ際に、ドライバーの選定基準や安全対策について事業者からの情報を十分に確認し、自己の判断でリスクを評価する必要があるのです。

ドライバーが被害者になる危険性

ライドシェアのデメリットの4つ目は、ドライバーが被害者になる危険性です。

ライドシェアのドライバーは、事前に乗客の情報を完全には把握できず、未知の乗客を自車に迎え入れることになります。この状況下では、乗客による突発的な暴力行為や嫌がらせ、さらには強盗といった犯罪のリスクにさらされることがあります。

また、トラブルが発生した際の対応策や保険の適用範囲も、従来のタクシーサービスに比べて不透明な場合が多く、ドライバーを守る体制が不十分なことも問題点の一つと言えます。

これらのリスクに対処するためには、ライドシェア事業者による安全対策の強化や、ドライバー自身によるリスクマネジメントの徹底が求められますが、それでもなお、ドライバーが被害者となる可能性を完全には排除できません。

ドライバーによる飲酒運転

ライドシェアのデメリットの5つ目は、ドライバーによる飲酒運転です。

ライドシェアのシステムでは、一般の人々がドライバーとして参加するため、プロの運転手と比べて運転に対する責任感や規律が必ずしも十分ではない場合があります。そのため、ドライバーが飲酒後に運転するという非常に危険な行為に及ぶ可能性が存在します。

飲酒運転は、乗客や他の道路利用者に対する重大な安全リスクをもたらし、最悪の場合、事故につながる可能性があります。

ライドシェア事業者も飲酒運転を防ぐための規制やチェック体制を設けていますが、すべてのドライバーの行動を完全に監視することは難しく、飲酒運転のリスクを完全に排除することは困難です。

このため、利用者はドライバーが安全運転を守っているかどうかを常に意識し、何か異常を感じた場合には直ちに対処する必要があるのです。

ドライバーの労働環境の悪さ

ライドシェアのデメリットの6つ目は、ドライバーの労働環境の悪さです。

ライドシェアは柔軟な労働時間を提供する一方で、収入の不安定性や労働条件の厳しさが問題となっています。多くのドライバーは、収入を増やすために長時間労働を余儀なくされることがあり、これにより過労やストレスが蓄積されるリスクが高まります。

また、ライドシェア会社からの保証や福利厚生が十分ではないため、健康保険や退職金などの社会保障の恩恵を受けにくいのが実情です。さらに、乗客からの不当な評価やクレームに直面することもあり、精神的な負担が大きいという声も少なくありません。

このような労働環境の悪さは、ドライバーの仕事の質にも影響を及ぼし、結果としてサービス全体の信頼性を損なう可能性があるのです。

タクシー・バス業界への影響

ライドシェアのデメリットの7つ目は、タクシー・バス業界への影響です。

ライドシェアの普及に伴い、タクシー・バス業界への影響は避けられない問題となっています。ライドシェアサービスが提供する低料金と利便性により、従来のタクシーやバスを利用する人々が減少する可能性があります。これは、タクシー・バス業界の収入減少に直結し、経営環境の悪化を引き起こす恐れがあります。

また、ライドシェアサービスの台頭は、タクシー・バス業界における雇用の質や量にも悪影響を及ぼす可能性があるため、業界全体の持続可能性にも影響を与えかねません。

さらに、ライドシェアが一部の地域や時間帯において過剰な競争を生み出すことで、公共交通サービスの提供が不安定になることも懸念されています。

公共交通の縮小は、特に交通手段が限られる地域の住民や、スマートフォンの利用が難しい高齢者などの社会的弱者に大きな影響を与えることが予想されるのです。

そもそもライドシェアとは

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続いては、ライドシェアについて詳しく解説します。

ライドシェアの定義

ライドシェアとは、複数の人が自動車などの交通手段を共有し、移動することを指します。

ライドシェアは、一人一台の車で移動する従来の方法に代わる、より効率的で環境に優しい選択肢を提供することを目的としています。具体的には、同じ方向に向かう人々が乗り合い、交通量を減らし、交通渋滞の緩和、駐車スペースの節約、燃料の使用量の削減など、さまざまなメリットを享受します。

ライドシェアは、専用のアプリケーションやウェブサイトを通じて、ドライバーと乗客をマッチングさせます。

出典:ライドシェアとは何か?|国土交通省

ライドシェアの種類

続いては、ライドシェアの種類について解説します。ライドシェアは下記の3種類に分類されます。

種類概要
カープール型同じ行き先の乗客と運転手が相乗りする方式です。

 

運転手は乗客から直接、燃料費、高速道路の料金、駐車場の費用など、実際に発生した経費を受け取ることができますが、収益を得る目的での報酬は基本的に認められていません。

また、カープール形式のライドシェアには、複数の乗客が一緒に移動するためのバンや大型車を使用する「バンプール型」や、ヒッチハイクのように特定の場所で待機する乗客を拾う「カジュアルカープール型」などの異なる形式があります。

