退職する場合、辞める理由によって自己都合退職と会社都合退職とに分かれます。
会社を辞めることに変わりはないのですが、退職後の失業手当や転職活動などに違いがあるので注意が必要です。
どのような人が会社都合退職になるのか、自己都合退職とどのような違いがあるのか、わかりやすく解説していきます。
今後何らかの理由で転職を検討していたり、辞める予定の方は参考にしてみてください。
会社都合退職とは:会社側の都合で労働契約を終了すること
会社都合退職とは、文字通り会社の都合で今の仕事を辞める状態を言います。
具体的な退職理由例は下記の通りです。
- 経営難による会社の倒産やリストラ(民事再生・会社更生・破産・銀行取引停止処分など)
- 有期雇用であり、延長がなく雇止めとなった場合
- 事業所の廃止や撤退により解雇となった場合
- 雇用契約書などと実際の仕事内容に相違があり自ら辞める場合
- 希望退職制度を利用する場合
- 残業代や給与の未払いがあり辞める場合
- 過度の残業などがあり退職する場合
- パワハラやセクハラなど会社側の嫌がらせが原因で辞める場合
このように会社を辞める理由が自分にある場合は自己都合退職となり、会社側に原因がある場合は会社都合退職となります。
「どちらにしろ今の会社を辞めるんだから一緒なのでは」と考える方もいるかもしれませんが、退職金や退職後の待遇に違いが出てくるので注意が必要です。
会社都合退職と自己都合退職:3つの違い
会社都合と自己都合退職の退職理由の違いについて解説してきましたが、どちらの都合で辞めるかによって退職時や退職後の待遇に違いが出てきます。
失業保険
失業保険を給付するには、就職しようとする積極的な意思があるにも関わらず、就業に就けないことが条件となります。
この他にも、雇用保険の被保険者期間が離職の日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算で12ヵ月以上あることなどが条件としてあります。
この失業保険ですが、会社と自分どちらの都合で辞めたかによって下記のような違いがあるので注意が必要です。
- 自己都合退職の場合:失業保険を受け取るまでに2ヵ月以上かかり、納付期間が短いため金額も少なくなりやすい
- 会社都合退職の場合:一週間程度で受け取ることが可能であり、納付期間が長いことから金額も多くなりやすい
失業保険の給付日数は、自己都合退職の場合は90日~150日ほどです。
会社都合退職で給付を受ける場合には90日~330日の間失業給付金を受け取ることができます。
給付制限に関しても、自己都合の場合は制限があるのに対し、会社都合の場合は制限がありません。
このように、自己都合よりも会社都合の方が待遇が手厚くなっています。
退職した場合に自己都合退職になるのか、会社都合退職になるのかはハローワークが判断します。
離職証明書にどちらであるかを会社側が記入するのですが、その内容に異議がある場合などはハローワークに申し立てを行うことが可能です。
退職金
退職金には退職一時金制度や企業年金制度、前払退職金制度などがあり、会社によって異なります。
中には退職金制度自体がない可能性もあるので、事前に就業規則などで退職金の有無や算出方法について調べておくと良いでしょう。
この退職金制度に関しては、一般的に自己都合退職の場合が減額されやすく、会社都合である場合の方が高く支給されます。
理由は様々ですが、自己都合で退職する場合、会社は新たに人材を確保する必要がありその業務にコストがかかるからといったものがあります。
経歴
転職活動を行う際、履歴書を志望する会社へ提出しますが、前の会社を自己都合退職した場合には、一身上の都合により退職と記載します。
一方で、会社都合退職となった場合には会社都合により退職と記載します。
採用担当者は、なぜ前の会社を退職したのか、本当にこの会社で長く働き続けられるのかを見極めたいため、会社都合か自己都合かで転職が不利になったりすることはありません。
関連記事:派遣切りにあったらどうする?対処法と回避方法を解説
会社都合退職と自己都合退職のメリット・デメリット
