第二種電気工事士の試験概要に関して、気になっている人もいるのではないでしょうか。
第二種電気工事士は、電気工事を行うために必要な国家資格です。第二種電気工事士を取得すると、一般家庭や小規模な商業施設の電気設備工事を担当できます。
第二種電気工事士の試験は大きく分けて年2回開催されています。したがって、資格習得に向けて計画的な学習が不可欠です。
この記事では、第二種電気工事士の試験概要について解説します。また、2024年度の試験日程なども紹介するので、資格取得を検討している人はぜひ参考にしてください。
第二種電気工事士の試験概要
第二種電気工事士は、電気工事を行うために必要な国家資格です。第二種電気工事士を取得すると、一般家庭や小規模な商業施設の電気設備工事を担当できます。
たとえば、コンセントやエアコンの設置や交換などです。
第二種電気工事士の試験は、学科と技能の2種類あります。学科と技能のいずれも合格しなければ、資格取得できません。
第二種電気工事士の試験概要について、次の5つの項目で解説します。
- 受験資格
- 受験申込の受付期間
- 試験地・受験手数料
- 学科試験と技能試験の内容
- 試験日・合格発表日
受験資格
第二種電気工事士の試験を受けるために、年齢・学歴・実務経験などの条件は特に求められていません。そのため、例年、さまざまなキャリアを歩んできた人が受験しています。
したがって、第二種電気工事士は電気工事の経験がない初心者でも挑戦できる資格です。
受験申込の受付期間
第二種電気工事士を取得するには、試験に合格する必要があります。また、試験を受けるためには受験申込が必要です。
受験申込の受付期間は、例年、上期は3月から4月、下期は8月から9月の間で定められているケースが一般的です。
2024年度の受験申込にあたって、上期は3月18日(月)から4月12日(金)、下期は8月19 日(月)から9月5日(木)と定められています。
試験地・受験手数料
第二種電気工事士の試験は、全国各地で開催されています。また、開催地は大きく分けて10地区です。
- 北海道地区
- 東北地区
- 関東地区
- 中部地区
- 北陸地区
- 関西地区
- 中国地区
- 四国地区
- 九州地区
- 沖縄地区
学科試験をCBT方式で受ける場合は、全都道府県で受験できます。CBT方式とは、「Computer Based Testing」の略で、PCを使用した試験方式です。
また、受験手数料は申込方法によって異なります。インターネットで実施した場合は9,300円ですが、郵送による書面申込の場合には9,600円準備しなければなりません。
学科試験と技能試験の内容
はじめに学科試験の内容は次のとおりです。
科目 | 内容 |
電気に関する基礎理論 | 電流・電圧・電力および電気抵抗導体および絶縁体交流電気の基礎概念電気回路の計算 |
配電理論および配線設計 | 配電方式引込線配線 |
電気機器・配線器具ならびに電気工事用の材料および工具 | 電気機器および配線器具の構造および性能電気工事用の材料の材質および用途電気工事用の工具の用途 |
電気工事の施工方法 | 配線工事の方法電気機器および配線器具の設置工事の方法コードおよびキャブタイヤケーブルの取付方法接地工事の方法 |
一般用電気工作物等の検査方法 | 点検の方法導通試験の方法絶縁抵抗測定の方法接地抵抗測定の方法試験用器具の性能および使用方法 |
配線図 | 配線図の表示事項および表示方法 |
一般用電気工作物等の保安に関する法令 | 電気工事士法、同法施行令及び同法施行規則電気設備に関する技術基準を定める省令電気用品安全法・同法施行令・同法施行規則および電気用品の技術上の基準を定める省令 |
続いて、技能試験の内容は次のとおりです。
- 電線の接続
- 配線工事
- 電気機器および配線器具の設置
- 電気機器・配線器具ならびに電気工事用の材料および工具の使用方法
- コードおよびキャブタイヤケーブルの取付け
- 接地工事
- 電流・電圧・電力および電気抵抗の測定
- 一般用電気工作物等の検査
- 一般用電気工作物等の故障箇所の修理
技能試験は事前に候補問題が公表されます。その中から1問出題されるので、欠陥なく配線しなければなりません。
第二種電気工事士の学科・技能試験では、試験内容のとおり広範囲にわたって学習する必要があるでしょう。
関連記事:電気工事士資格一種・二種の技能試験|実技試験の内容と難易度
試験日・合格発表日
第二種電気工事士の試験日は大きく上期と下期に分かれています。例年、上期は春から夏にかけて、下期は秋から冬にかけて実施されています。
