2024年問題によって将来性がないと思われがちなバス業界ですが、実はそうでもありません。むしろ将来性が高いと言われています。
これは少子高齢化の影響で交通手段としての需要が増したり人手不足が続いたりしているためです。この記事では、バス運転手の現状・将来性について解説していきます。
バス運転手の将来性が高いと言える理由3選
技術の発展が急速な現代社会では、多くの仕事がAIに奪われる可能性があると言われています。しかし、そんな中でもバス運転手は将来性があると言われています。
なぜバス運転手の将来性は高いのか、ここではその理由を3つ紹介します。
- 高齢化に伴い交通需要がある
- 需要に対して常に人手不足が続いている
- 外国人労働者を指導する需要が増える
高齢化に伴い交通需要がある
日本は現在、少子高齢化が進んでいます。さらに近年は高齢者の免許返納も推奨されており、交通手段としてのバスの需要が高まっています。そのため、今後も需要がなくなることはないでしょう。
特に他の交通機関があまり発達していない地域や観光地では活躍できる機会も多くなるかもしれません。
バス運転手の人手不足が今後も続いていくのか、気になる人は「バス運転手 10年後」
「バス運転手 人手不足」も合わせて読んでみましょう。
需要に対して常に人手不足が続いている
前項で「バスには交通手段としての需要がある」とお伝えしましたが、それに加えて、バス運転手の人手不足が常に続いていることも将来性が高い理由の1つです。つまり、需要があるにもかかわらず供給が追い付いていないといえます。
収入アップや労働環境の改善などを検討するバス会社も増えているため、今のうちからバス運転手として経験を積んでいくことで、将来大きく活躍できる可能性があります。
外国人労働者を指導する需要が増える
人手不足を補うため、外国人労働者を採用するバス会社も増えてきました。しかし、バス運転手はただバスを運転すればよいわけではありません。バス運転手には、乗客とのコミュニケーションや乗務記録の記入など、日本語に慣れていないと遂行できない業務も多いのが現状です。
そのため、外国人労働者に対して日本語を教えたり業務上の指導をしたりするのが上手な日本人運転手も求められるようになりました。語学力やコミュニケーション能力に自信のある人はバス運転手という仕事を視野に入れてみても良いでしょう。
バス運転手に将来性はある|なくならない理由3選
バス運転手は将来性が高いということをお伝えしましたが、中には「自動運転とかAIに仕事を奪われないのか心配」という人もいるでしょう。
ここではバス運転手が将来もなくならない理由を3つ紹介します。
- 自動運転(AI)だけでは対応できない業務も多くある
- 運転技術や接客スキルなど人間にしかできない仕事も多い
- 自動運転にはコストがかかる
自動運転(AI)だけでは対応できない業務も多くある
バス運転手はAIにはできない、AIに取って代わられない仕事だと言われています。現在、自動車産業では自動運転などAIを活用する技術が開発されていますが、まだまだ発展途上であり、人間にしかできない業務も多いのが現状です。
参考:日経クロステック
運転技術や接客スキルなど人間にしかできない仕事も多い
では、AIに奪われない、人間にしかできない仕事とは何でしょうか?それは運転や接客などのバス運転手のメイン業務です。
特に乗客とのコミュニケーションはAIには難しいでしょう。料金や目的地を聞かれるだけでなく、バス停留所の近くのおすすめの飲食店を聞かれたり、乗客同士のトラブルを仲介したりと多岐に渡るからです。
また、仮に自動運転技術ができて、バス会社が導入したとしても、万が一のときの責任を取る人は必要になります。そういう意味でも需要が完全になくなるというのは考えにくいのです。
自動運転にはコストがかかる
AIを活用した自動運転技術が開発されたとしても、それを導入するにはかなりのコストがかかります。機械そのものを導入するのにもコストがかかりますが、機械を操作・管理できる人材を採用するのにもコストがかかります。
開発後すぐに、すべてのバスを自動運転に切り替えるとは考えにくいため、少なくともしばらくの間は人の手による運転が必要になるでしょう。
将来性があるバス運転手が人材不足している理由
これまで、バス運転手には需要があり、将来性も高いということをお伝えしてきました。しかし現状、バス運転手は圧倒的な人手不足を抱えています。それはなぜなのでしょうか?
