免許・資格

準中型免許の費用は30万円前後?取得方法別に費用を解説

更新日:

運転免許を取得する際、多くの人が気になるのが取得にかかる費用です。

特に、準中型免許は普通免許と中型免許の中間に位置する資格であり、その取得費用がどの程度になるのかはあまり知られていません。

そこで本記事では、準中型免許の取得にかかる具体的な費用、準中型免許を取得するメリット、準中型免許の取得方法などについて解説します。

準中型免許とは?費用は高い?

準中型免許取得の費用について説明する前に、まずは準中型免許がどのような免許であるかを説明します。

準中型免許の定義

準中型免許は2017年より新たに導入された日本の運転免許の一種で、普通車に加えて最大総重量が7.5t未満、最大積載量が4.5t未満のトラックやバスを運転することができる資格を指します。

準中型免許は、運輸業やバス会社などで働く際のステップアップとして、または自身のビジネスで中型の車両を使用する際に取得する人が多い資格とされています。

なお、準中型免許の取得費用に関しては取得方法によって異なるため、詳細は次章以降で解説します。

準中型免許ができた理由

準中型免許のできた経緯には、大きく2つの理由が存在します。

1つ目は、トラックドライバーの不足が挙げられます。

日本の経済が拡大する中で、物流産業も大きく成長してきました。その中心に位置するのが、「2tトラック」という車種です。

この「2tトラック」は、3t~4.5tの積載量を持つものが主流で、以前は中型免許がないと運転することができませんでした。しかし、中型免許の取得には「20歳以上」という年齢制限や「普通免許を2年以上保持」という条件があったため、高卒1年目の若手社員が、入社後すぐに運転するのは難しい状況でした。

この「中型免許の取得条件」が、トラックドライバーの人手不足を引き起こす大きな要因となっていたのです。

この問題を解決するために新設された準中型免許は、18歳から取得できるようになり、普通免許の保有期間の要件もなくなりました。これにより、物流業界に新たに入った人々も、準中型免許を迅速に取得し、配送業務に携わることが可能となりました。

このように、物流業界のニーズに合わせて、準中型免許は生まれたわけです。

そして2つ目は、交通事故の削減です。

普通免許の教習は、大半が乗用車を対象としています。ですが、2017年以前は、普通免許だけで総重量5t未満の車を運転することが許可されていました。これにより、実際に教習を受けていないような大型の車も、合法的に運転することができてしまっていたのです。

総重量5tを超える車の事故発生率は、他の車種に比べて顕著に高かったため、この状況に多くの懸念が寄せられていました。

この問題に対応するため、交通事故を減少させる目的で、準中型免許が導入されたのです。

もちろん、導入に際して「実際に事故は少なくなるのか?」という疑問は浮上しました。しかし、2007年に中型免許が導入された後の事故件数の減少が、その効果を裏付ける証拠として挙げられました。

警視庁のデータを見ると、中型免許が導入される前の2006年には23,144件の事故がありましたが、導入後の2007年には20,441件、2008年には15,222件と、明らかに事故件数が減少していました。

この結果をもとに、新たな免許制度が事故を削減する手段として有効であることが確認され、準中型免許も同じ効果を期待されているのです。

そして、実際の準中型免許誕生後の交通事故死亡者人数は以下のように推移していきました。

年度 人数
2015年 4,117
2016年 3,904
2017年 3,694
2018年 3,532
2019年 3,215
2020年 2,839
2021年 2,636
2022年 2,610

出典:警察庁「統計表」

2015年と2022年の数字を比較すると、約37%も減少しています。 準中型免許の誕生と交通事故死亡者の数の関係を直接結び付けることはできませんが、準中型免許が交通事故の減少に一定の効果をもたらしていると言っても過言ではないでしょう。

出典:警視庁「準中型自動車・準中型免許の新設について」

出典:東京車人武蔵境教習所「準中型免許って? 免許制度改正についても紹介」

準中型免許で運転できる車の種類

各運転免許で運転できる車両の範囲は、下記の表のとおりです。

免許 車両総重量 最大積載量 乗車定員
普通免許 3.5t未満 2t未満 10人まで
5t限定準中型免許 3.5t以上5t未満 2t以上3t未満 10人まで
準中型免許 3.5t以上7.5t未満 2t以上4.5t未満 10人まで
8t限定準中型免許 3.5t以上8t未満 2t以上5t未満 10人まで
中型免許 7.5t以上~11t未満 4.5t以上~6.5t未満 29人まで
大型免許 11t以上 6.5t以上 30人以上

