うつ病をきっかけに転職や再就職をする際の注意点や再発防止策について解説します。
転職が不利になるのでは? と思う方もいるはず。そもそも、転職したほうがいいのかもわからず、正しい行動に迷いがち。
そんな、うつ病時の転職に関してお答えします。
うつ病になったら転職した方がいいの?
在職中でうつ病を発症した方や既に退職済みの方など、さまざまな方がいるかと思います。いずれにしても、すぐに転職活動をするべきなのか迷う方もいるかもしれません。そこで、おすすめの対応をご紹介します。
必ずしも転職が正解とは限らない
転職は人生という長いスパンで見ても、大きな決断になりえるものです。
そんな重要な選択は、精神的にゆとりを持てるタイミングに行っても遅くはありません。
とくに、うつ病は一日中落ち込んでいたり疲れやすいなど、脳がうまく働かないように感じる方もいる病気です。
そのため、うつ病の際には“大きな決断はしない”のがおすすめです。転職だけでなく、休職や時短勤務などの選択肢も視野に入れていただくといいかもしれません。
大企業にいるならメンタル復帰プランに注意
メンタル復帰プラン(職場復帰支援プログラム)とは、会社側が行う、疾患やケガなどで長期休業していた労働者が復職できるようにするための支援のことを差します。
とくに大企業で多いとされている制度です。
このメンタル復帰プランのルールを守るために、休業前に自分の症状について詳しく話す必要があったり、休業期間があらかじめ決まっており充分に休養できなかったりする場合があるので注意しましょう。
また、職場復帰支援プログラムでは、休業時と復職時のどちらも医師による診断書が必要な会社も多いので労務担当者に確認すると良いでしょう。
就業規則に従ってまずは休職を
就業期間に応じて、休職できる期間が定められており、就業規則に記載されていることがほとんどです。
せっかく休職が許された期間があるので、まずは就業規則に沿った期間、休業してみるのがいいかもしれません。
休職中に旅行しても問題はない
いざ休職をとったら、旅行も遊びもしてOKです。
休職期間の過ごし方が法律で決められていることはないですし、会社でも規則を設けていることもほぼありません。
自分のうつ病の症状の改善を目指すためにも、自分の好きなように過ごすといいでしょう。
もちろん、かかりつけの医師にやめるほうがいいと促されていることがあれば、控えておくのがベターです。
関連記事:工場勤務を辞めたい理由と対処法|辞め時のサインとは
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うつ病をきっかけに転職や再就職をする前に
いざ転職や再就職をする前に、確認しておいて欲しいことを記載します。自分の現状と照らし合わせながら、チェックしてみてください。うつ病は再発率が高い
厚生労働省の調べでは、うつ病になった方の約60%が再発するなど、再発率が高い病気です。
再発をしてしまうと業務の継続が難しくなる可能性がありますし、なによりご自身が大変かと思います。
焦って1人で決断をしない
上記で記載したように、うつ病発症時は大きな決断をすることはお勧めできません。
とくに、焦って1人で決断することは禁物と言えます。
うつ病の際に転職や再就職する場合は、診断してもらった医師と相談した上で決めることがおすすめです。
治療を試みる
うつ病になったらまず治療に専念するのが良いでしょう。
以下でも、治療方法の一部を紹介します。
※治療方法に関しては、専門家に確認してください。
しっかり休養する
心と体を充分に休ませるのが、うつ病治療の第一歩です。
うつ病を発症した方には、真面目な性格の方が多いとされます。そのため、休養をとることに焦りを感じる方も少なくはないでしょう。
ですが、うつ病と同時に睡眠障害や食欲不振などの症状が起こっていることが多く、そのような状態では別の症状を併発してしまう可能性があります。
なによりもまずはしっかりと休養をとり、健康的な身体状態と精神状態に戻すようにしましょう。
その環境づくりをするために、職場を休職したり時短勤務に変えたりするのがおすすめです。
心理療法
心理療法とは、別名「精神療法」とも言う治療手段で、主にカウンセリングのことを言います。
「認知行動療法」と「対人関係療法」などという治療方法があり、自分の思考のクセや対人関係における考え方などを、プロの心理カウンセラーとともにケアしていきます。
抱えていたモヤモヤを誰かに聞いてもらうことで解消したり、新たな考え方ができるようになったりするため、おすすめな治療方法のひとつです。
薬物療法
うつ病は薬を用いた治療をすることも多いです。
主に「抗不安薬」や「睡眠導入薬」などがあるようですが、詳しくは医師との相談のもと決まります。
人によって効果の違いや副作用がある場合があるため、必ず医師の指示通り服用しましょう。
うつ病で休職中に転職活動をしてもいいの?
