さまざまな交通手段がある日本で、最近注目を集めているのが「乗り合いタクシー」です。
一般的なタクシーよりも安く利用できることや、満員電車などの混雑を避けることができるなどのメリットから、注目を集めています。
しかし、乗り合いタクシーは「相乗り」と意味が混合しやすく、よくないイメージを持つ人も少なくありません。
そこで今回は、乗り合いタクシーはどういうものなのかをわかりやすく解説していきます。
相乗りとの違いや高齢者の利用状況なども詳しく解説していくので、乗り合いタクシーに関する知識を深めていきましょう。
乗り合いタクシーとは?
乗り合いタクシーは、複数の乗客で運賃を負担し、共通の目的地または経路に向かうタクシーのことです。
通常のタクシーとの違いは、目的地が決まっていて特定のルートや時間に沿って運行されることが多いです。
そのため、定期的なバス路線や公共交通機関が少ない地域や、空港から市街地までの移動手段として利用されます。
通常のタクシーと比べて、複数人で料金を分担するので運賃が安く設定されているのが一般的です。
また、地方自治体や交通事業者が運営していることがほとんどで、地域の交通需要に応じた柔軟な運行が特徴です。
関連記事:乗り合いタクシーとは?種類や利用方法などについて解説!
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乗り合いタクシーの運行方式
乗り合いタクシーの運行方式には、大きく分けて「定時定路線型」と「デマンド型」があります。
以下、それぞれの方式について詳しく説明します。
定時定路線型
定時定路線型は、決められた時刻表と固定のルートに基づいて運行される乗り合いタクシーです。
路線バスに近いのが特徴的で、特定の停留所で乗客が乗降します。
公共交通機関が少ない地域や時間帯での移動手段として活用されることが多く、待ち時間を無駄にすることなく安定したサービス提供が可能です。
定時定路線型乗り合いタクシーは、時間や経路が決まっているため通勤・通学や買い物など、日常的な利用に適しています。
デマンド型
デマンド型は、利用者の人数に応じて運行される乗り合いタクシーです。
利用者が電話やネットなどで予約を行うと、タクシーが指定された時間に待ち合わせ場所へ迎えに来てくれます。
定時定路線型とは異なり、運行ルートや時間は乗客の予約状況に応じて柔軟に決定されるため、過疎地や交通が不便な地域で効果的な交通手段となります。
また、地域の交通需要に即応するため、利用者の利便性が高いのが特徴です。
乗り合いタクシーの運行目的の種類
乗り合いタクシーの運行目的は、運行している地域や利用者の目的に応じてさまざまです。
過疎地や団地、空港など、特定の地域や施設に対応するための運行目的が設定されており、それぞれの目的に合ったサービスが提供されます。
今回は「過疎地型」「団地型」「空港型」の3つについて解説していきます。
過疎地型
過疎地型乗り合いタクシーは、路線バスや電車の本数が少ない過疎地域での移動手段を提供することを目的としています。
住民の通院、買い物、通学などの日常の移動を支援することで生活の支えとして重要な役割を担っています。
過疎地域の中には道幅や道路の状況などから公共交通機関の運行が難しい地域もあるので、住民の要望に応じて柔軟に対応することが可能です。
団地型
団地型の乗り合いタクシーは、大規模な住宅団地や集合住宅に住む住民を対象に運行されます。
公共交通機関が利用しづらい場所での通勤・通学、買い物などの日常の移動手段として利用されることが多いです。
団地型は団地内や近くの駅、商店街などに便利に移動できるようにするために運行されることが多い乗り合いタクシーのため、目的地が同じ場合がほとんどです。
そのため、地域の特性に合わせたルート設定が行われることが多く、団地内外の移動がスムーズに行えるよう支援します。
空港型
空港型の乗り合いタクシーは、空港とその周辺地域を結ぶ交通手段として運行されます。
特に、公共交通機関のアクセスが限られている空港では、乗り合いタクシーが有効な移動手段になります。
空港型の乗り合いタクシーでは、利用者が空港からホテルや自宅、観光地などに安く移動が可能です。
運行ルートは利用者が事前に予約した目的地に応じて柔軟に設定されることが一般的です。
乗り合いタクシーは高齢者に対するメリットが大きい
乗り合いタクシーは、高齢者にとって非常に便利で安全な移動手段です。
乗り合いタクシーは公共交通機関が少ない地域でも、自宅近くから目的地までの移動ができるため、通院や買い物など日常生活のサポートに役立ちます。
