運行管理者は、物流や輸送の効率化と安全確保の要であり、その難易度は高いと言われています。
そこでこの記事では、運行管理者の仕事内容や受験資格、難易度、試験内容、受験料などを解説します。運行管理者を目指す人は参考にしてください。
難易度が高い運行管理者の仕事内容
運行管理者は、運送業の使命である輸送の安全確保を遂行するために法令で定められた運行管理業務を行います。貨物軽自動車運送事業を除き、運送事業を行う営業所ごとに一定の配置車両数に応じた一定人数の運行管理者を選任し配置することが、法令で義務付けられています。
車輌の配車・乗務割の作成・休憩や仮眠の為の施設の管理・出入庫時の点呼・乗務員への安全教育や健康状態の把握など、運送業における司令塔のような仕事です。
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難易度が高い運行管理者の受験資格
この運行管理業務に就くには、運行管理者資格者試験に合格し取得する運行管理者資格が必要です。受験するには「1年以上の実務経験」か「基礎講習修了者」のどちらかを満たした上で運行管理者試験センターに必要書類を添えて申し込みます。
実務経験1年以上(貸切バス業を除く)
実務経験とは、ある事業者に既に選任されている運行管理者(実務経験承認者)のもとで1年間、補助業務に就くことを言います。運行管理者ではないので特別な資格は必要なく、補助者でもないので基礎講習修了の必要もありません。
受験申込時に「実務経験承認者に関する情報」および「実務経験証明書」が、承認者本人了解の上で提出が必要になります。
基礎講習修了者
運行管理者への一番の早道です。基礎講習修了証を受験申込書とともに提出することにより受験資格が付与されます。修了証の提出は受験申込みの後でも構いませんが、修了後直ちに運行管理者試験センターへ提出しないと受験申込みが取り消されます。
基礎講習は、指定された講習実施機関により連続3日間開講されます。講習費用は8700円で、途中退場や遅刻などは一切認められません。
講習最終日に「運行管理者基礎講習修了証」が交付されます。
注意したいのは、運行管理者には「貨物」と「旅客」の2種類があり、それぞれ別の資格であるということです。例えば「貨物」で講習終了および資格取得すべきところを「旅客」で行ってしまうと、それは貨物運送事業で有効な受験資格および運行管理者資格として認められません。その逆も同様です。講習はやり直しとなり費用の返還もなされません。
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難易度が高い運行管理者の合格率
資格としての難易度は、年々低下する運行管理者試験の合格率に現れています。ここ数年は3割程度という低さです。
これは近年、運送事業者において社会的影響の大きい重大事故が多発しているためで、その責任はドライバーはもとより運行管理者にもある、という国土交通省の強い意思を反映したものです。
旅客の場合
旅客運送は多くの人命を預かるべき職業です。
働き方改革の流れもあって、労働基準法および実務に関する知識や能力は、特に理解が求められる分野であり、難易度は決して低くありません。
平成30年度第2回試験では、46の都道府県で実施され、7605人が受験し合格者数は2868人となり、合格率は37.7%でした。
貨物の場合
貨物運送は旅客運送と違い直接人命に関わる職業ではありませんが、中型・大型トラックなど危険かつ特殊な車両を運転することが多く、ひとたび事故を惹起してしまうと即重大事故に繋がりやすい職業です。
このため旅客と並んで試験難易度は高めとなっています。
平成30年度第2回試験では、全都道府県にて実施、29709人が受験し9743人が合格、率にして32.8%でした。
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難易度が高い運行管理者の問題内容
道路運送法(貨物の場合は貨物自動車運送事業法)、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、実務に関する知識や能力の5分野から出題されます。法令等の改正があった場合、その施行から6ヶ月間は、当該部分からの出題は行わないことになっています。
問題内容
全てマークシート方式で解答します。次のような出題例があります。
複数の文章のうち正しいものと間違っているものの組み合わせ
複数の文章のうち正しいもののみの組み合わせ
複数示される記録等の保存期間を選択肢の数字で解答
文章中の複数の()内に入れるべき正しい語句の組み合わせ
複数の文章のうちそれぞれ法令の定めの有無の正しい組み合わせ
速度などの計算問題
免除される科目がある?
