ドライバーの退職理由がわからない経営者や採用担当者の方も、多いのではないでしょうか。退職する背景には、数多くの要因があります。
退職が続くと企業側の採用コストが増加してしまい、企業全体の売上低下につながるでしょう。本記事ではドライバーが「どこに不満を抱いているのか」を深掘りつつ、定着率をあげる効果的な対策について紹介します。
ドライバーの離職率を下げ、定着率を向上させたい経営者や採用担当者の方は、ぜひ本記事を最後まで読んでみてください。
ドライバーに多い退職理由は労働条件や待遇などさまざま
ドライバーの退職理由の中でも多いのが、長時間労働や待遇、人間関係などの問題があげられます。
ドライバーの場合、運転する時間が長く、体力的な負担も大きいため、給与や福利厚生が見合わないと感じることが多いようです。
そのため、やりがいを感じられない、将来が不安といった理由で退職してしまうドライバーも少なくありません。
また、国立情報学研究所「地方運送業の労働力確保に関する研究」によると、ドライバー全体でみても、労働時間や給与の問題が退職の主な原因であることが確認できます。
定年退職以外の理由を、ドライバー過不足の事業者の回答からみると「一身上の都合」を除き「給与待遇」「体力を含めた体調不良」「拘束時間」「運送業不向き」「人間関係」等が上位を占める。
ドライバーの定着率を上げていくには、企業側の適切な待遇改善や働きやすい職場作りなど対策する必要があるでしょう。
退職の原因をしっかりと分析し、ドライバーが働きやすい環境を整えることが、今後の運送業界においては非常に重要になります。
企業としては、ドライバーの働きやすさを向上させるため、積極的に職場環境を改善していく必要があるでしょう。
関連記事:【運送業の実態】ドライバーの離職率は高い?原因と現場での対策
ドライバーの退職理由|6選
ドライバーの退職理由としてよくあげられるのが、以下の6つになります。
1.仕事量と給料が見合わない 2.長時間労働が大変・拘束時間が長い 3.休みが少ない 4.やりがいを感じにくい 5.人間関係が築きにくい 6.体力的にきつい |
詳しく解説していきます。
仕事量と給料が見合わない
ドライバーが退職を考える大きな原因のひとつは、労働量と給与のバランスが取れていないことです。
仕事量に見合った給料がもらえないと、モチベーションが維持できず「仕事を辞めたい」とマイナスな感情を抱くようになるでしょう。
また、運送業界では長時間の勤務が常態化しており、拘束時間が長いにもかかわらず給料が見合っていないと感じるドライバーも多いようです。
たとえば、ドライバーの平均月収が40万円以上あると仮定しましょう。
しかし、長時間労働や休日出勤も多く、家族との時間やプライベートを充実させることが難しければ、仕事量が見合わないと感じるはずです。
そのため、企業側としてはドライバーの労働時間と給与のバランスを見直し、適切な報酬を設定する必要があります。
ドライバーの退職理由を理解し、適切な対策を講じることで、企業側も人材の確保と維持に成功できるのではないでしょうか。
長時間労働が大変・拘束時間が長い
ドライバーが業界を離れる大きな要因として、長い拘束時間があげられます。
国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」の資料からもわかるように、1運行あたりの拘束時間は、約11〜13時間と長い傾向があります。
出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」
業務内容によっては、長距離運転や夜間の運転、急な配送要請などが原因で、長時間の労働をしいられることも多いようです。
拘束時間が長くなることで、労働時間と休憩時間のバランスが取れなくなり「体力的・精神的」な負担が増加します。
拘束時間の長さは、ドライバーの健康や生活に大きな負担を与えるでしょう。
そのため、ドライバーの拘束時間短縮は、退職を防ぐための重要な対策となります。
休みが少ない
ドライバーの退職理由のひとつは、休日が少ないことです。
多くの運送会社では、配送の需要に応じてドライバーに労働を求めるため、休日が不規則になりがちです。
また、急な配送要請や人手不足の影響で、予定された休日が取れなくなるケースも少なくありません。
休みが不足することで、疲れがとれず家族やプライベートの時間が確保できなくなるドライバーも多いようです。
休日が確保されないことは、ドライバーの生活バランスや健康を損ねる要因となるでしょう。
企業側はドライバーの休日確保や柔軟なシフト制度などを導入して、ワークライフバランスを重視する対策が必要になるでしょう。
やりがいを感じにくい
ドライバーの仕事は、長時間単独での運転が中心になるので、やりがいを感じにくいという特徴があります。
結果として社員間のコミュニケーションやチームでの連携が少なく、自分の仕事の価値や意義を見出しにくいです。
また、ドライバーの業務は社会的に非常に重要なものであるにもかかわらず、貢献が見えにくいと感じるドライバーも少なくありません。
企業側はドライバー業務の価値を定期的に「評価・フィードバック」して、成果を社内で共有するなど、やりがいを感じやすい職場環境の整備が求められるでしょう。
人間関係が築きにくい
人間関係が築きにくいという状況が、ドライバーが退職する大きな理由のひとつとなっています。ドライバーの仕事は基本的に単独での業務が中心のため、職場でのコミュニケーションが希薄になる場合が多いようです。
とくに長距離トラックドライバーの場合、長時間の間ひとりで運転するため、同僚や上司との関係性を築く機会が少なくなります。
企業側の対策としては、ドライバー同士のコミュニケーションの場をもうけ、定期的なミーティングや研修を実施するなど、職場の人間関係を改善する取り組みを行なってみてください。
