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準中型免許で乗れるトラックの種類・重量・定員等を解説

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準中型免許は、一般的な普通免許とは異なり、特定の重量までのトラックを運転することが許可されています。

しかし、具体的にどのようなトラックが運転可能なのか、またその特徴や用途はどのようなものなのか、初心者にはわかりにくい部分も多いでしょう。

そこで本記事では、準中型免許で乗れるトラックの種類、準中型免許の取得方法、準中型免許の取得条件などについて詳しく解説します。

準中型免許とは

準中型免許は日本の運転免許制度のカテゴリの一つです。

この免許を取得すると、車両総重量が3.5~7.5tまで、最大積載量が2~4.5tまで、そして乗車定員が10人までの車両を運転することが可能となります。これには、荷物輸送用のトラックや少数の乗客を乗せるバスも含まれます。

ただし、11人以上を乗せる大型バスや、より大きなトラックを運転する場合は、準中型免許では不十分で、中型免許、もしくは大型免許の取得が必要です。

出典:警視庁「準中型免許試験(指定教習所を卒業又は検査合格証明書をお持ちの方)」

準中型免許で乗れるトラックの種類

では、実際に準中型免許で乗れる車にはどういったものが存在するのか、詳しく解説していきます。

平トラック・2tショート・ロングトラック

準中型免許を有することで、平トラック、2tショート、そしてロングトラックの運転が可能となります。

平トラックは、フラットな荷台を持つことから、さまざまなニーズに応えることができ、多数の業種での利用が拡大しています。大規模な荷物や器具の移送時には、その平坦な荷台が荷物の積み込みや固定を容易にします。

また、2tショートは、名前の通り最大2トンまでの荷を運べるコンパクトなトラックを示し、その取り回しの良さが狭い都市の道路や商業地での配達に最適です。

ロングトラックは長い車体が特徴のトラックで、大量の荷物や資材を運搬するのに適しています。しかし、「ロング」という名前でありながら、実際には準中型の範囲内でのサイズとなっており、大型トラックと比較すると小さめです。この特徴が、大型トラックでは難しい狭い道や都市部での運用を可能にし、多くの業界での利用が拡大しています。

保冷設備のトラック

準中型免許を保有することで、保冷設備を備えたトラックも運転することができます。

保冷設備を備えたトラックは、食品や医薬品などの温度管理が必要な商品を運ぶ際に使用されます。特に夏場など温度変化が激しい時期には、商品の品質を保つために欠かせない存在です。

保冷設備を備えたトラックは、冷蔵や冷凍の機能を持ち、温度を一定に保つことができるため、輸送中の温度変化による品質の低下を防ぐことができるのです。

ゴミ収集車(パッカー車)

準中型免許を所持すれば、ゴミ収集車(パッカー車)も運転することが可能です。

ゴミ収集車は、家庭やビジネスエリアからの廃棄物を取り扱う専用の車両で、後部には大きなコンテナや特別な機械を搭載しており、効率的にゴミを収集し圧縮することができます。

多くの市町村や清掃関連の業者がゴミ収集車を使用しており、運転手はゴミの取り扱いだけでなく、機械の操作やメンテナンスも行う必要があるため、特定の技能や知識が求められます。

ゴミ収集車は、狭い道や住宅エリアを頻繁に通るため、緻密な運転技術が不可欠です。

高所作業車

準中型免許を持っていれば、高所作業車の操縦が可能です。

高所作業車は、高い場所での作業をサポートする専用の車両で、建築作業や電線の点検、看板の取り付けなど、多様な場面での活用が見られます。

この車両には、伸縮するアームや作業者が乗るためのプラットフォームが装備されており、これを使用して高い位置での作業を安全に行うことができます。

運転者は、高所作業車の操作を熟知しており、作業者の安全確保を前提に、多種多様な作業をサポートする役割を果たしているのです。

2ユニック車

2tユニック車は、標準のトラックに2基のユニッククレーンを搭載した車両で、建設現場や移動作業での荷物の吊り上げに使用されます。

この車両の特徴は、2つのクレーンがそれぞれ独立して操作可能であることです。この特徴により、2箇所からの荷物を同時に吊り上げたり移動させたりすることができます。そのため、通常のユニック車に比べ、より高度な操作技術や知識が要求されます。