会社都合退職と自己都合退職では「退職金・失業保険・経歴」に違いがあることを解説してきました。
これらの違いによって、それぞれにメリットとデメリットがあります。
転職の対策などにも関係しているため、注意が必要です。
会社都合退職のメリット・デメリット
まず会社都合退職となった場合ですが、メリットとしては失業保険の給付までの期間が早いことがあり、給付に関しても制限がありません。
ハローワークへ申請をすると、最短7日間待機すれば給付金の支給がスタートします。
失業給付金の金額も高く、期間に関しても最大330日と自己都合退職に比べ、長く受け取り続けることが可能です。
その一方で、転職活動時には注意が必要です。
解雇による退職の場合は、なぜ解雇になってしまったのかなどを深く聞かれる可能性があります。
必ず不利になるというわけではありませんが、事前にどのように応えるかは考えておくようにしましょう。
自己都合退職のメリット・デメリット
次に自己都合退職をした場合のメリットですが、転職活動時に退職理由について詳しく聞かれないことがあります。
何度も転職を繰り返しているケースなどを除き、一身上の都合と記入していれば詳しく聞かれることはないでしょう。
一方で、自己都合退職の場合は失業給付金の支給を受けるまでに3ヵ月待機しなければなりません。
また、ハローワークへ申請してから7日間待機する必要があるため、最短でも67日後に給付となります。
この他では、退職金の支給が比較的安くなり安いことなどがあります。
ただし、自己都合退職であっても条件が当てはまれば「特定理由離職者」として失業保険の給付内容が変わります。
特定理由離職者と認められる条件としては、労働契約が未更新となったり体力不足など心身の障害が生じた場合、家族の扶養が必要になった時、通勤が不可能になったなどの理由があります。
この特定理由離職者と認められると、失業保険の支給条件である被保険者期間が、1年間の間で雇用保険の被保険者期間が通算6ヵ月以上に変更となります。
給付制限に関しても、自己都合退職の人が最大3ヵ月の給付制限があるのに対し、特定理由離職者であれば給付制限がなくなります。
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会社都合退職が認められる2つのケース
会社都合退職となるケースとしては、会社が倒産した場合や解雇された場合と説明してきました。
この2つのケースには、具体的にどのような場合が当てはまるのか紹介していきます。
倒産による離職パターン
倒産によって会社都合となるパターンは、下記の通りです。
- 支店などの事業所において、大量の雇用変動があった場合の届手がされた(1ヵ月に30人以上の離職を予定したり、事業所主に雇用されている被保険者の3分の1を超える人が離職した時)
- 倒産(経営悪化による破産や民事再生、会社更生などの各破産手続きの申し立てや手形取引の停止)によって退職した場合
- 支店などの事業所が移転することになり、現在の住居から通勤することが困難な距離になって離職した場合
- 支店などの事業所自体が廃止となり離職した場合(一時停止ではあるものの再開の見込みが全くない場合も含む)
このような内容で倒産し、離職した場合には会社都合が認められます。
解雇による離職パターン
次に解雇されたパターンで、どのようなケースが会社都合になるのかを見ていきましょう。
- 面接やその後の説明会など、労働契約の締結前に聞いていた労働条件と、実際に働き始めた際の内容が全く違っていたことが原因で離職した場合
- 給与額の3分の1を超える額が支払い期日までに支払われず、2ヵ月以上も連続した場合(退職手当を除く)や離職の直前6ヵ月の中でそのような月が3ヵ月以上あったことで離職した場合
- 自分の責任が重大である場合を除く、解雇により離職した場合
- 離職の直前6ヵ月間の中で3ヵ月連続して45時間、一か月で100時間または2~6ヵ月平均で月に80時間を超える時間外労働が行われており、事業主が行政機関から健康障害が生ずる恐れがあると指摘されたにも関わらず、改善されなかったため離職した場合
