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宅建資格とは?取得するメリットと仕事内容をわかりやすく解説

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男性がガッツポーズする様子

転職する上で有利になる資格には、さまざまな種類があります。

その中の1つに「宅建」があり、取得することで不動産業界だけでなく、金融業界や建設業界への転職で有利になります。

将来性が高く、誰でも取得可能であるため、毎年多くの人が挑戦している人気資格です。

不動産業界への転職を検討しており、宅建資格が気になっている人もいるのではないでしょうか。

今回は、宅建資格の概要や取得メリットを中心に分かりやすく解説していきます。

【この記事で分かること】
・宅建資格とはどのような資格なのか
・宅建資格を取得するメリットとデメリット
・宅建資格を活かせる業界
・宅建資格の試験内容や受験する場合のスケジュール
・宅建資格の取得に関するよくある質問

宅地建物取引士資格試験(宅建資格)とは?

現場で打ち合わせする様子

宅建とは「宅地建物取引士」の略称であり、公正な不動産取引をサポートする役割を担っています。

土地や戸建てを購入する場合、不動産に関するさまざまな法律を理解した上で契約しなければ、購入側にとって不利な取引となる可能性があります。

しかしながら、一般の人が関連の法律を全て理解するのは大変です。

そこで、宅建士が不動産取引に関わる重要事項の説明を分かりやすく行い、安心して契約できるようにサポートします。

宅建士は、不動産取引のスペシャリストであり不動産業界にとって欠かせない存在です。

宅建士(宅地建物取引士)にしかできない独占業務3選

男性がチェック作業をしている様子

公正な不動産取引のために、宅建士がサポートする内容は、誰でも代わりにできるわけではありません。

不動産取引業務の中には、宅建士しか行うことのできない独占業務が3つあります。

・重要事項説明書面(35条書面)への記名
・契約内容を記載している書面(37条書面)への記名
・契約締結前の重要事項についての説明

具体的にどのような業務なのか、各独占業務について解説していきます。

重要事項説明書面(35条書面)への記名

不動産取引には、賃貸物件の利用や土地・戸建ての売買などがあり、契約前に必ず重要事項に関する説明があります。

説明が終わると、契約者や説明者が書面に記名を行いますが、この業務ができるのは宅建士だけです。

経験豊富で不動産取引についての知識がある人でも、代わりに説明や記名を行うことはできません。

契約内容を記載している書面(37条書面)への記名

契約内容を記載する37条書面も、不動産取引において最重要の書類です。

35条書面と同様に、契約内容についての説明があり、契約者は納得した上で記名を行います。

この37書面にも説明者の記名が必要であり、説明および記名ができるのは宅建士だけです。

契約締結前の重要事項についての説明

重要事項説明書(35条書面)は、不動産を契約する前に、必ず内容について詳しい説明が行われます。

具体的な説明内容は、取引の種類にもよりますが、例として以下のような内容があります。

・不動産に関する法令上の制限の説明
・電気、ガス、飲用水の供給施設の整備状況の説明
・土砂や津波災害の警戒区域内にある場合はその旨の説明
・契約解除に関する事項

口頭のみでの説明は禁止されており、必ず重要事項説明書面が作成・交付されます。

37条書面には、不動産取引の契約内容が記載されています。

・当事者の住所や氏名
・物件の引き渡し時期
・支払方法や支払額、その時期
・物件を特定する情報
・移転登記申請時期

37条書面も口頭のみの説明ではなく、必ず書面が作成され、契約者と説明者が記名を行います。

参考:宅地建物取引士とは|公益社団法人 全日本不動産協会東京都本部

宅建資格取得の3つのメリット

男性が書類を確認している様子

不動産取引に関する、独占業務のある宅建資格には、3つの取得メリットがあります。

・不動産業界への就職・転職に役立つ
・資格手当で年収アップできる
・女性の転職にも役立つ

上記3つの取得メリットの詳細について、解説していきます。