出典:埼玉県警察「準中型免許と運転可能な車種について」

そのため、準中型免許で運転できる範囲は、車両総重量が3.5t以上7.5t未満、最大積載量が2t以上4.5t未満、乗車定員が10人までの車両となります。

なお、車両総重量、最大積載量、乗車定員は、運転免許証と、運転する自動車に車載されている自動車検査証に記載されています。      

出典:全日本トラック協会「準中型免許制度について」

準中型免許を取得するメリット

続いて、準中型免許を取得するメリットについて紹介します。

運転できる車両が増える

準中型免許を取得するメリットの1つ目は、運転できる車両が増えることです。

準中型免許を取得すれば、普通免許だけでは運転できない大型のバンやトラックなど、7.5t未満の車両を運転することが可能となります。

これにより、仕事の幅や選択肢が増えるだけでなく、プライベートでの利用シーンも増えるため、より多くのシチュエーションでの運転を楽しむことができます。

職業の選択肢が増える

準中型免許を取得するメリットの2つ目は、職業の選択肢が増えることです。

特に、運輸業界や物流業界では、多くの企業が準中型トラックを使用しており、準中型免許を持っていることで、新たな雇用のチャンスが増加します。

また、一般的なオフィスワークだけでなく、運転を中心とした仕事を希望する方にとっては、準中型免許は大きなアドバンテージとなるでしょう。

さらに、準中型免許を取得することで、給与面での評価が上がる場合もあり、キャリアアップを目指す上でのステップとしても非常に有効です。

時間や費用を節約できる

準中型免許を取得するメリットの3つ目は、時間や費用を節約できることです。

中型免許と比較すると、準中型免許の取得に必要な教習時間は短縮されており、それに伴い教習料も比較的安価になっています。そのため、忙しい人にとっては、短期間で効率的に資格を取得することが可能です。

また、資格取得のための出費を抑えられるため、経済的な負担も軽減されます。

このように、準中型免許は時間とコストの面でのメリットが大きく、多くの人々にとって魅力的な選択肢となっているのです。

準中型免許の取得条件

準中型免許を取得する条件として、身体能力に関しては以下のように規定されています。

年齢 18歳以上
視力 両眼で0.8以上、かつ、1眼でそれぞれ0.5以上
色彩識別能力 赤色、青色及び黄色の識別ができる
深視力 三桿法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下
聴力 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる
運動能力 ①自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害がない。
②自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害があるが、その者の身体の状態に応じた補助手段を講ずることにより自動車等の運転に支障を及ぼす恐れが無いと認められるもの。

出典:那須自動車学校「取得条件」

なお、視力に関してはメガネ・コンタクトレンズを使用した矯正視力でも問題はありません。

また、道路交通法の改正により、2014年6月1日より仮免許申請時に「質問票」の提出が義務づけられました。

この質問票は、過去5年以内の罹患経歴など、免許取得者の健康状態を調査するものです。具体的な質問項目は、以下の通りです。

質問項目
①過去5年以内に、病気(病気の治療に伴う症状を含みます)を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。
過去5年以内に、病気を原因として、身体の全部又は一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがある。
過去5年以内に、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中、活動している最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上ある。

過去1年以内に、次のいずれかの状態に該当したことがある。

  • 飲酒を繰り返し、絶えず体にアルコールが入っている状態を3日以上続けたことが3回以上ある。
  • 病気の治療のため、医師から飲酒をやめるよう助言を受けているにもかかわらず、飲酒したことが3回以上ある。
病気を理由として、医師から運転免許の取得又は運転を控えるよう助言を受けている。

虚偽の記載をして提出すると罰則が適用されます。

出典:警視庁「質問票について」

準中型免許の取得方法

準中型免許の取得方法は、「免許を保有していない人」「2007年6月1日より前に普通免許を取得した人」「2007年6月2日から2017年3月11日の間に普通免許を取得した人」で異なります。

まず免許を保有していない人は、自動車教習所に通ったあと、運転免許センターで試験に合格する方法が一般的です。

具体的な免許取得の流れは下記の通りです。

【指定自動車教習所】

  1. 指定自動車教習所に入校
  2. 適性検査を受験(視力・聴力検査など)
  3. 技能講習と学科講習を受講
  4. 技能終了検定(敷地内での運転試験)・仮免許学科試験を受験
  5. 仮免許証交付
  6. 技能講習(路上講習)・学科講習
  7. 技能卒業試験(路上での運転試験)

【運転免許センター】

  1. 適性検査(視力検査など)・学科試験を受験
  2. 準中型自動車免許証を交付

なお、教習の期限に関しては下記の通り規定が存在します。

  • 教習期限:教習開始日より9ヶ月
  • 卒業検定期限:全教習終了日より3ヶ月※その期限内に万が一教習が終了しなかったり、検定に合格しなかった場合はそれまでの教習が無効になる。
  • 仮免許証の有効期間:6ヶ月

教習所に通学する場合は、上記の期限に関しても留意しなければなりません。

教習所での通常の受講以外にも、合宿形式での免許取得が選べます。

合宿免許は、教習所の宿泊設備で生活しながら、短期集中的に運転技術を習得する方法です。コストパフォーマンスが良く、時間をかけずに取得したい人に選ばれることが多いです。

