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確認ミスが多い?機械設計によくある失敗例|9選

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設計図のイメージ

機械設計エンジニアとして働いている人の中には、業務でのミスが多く、転職を考えている人も多いのではないでしょうか。

機械設計エンジニアは、工具の特性や実際に作業する人のことを考えられていないことが要因でミスが発生するケースが多いです。

この記事では、機械設計エンジニアがやりがちな確認ミスや対処法、失敗事例などを解説していきます。

機械設計でミスが多いのは「確認不足」

3人の男女がデスクワークしている様子

機械設計エンジニアの仕事では確認ミスが頻繁に見受けられます。そのため、複数人で二重、三重チェックすればある程度はミスを防げるのです。

しかし、時間短縮やコスト削減のために確認作業を1人に任せてしまうと、見落としが発生しやすくなります。

この記事では、設計ミスがよく見られる箇所とその対策について、9つ紹介します。

ミスが多い機械設計エンジニアのあるある9選

デスクワークをこなす様子

実は機械設計エンジニアがやりがちなミスは共通しています。ここでは、よく見られる設計ミス9選を紹介します。

  • 1.油圧ホースの脈動が考慮できていない
  • 2.ケーブル最小曲げ半径の確認できていない
  • 3.Oリング取り付け部の15°〜30°面取り指示ができていない
  • 4.Oリング溝の配置ができていない
  • 5.スパナやレンチなど作業工具の干渉が意識できていない
  • 6.仕様書の確認ができていない
  • 7.溶接ビードの干渉が意識できていない
  • 8.工具との干渉が意識できていない
  • 9.適切な掛かり代が意識できていない

1.油圧ホースの脈動が考慮できていない

油圧ホースに圧力をかけると、脈動といわれるビクッとするような動きが現れます。

脈動すると、ホースと接している他の部品との間に摩擦が起きるため、繰り返さないようホースと部品の間に空間的な余裕を持たせると良いでしょう。

油圧ホースの設計ミスは、できあがってから数年後に、トラブルが起こることで発見されることが多いため、設計段階から気をつけましょう。

2.ケーブル最小曲げ半径の確認できていない

ケーブルや配管・配線には「どれだけ曲げられるか」を表す、最小曲げ半径という指標があります。固定させるか、可動式にするのかによっても最小曲げ半径は変わります。

特に、電気を通す配線は適切な取り扱いをしないと火事につながる恐れもあるため、設計段階から考慮することが重要です。

3.Oリング取り付け部の15°〜30°面取り指示ができていない

Oリングを組み立てる際、切れるのを防ぐために15〜30度ほどの「面取り」が必要です。面取りを考慮していないと、Oリングに亀裂が入ったり切れてしまったりして油漏れが起きてしまいます。

また、既存の機械を流用する場合であっても、適切な面取りがされていない可能性もあるため、しっかりと確認することが大切です。

4.Oリング溝の配置ができていない

Oリング溝を配置する際は、部品を組み立てる「天地の関係」を考慮しましょう。もちろんできない場合もあるかもしれませんが、できるだけ「地」の側に溝をつけることが大切です。そうすることで、Oリングが脱落するのを防げます。

もし「天」の側にOリング溝があると、取り付けるときに落ちてしまう可能性があります。

完成後、油漏れなどによってミスが発覚することがほとんどです。設計段階から、ミスのないような設計にしましょう。

5.スパナやレンチなど作業工具の干渉が意識できていない

スパナやレンチといった、作業工具の「干渉」が意識できていないことも、よくあるミスです。最近では3DCADで設計することも増えてきたため、干渉が意識できていないことによるミスは少なくなったと言われています。

ただし、3DCADを利用しても、3Dモデルには現れない現物との違いを見逃すことが多くなり、干渉によるミスを完全になくすまでには至っていません。そのため、3DCADを用いた場合でも、最終的には人の目で確認するようにしましょう。

6.仕様書の確認ができていない

寸法などが仕様書通りに作られていない、というミスもよく見られます。3DCADを利用していても、3Dモデルは厳密に作られない場合があります。そのため、3DCADを過信せず、利用方法を考えることが大切です。

7.溶接ビードの干渉が意識できていない

溶接ビードを意識できていないことが多く見受けられます。溶接ビードとは、アーク溶接やレーザー溶接などで資材を溶接した際、接合する表面にできる、盛り上がった部分のことです。

本来は溶接ビードが生じることを想定しておく必要がありますが、実物を見てみたら考慮されておらず、干渉が起きてしまった、ということもよくあるようです。溶接部は、少し余裕を持たせて設計するようにしましょう。