うつ病の際は、まず休職をすることをすすめました。日々多忙ななか、久しぶりに休暇をとれることとなるので、その期間中に転職活動をしようかと考える方もいると思います。ですがそもそも休職中の転職活動はOKなのか?など、休職中の転職活動に関して解説します。
休職中の転職活動は問題ない
結論、休職中の転職活動は問題ありません。
ただメリット・デメリットどちらもありますので、それらも解説します。
休職中に転職活動をするメリット
復職の選択肢を残したまま活動できる
実際に転職活動をしてみて、なかなか希望に合う転職先が見つからない場合もあります。
それでも、休職期間が終われば復職できるので、経済的・心理的不安が少ないです。
経済的な負担が少なくて済む
休職中でも給与支払いのある企業であれば、経済的な負担を最小限に減らせます。
加えて、上記でもあるように、仮に復職するとなった場合も給与支払いがあるので、経済的な心配が少ないです。
休職中に転職活動をするデメリット
十分な休養が取れない
うつ病発症中は、とにかく休養をとり、体調の改善を目指すことを優先するべきと言えます。
そのため、休職中なのに転職活動により多忙になってしまっては、充分な休養時間を確保できません。
休職前半は休養期間、後半から転職期間にするなど、スケジュールの調整が必要になるかと思います。
うつ病の症状が不利に働く可能性がある
すべての企業に当てはまることではないですが、一部企業のなかにはうつ病を発症している方を採用しないケースがあります。
理由は、うつ病は再発率の高い症状であるため、業務をスタートさせてからうつ病が再発してしまうのを避けたいからです。
関連記事:うつ病でもドライバーとして転職できる?疑問と業界の声を解説
うつ病の転職活動での失敗談
薬の影響で本領を発揮できなかった
Tさん/30代/男性
「いざ転職の面接の日、不安感を抑えるために抗不安薬を飲みました。
すると、面接中に急に眠くなり、まともに応答できない状態に。
うつ病の状態で焦り転職活動をしましたが、抗不安薬の副作用で眠くなった影響で面接が思い通りにいかなかったので、抗不安薬を飲む必要がなくなってから転職活動をしようと思いました。」
正直に言った方が良いと思い、面接で自分から病気の話をしてしまった
「うつ病の症状が少しよくなったと感じたので、転職活動をすることに。
Sさん/20代/女性
面接の際、なぜ今の会社を退職するのかをと聞かれ、正直にうつ病であることを打ち明けました。
すると後日不合格の連絡が入り、うつ病が再発することを懸念したフィードバックももらいました。
後から調べると、うつ病であることはわざわざ打ち明けなくてもよかったようなので、悔しいです。」
オープン就労(障害者雇用)のことを知らなかった
Aさん/30代/女性
「うつ病になったことを機に退職し、パートになったことがあります。
ですが業務内容自体は好きだったので、障害者雇用という形で別の会社を探してもよかった」
うつ病で転職活動をおこなう際の注意点
うつ病の際の転職活動で注意しておきたいことを記載します。転職活動をスタートさせる前にぜひご覧ください。
薬の副作用で体調が優れないことがある
上記にて、うつ病の治療方法のひとつに薬物療法があると記載しました。
抗不安薬など、症状により処方されるものは違います。それぞれ副作用を起こしてしまう可能性があるのは共通しています。
副作用は、吐き気・食欲不振・下痢・頭痛・体重増加などさまざまです。自分自身にどんな副作用がでて、どれほど悪化するのかも分かり切ることはできません。
こういった体調不良を起こす可能性があるということを把握しておくといいでしょう。
面接ではうつ病を隠した方がいいのか?