運転以外にも、クレーンの操作が求められるので、実務の経験や特別な資格を有していると、さまざまなシチュエーションでの対応が可能となるのです。

準中型免許で乗れるトラックの運転範囲

2017年の法改正によって、運転できる車両の範囲は大きく変化しました。

ここでは、法改正前後で運転できる車両がどのように変化したのかを解説します。

準中型免許ができる前

準中型免許が新設されたことで、運転できる車両の区分が大きく変更されました。

下記は準中型免許ができる前(法改正前)の区分です。

免許 車両総重量 最大積載量 乗車定員 運転経歴
普通免許 5t未満 3t未満 10人まで ---
中型免許 5t以上11t未満 3t以上6.5t未満 11~29人まで 普通免許等保有が通算2年以上
大型免許 11t以上 6.5t以上 30人以上 普通免許等保有が通算3年以上

出典:那須自動車学校「乗れる車」

準中型免許ができた後

そして、下記が準中型免許ができた後(法改正後)の区分です。

免許 車両総重量 最大積載量 乗車定員 運転経歴
普通免許 3.5t未満 2t未満 10人まで ---
準中型免許 3.5t以上7.5t未満 2t以上4.5t未満 10人まで ---
中型免許 7.5t以上~11t未満 4.5t以上~6.5t未満 29人まで 普通免許等保有が通算2年以上
大型免許 11t以上 6.5t以上 30人以上 普通免許等保有が通算3年以上

出典:那須自動車学校「乗れる車」

準中型免許ができたことで、普通免許で運転できる車両の最大重量が軽くなりました。

また、準中型免許ができる前までは5t以上の車両を運転するには、「普通免許等保有が通算2年以上」という期間の規定もありましたが、準中型免許ができたことで、5t以上~7.5t未満の車両であれば期間の規定なく運転できるようになりました。

準中型免許の取得条件

準中型免許を取得する条件として、身体能力に関しては以下のように規定されています。

年齢 18歳以上
視力 両眼で0.8以上、かつ、1眼でそれぞれ0.5以上
色彩識別能力 赤色、青色及び黄色の識別ができる
深視力 三桿法の奥行知覚検査器により、2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下
聴力 10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる
運動能力 ①自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害がない。 ②自動車等の運転に支障を及ぼす恐れのある四肢又は体幹の障害があるが、その者の身体の状態に応じた補助手段を講ずることにより自動車等の運転に支障を及ぼす恐れが無いと認められるもの。

出典:那須自動車学校「取得条件」

なお、視力に関してはメガネ・コンタクトレンズを使用した矯正視力でも問題はありません。

また、道路交通法の改正により、2014年6月1日より仮免許申請時に「質問票」の提出が義務づけられました。 この質問票は、免許取得者の健康状態を調査するもので、下記5つの質問に回答する必要があります。

  1.  過去5年以内に、病気(病気の治療に伴う症状を含みます)を原因として、又は原因は明らかでないが、意識を失ったことがある。
  2. 過去5年以内に、病気を原因として、身体の全部又は一部が、一時的に思い通りに動かせなくなったことがある。
  3. 過去5年以内に、十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中、活動している最中に眠り込んでしまった回数が週3回以上ある。
  4. 過去1年以内に、次のいずれかの状態に該当したことがある。 「 飲酒を繰り返し、絶えず体にアルコールが入っている状態を3日以上続 けたことが3回以上ある。」「病気の治療のため、医師から飲酒をやめるよう助言を受けているにもかかわらず、飲酒したことが3回以上ある。」
  5. 病気を理由として、医師から運転免許の取得又は運転を控えるよう助言を受けている。 

なお、この質問票に虚偽の記載をして提出すると、罰則が適用されます。

出典:警視庁「質問票について」

出典:警視庁「準中型免許試験(指定教習所を卒業又は検査合格証明書をお持ちの方)」

準中型免許の取得方法

準中型免許の取得方法は、「免許を保有していない人」「2007年6月1日より前に普通免許を取得した人」「2007年6月2日から2017年3月11日の間で普通免許を取得した人」で異なります。

では、それぞれ解説します。

免許を保有していない人向け

初めて運転免許を取得する場合は、自動車教習所に通ったあと、運転免許センターで試験に合格する方法が一般的です。

具体的な免許取得の流れは下記の通りです。

【指定自動車教習所】

  1. 指定自動車教習所に入校
  2. 適性検査を受験(視力・聴力検査など)
  3. 技能講習と学科講習を受講
  4. 技能終了検定(敷地内での運転試験)・仮免許学科試験を受験
  5. 仮免許証交付
  6. 技能講習(路上講習)・学科講習
  7. 技能卒業試験(路上での運転試験)