足腰が弱く、日常生活において制限がかかってしまう高齢者でも、通常のタクシーよりも安く移動することが可能です。
特に予約制の「デマンド型」では、足腰の弱い高齢者でも家の前まで迎えに来てくれるなど、安心して利用できます。
乗り合いタクシーは、地方自治体や地域の交通事業者によって運営され、地域の交通手段が少ない場所で特に重要な役割を果たします。
乗り合いタクシーの多くは高齢者の自立した生活を支えることを目的としており、日本全国で活用されています。
乗り合いタクシーの料金
乗り合いタクシーの料金は、自治体ごとに異なるため、全国で統一された料金設定はありません。
各地域の特性や運行形態に応じて、それぞれの乗り合いタクシーで料金が決められています。
例えば、堺市の乗り合いタクシーでは、利用者が1回の乗車につき100円から300円の料金を支払う仕組みです。
通常のタクシーは目的地までの距離や時間などで料金が決まりますが、乗り合いタクシーの場合は1回の乗車料金になるので距離によっては路線バスより安いです。
この料金設定は、特に高齢者や通勤・通学者が安心して利用できるよう工夫されています。
また、自治体によっては、定期券や回数券を発行している場合もあり、さらにお得に利用できることがあります。
特に大阪府堺市のように、料金が明確で利用しやすいサービスを提供することで、地域住民の生活を支える重要な交通手段として活用されています。
乗り合いタクシーの料金については、利用する地域の自治体のウェブサイトで確認することをおすすめします。
出典:堺市乗合タクシー|堺市
乗り合いタクシーの課題点やデメリット
乗り合いタクシーには便利な面が多いですが、いくつかの課題点やデメリットも存在します。
今回は利便性の高い「デマンド型」の乗り合いタクシーのデメリットを解説していきます。
事前登録や予約が必要
デマンド型の乗り合いタクシーは、利用者が事前に登録し、予約をする必要があります。
そのため、急な予定で利用したいと思っても対応できず断られてしまう場合も少なくありません。
これは利便性を高めるための仕組みですが、予約に慣れていない人にはハードルが高いと感じることがあります。
また、予約が集中する時間帯には希望の時間に乗れない可能性もあるので、必ず利用できる保証がありません。
効率の良い運行方法が定まっていない
デマンド型では、利用者の予約に応じてタクシーが運行されるため、運行ルートや時間がバラバラです。
このため効率的な運行が難しく、結果として待ち時間が長くなり、乗客数が少ない場合には赤字になる場合があります。
運行方法に関しては、デマンド型乗り合いタクシーの今後の課題となっており、現在でもさまざまな対策が考えられています。
地域のタクシー会社に影響を与える可能性がある
乗り合いタクシーの導入が、地域の既存のタクシー会社に与える影響も心配されています。
特に、デマンド型の運行が一般タクシーの利用を減少させることで、タクシー業界全体に競争圧力がかかる可能性があります。
実際に一般タクシーに比べて安い部分に関しては、利用する人にとって大きなメリットになるため、乗り合いタクシーを利用する人は増えてくるでしょう。
一般タクシーとうまく連携することや、対策をとることが重要になってきます。
乗り合いタクシー向けのアプリは開発中
乗り合いタクシーをより気軽に利用できるように、地域によっては乗り合いタクシー向けのアプリが開発されているようです。
乗り合いタクシー向けのアプリの代表と言われているのが「TAKUZO(タクゾー)」です。
このアプリは、事前予約をネットで簡潔にできるだけでなく、スムーズに配車を行えるように経路の分析なども行ってくれます。
現在、乗り合いタクシーに特化した専用アプリはまだ少ないですが、徐々にTAKUZOに似ているアプリが登場し始めています。
これらのアプリは、利用者がより簡単に予約や運行状況を確認できるようにするもので、使い勝手が向上しています。
今後、さらに多機能で便利なアプリが開発されることが期待されます。
出典:TAKUZO(タクゾー)
各地域の乗り合いタクシーを調べてみよう
日本全国に存在する乗り合いタクシーですが、地域によってサービス内容や料金が異なります。
乗り合いタクシーを利用したいと思った場合、自分の住んでいる地域で利用できる乗り合いタクシーを調べてみることをおすすめします。
各自治体のウェブサイトや地域の交通案内をチェックすることで、利用方法や料金、運行時間を確認できます。
乗り合いタクシーは、日常生活を便利にするための重要な交通手段ですので、ぜひ活用してみてください。
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