科目の免除等はありませんが、実は試験自体が免除される要件があります。
それは、取得しようとする種類の運行管理者の補助者としての実務に5年以上従事し、その間年1回ずつ・計5回(うち1回は必ず基礎講習を受講)することです。この場合、運行管理者試験すら経ずに運行管理者資格者証を取得できます。
ただし、貸切バス業においてはこの要件は適用されません。
合格基準
出題数は30問、正答数18問で合格です。
このうち、上記5分野からそれぞれ最低1問ずつ(「実務に関する知識や能力」については2問)の正答が必ず求められます。単に18問正答すればOKという生易しいものではなく、このことが運行管理者試験の試験難易度を上昇させる要因ともなっています。
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難易度が高い運行管理者は年に何回受けられる?
運行管理者試験は年2回・3月と8月に実施されます。
例えば3月実施の試験に不合格となった場合、その年の8月にもう一回受験することが出来ます。しかし8月の試験に不合格となってしまうと、その年はもう試験が実施されませんので、翌年3月まで待たねばなりません。
受験料は6000円です。通常は受験申込書を取り寄せて(有料)申込みを行いますが、インターネットから受験申込みを行った場合、システム利用料として別途648円が加算され、試験後の採点結果の通知を希望する場合はさらに216円が必要となります。
試験会場はどこ?
各都道府県に最低でも一箇所設けられますが、詳細な場所は送付される受験通知書に記載されています。受験通知書はたいてい受験日の2週間前までには到着します。
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難易度が高い運行管理者に合格するコツ
合格への近道は過去問題になれること
運行管理者試験は出題方法が独特なため、試験難易度が高めです。基礎講習の内容を十分理解することはもとより、どんな形で出題されるかを良く知ることが対策として重要です。
そのためには過去に出題された試験問題を繰り返し解き、その際どこで躓くのかを自ら把握し、そこを重点的に学習すべきです。
過去問題を数多くこなすことは、運行管理者試験合格への確実な道です。
独学でも合格できるか?
当然、勤続年数が長ければ長いほど難易度は下がるため、全くの独学と基礎講習受講だけで運行管理者試験に合格する人もいます。
最近では手持ちのスマホにインストールしておける対策アプリも多く出回っています。例えば通勤時や休憩時に、スマホを片手に受験対策が出来ます。
もちろん、受付や事務もしくはドライバーとして既に運送業で働いている人にとっては、予備知識も対策もない人より試験難易度は低くなります。
関連記事:運行管理者になるための勉強時間はどれくらい?試験対策や効率的な勉強方法などを紹介
合格へ導くリンク、問題集
多くのHPで過去問題が多数公開されている他、過去問題などを収載した問題集やアプリなども多くあるので、自分にあった形での対策が可能です。
過去の試験問題(運行管理者試験センター掲載)
運行管理者試験センターでは、過去2回分の試験問題および正答をHPにて公開しています。
運行管理者試験対策.net
2019年8月時点では、平成18年度からの過去問題を収載しています。とりわけ、一番合格率が高かった平成19年度第2回試験や、逆に一番合格率が低かった平成26年度第1回試験は見ものです。
運行管理者試験 問題と解説 貨物編 2019年8月受験版
こちらの問題集は、過去の出題例が解説とともに逐一収載されています。
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運行管理者の難易度についてのまとめ
運行管理者は、輸送の安全確保のための各種業務を行うための資格です。
運行管理者になるには運行管理者試験に合格することが必要となり、受験資格は「1年以上の実務経験」か「運行管理者基礎講習の修了」が必要となります。
貨物と旅客によってことなり、基礎講習及び試験もその種別で受講及び受験することとなります。
運行管理者試験の難易度は高めですが、既に運送業に従事する者には難易度が低く感じられるかもしれません。
試験は5分野から出題され、30問中18問の正答かつ各分野から最低1問ずつの正答が必要です。試験は半年に1回開催され、各都道府県に最低でも一箇所は試験会場が設けられております。
確実な試験対策は過去問題を繰り返し解くこと、最近はアプリでも対策できるため、空いた時間に勉強することが可能です。
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