不動産業界への就職・転職に役立つ

宅建の資格を取得すると、不動産業界への就職や転職を有利に進められます。

宅建の資格取得の際に身に付けた知識の大半が、不動産業界で必要不可欠な内容であるからです。

宅建士にしかできない3つの独占業務もあります。

また、宅地建物取引業法により、宅建業を営む事務所には、従業員の5人に1人の割合で宅建士を設置しなければなりません。

モデルルームといった案内所に関しても、1人以上の設置が必要です。

このような理由から、宅建士の資格があれば、不動産業界への転職を有利に進められます。

資格手当で年収アップできる

宅建資格を保有していれば、資格手当により年収を上げることも可能です。

業務をこなす上で、専門的な資格が必要な場合、資格手当が支給されることがあります。

義務ではなく福利厚生の一環であるため、必ず支給されるとは限りませんが、多くの企業で資格手当制度が用いられています。

宅建士の資格手当額は、企業によって異なり、5,000~30,000円が相場です。

女性の転職にも役立つ

宅建士の資格は、子育てなどにより、社会人生活から長期間離れていた女性の再就職にも役立ちます。

経験やスキルに関係なく、宅建士にしかできない独占業務があるからです。

また、宅建士の資格は一度試験に合格すると、一生使い続けられる資格です。

そのため、数年の間仕事をしていなかったとしても、免許失効となることはありません。

ちなみに、免許失行はないものの、業務に必要な宅建士証は5年に1回の更新が必要です。

長期間、仕事をしておらず更新していない場合、講習を受講した後に再度申請を行えば、宅建士証を再交付してもらえます。

宅建資格取得の2つのデメリット

男性作業員と女性作業員が話し込む様子

宅建資格を取得すると、転職しやすくなり年収を上げることも可能である一方で、デメリットもあります。

・責任が重い仕事がある
・宅建士証の交付と更新に費用がかかる

上記のデメリットについて、詳しく解説していきます。

責任が重い仕事がある

契約事項などの説明は、宅建士にしか許されていないほど、不動産取引の中で最も重要な業務の1つです。

宅建士の説明に納得した上で、契約が成立し数千万円以上の大きなお金が動くため、責任重大です。

万が一、契約内容に関する説明が不足していたり、書類のチェックミスがあったりした場合、多額の損害賠償を請求されるリスクがあります。

複数の宅建士でチェックを行うといった体制が用いられているものの、書面に記名することの責任の重さについて理解しておく必要があります。

宅建士証の交付と更新に費用がかかる

宅建士証を持ち続けるためには、一定の費用がかかります。

宅建士は、一度試験に合格すると生涯使い続けられますが、業務をこなす上で必要な「宅建士証」は5年に1度の更新が必要です。

更新する際は講習を受講する必要があり、受講料として12,000円、宅建士証の交付手数料として4,500円が必要です。

ちなみに、試験に合格して資格登録するまでにも、以下のような費用がかかります。

・宅建士試験の受験料:8,200円
・登録実務講習費用:20,000円前後(受講施設による)
・資格登録費用:37,000円

これに加えて、学習に必要なテキスト代や通信講座費用が別途必要です。

宅建資格が活かせる3つの業界

従業員がデスクワークをこなす様子

宅建士は、不動産取引をサポートするための資格であり、以下の業界で活かせます。

・不動産業界
・建設業界
・金融業界

上記の業界でどのような需要があるのか、詳しく解説していきます。

不動産業界

宅建士には3つの独占業務がありますが、毎日契約業務ばかりをこなすわけではありません。

宅建士の資格保有者の大半は、不動産会社の営業マンとして働いています。

主な仕事内容には「調査・下見・事務仕事」があります。

調査業務とは、自社で新たに取得した不動産について調査を行う業務です。

物件の外装や内装を確認したり、近くにどんな施設があるかの調査を行ったりします。

下見では、買取予定の物件価値を現場に行ってチェックします。

これらの仕事を行った後は、事務所に戻り調査中に撮影した写真をもとに、物件情報をネットやチラシに掲載する業務を進める流れです。

このような業務をこなしながら、追客(接客)を行い、契約まで進めていきます。