8.工具Rとの干渉が意識できていない

CADを利用して設計していると、スパナやレンチなどの作業用工具が届かない(作業できない)場所にボルトを設置してしまっているケースが見受けられます。作業するスペースなど、実際に作業する人のことも考えて設計することが大切です。

どの工具を使うかわからない場合は、一般的な工具が使える環境を整えるようにしましょう。

9.適切な掛かり代が意識できていない

ボルト関連で言えば、掛かり代も大切です。タップの深さとボルトの長さが適切な関係になっているか、確認しましょう。ボルトの方が長いと、締め切らない状態になってしまうため大変危険です。

関連記事:機械設計エンジニアはきつい?5つの理由ときついと感じたときの対処法

機械設計のミスが多くなったときの対処法|5選

オフィスで会議をしている様子

ここでは、機械設計する上でミスをしてしまったときの対策や設計ミスを減らすためにできることを5つ紹介します。

  • 機械設計前に十分な調査をする
  • 機械設計の仕様書を事前に作成する
  • 機械設計のレビューを実施する
  • 機械設計ミスの分析をする
  • 機械設計エンジニアに対して「教育・研修」を実施する

機械設計前に十分な調査をする

設計作業に取りかかる前に、類似商品を調査しましょう。特に、経験が浅いうちは類似商品の設計が「なぜ、そのような配置、設計になっているのか」を考えながら、同じように設計するのが良いでしょう。

また、先輩や上司に質問するようにすると、設計に関する知識が増えていきます。

機械設計の仕様書を事前に作成する

設計前に設計仕様書を作成しておくのも有効です。設計仕様書とは、製品を設計する上で必要な条件などをまとめた仕様書のことです。完成後のイメージを鮮明にするために、開発者に向けて作られます。

設計担当者は、設計仕様書を読み込み、記載通りに設計するようにしましょう。

機械設計のレビューを実施する

機械設計では二重、三重にチェックすることが多いですが、ただチェックするだけではもったいないです。レビューを実施し「どこに問題があったか」「今後、どんなことに注意すべきか」を明確にしておきましょう。

機械設計ミスの分析をする

よくミスをしてしまう人は「自分はどんなミスをしやすいのか」「どんなときにミスをしてしまうのか」などを分析することも大切です。自分のミスの傾向が分からなければ、対策できないためです。

まずは自分で分析し、その後、レビューによって他人から見た傾向も頭に入れておきましょう。

機械設計エンジニアに対して「教育・研修」を実施する

ミスが個人レベルではなく、組織レベルで頻発している場合、個人の意識だけでは十分な解決はできません。設計仕様書を作成するようにする、レビューを行うようにする、など組織全体で行う手法も取り入れていくことが大切です。この時、重要になるのが研修です。

形だけの研修ではなく、しっかり社員を教育できるテーマ、カリキュラムにして良質な研修にしましょう。

機械設計エンジニアが起こした失敗事例|3選

勉強をしている様子

ここでは、機械設計エンジニアが起こした実際の失敗例を3つ紹介します。これらの事例から今後気を付けるべきことなどを確認しましょう。

エキスポランド ジェットコースター事故

「エキスポランド ジェットコースター事件」は2007年5月5日、午後0時50分ごろに大阪府の遊園地「エキスポランド」にて発生した事件です。

立ち乗りジェットコースター「風神雷神II」の走行中、 左側の車輪ブロックが脱落、2両目車両が左に大きく傾き、2両目前方の乗客が保守通路手すりに頭部を強打して死亡、 残りの乗客19名も病院に搬送された他、事故を目撃した人のうち、15名も気分を悪くするなどして、負傷者と記録されています。

原因は、「車軸に金属疲労による深い傷があったこと」、「その傷が走行中に引きはがれたこと」だと考えられています。

六本木回転ドア事故

六本木回転ドア事故は、東京都港区六本木の大型複合施設「六本木ヒルズ」内の森タワーで発生した事故です。

母親と観光していた6歳の男の子が、大型自動回転ドアに挟まれて死亡しました。

事故の原因は「回転ドアの重量が重く、停止動作開始後に停止するまでに時間がかかってしまったこと」「男の子がセンサーの死角に入ってしまい、緊急停止が働かなかったこと」などだと考えられています。

浜岡原発タービンの損傷

浜岡原発タービンの損傷事件は2006年6月15日に、静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所にて発生した事件です。