その取得プロセスは、通常の教習所と大差ありません。

さらに、試験場での一発試験という選択肢もあります。

これは、自分で学習してから、試験場に直接申し込み、筆記と実技の試験を受ける方法です。合格すれば、教習所の料金を気にせず免許が取れますが、初心者には難易度が高いと感じられることが多いです。

このように、準中型免許の取得方法は「教習所」「合宿」「一発試験」の3つがあります。どの方法でも試験に合格すれば免許は手に入りますが、最も難しい部分とされている技能試験においては、受験方法ごとに有利不利があります。

合宿や教習所での学習者は、同じコースを何度も練習するため、技能試験には合格しやすいと言われています。しかし、一発試験では未知のコースでの運転が求められるため、他の方法と比べて難易度が高いと言われているのです。

そのため、準中型免許の取得方法を選ぶ際は、これらの要因をしっかりと考慮することが大切です。

出典:警視庁「準中型自動車・準中型免許の新設について」

準中型免許の取得にかかる費用と期間

続いては、準中型免許の取得にかかる費用と期間について「教習所通学」「合宿免許」「一発試験」の3つに分けて解説します。

教習所に通学した場合

教習所通学の費用は、約35万円~とされています。期間は人にもよりますが、最短でも約3~4週間程度は必要です。

しかし、教習所通学の場合は講習の受講に予約が必要となり、繁忙期や時間帯によっては取りたい日時に予約が取れない場合もあります。

中には、追加料金を払えば優先的な予約枠を提供する教習所もありますが、その分費用はかさみます。

合宿免許の場合

合宿免許の費用は閑散期(4~7月中旬または10~1月)と繁忙期(7月下旬~9月、2~3月)で異なる場合がほとんどで、閑散期が約25万円~、繁忙期は約30万円~となります。

また、合宿免許は泊まり込みで集中的に受講するため、最短で約3週間で修了検定・卒業技能検定まで受講することができます。

一発試験の場合

一発試験の場合の受験費用は、受験料、試験車使用料、免許証交付料を合わせて8,650円、その後の取得時講習受講料が32,200円(普通免許を持っていない場合、所有者の場合は17,800円)となっています。

また、所要期間も教習所や合宿免許よりも圧倒的に短くなっています。

どの方法が一番安いのか

ここまでは、各取得方法の費用と期間について解説しましたが、「結局、どの方法で準中型免許を取得するのが一番お得なの?」と感じた方も多いでしょう。

期間と費用だけを見ると一発試験が最もお得です。しかし、前述の通り一発試験はかなりハードルが高く、特に初心者の方にはおすすめできません。

そこでおすすめしたいのが合宿免許です。

まずは費用面ですが、基本的には合宿免許の方が教習所通学よりもお得になる場合がほとんどです。合宿免許は、前述の約25万円(約30万円)~に、教習料金や宿泊費用、往復の交通費など、すべての費用が含まれている場合がほとんどで、その他に費用はかかりません。

もちろん、既定の期間内に試験に合格できなかった場合には、追加の滞在費用と教習費用を払わなければなりませんが、教習所のカリキュラムをまじめにこなしていれば、試験に落ちることはほとんどありません。

また、期間も最短で約3週間で取得できるため、教習所通学よりも短期間で免許を取得できる可能性が高いです。

以上の理由から、最もお得に免許を取得できるのは、合宿免許であると言えます。

普通免許を保有する人が準中型免許の取得にかかる費用と期間

普通自動車免許を持っている人は、合宿免許の場合は最短6日ほどで準中型免許を取得できます。なお、教習所通学の場合でも、最短で約2週間で準中型免許を取得できます。

取得費用に関しては、通学の場合で約17万円、合宿の場合で約15〜19万円と言われています。

準中型免許の費用に関してよくある質問

ここからは、準中型免許の費用に関してよくある質問に回答します。

準中型免許の限定解除の費用は?

準中型免許の限定解除をするために必要な費用は、下記の通りです。

所持している免許 限定解除後に取得する免許 費用
準中型(5t)限定AT免許 準中型免許 約10万円
準中型(5t)限定MT免許 準中型免許 約7万円

マニュアル(MT)とオートマ(AT)によって、費用には3万円ほどの差が生じます。また、上記の金額に加えて、免許センターにて解除の申請をする際に1,450円の手数料が別途必要となります。

それなりに費用はかかるものの、普通自動車免許の取得に比べるとかなり安い金額であると言えます。

準中型免許の費用についてのまとめ

今回は、準中型免許の費用について解説しました。

準中型免許の取得を検討している人は本記事を参考にして、ぜひ準中型免許の取得に挑戦してみてください。

-免許・資格

Copyright© クロスワーク・マガジン , 2023 All Rights Reserved.