建設業界

宅建士は、さまざまな不動産を扱う建設業界でも活躍できます。

主な就職先には、ハウスメーカーやディベロッパーなどがあり、自社で建築した建物の販売を行います。

モデルルームなどで営業マンとして働く人もいれば「土地家屋調査士」とのダブルライセンスで、最適な土地を探す仕入営業を行う人もいます。

この他では、マンション管理士などの資格を取得後、会社が保有するマンションの管理業務に従事することも可能です。

金融業界

金融業界では、お金を融資する際に担保として不動産を扱うことがあります。

融資可能額を決定する上で、不動産の価値を適切に見極める必要があり、宅建の有資格者が重宝されます。

FP(ファイナンシャルプランナー)とのダブルライセンスで、不動産投資に関するアドバイザーとして働くことも可能です。

この他では、不動産を対象とした火災保険や地震保険を扱う、保険業界で活躍している人もいます。

宅建士(宅地建物取引士)に登録するには2年以上の実務経験が必要

タイピングする様子

宅建士になるには、年に1度実施される宅建士試験に合格する必要があります。

試験に挑戦する上で特別な条件はなく、学歴や過去の経歴に関係なく誰でも受験可能です。

試験に合格した後に資格登録を行い「宅建士証」が交付されて、初めて宅建士として仕事に従事できます。

資格登録するには、宅建業における2年以上の実務経験が必要です。

ただし、業界未経験であったとしても「登録実務講習」を受講すれば資格登録ができます。

【登録実務講習について】

ステップ1・通信講座で約1ヶ月間の自宅学習を行う
ステップ2・1~2日間のスクリーニング講習を受ける
ステップ3・修了試験に合格する

登録実務講習では、取引士制度や取引実務に関する内容を学びます。

最後に実施される修了試験は、講習内容の中から基本的な内容が出題されます。合格率の公的なデータはないものの、受講者のほぼ全員が合格できるレベルと言われています。

実務経験が2年以上あれば、登録実務講習を受けることなく、すぐに資格登録ができます。

宅建資格の試験内容

勉強をしている様子

宅建資格は、1年に1回のみ実施されており、例年10月の第3日曜日が試験日です。

試験の傾向はある程度決まっており、内容について理解しておくことで、学習計画を立てやすくなります。

ここでは、宅建試験の概要と出題科目について解説していきます。

宅建試験の概要

宅建試験は、四肢択一のマークシート方式のみで50問が出題されます。

科目ごとに出題数が決まっており、合格点は毎年前後しますが34〜38点で推移しています。

7月上旬〜中旬が申込期限となり、10月の第3日曜日に試験が実施され、11月下旬に合格者が発表される流れです。

宅建試験の出題科目

宅建試験は4科目から出題されます。

・権利関係(民法):14問
・宅建業法:20問
・法令上の制限:8問
・税その他:8問(免除科目5問)

科目出題内容
権利関係(民法)「民法・借地借家法・不動産登記法・区分所有法」から出題。
宅建士として業務に携わる上で、基本となるルールが多い。
宅建業法他と比べて出題範囲が狭い一方で、出題数が20問と最も多い科目。
20問中18問以上の正解が理想。
法令上の制限土地や建物にまつわる制限に関する問題が出題される。
「都市計画法・国土利用計画法・農地法・建築基準法・土地区画整理法」が出題範囲。
税その他(3問)不動産鑑定評価基準や税制に関する問題が3問出題
税その他(5問)宅地建物取引業法施行規則・第8条第1号および5号から出題

税その他の5問に関しては、免除科目とされており、試験前に「登録講習」を修了すれば免除となります。

登録講習は、宅建業に従事している人のみ受講可能で、受講後3年間は免除科目の5問が免除されます。

宅建資格の例題

女性がパソコンを使用する様子

宅建資格の出題内容は、法律に関するものが大半を占めています。

法律の内容がそのまま出題されることもあれば、不動産の購入者目線での問題もあります。

解答方法には、正解のものを全て選択するような問題もあり、各法律について深く理解しておかなければなりません。

【例題1】

問1:建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

 

