「空調設備関係の仕事に就きたいけど、基本的なことから理解できていない」などと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
空調設備は、マンションや病院などの施設で、快適な空間の提供に欠かせないものです。基本的な仕組みは、冷媒と呼ばれるガスを利用して熱を移動させることです。
空調設備は今後も人々の生活に必要不可欠と言われています。そのため、需要が高く、空調設備会社への就職を検討する人も少なくありません。
この記事では空調設備の基礎知識や技術者として覚えるべき内容について解説します。これから空調設備の仕事に挑戦したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
空調設備の基礎知識|設備の種類やエアコンとの違い
空調設備とは、建物内の空気の温度・湿度・風速・清浄度などを適切に管理・制御するシステム全般です。これにより、人々が快適に過ごせる環境を提供しています。
よくある質問として「エアコン」の違いです。
エアコンは特に冷房や暖房に特化した装置で、主に個々の部屋や小規模なスペースで使用されています。一般的な家庭やオフィスの一部屋を快適に保つために設置される場合が多く、温度と湿度の制御が主な機能です。
空調設備は、暖房・換気・空気調整の要素を組み合わせた複合的なシステムです。冷暖房や換気だけでなく、湿度調整や空気の清浄化も行っています。
空調設備の仕組み
空調設備の基本的な仕組みは、冷媒と呼ばれるガスを利用して熱を移動させることです。冷房の場合、空調機はまず室内の空気を吸い込み、内部にある蒸発器で冷媒が蒸発する過程で熱を奪います。
このとき、室内の温度は低下し、冷たくなった空気が再び室内に放出されています。一方で、冷媒はその後、コンプレッサーで圧縮され、熱を放出するために外部の凝縮器に送られる流れです。
凝縮器では冷媒が再び液体になり、その過程で吸収した熱を外部に放出します。これにより、建物内部の空気は冷却されます。
一方、暖房の場合は逆のプロセスです。空調機は室外の空気から熱を取り込み、室内に放出します。この方法では、ヒートポンプ技術が用いられ、冷媒の流れを逆転させ、熱を移動させています。
空調設備工事の種類と仕事内容
空調設備工事の種類は主に次の5つです。
- 新設工事
- 配管工事
- ダクト工事
- 保守メンテナンス
- 施工管理
それぞれの仕事内容について解説します。
新設工事
新設工事は、建物に新しい空調設備を設置する作業です。設計図に基づいて、空調設備を配置し、電気や配管を接続します。
この段階では、設置する機器の選定や、場所の確保が重要です。たとえば、商業施設やオフィスビルの新築時には、効率的に冷暖房の管理をできるよう、機器の配置や配線を緻密に計画しなければなりません。
配管工事
配管工事は、空調設備に必要な冷媒や水などを循環させるための配管を設置する作業です。冷媒配管や水配管を適切な経路に配置し、接続部分が漏れないように確実に施工しなければなりません。
配管工事には配管の選定・溶接・絶縁・経路の確保などが含まれ、施工現場の条件に合わせた柔軟な対応が求められます。
ダクト工事
ダクト工事は、空気の流れを制御するためのダクト(風道)を設置する作業です。換気や空調の効率を高めるには、ダクトの形状やサイズ、配置の選定が重要です。
ダクト工事では鋼板を加工して適切な形状に成形し、接続部が確実に密閉されるように取り付けたり、天井や壁のスペースを最大限に活用したりしなければなりません。
保守メンテナンス
保守メンテナンスは、設置された空調設備が長期間にわたり効率的に稼働するよう、定期的な点検や修理作業を行う仕事です。
具体的には、フィルターの清掃・冷媒の補充・機器の劣化部分の交換などを行い、故障を未然に防いでいます。メンテナンスは、設備の寿命を延ばし、エネルギー効率の維持に欠かせない業務です。
施工管理
施工管理は、空調設備工事全体の進行を監督し、計画通りに工事が進むように調整する作業です。工事のスケジュール管理、資材の調達、作業員の配置、安全管理などを担当しています。
施工管理には、設計者や工事担当者と密に連携し、現場の状況に応じて迅速な判断が求められるでしょう。
関連記事:空調サービスエンジニアがきついと言われる理由5選、向いている人の特徴
関連記事:設備施工管理の仕事内容は?求められるスキルとやめとけと言われる理由について解説
空調設備の年収
求人ボックスの2024年6月25日に更新されたデータによると、空調設備の仕事に従事する人の平均年収は440万円です。