【運転免許センター】

  1. 適性検査(視力検査など)・学科試験を受験
  2. 準中型自動車免許証を交付

なお、教習の期限に関しては、下記の通り規定が存在します。

  • 教習期限:教習開始日より9ヶ月
  • 卒業検定期限:全教習終了日より3ヶ月※その期限内に万が一教習が終了しなかったり、検定に合格しなかった場合はそれまでの教習が無効になる。
  • 仮免許証の有効期間:6ヶ月

教習所に通学する場合は、上記の期限に関しても留意しなければなりません。

また、教習所に通学する以外には、合宿免許で取得する方法もあります。

合宿免許は、教習所が提供する宿泊施設に宿泊しながら、日々の教習を進める方法で、短期間で集中的に教習を受けることが可能です。一般的には、費用がお得で、短期間での取得を目指す人に人気があります。

なお、合宿免許の取得の流れも、教習所通学の場合とほとんど同じです。

さらに、運転免許試験場で一発試験を受ける方法も存在します。

この方法は、独学で必要な知識や技術を身につけた上で、直接試験場に申し込み、筆記試験と実技試験を受験するものです。試験に合格さえすれば免許は取得できるため、教習所の受講料を節約できます。

しかし、独学での準備は初学者にはハードルが高く感じることがほとんどです。

このように、準中型免許を取得するには「教習所通学」「合宿免許」「一発試験」の3つの選択肢があり、前提として、いずれの方法でも試験に受かりさえすれば、準中型免許を取得することは可能です。

ですが、免許試験の最難関は、試験場での「技能試験」です。合宿免許や教習所通学の場合であれば、運転するのは教習所のコースのため、何度も運転して慣れている可能性が高く、合格はしやすいと言われています。

一方、一発試験の場合は、どうしても不慣れなコースでの運転となるため、合宿免許や教習所通学と比較すると不利であることは否めません。

したがって、準中型免許の取得方法については、このような点も考慮した上で検討する必要があります。

2007年6月1日より前に普通免許を取得した人向け

2007年5月31日までに免許を取得した人は、現行基準の準中型自動車に加えて、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員10人以下の中型自動車を運転することができます。

なおその場合、免許証には「中型車は中型車(8t)に限る」と記載されます。

2007年6月2日から2017年3月11日の間で普通免許を取得した人向け

2007年6月2日~2017年3月11日の間に普通免許を取得した人は、2017年の道路交通法改正後は「5t限定準中型免許」となり、普通自動車と車両総重量5t未満、最大積載量3t未満の準中型自動車を運転ができます。

ですが、5t以上の準中型車両を運転するためには、限定解除と呼ばれる手続きが必要です。

限定解除とは、特定の制限を持つ運転免許を、その制限を取り除くための手続きや試験を経て、一般的な免許にアップグレードすることを指します。

準中型免許の解除を行う流れは以下のようになります。

まず、準中型免許の解除を希望する場合、指定された教習所で必要な教習を受けることが求められます。この教習は、MTは4時間、ATは8時間と、時間が定められています。

そして、教習後の卒業試験に合格すれば、免許試験場で視力検査などの適性試験を受験し、その後に限定解除交付手続きを行ってはじめて、限定解除が可能となるのです。

出典:警視庁「準中型自動車・準中型免許の新設について」

準中型免許の取得費用

続いて、準中型免許の取得費用について解説します。

教習所に通学した場合

教習所通学の費用は、約35万円~とされています。期間は人にもよりますが、最短でも約3~4週間程度は必要です。

しかし、教習所通学の場合は講習の受講に予約が必要となり、繁忙期や時間帯によっては撮りたい日時に予約が取れない場合もあります。

中には、追加料金を払えば優先的な予約枠を提供する教習所もありますが、その分費用はかさみます。

合宿免許の場合

合宿免許の費用は閑散期(4~7月中旬または10月~1月)と繁忙期(7月下旬~9月、2月~3月)で異なる場合がほとんどで、閑散期が約25万円~、繁忙期は約30万円~となります。

また、合宿免許は泊まり込みで集中的に受講するため、最短で約3週間で修了検定・卒業技能検定まで受講することができます。

一発試験の場合

一発試験の場合は、受験費用として、受験料、試験車使用料、免許証交付料を合わせて8,650円、その後の取得時講習受講料が32,200円(普通免許を持っていない場合、所有者の場合は17,800円)となっています。

また、所要期間も教習所や合宿免許よりも圧倒的に短くなっています。

出典:警視庁「準中型免許試験(指定教習所を卒業又は検査合格証明書をお持ちの方)」

準中型免許で乗れるトラックについてよくある質問

ここからは、準中型免許で乗れるトラックについてよくある質問に回答します。

準中型免許で4tトラックは運転できる?