1 管理者は、少なくとも毎年2 回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5 分の1 以上で議決権の5 分の1 以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。

2 集会は、区分所有者及び議決権の各4 分の3 以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。

3 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。

4 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

答え:2

【例題2】

問1:建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

 

1 管理者は、少なくとも毎年1 回集会を招集しなければならない。

2 区分所有者の5 分の1 以上で議決権の5 分の1 以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができるが、この定数は規約で減ずることはできない。

3 集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受け取る場所をあらかじめ通知した場合には、管理者はその場所にあててすれば足りる。

4 集会は、区分所有者全員の同意があれば、招集の手続きを経ないで開くことができる。

答え:2

記述式ではないものの、実際の業務では購入者に対して分かりやすく説明しなければなりません。

自分の言葉で答えられるようになっておくことが理想です。

参考:宅建試験の問題及び正解番号表|一般財団法人 不動産適性取引推進機構

宅建資格の受験スケジュール

メモ帳と電卓が机の上にある状態

未経験から宅建資格の取得を目指す場合、初学者で400〜600時間と言われています。

効率よく学習を進められる、通信講座や予備校への通学の場合は、400〜500時間、独学の場合は600時間程です。

社会人として働きながら取得を目指す場合、以下のようなスケジュールとなります。

科目勉強時間
権利関係90~100時間
宅建業法100~120時間
法令上の制限80~90時間
税その他20~30時間
免除科目10~20時間

勉強の期間は、以下の期間を目安にしてみましょう。

【500時間の勉強で合格を目指す場合】

・1日2時間勉強:8ヶ月前後
・1日3時間勉強:6ヶ月前後
・1日4時間勉強:4ヶ月前後

独学で宅建試験に合格した人の声としては、半年前後の準備期間が最も多く、最長で1年ほどでした。

1年に1回しか実施されないため、余裕のある学習計画を立てるようにしましょう。

宅建資格に関するよくある質問

勉強している様子

最後は、宅建資格に関する3つのよくある質問に答えていきます。

・宅建資格は何ヶ月で取れますか?
・宅建士の資格は一生有効ですか?
・宅建は10月と12月のどちらが難しいですか?

宅建資格の取得に役立てられる内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。

宅建資格は何ヶ月で取れますか?

宅建資格の取得にかかる時間は、1日の勉強時間や学習方法にもよりますが、6ヶ月前後が平均です。

初学者の場合、半年から1年の期間が必要です。

中には3〜4ヶ月で合格できたというような声もありますが、なるべく余裕を持った計画を立てるようにしましょう。

宅建士の資格は一生有効ですか?

宅建士の資格は一生有効で、使用していなくても免許取り消しになるようなことはありません。

ただし、宅建業務に従事する上で必要な宅建士証に関しては、5年に1度の更新が必要です。

期限が切れてしまった場合、講習を受講した後に宅建士証の申請をすれば、再交付してもらえます。

宅建は10月と12月のどちらが難しいですか?

宅建試験は、合格者数を調整するために、毎年合格基準を変更しています。

そのため、合格率は毎年15~18%で推移しており、年度によって大きく前後するようなことはありません。

そのため、試験の開催回数やタイミングで難易度が変わることはありません。

ちなみに、宅建試験は2020年・2021年に限り新型コロナウイルスの影響で、10月と12月の2回に分けられましたが、例年は10月の1回のみとなります。

まとめ

男性が電話する様子

宅建士とは、公平な不動産取引をサポートするための資格です。

宅建士には、不動産取引に関する3つの独占業務があり、取得することで関連業界への転職が有利になったり、年収を上げやすくなったりします。

業務自体は責任が重く、誰でも簡単に従事できる仕事ではないものの、需要が高く将来性のある資格です。

未経験者でも挑戦可能であるため、不動産業界への転職を検討している方は、資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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