一方で、令和4年分の民間給与実態調査によると、給与所得者全体の平均年収は458万円です。したがって、空調設備関連に従事する人の平均年収は全体と比較して高くはありません。
ただし、令和5年賃金構造基本統計調査の結果を踏まえたデータによると、空調設備の中でも配管工の平均年収は512.5万円、ビル施設管理の平均年収は442.1万円でした。
そのため、同じ空調設備の仕事をしていても、取り扱う工事の種類によって平均年収は大きく変動するようです。
参考:空調工事の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス
参考:令和4年分 民間給与実態統計調査|国税庁
参考:配管工 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
参考:ビル施設管理 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
空調設備関連の求人
ここでは、弊社が運営する求人サイト「クロスワーク」で掲載中の空調設備関連に関する求人例を紹介します。
- 求人例(1)
- 給与:月給 305,000 円〜489,400 円
- 勤務地:東京都
- 必要免許:電気工事士
- 福利厚生:賞与/退職金/昇給/資格取得制度/社会保険/交通費一部支給/健康保険/厚生年金/制服貸与/月給30万円以上/雇用保険/労災保険
- 休暇:月8日以上
- 求人例(2)
- 給与:月給 210,000 円〜315,000 円
- 勤務地:熊本県
- 必要免許:普通一種(AT限定)
- 休暇:月8日以上
求人例(1)を踏まえて、電気工事士など空調設備として働くにあたって関連する資格を取得していると、高い初任給を期待できる可能性があります。
参考:物流・建設・製造特化の求人サイト「クロスワーク」
空調設備の仕事で役立つ資格
空調設備の仕事で役立つ資格は次のとおりです。
- 電気工事士
- 認定電気工事従事者
- 冷凍機械責任者
それぞれの資格について解説します。
電気工事士
電気工事士とは、空調設備の電気配線や電気機器の取り付けに関わる資格です。空調設備の設置には電気工事が必要な場合が多く、その際に電気工事士の資格が役立ちます。
特に、第二種電気工事士が一般住宅や小規模な設備の工事を担当する一方、第一種はより大規模な施設や商業ビルの電気工事に従事できます。
電気工事士の資格があれば、空調設備の設置作業を一貫して担当でき、仕事の幅が広がるでしょう。
関連記事:電気工事士の資格の取り方を紹介!第一種・第二種の違いも細かく解説
認定電気工事従事者
認定電気工事従事者は、特定の条件下で電気工事を担当する際に求められている資格です。この資格は、電気工事士とは異なり、すでに設置されている電気機器の増設や改修をする際に必要です。
空調設備のメンテナンスやリニューアル工事をする際に、認定電気工事従事者の資格があれば、既存の設備に対する安全な作業が可能となります。
したがって、空調設備の保守や修理でも業務を拡大できるでしょう。
冷凍機械責任者
冷凍機械責任者は、冷凍・冷蔵設備を扱う際に必要な資格です。空調設備の中でも特に冷凍や冷蔵機能を持つシステムに関わる際に、この資格が役立ちます。
冷凍機械責任者の資格があれば、冷凍設備の安全な運転や保守点検を担当できます。そのため、冷凍機械責任者は、冷凍空調設備を扱う現場で重宝されるでしょう。
関連記事:設備管理に活かせる資格一覧|施設管理との違いや仕事内容
空調設備の仕事内容や基礎知識を理解して就職や転職を検討しよう
この記事では、空調設備の基礎知識・仕組み・仕事内容などについて解説してきました。
空調設備とは、建物内の空気の温度・湿度・風速・清浄度などを適切に管理・制御するシステム全般です。
空調設備の基本的な仕組みは、冷媒と呼ばれるガスを利用して熱を移動させることです。
また、空調設備工事は主に5種類あります。
- 新設工事
- 配管工事
- ダクト工事
- 保守メンテナンス
- 施工管理
これから空調設備の仕事に従事するのを目指しているのであれば、積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
電気主任技術者のお仕事をお探しの方へ
建職キャリアは、建設業界に特化した転職支援サービスです。
- 希望条件に合う求人のご紹介
- 履歴書など書類作成のサポート
- 企業との条件交渉/面接日程の調整
無料でご利用いただけますので、ぜひご活用ください。
求人を検索する(無料)