宅建士は「宅地建物取引士」の略であり、毎年およそ20万人が受験する日本最大規模の国家資格です。宅建資格を持っていないと行えない独占業務があり、数々の業界で活かすことができます。
しかし、不動産以外での活躍の場がいまいちわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、宅建資格を活かせる業界や、あわせて持っておくと有利になる資格を紹介します。
また、宅建資格を取得して働くのが向いている人・向いていない人の特徴などもまとめました。宅建資格を取得しての就職・転職を検討している人はぜひ最後までご覧ください。
宅建資格を活かして就職できる5つの業界
宅建資格は、不動産に関する専門的な知識を持っていることを証明する国家資格です。そのため、不動産業界以外にも以下のような業界で活かすことができます。
- 建設業界
- 金融業界
- 小売業界
- 保険業界
詳しくみていきましょう。
1.不動産業界
宅建士の主な業務内容としては、不動産売買や賃貸物件の紹介などが挙げられます。
これらの業務の中には、宅建資格を持っていないと行えないものがあるため重宝されます。
宅建士資格を持っていないとできない業務(独占業務)
- 契約締結前に行う重要事項の説明
- 重要事項説明書面(35条書面)への記名
- 契約内容を記した書面(37条書面)への記名
2.建設業界
建設業界でも宅建資格保有者を積極的に採用しているところがあります。せっかく建築士が建物を建設しても、宅建士がいなければその物件を自社で販売できないからです。
実は宅建資格は建設業界でも重宝されるのです。
3.金融業界
宅建資格は金融業界でも活かせます。金融業界では住宅ローンを取り扱ったり不動産を担保に融資したりすることが多く、不動産に関する専門知識が必要なためです。
そのため、宅建資格を持っていると金融業界に就職・転職しやすいと言えるでしょう。
4.小売業界
意外かもしれませんが、実は小売業界でも宅建資格が重要になるケースがあります。小売業の経営においては、店舗の立地が重要な要素だからです。
- どこに店舗を建てればよいのか
- 建物の管理はどうやってすればいいのか
- 店舗の建設・管理をする上で法律上、気を付けるべきことは何か
宅建資格を持っていると上記のような問いに答えられるようになります。小売業では不動産の業務を行うわけではありませんが、店舗ビジネスを成長させるのに重要な役割を果たせます。
5.保険業界
保険業界においても、宅建資格は役立つでしょう。住宅ローンの有無が関係してくる保険契約を結ぶ際に宅建資格の知識が活かせる場合があります。
宅建資格と組み合わせると就職しやすくなる4つの資格
関連する複数の資格を持っていると(ダブルライセンス)、他の資格保有者と比べてアピールできるポイントが増えるため、他の求職者と差別化をしやすく、就職に有利になると言われています。
宅建資格と合わせて取得しておくと就職しやすくなるのは、以下4つの資格です。
- マンション管理士
- 行政書士
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- 管理業務主任者
宅建資格を取得した後でもよいので、もう1つ資格を取っておくことをおすすめします。
マンション管理士
マンション管理士はマンションで起こるトラブルを解決する、マンション管理のプロフェッショナルです。宅建資格と同様、国家資格であり、両方を取得しておくと、不動産に関してより専門性の高い人材として認められ、任せられる仕事が増えます。
行政書士
行政書士とは、個人や企業からの依頼で行政に提出する書類を作成する仕事です。
行政書士には「官公署に提出する書類および事実証明・権利義務に関する書類の作成代理」などの独占業務(行政書士資格を持っていないと行えない業務)があります。
申請書などの書類を扱えるようになるため、小売業で働く人や独立したい人におすすめです。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)はかなり有名な資格なので、名前を聞いたことがあるかもしれません。FP関連の資格試験を運営している日本FP協会のホームページには、以下のように記載されています。
人生の夢や目標をかなえるために総合的な資金計画を立て、経済的な側面から実現に導く方法を「ファイナンシャル・プランニング」といいます。
ファイナンシャル・プランニングには、家計にかかわる金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度など幅広い知識が必要になります。
これらの知識を備え、相談者の夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。
引用:日本FP協会 ファイナンシャル・プランナー(FP)とは
特におすすめなのは、FP技能士の2級以上です。宅建士が取り扱う不動産取引には莫大なお金が動きます。当然、顧客の資産運用、資産形成にも関わってきます。
宅建とFPの両方を持っておくと、資産運用の方面からもアドバイスができるようになるため、貴重な人材になれるのです。
管理業務主任者
管理業務主任者も、マンション管理士と同じくマンションの管理・運営に関わる資格です。
マンション管理士は住民による「管理組合側」に立つのに対し、管理業務主任者は「管理会社」側に立ちます。