2024年度の上期と下期、ならびに学科と技能それぞれの試験日は次のとおりです。
上期試験 | 下期試験 | |
学科試験※CBT方式 | 4月22日(月)から5月9日(木)(18日間) | 9月20日(金)から10月7日(月)(18日間) |
学科試験※筆記方式 | 5月26日(日) | 10月27日(日) |
技能試験 | 7月20日(土)もしくは7月21日(日) | 12月14日(土)もしくは12月15日(日) |
CBT方式の場合、自分で受験日を決められる大きなメリットがあります。一方、技能試験には、CBT方式は導入されていません。
参考:第一種電気工事士試験 実施機会の拡大について|一般財団法人電気技術者試験センター
参考:上 期 試 験 受 験 案 内||一般財団法人電気技術者試験センター
第二種電気工事士の学科試験免除要件
第二種電気工事士を目指すにあたって、一般的には学科と技能の試験に合格しなければなりません。しかし、一定の条件を満たしている場合、学科試験が免除になります。
第二種電気工事士試験の学科試験免除要件は次のいずれかです。
- 前回の第二種電気工事士学科試験に合格した場合
- 高校・高専および大学等で電気工学の課程を修めて卒業した場合
- 第一種・第二種または第三種電気主任技術者免状を取得している場合
- 鉱山保安法第18条の規定による試験のうち、電気保安に関する事項を分掌する係員の試験に合格した場合
- 旧自家用電気工作物施設規則第24条第1項(ヘ)および(ト)の規定により電気技術に関し相当の知識経験を有すると認定されている場合
- 旧電気事業主任技術者資格検定規則による電気事業主任技術者の資格を持っている場合
学科試験の免除要件を満たして、第二種電気工事士の取得を目指すのもひとつの手段です。
参考:上 期 試 験 受 験 案 内||一般財団法人電気技術者試験センター
第二種電気工事士試験の合格率
令和5年度に実施された第二種電気工事士の合格率は次のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
上期学科試験 | 70,414人 | 42,187人 | 59.9% |
上期技能試験 | 49,547人 | 36,250人 | 73.2% |
下期学科試験 | 63,611人 | 37,468人 | 58.9% |
下期技能試験 | 45,790人 | 31,499人 | 68.8% |
例年、学科の合格率は概ね60%前後で推移しています。また、技能試験の合格率は70%前後です。
合格率を見てわかるように、第二種電気工事士は比較的目指しやすい資格と言えるでしょう。
参考:試験案内一覧(第二種電気工事士試験) | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
関連記事:電気工事士の資格の取り方を紹介!第一種・第二種の違いも細かく解説
第二種電気工事士試験の勉強方法
第二種電気工事士合格に向けての勉強方法は、学科と技能によって異なります。
学科と技能の勉強方法について解説します。
学科試験の勉強方法
第二種電気工事士の学科試験における勉強方法は主に3つです。
- 理解しやすい科目から進めていく
- 苦手な科目は後回しにする
- ある程度知識がついてきたら過去問を繰り返し説く
それぞれの勉強方法について解説します。
理解しやすい科目から進めていく
勉強を始める際には、まず自分が理解しやすい科目や得意分野から取り組むのが効果的です。たとえば、物理や数学が得意な人は、電気の基礎理論や計算問題から始めるとよいでしょう。
最初からスムーズに学習を進められるので、モチベーションを維持しやすくなります。理解が深まるにつれて、自信を持って他の分野にも取り組めるでしょう。
苦手な科目は後回しにする
苦手な学科や理解が難しい分野については後回しにするのがおすすめです。最初から難しい分野に取り組むと、挫折してしまったり学習計画が狂ってしまったりする可能性があります。
そのため、得意な分野を先に押さえ、その後に苦手な科目に取り組むと、学習のバランスが取れるでしょう。
ある程度知識がついてきたら過去問を繰り返し説く
一定の基礎知識が身についたら、過去問を繰り返し解きましょう。過去問に挑戦すると、試験の出題傾向や問題の形式に触れられます。
また、過去問を解く際には、単に正解を確認するだけでなく、間違えた問題の解説をしっかりと読み、理解を深めましょう。過去問演習を通じて、自分の弱点を把握し、それを重点的に補強すると、合格の可能性を高められます。
技能試験の勉強方法
第二種電気工事士の技能試験における勉強方法は主に3つです。