隠さないほうが、その後のトラブルに繋がりにくいです。
面接中にうつ病がバレる可能性は、どちらかというと低めと言えます。しかし、うつ病は再発率の高い症状です。
仮に転職後うつ病が再発してしまったり症状が悪化してしまったりすれば、面接中に嘘をついていたことになるので、印象が下がってしまいます。
しかも、きっと自身が焦燥感や罪悪感を覚えてしまい、精神的に負担を感じてしまうでしょう。面接中は不安を覚えてしまうと思いますが、正直に話すことをおすすめします。
うつ病で転職活動をする際の3つの選択肢
うつ病の際の転職活動に関する注意点を解説しましたが、ぜひ合わせて転職活動の選択肢もご覧ください。きっと、次のキャリアのヒントになるかと思います。
活躍できる可能性がある職場環境を選ぶ
いまや、働き方の幅は広がっています。
リモートワークやフレックスタイム制、月の勤務日数が相談できるところなど、うつ病の方が活躍できる職場環境はいくつもあります。
できるだけ人との接触を減らしたいのであればリモートワーク、通勤時間にフラッシュバックなどを起こしたり負担感を覚える方は自宅から近い職場、体力的に勤務日数を調整したい方は週3日休暇のある会社など。
無理なく業務ができる職場を探すようにするといいでしょう。
障害者雇用を検討する
障害者手帳を発行し、障害者雇用枠での転職をするというのもひとつの手です。
障害者雇用の場合、障害のことを周知して働くオープン就労と言わずに働くクローズ就労と2パターンがあります。
もちろん、オープン就労であっても無理に言いたくないことを公表する必要はないですが、職場に自身のことを理解してもらうことで働きやすさは変わるかもしれません。
加えて、所得税や住民税の控除などのサービスを受けられます。
非正規雇用から始める
非正規雇用(アルバイト・パートなど)という選択肢も。
非正規雇用の場合、正規雇用と比べて採用のハードルが低かったりシフトの融通が効きやすかったりします。そのため、転職前の不安感や体調に無理なく働けるかもしれません。
複数の職場を掛け持つこともできるため、本当にやりたい職業にも挑戦しやすいでしょう。
企業によっては非正規雇用から正規雇用になる制度を持っているところもあるため、その制度を利用するのもいいと思います。
うつ病の転職で再発を防止するためには
転職活動のためにも重要ですが、なによりも自身の体や心のために、転職活動におけるうつ病再発防止策を紹介します。
精神科や心療内科に通院する
精神科や心療内科に勤めるプロのカウンセラーや医師は、正しい対策案を提案してくれます。
また、心に溜まっているモヤモヤ感などを話せるだけでも、きっと再発防止となるでしょう。
精神保健福祉センターを活用する
「精神保健福祉センター」とは、精神障害者などの知識の普及や相談を行う施設のことを差します。
精神保健センターでは、うつ病に関することだけでなく対人関係やギャンブル依存、アルコール依存などのこころのお悩みを幅広く相談できます。
それぞれの都道府県に施設がありますし、夜間の電話相談を受け付けている場所もあります。
ひとつの相談先として知っておくといいでしょう。
就労移行支援事業所を活用する
「就労移行支援事業所」とは、国が定めた福祉サービスのひとつです。
ビジネスマナーやスキルを習得するための講習や職場体験、履歴書作成のサポート、就職後の定着を目指した面接など、転職活動スタートから転職後のサポートをまるごと行ってくれます。
再発防止を行うためには、とくに職場体験で自分に合うかの確認や就職後の面接が効果的です。
うつ病の人向けの支援制度を利用する
上記にあるような「精神保健福祉センター」や「就労移行支援事業所」以外にも、支援制度はいくつかあります。
代表的なのは「ハローワーク」です。他にも、障害者の生活自立を目指す「障害者就業・生活支援センター」や医療機関が行う「リワーク制度」などさまざまです。
転職エージェントを活用する
精神科や心療内科で、精神に関するプロに相談する策があるのと同様に、転職のプロである転職エージェントに相談する策もあります。
エージェントの担当者にだけうつ病であることを話し、転職活動ではうつ病に関して話さないクローズ転職することも可能です。
とにかく、転職に関してひとつひとつ相談しながら進められるのが利点と言えます。
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