「管理業務主任者」もマンション管理士と同様、マンションの管理に関わる国家資格です。
どちらも国家資格ですが、立場が異なります。マンション管理士が住民による管理組合側に立つのに対して、管理業務主任者はマンションの管理会社に所属します。
管理業務主任者には、管理組合に重要事項を説明したり事務的な報告をしたりといった独占業務があります。マンション管理に携わる人におすすめです。
宅建資格を取得して就職するのが向いている人の特徴|3選
資格を取れば就職に有利にはなりますが、専門知識だけで内定が決まるほど、就職は甘くありません。本人の性格や希望など、スキル以外の要素も大きく関係してくるためです。
ここでは、宅建資格を取得して不動産業界や建設業界、金融業界などで働くのが向いている人の特徴を3つ紹介します。
- 不動産の仕事に興味がある人
- 営業が得意な人
- 土日祝でも働ける人
不動産の仕事に興味がある人
宅建資格を取得するためには不動産に関する勉強をしなければなりません。また、取得した宅建資格を活かすなら、少なからず不動産に関わる仕事をすることになります。
そのため全く不動産に興味がない人はあまり向いていないでしょう。
営業が得意な人
宅建士は不動産の取引に携わる仕事です。そのため営業活動を行う場合もあります。
営業活動では、目標やノルマを達成するために何をするべきかを考えたりどう伝えれば契約を取れるかを考えたりすることもあるでしょう。外回りに行くことも多いかもしれません。
体力やコミュニケーション力、それらを磨き続ける向上心を持っている人が宅建士に向いていると言えます。
土日祝でも働ける人
宅建士が取引する相手は、土日祝日を休みとしている人が多い傾向にあります。相手が休みのときに不動産会社で契約を結ぶことです。
そのため、不動産会社で働く宅建士は土日祝日でも働ける人の方が望ましいです。
いつ、どんな顧客が来るのか、このあたりは企業によって異なってきますから、入社前に確認しておき、自分のライフスタイルに合った条件の所を選ぶとよいでしょう。
また、誠意をもって対応していれば、顧客側がスケジュールを調整してくれる場合もあります。
丁寧に仕事することも、宅建士として必要なスキルの1つなのです。
宅建資格を取得しても就職できない人:3つの特徴
逆に、以下の特徴に当てはまっている人はなかなか就職ができないかもしれません。今一度自分のことを見つめ直してみましょう。
- 宅建士と関連のない職種を選択している
- 宅建資格を過信している
- 経歴以外のスキルが不足している
宅建士と関連性のない職種を選択している
宅建資格を持っていても、宅建と全く関係のない職種、業界を選んでいると、なかなか就職できません。宅建資格は不動産に関する資格であり、関係のない職種では有利にならないためです。
しかし、宅建資格は難関な国家資格ですので「結果を出すまで粘り強く努力できる人」というアピールはできるかもしれません。
宅建資格を過信している
宅建資格を過信してしまうのも良くありません。確かに、宅建資格は権威性のある国家資格ですので、持っていると就職で有利にはなりますが、それだけで内定が決まるわけではありません。
宅建資格だけに頼りきらず、他に自分にできることがないか、探してみましょう。
- 他の資格を取る
- 自己分析をする
- 履歴書や経歴書をみやすくする
- 面接での受け答えをスムーズにする など
経歴以外の能力が不足している
宅建資格を持っていても、他の能力や経歴が不足していると就職は難しいです。宅建士には、コミュニケーション力や論理的思考力など、さまざまな能力が求められるからです。
自分にはどんな能力があるか、それを裏付けるエピソードはあるか、今一度見直してみましょう。
また、新卒採用では能力面だけでなく、人間性も評価されます。「この人と一緒に仕事したい」「この人になら重要な仕事も任せられそうだ」と思わせることも重要です。
宅建資格の就職に関するよくある質問
宅建資格を持っていたら就職に有利になりますか?
はい。宅建資格を持っていると「不動産業界」「建設業界」「金融業界」「小売り業界」「保険業界」などに就職する際に有利になることがあります。
宅建士の50代の合格率はどれくらいですか?
宅建士の50代の合格率を見てみると、例年およそ10~13%程度のようです。これは、他の年代と比較すると低い数値です。年齢が上がれば上がるほど、受験者数は少なく、合格率は低くなる傾向にあります。
しかし悲観する必要はありません。ライバルが少ないからこそ、貴重な人材になれるチャンスなのです。
宅建士を取得すると給料はどれくらい上がりますか?
宅建資格を取得して宅建士として働く場合、年に500〜600万円ほど稼げると言われています。これは平均年収よりも高い水準です。
また、資格手当や役職手当が付けば、さらに上がる可能性もあります。
宅建資格の就職に関するまとめ
宅建資格は不動産業界において重要な資格ですが、建設業界や金融業界など、他の業界でも専門知識を十分に活かすことは可能です。
また、他の資格との組み合わせや特定のスキルを持つことで、就職の際にさらなるアドバンテージを得ることもできます。しかし、資格だけに頼らず、他の能力や経歴なども充実させることが重要です。
就職の際には、自分の適性や興味関心、能力を考慮して、宅建資格を有効活用しましょう。
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