- 施工条件や単線図をチェックする
- 単線図は複線図に書き直してミスを防ぐ
- 時間内に終わらせられるように作業を繰り返す
それぞれの勉強方法について解説します。
施工条件や単線図をチェックする
技能試験の勉強にあたっては、施工条件や単線図を入念に確認しましょう。試験では、与えられた施工条件に基づいて正確に作業を行う必要があります。
施工条件を理解できると、作業の全体像の把握につながります。単線図も同様に、電気配線の基本的な流れを示すものです。単線図を確認すれば、誤った接続を避けられるでしょう。
単線図は複線図に書き直してミスを防ぐ
単線図は複線図に書き直してミスを防ぎましょう。単線図は簡潔で理解しやすい反面、実際の配線作業では詳細な接続情報が必要となります。
複線図に書き直すと、各配線の接続ポイントや電線の種類、配線ルートの明確化につながります。その結果、ミスを防ぐ助けとなるでしょう。
時間内に終わらせられるように作業を繰り返す
時間内に作業を終わらせられるように繰り返しの練習が不可欠です。試験は時間制限があるため、計画通りに作業を進めるスピードと正確さが求められます。
何度も練習を重ねると、各作業の手順が身につき、効率的に作業を進められるようになります。
独学の場合は通信講座などを活用して、効率的に学習するのもひとつの手段でしょう。
第二種電気工事士の仕事内容
第二種電気工事士の仕事は、主に住宅や小規模な商業施設での電気工事です。具体的には、照明器具やコンセントの取り付け、電気配線の設置と修理、ブレーカーの交換などが主な仕事内容です。
第二種電気工事士は安全かつ効率的に電気を供給するために、法規制や技術的な基準に従いながら作業を進めています。
関連記事:電気工事士はやめとけと言われる4つの理由
第二種電気工事士に関するよくある質問
第二種電気工事士に関するよくある質問は次のとおりです。
- 第二種電気工事士と第一種電気工事士の違いは?
- 第二種電気工事士試験の過去問はある?
- 第二種電気工事士を取得するメリットは?
- 第二電気工事士取得にかかる勉強時間の目安は?
それぞれの質問について解説します。
第二種電気工事士と第一種電気工事士の違いは?
第二種電気工事士と第一種電気工事士の主な違いは、業務範囲と必要な実務経験です。第二種電気工事士は、主に住宅や小規模な店舗などの低圧電気工事を担当します。一方、第一種電気工事士は、低圧だけでなく工場や高層ビルなどの高圧電気工事も担当できます。
また、第一種電気工事士を取得するには、第二種電気工事士としての一定の実務経験が必要です。具体的には、第二種電気工事士の資格を取得してから3年以上の実務経験が求められています。
関連記事:電気主任技術者と電気工事士の違いは業務内容|役割・年収・資格の比較
第二種電気工事士試験の過去問はある?
第二種電気工事士試験の過去問は一般財団法人電気技術者試験センターのホームページで入手可能です。過去問に挑戦すると、試験の出題傾向や問題形式を把握できるでしょう。
参考:第二種電気工事士試験の問題と解答|一般財団法人電気技術者試験センター
第二種電気工事士を取得するメリットは?
第二種電気工事士を取得するメリットは多岐にわたります。たとえば、資格取得により、電気工事に関する専門知識と技術を証明できます。
その結果、就職や転職活動の際に有利に働くでしょう。
第二電気工事士取得にかかる勉強時間の目安は?
第二種電気工事士の取得にかかる勉強時間は、個人の学習ペースや知識量によって異なります。ただし、一般的には100時間から150時間程度が目安と言われています。
一方で、電気に関する基礎知識がある人は短期間での習得を期待できますが、ない場合は少し多めの時間を見積もるとよいでしょう。
第二種電気工事士試験日程に合わせて学習計画を立てよう
この記事では、第二種電気工事士の試験概要を中心に紹介してきました。
第二種電気工事士の試験は、学科と技能の2種類あります。学科と技能のいずれも合格しなければ、資格取得できません。
第二種電気工事士の試験を受けるために、年齢・学歴・実務経験などの条件は特に求められていません。したがって、電気工事の業界未経験から資格を取得して、挑戦するのも可能です。
また、第二種電気工事士の試験は大きく分けて年2回です。したがって、合格のためには、試験日程に合わせた学習が求められています。
これから第二種電気工事士を目指しているのであれば、学習計画を立てて挑戦してみてはいかがでしょうか。
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