TNCサービス型個人が所有する車両を使用し、有料で乗客を目的地に送り届ける方式です。

 

スマートフォンアプリなどのデジタルプラットフォームを介して運営され、ドライバーと乗客をマッチングさせます。

日本では、このタイプのTNCサービスは「白タク」と考えられており、法的には認められていない活動とされています。

ただし、国内の一部地域では現在、実験的な運用が行われています。

タクシーの相乗りサービス通常のタクシー車両を使用して、行き先が同じか類似する利用者同士をあらかじめ結びつける仕組みです。

 

利用者が乗車アプリなどのデジタルツールを通じて、乗る前に目的地が一致するか近い他の人とマッチングされ、一緒にタクシーでの移動が実現します。

カーシェアリングとの違い

ライドシェアとカーシェアリングはどちらも交通の共有を目的としたサービスですが、提供されるサービスの種類には顕著な違いが存在します。

ライドシェアでは、運転手が自らの自動車を使って、アプリなどを介して繋がった乗客を乗せ、共に移動先まで行くサービスです。この場合の共有は、移動サービス自体に重点が置かれており、乗り合いタクシーや個人の自動車がこの分類に該当します。

対照的に、カーシェアリングは車を共有することに重点を置いたサービスで、利用者が必要に応じて共有車を借り、自ら運転して使用後は特定の場所へ返却する仕組みです。この方式は、個人が車を所有する代わりに複数の利用者で一台の車を共有し、使用の効率を上げると同時にコストを下げることが目的です。

つまり、ライドシェアは「移動サービスの共有」に注目しているのに対し、カーシェアリングは「車そのものの共有」という点で差別化されています。これらは、より便利な交通手段を提供し、環境影響を減らす共通の目標を持ちつつ、サービスの形態と利用者の要望に基づいて異なるオプションを提案しています。

ライドシェアの国内への導入状況

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続いては、ライドシェアの国内への導入状況について解説します。

道路運送法では違法扱い

日本では、カープール型のライドシェアのみが法律上許可されています。その主な理由は、道路運送法第78条が私用車を使った有償の乗客輸送を、ごく一部の例外を除いて禁じているためです。

この法的制約により、個人が自己の車で有料で乗客を運ぶTNCサービス型のライドシェアは、許可を受けていない営業タクシー、通称「白タク」とみなされ、おおむね違法行為にあたるとされます。

ライドシェアの解禁が遅れている理由

ライドシェアの規制緩和に向けた検討の背後には、社会的な問題への対応とタクシー業界での深刻な労働力不足が存在します。政府および関係者は、ライドシェアを活用して地域における公共交通が不足している問題を解決し、タクシー業界の人手不足に対処する方法を模索しています。

しかし、タクシー業界からはライドシェア導入に反対する声が挙がっており、ライドシェアが既存の労働や安全に関する規制を回避する恐れがあると指摘しています。

ライドシェアが広がることで、タクシーやバスなど既存の交通手段に新たな競争が生まれ、これらのサービスを利用する人が減少する可能性があり、業界への悪影響が懸念されています。タクシー・バス業界は、ライドシェアの普及が公共交通の安定供給を妨げ、事業者の経済基盤を弱める可能性を警告しています。

また、スマートフォンの操作が難しい高齢者などは、公共交通サービスの削減や廃止により移動の選択肢が限られる可能性があるという問題も指摘されています。

自家用有償旅客運送とは

自家用有償旅客運送は、特定の条件下で私用車を使用して有償で乗客を運送することを許可する制度です。この制度は、公共交通機関が不足している地域において、住民の移動手段を確保する目的で設けられました。

適用を受けるには地方運輸局への申請と承認が必要であり、運転手は交通安全教育を受けるとともに、車両も安全基準を満たす必要があります。また、運賃設定にも規制があり、地域の実情に応じた運賃が設定されます。

この制度により、交通弱者の移動支援や地域の活性化に貢献することが期待されています。

出典:自家用有償旅客運送ハンドブック|国土交通省

2024年4月より解禁予定

政府と地方自治体は、有料ライドシェアサービスを合法化するための議論を活発に進めています。2024年4月から、一定の条件を満たした場合に限り、有料ライドシェアの提供が可能になると政府は発表しました。

この新しい政策により、タクシー事業者が運行管理と配車を行い、タクシー不足が課題となっている特定の地域や時間帯に限って、市街地や観光地での有料ライドシェアが認められます。

また、タクシー業界外からの新規事業参入についても議論が展開されており、日本国内でライドシェアが普及することが見込まれています。

ライドシェアのデメリットについてのまとめ

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今回は、ライドシェアのデメリットについてまとめました。

これからライドシェアに参入を検討している方は、本記事を参考にして、ライドシェアに挑戦してみてください。

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