ここでは、バス運転手が人手不足が続いている主な理由を3つ紹介します。
- 不規則な勤務に耐えられないため
- バス運転手の給料が低いため
- バス運転手の責任が重いため
不規則な勤務に耐えらないため
バス運転手は一般的な会社員とは異なり、勤務時間が不規則になりがちです。勤務時間が昼・夜両方にまたがったり、睡眠時間が十分に取れなかったりするため、肉体的にハードなようです。
参考:国土交通省自動車局安全交政策課 バス運転者の労働時間等についてのアンケート結果
バス運転手の給料が低いため
厚生労働省によるとバス運転手の年間所得額は令和3年が404万円、令和2年が428万円となっており、いずれも平均年収よりも低い金額です。
バス運転手になるには第二種自動車運転免許が必要であり、さらにその取得のための費用や運転業務の実務経験も必要なため、バス運転手に就職するのはハードルがかなり高いと言えます。
バス運転手の人手不足が続いているのは「そこまで労力をかけるなら、もっと稼げる他の仕事に就きたい」という人が多いからだと考えられます。
バス運転手の責任が重いため
バス運転手は乗客の命や人生の大事な時間を預かる、重要な仕事です。そのため、預かる責任も重くなります。安全運転のため、毎日、朝晩の点呼、アルコールチェック、バス車内の清掃や点検など、地味で細かい業務を繰り返します。重い責任を負いたくない人はバス運転手にはあまり向いていないと言えるでしょう。
バス運転手を取り巻く業界の現状や動向
今後の見通しを紹介する前に、バス業界の現状を紹介します。ここ数年のバス業界の大きな動きとしては、次の3つが挙げられます。
- 大手鉄道がバス事業を展開している
- 新型コロナが逆風で利用者の大幅減少が起きた
- 連節バスの導入や貨客混載の運行が拡大している
大手鉄道がバス事業を展開している
バス専業の会社以外にも、大手の鉄道会社がバス事業を展開している場合もあります。また、鉄道会社以外にも「タクシー会社」や「観光バス会社」といったパターンも存在します。乗合バス(いわゆる路線バス)の市場規模が大きいためです。
実はバスは乗合バス(いわゆる路線バス)と貸切バスにも分けられ、貸切バス会社の方が2倍近くあります。しかし、市場規模で見てみると、乗合バスの方が圧倒的に大きいのです。
そのため、バス事業を兼業する会社が多く存在しています。
新型コロナが逆風で利用者の大幅減少が起きた
2019年から始まった新型コロナの影響で、利用者数が大幅に減少しました。特に2020年4・5月は前年の同時期と比べて半減しました。その後は徐々に回復はしているものの、コロナ以前の水準までは未だ至っていません。
連節バスの導入や貨客混載の運行が拡大している
最近のバス業界では収益源の確保を目的として、連接バスや貨客混載バスなどの新しいサービスが展開されています。
連接バスは複数の車両を連結させているバスのことです。連結されていないバスと比べて2倍近い乗客を輸送できます。また、混雑や渋滞を緩和させる効果もあるとして期待されています。
貨客混載バスは人と物を同時に運べるバスです。これまでも貨客混載バスは存在していましたが、新型コロナをきっかけとして本格的に使われるようになりました。
バス業界の今後の見通しはどうなる?
新型コロナも明けてきているため、今後は需要が回復してくると考えられます。コロナ前の水準に回復した後も、少子高齢化に伴って需要はますます多くなるでしょう。
バス運転手になるためには免許や実務経験が必要なため、すぐに運転者数が増えることは考えにくいです。そのため今のうちから準備してバスの運転手として働いていれば、もし今後応募者が増えたときに周りの求職者と差をつけられます。
バス運転手の将来性に関するよくある質問
ここでは、バス運転やバス業界の将来性に関するよくある質問を紹介します。
- バス運転手が減っている理由はなんですか?
- バスの運転手はいつかなくなりますか?
- 日本のバス運転手は何人くらいいますか?
- バス運転手不足は今後どうなりますか?
- バス運転手の年収は低いですか?
バスの運転手が減っている理由はなんですか?
収入が低いことに加えて、労働時間が不規則なこともバス運転手が減っている理由の1つでしょう。バス運転手は労働時間が決められている一般的な会社員とは異なり、時給で報酬が決まるシフト制になっているバス会社が多いようです。
バスの運転手はいつかなくなりますか?
AIに取って代わられないことから、しばらくは残り続けると考えられています。しかし、現代社会においてAIは急速に発展しているため、今後も柔軟に対応することが求められるでしょう。
日本のバス運転手は何人くらいいますか?
国土交通省によると、日本のバス運転手は2021年時点で約12万人いると言われています(運転手・整備要員含む)。トラックの運転手数(2022年時点で85万人)やタクシーの運転手数(2021年時点で25万人)と比較すると少ないと言えるでしょう。
バス運転手不足は今後どうなりますか?
今後、労働環境が改善されれば、人手不足が解消される可能性があります。
バス運転手の年収は低いですか?
はい、一般的な年収と比較するとやや低めです。厚生労働省によるとバス運転手の年間所得額は令和3年が404万円、令和2年が428万円と、いずれも平均年収よりも低い金額となっています。
バス運転手の将来性についてのまとめ
人手不足が続いているバス運転手ですが、実はAIに取って代わられない、将来性の高い仕事の1つです。少子高齢化が進む今、今後はますます需要が高まっていくと考えられています。
労働環境の改善も検討されているため、今後はより働きやすくなるでしょう。ライバルの少ない今のうちからバス運転手として働いてみるのはいかがでしょうか。
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