一口にドライバーの仕事と言っても「短~長距離」「軽~大型・特殊トラック」「スポット・チャーター~ルート便」と多岐にわたります。
その数ある運転仕事の中で、冷凍車というジャンルもあります。
今回は「冷凍車」とその仕事や運転について解説していきます。
冷凍車の特徴を知り、ドライバーとしての就職・転職活動等の一助となれば幸いです。
冷凍車の仕組みについて
冷凍車は一般的なトラックとは外見は似ていますが構造は大きく異なります。
冷凍食品や生鮮食料品等の鮮度や温度管理を必要とするモノを輸送するために、荷台部分に冷却機能をつけ長時間の保管温度管理を可能にした車両を冷凍車と呼んでいます。
冷凍車はトラックだけでなく軽自動車にも冷凍装置が装備された車両があります。
車両構造や設備の特徴から、一般的なドライバーの仕事とは運転や荷物の積み方等で注意すべき点が少々異なってきます。
種類と特徴
冷凍車は保管温度によって、種類が分かれます。
-5℃前後までの冷却が可能な冷凍車は中温車と呼ばれ、主に精肉や鮮魚類の配送で利用されています。
-25℃前後までの冷却が可能な冷凍車は低温車と呼ばれ、アイスクリームや冷凍食品の他にマグロやカツオといった鮮魚類などの傷みやすくデリケートな食材の配送で活躍しています。
構造
冷凍車の冷凍方式には「機械式」「窒素式」「蓄冷式」の3つがあります。
機械式はクーラーと同じ原理で荷台部分の温度管理をします。温度調節が容易であり冷凍輸送全般に対応しています。
荷台部分には次の5つの装置が冷却機構として装備されています。
- 冷媒圧縮し高温・高圧なガスを送るためのコンプレッサー
- 受けたガスを外気冷却し冷媒液に変換するコンデンサー
- 冷媒液を気化し荷台部分の空気を冷やすエボパレーター
- 冷却された空気を荷台内に循環させるためのターボファン
- 荷台内の温度管理を行うコントローラー
冷凍車の冷却機構の動力は、冷却機構専用エンジンの使用か車両のエンジンを使用するかに分かれますが、利用されている冷凍車の80%ほどが車両エンジンを動力としている冷却機構となっています。
しかし冷却機構専用エンジンを使用した冷凍車は、運転を中断し車のエンジンを切っても荷台の冷却を続けることができるという利点があり、長距離輸送等で休憩時間を長く取るような運転仕事で利用されています。
機械式冷凍方式の冷凍車は保冷時間制限がなく、ドライバー側で運転中もコントロールが容易なため使いやすい冷凍車とされています。
窒素式冷却方式の冷凍車は、液体窒素を用いて運転中の荷台の冷却を可能にしています。
冷却には沸点ー196℃の液体窒素を用いるため、他との比較でも最も冷却効率を高くすることが可能な冷却方式になっています。
窒素式冷却方式は運転中でも停止時でも荷台部分を-40℃以下の低温にすることが可能なため、特に傷みやすくデリケートな鮮魚や精肉の配送に適した冷凍車と言えます。
蓄冷式冷却方式の冷凍車は、夜間や運転使用していない時間帯に電力で冷凍機を稼働して冷凍板を凍結させておき、運転配送中に冷凍板の冷気で荷台内を一定の冷凍・冷蔵温度に保つという仕組みになっています。
蓄冷式は運転を停止しエンジンを切っていても荷台の温度が急に下がることがないのが特徴で、おおよそ8時間とされている冷却有効時間内で配送できるような短距離で積み降ろしが頻繁に行われるような運転仕事で活躍しています。
保冷車・冷蔵車の違い
冷凍車と同じように荷台の温度を安定させる機能を搭載している車両として、冷蔵車と保冷車という種類があります。
冷蔵車・保冷車が冷凍車と違う点は、冷却保管温度と冷却機能を備えているか否かです。
冷蔵車は荷台部分の冷却機能を有しますが、保管温度の最上限が5℃前後と冷凍車より高くなります。
保冷車は荷台部分の冷却機能は無く断熱構造による一定時間での温度を保つことが可能になっています。
保冷車・冷蔵車は保管温度や時間に制限があるため、冷凍車とは扱える内容も異なってきます。頻繁な積み降ろしで荷室内の温度が変化したり長距離の運転仕事には向いていないと言えます。
しかし機能・設備的に冷凍車より車両価格は当然安くなります。運転仕事は限定されますが需要があればコストを抑えた運営も可能になるでしょう。
大は小を兼ねるという意味で冷凍車が幅広く活躍しているのがわかりますね。
関連記事:2tトラックは普通免許で運転できる?必要な免許と取得方法を解説!