タービンが損傷して停止、それに伴って原子炉も自動停止しました。タービンの内部を点検したところ、低圧タービンの外側から3段目の動翼1本が、車軸への取付部が折れて脱落していたそうです。同様の翼を検査したところ、全部で840本ある翼のうち、663本が損傷していました。

関連記事:機械設計エンジニアがやめとけと言われる理由|派遣社員から脱出する方法

機械設計の仕事は資格なしでできるがミスしたときの責任は重い

スマートフォンを操作する様子

機械設計エンジニアが設計する機械は多岐にわたりますが、もし不備があれば重大な事故につながる可能性が大きいです。資格がなくても機械設計エンジニアとして働くことはできますが、その分、責任感をしっかりと持ちましょう。

参考:設計者に86億円の損害賠償請求 | 日経クロステック(xTECH)

機械設計のミスを発生させない3つの考え方

エンジンオイルをチェックする様子

開発系やIT系の仕事では、1つのミスでも重大な事故やトラブルにつながる可能性があるため、できるだけミスを発生させないことが大切です。ここでは、ミスやトラブル、信頼に関する3つの考え方を紹介します。

  • フェールセーフ
  • フールプルーフ
  • フォールトトレランス

いずれも重要な考え方であるため、ぜひ覚えておきましょう。

フェールセーフ

フェールセーフとは、システムの一部が故障しても、危険が生じないような設計にする考え方です。セーフとは「安全」という意味であり、安全性を重視した考え方であると言えます。

例えば、信号機はフェールセーフを取り入れたシステムの1つです。信号機が故障した場合、付近の信号は赤になるようになっています。そうすることで、事故や混雑などを防いでいるのです。

フールプルーフ

フールプルーフとは、誤操作できないような仕組みにしておくという考え方で、エラープルーフとも言います。

例えば、電子レンジは開いた状態では動作しない仕組みになっており、トラブルや事故を防いでいます。

フールプルーフとしてやれることは以下の5つです。

  • 排除:エラーの原因になるものを取り除く
  • 代替化:人が行っていた作業を自動化
  • 容易化:動作を簡単なものにする
  • 異常検知:異常を検知したらすぐに知らせる
  • 影響緩和:ミスが影響する範囲をできるだけ小さくする

フォールトトレランス

フォールトトレランスは、もし一部が故障してもシステム全体では必要な機能は維持する、という考え方です。トレランスには「許容」という意味があります。

ごく一部にしか影響しないものに対して、毎回システムを停止するのはコストがかかり、最適ではありません。ミスや故障の影響が及ぶ範囲が大きい場合は停止せざるを得ませんが、小さい場合は最低限で抑えるべきなのです。

機械設計のミスに関するよくある質問

作業員が話し合う様子

ここでは、機械設計のミスに関するよくある質問を紹介していきます。

  • 機械設計のミスに気づいたらどうすればいいですか?
  • 機械設計に関するミスは誰の責任ですか?
  • 機械設計のミスにはどんな種類がありますか?

機械設計のミスに気づいたらどうすればいいですか?

機械設計のミスに気づいたとき、自分で修正できる場合は修正し、できない場合は上司や先輩など対応できる人に報告・相談しましょう。

機械設計に関するミスは誰の責任ですか?

設計段階で見つかったミスや設計段階に起因すると思われるミスは、基本的には設計担当者が責任を負います。ただし、二重、三重チェックを行っている場合、部署単位で責任を負うことになるため、組織の長が代表することがほとんどです。

機械設計のミスにはどんな種類がありますか?

機械設計でよく見られるミスは、以下の9種類です。

  • 1.油圧ホースの脈動が考慮できていない
  • 2.ケーブル最小曲げ半径の確認できていない
  • 3.Oリング取り付け部の15°〜30°面取り指示ができていない
  • 4.Oリング溝の配置ができていない
  • 5.スパナやレンチなど作業工具の干渉が意識できていない
  • 6.仕様書の確認ができていない
  • 7.溶接ビードの干渉が意識できていない
  • 8.工具との干渉が意識できていない
  • 9.適切な掛かり代が意識できていない

まとめ:機械設計のミスが多い場合は事前対策をしよう

打ち合わせをする男性と女性の様子

機械設計のミスは、後々重大なトラブルにつながる可能性があるため、極力防ぎたいものです。しかし、人が設計している以上、完全になくすことはできません。

フェールセーフ、フールプルーフ、フォールトトレランスなどの考え方があるように「事前に対策できることはしっかりやっておく」「トラブルが発生することも考慮した設計にする」ことが大切なのです。

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