体力的にきつい
ドライバー業界での退職理由のひとつは、業務が体力的にきついこともあげられます。
多くのドライバーは長時間の労働時間や拘束時間、重い荷物の積み下ろし作業など体力的にきつい場面も多々あるでしょう。
体力的な負担は、退職の大きな理由となるケースが多いようです。
企業側の取り組みとしては、適切な労働時間や休憩時間の確保、福利厚生の向上などドライバーの体力的な負担を減少させる方法を模索する必要があります。
出典:国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」
関連記事:トラック運転手を辞めたい時はどうする?6つの判断基準とは
ドライバー退職する会社の特徴|4選
ドライバーの退職理由は、以下のようなものがあります。
・残業が多い ・給料や残業代を適切に支払っていない ・まともに休憩が取れていない ・教育体制が整っていない |
上記の内容が当てはまっている運送会社は、ドライバーの離職率が高くなっています。
運送会社の経営者や採用担当者の方は、自社に当てはまっていないか確認してみてください。
残業が多い
残業が多い会社は、ドライバーの離職率が高くなる傾向があります。
ドライバーの仕事において「長時間労働」や「残業の多さ」がストレスの主な原因としてあげられています。
とくに運送業界においては、配送状況やトラックの運行スケジュールにより、過度な残業が発生しやすいようです。
また、自動車運転の業務は、2024年4月から年960時間の上限規制が適用されます。
2024年問題については「2024年問題がドライバーに与える影響と物流業界の今後を解説」の記事で詳しく解説しています。
出典:国土交通省「⾃動⾞運転業務に係る時間外労働の上限規制の適⽤に向けた取組」
上限規制が厳重に取締られるので、企業側は管理を怠らないように注意しておいてください。上記のことから、ますます業務の効率化が求められます。
とはいえ、デジタルの力を使わずに今までのやり方で、全ての業務管理をしていては、なかなか効率はよくならないでしょう。
そこでオススメなのが、デジタルを用いた管理システムを導入することです。弊社でも「ロジポケ」という運送業務を効率化させている管理システムを提供しています。
出典:ロジポケ
運送手配や労働管理にお困りの経営者や人事担当者の方は「物流業界向け経営支援サービスロジポケ」の資料をぜひ、無料ダウンロードしてみてください。
また、専任のサポート部署を設置しているので、業務改善についてもお気軽にご相談いただけます。
給料や残業代を適切に支払っていない
当然のことですが給料や残業代を適切に支払っていない運送会社は、ドライバーの退職率が高くなります。
給料はドライバーの労働の対価です。適切な給料を支払っていない場合、ドライバーのモチベーション低下や職場に対する不満を生むのは当たり前です。
ドライバーの給料や残業代に対する不満を取り除くためには、以下のような対策を検討してみてください。
改善案 | 取り組み内容 | 期待される効果 |
・労働条件や待遇の見直し | ・給料の見直し ・労働時間の調整・福利厚生の拡充 |
・ドライバーの定着率向上 ・離職率の低減 |
・職場環境の改善 | ・社員間のコミュニケーション向上につながる定例会の実施 | ・職場環境の改善 ・ドライバーの離職防止 |
・教育体制の強化 | ・ドライバーに対する適切な教育 | ・事故率やクレームが削減する |
企業側としてはドライバーに不満をできるだけ与えないように、定期的な給料体系の見直しや残業代の支払いをきちんとするようにしましょう。
給料や残業代が適切に改善されるだけでも、ドライバーの定着率は向上するのではないでしょうか。
まともに休憩が取れていない
休憩時間を十分に確保していない企業は、ドライバーが不満を抱いて退職を起こしやすいようです。
ドライバーの仕事は体力的に負担が大きく、休憩を取らずに連続して長時間の運転を強いられると事故のリスクも高くなります。
たとえば1日10時間以上運転を続け、1時間程度しか休憩していない場合、ドライバーは疲労が蓄積してしまい事故を起こす可能性も高くなるでしょう。
また、継続的な休憩の取得ができないときは、ドライバーの健康を損なう危険も伴います。
企業側としては、労働時間の管理や休憩時間の見直しをおこない、ドライバーの健康と安全を第一に考える体制を築くことが大切です。
教育体制が整っていない
整備されていない教育体制での勤務は、ドライバーが不満を抱える原因のひとつです。
ドライバーとしての職務は、トラック操作技術だけではなく「安全対策・ルートに関する知識・荷物の取り扱い」など顧客サービスに関する多岐にわたる知識が求められます。
そのため、新入社員や転職者が知識や技術を身につけるためには、しっかりとした教育やトレーニングが必要です。
教育体制が整っていないと新人ドライバーは、適切なサポートや指導を受けられず、業務に不安を感じるでしょう。
最悪の場合、立て続けに離職をしていくドライバーも増えていくかもしれません。
企業側としては十分な教育プログラムを実施し、ドライバーに長く働いてもらえる環境作りを目指しましょう。
関連記事:トラック運転手はすぐ辞めるって本当?辞め時の判断基準とは
まとめ:ドライバーの退職理由を理解して対策する必要がある
ドライバーの退職理由には、教育体制の不備や労働条件、職場環境などさまざまな要因があります。
退職理由の詳細と具体的な対策を理解することで、ドライバーの離職率を大幅に減少させられるでしょう。
ドライバーの定着率を上げたい運送会社の経営者や採用担当者の方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
ドライバーの採用担当者様へ