4tトラックとは、最大積載量5t未満、車両総重量8t未満の中型トラックを指します。

そして、準中型免許の最大積載量は2t以上4.5t未満、車両総重量は3.5t以上7.5t未満のため、準中型免許を持っていても4tトラックを運転することはできません。

そのため、4tトラックに乗るには中型免許以上の免許が必要となり、準中型免許で4tトラックを運転すれば無免許運転となることは必ず覚えておきましょう。

準中型免許で乗れるダンプはある?

道路交通法では、貨物自動車として扱われるダンプカーは以下の3つの車両区分に分類されています。

車両区分 最大積載量 車両総重量
小型ダンプ 3.0トン未満 5.0トン未満
中型ダンプ 6.5トン未満 11.0トン未満
大型ダンプ 6.5トン以上 11.0トン以上

そして、準中型免許の最大積載量は2t以上4.5t未満、車両総重量は3.5t以上7.5t未満のため、小型ダンプと一部の中型ダンプが運転可能です。

関連記事:【2023年版】準中型免許は何トンまで乗れるのか?車種を紹介

準中型免許って何でできたの?

準中型免許導入には、大きく2つの理由が存在します。

1つ目は、トラックドライバーの不足が挙げられます。

近年、日本の物流業界は経済の成長とともに拡大を続けており、それに伴いトラックによる輸送の需要も増加しています。そして、物流の現場で多く利用されているのが「2tトラック」と呼ばれる車両です。

この「2tトラック」は、最大積載量が3t以上、4.5t未満のものが多く、従来の制度では中型免許を所有していなければ運転できませんでした。

しかし、従来の中型免許は「年齢が20歳以上」「普通免許等の通算2年以上の保有」という資格取得制限が設けられており、たとえば、高卒で物流会社に就職したばかりの社員は、すぐに配送業務に就くことが困難だったのです。

この「中型免許取得のハードルの高さ」も影響し、流通業界ではトラックドライバーの不足が深刻化していきました。

しかし、新たに導入された準中型免許は、18歳以上であれば取得でき、免許保有期間の規定も不要となりました。先ほどの例で言えば、高卒で物流会社に就職したばかりの社員でも、準中型免許を取得すれば、すぐに配送業務に就くことができるようになったのです。

このように、輸送業務に必要なトラックを運転できる免許を簡単に取得できるようにするために、準中型免許が導入されました。

そして2つ目は、交通事故の削減です。

2017年の法改正前までは、普通免許で車両総重量5tまで運転可能でした。しかし、普通免許の教習では普通乗用車の運転教習しか行わず、「教習を受けていないトラックを運転できる」という状態になっていました。

そして、車両総重量5t以上の自動車の保有台数当たりの死亡事故は、統計上多くなっており、この状態を危険視する声が相次いでいました。

そういった背景から、交通事故の削減を目的として準中型免許が新設されたのです。 一部では「本当に交通事故の削減に繋がるのか」と疑問視する声もありましたが、準中型免許の新設による交通事故の削減の根拠として、2007年の中型免許新設時の警察庁のデータが参考にされました。

警視庁の統計データによれば、中型免許が新設される前の2006年には事故件数は23,144件でしたが、中型免許が新設された2007年は20,441件、2008年には15,222件と、事故件数は減少していったのです。

このデータから、免許制度を新しく設立することにより事故減少につながるということが明らかとなり、準中型免許も交通事故の削減につながると結論付けられたのです。

そして、実際の準中型免許誕生後の交通事故死亡者人数は以下のように推移していきました。

年度 人数
2015年 4,117
2016年 3,904
2017年 3,694
2018年 3,532
2019年 3,215
2020年 2,839
2021年 2,636
2022年 2,610

出典:警察庁「統計表」

2015年と2022年の数字を比較すると、約37%も減少しています。 準中型免許の誕生と交通事故死亡者の数の関係を直接結び付けることはできませんが、準中型免許が交通事故の減少に一定の効果をもたらしていると言っても過言ではないでしょう。

出典:警視庁「準中型自動車・準中型免許の新設について」

出典:東京車人武蔵境教習所「準中型免許って? 免許制度改正についても紹介」

関連記事:中型免許で運転できるトラックは?取得方法や準中型・大型免許との違い

関連記事:準中型免許で運転できるトラックとは?免許の取得方法や中型免許との違いを紹介

関連記事:準中型免許の限定解除とは?5t未満しか運転できない理由

準中型免許で乗れるトラックについてのまとめ

今回は、準中型免許で乗れるトラックについて詳しく解説しました。

準中型免許の取得を検討している方は、本記事を参考にして、ぜひ準中型免許の取得に挑戦してみてください。

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