冷凍車ドライバーの仕事内容
扱う荷物は冷凍車が必要になるような食材となりますので、積込み場所・配送先・運転スケジュールも大体決まってきます。
市場や農家に赴いての加工前の食材を運ぶことが多く、鮮度が最重要視されますので時間の正確さ・速さ・安全という運転技術がより必要になります。
また冷凍車の仕事は清潔感も当然な要素となりますので作業着の汚れや臭いには一般的なドライバーより気を遣わねばなりません。
産地や市場に出向くことが多いため朝早い運転仕事も多いです。それゆえ当日の体調不良等による欠勤は代替えが出来なくなるために体調管理に注意が必要です。
「その車(冷凍車)でしかできない」運転・配送を任されているという責任感が求められます。
関連記事:小型トラックの種類・形状・寸法・免許・価格相場は?徹底解説!
冷凍車を運転するコツと注意点
冷凍車を扱うドライバーは運転中も荷室の中の状況、特に温度管理に神経を使うことになります。
鮮度が命の荷物ですから速く運ぶのも大事ですが、デリケートな食材を扱っているという運転意識はそれ以上に大事です。
急な発進、急ハンドル、急ブレーキ等の「急」がつく運転行為はデリケートな食材に影響があるため厳禁です。
運転前の注意点として、冷気を循環させるために荷物はピッシリと詰めたような積み方はしません。
荷物間には適度に間隔をもたせて冷気が隅々まで行き届くような積み方が求められます。
このような荷室内の状況ですから「急」のつく運転行為がタブーなこともわかりますね。
また盲点になりやすいのが、冷凍車の冷凍機能の動力は何かを知らないドライバーが意外に多いこと。
エンジンの動力を使ったコンプレッサーで冷却している冷凍車では、休憩等で運転を中断しエンジンを切ってしまうと冷却機能もその間ストップすることになります。
よく無人の車がアイドリングしていて迷惑に思うケースがありますが、エンジンを切れない事情がある運転仕事をしている場合もありますので、何か外部に向けてアイドリングの事情を説明するボード等を掲示できたら良いかなと思ったりします。
関連記事:【徹底解説】軽貨物輸送のための車両の種類と特徴、選び方
冷凍車に必要なメンテナンス
冷凍車は温度管理が必要な食品を運ぶ特殊性が高い運転仕事ですので荷台部分の清掃が重要になります。
特にドレインホースの破損は破損部分から冷気が逃げ冷却装置の性能を損なうため、ドレインホースの水洗いや破損確認は定期的に行わなければなりません。
運転前の冷凍車の日常点検は重要です。
車は動いても冷凍機能が故障していれば冷凍品の仕事はできません。
知らずに運転配送中に商品を溶かしたりダメにしてしまえば、損害賠償問題にもなってきますので運転前の日常点検が必須となります。
関連記事:6トントラックって何?特徴や運用メリットなどを詳しく解説
冷凍車ドライバーの仕事を探すならクロスワークがおすすめ
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そんな中でも冷凍車の仕事もそこそこあるのですが、運転仕事の中の一つとして求人では目立っていないことも多いのです。
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冷凍車に関するまとめ
冷凍車と冷蔵車・保冷車の一番の違いは冷却・保管温度と冷却機能の部分です。
冷凍車の仕事を選ぶ上でも仕事に最適な温度設定は何度なのか?何時間運転しなければならないのか?などを吟味して車両・機能を選ぶことが会社の利益やドライバーの労働環境につながります。
冷凍車という働き方を目指すのであれば、他の運送仕事とのメリット・デメリットの比較や将来性・可能性をよく考える上でこの記事が役立つことを願っております。
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