- 賃金がそれまでに支払われていた額に比べて85%未満に低下したり、低下することになって離職した場合(当該労働者が賃金低下の事実に対し予見できなかった場合に限る)
- 会社内で移動などにより職種が全く違うものになったのに、職業生活の継続のために必要な配慮を事業主が全く行っていないために離職した場合
- 期間に定めがある労働契約の更新で、3年以上引き続き雇用されるに至った場合において、当該労働契約が更新されずに離職した場合
- 機関の定めのある労働契約の締結の際に、当該労働契約が更新されることが明示されている場合で、当該労働契約が更新されないことで離職をした場合
- 事業主から間接的であったり、直接退職するように推奨を受けたことにより離職した場合(早期退職優遇制度などに応募した場合は該当しない)
- 先輩や同僚などから故意に退けられたり、冷遇や嫌がらせが原因で離職した場合
- 事業所の業務が法令に違反しており、それが原因で離職した場合
- 事業所において使用者の行為や発言が原因で、休業が引き続き3ヵ月以上となり離職した場合
会社都合退職と自己都合退職の手続き方法
会社都合退職と自己都合退職になるケースについて解説してきました。
次にそれぞれの手続き方法について解説していきます。
まだ会社に在籍している時や辞めた後の手続き方法には違いがあるため注意が必要です。
会社都合退職の手続き方法
退職する場合、一般的な流れとしては上司などに相談し、退職日などが決定すると退職願や退職届などを提出して引き継ぎを行うのが一般的です。
一方で会社都合の場合は、会社側から先に告知があります。
会社都合で社員を解雇する場合、30日以上前にその旨を伝えなければならず、どうしても難しい場合は30日に満たない分の解雇予告手当を支払わなければなりません。
解雇予告手当の金額は、下記の計算式によって計算されます。
【平均賃金1日分×解雇日までの期間が30に足りなかった日数】
例えば解雇日の15日前に解雇を社員に伝えた場合は下記のような計算式となります。
【平均賃金1日分×15日】
ただし、この解雇予告手当が該当しない特別なケースもあります。
- 二か月以内の期間を定めて使用されている場合
- 日雇いで雇用期間が1ヵ月未満の場合
- 季節的な業務であり4か月以内の期間を定めて使用されている場合
- 試用期間中であり働き始めてから14日未満である場合
上記に当てはまる場合は、労働基準法第21条により解雇予告手当を支給してもらえません。
解雇を30日以上前に伝える場合の伝え方に関しては、ルールが定められておらず直接口頭で伝えられたりすることもあります。
ですが後々のトラブルを避けるためにも、解雇予告通知書や解雇理由証明書を書面で発行してもらうようにしましょう。
この他で特別な手続きはないものの、退職日の決定や業務の引き継ぎ、会社に返却するものなどについて事前に話し合っておくようにしましょう。
健康保険や雇用法権、失業手当についての説明も、できる限り会社側に質問して理解しておくことで、退職後の負担を軽減できます。
また、退職してすぐに別の会社に転職する場合は、入社の際に必要な書類などを確認してなるべく早めに発行してもらったりしておくといいでしょう。
転職先が決まっておらず、失業給付金を受給する場合は、住民票に記載されている地域を管轄しているハローワークにて手続きを行います。
休職活動をすることが前提であるため、求職の申し込みから7日後に失業給付金の支給日が決定します。
自己都合退職の手続き方法
自己都合退職の場合、一般的な退職と同じで退職願や退職届を提出します。
退職日に関しては、民法第627条により『当事者が雇用の期間を定めていない場合、各当事者はいつでも解約の申し入れが可能であり、雇用は解約を申し入れた日から2週間を経過することによって終了する』と定められています。
そのため、退職の意思を伝えて2週間後には退職することが可能なのですが、代わりの人材を確保したり引き継ぎをするのが一般的です。
なるべく上司と話し合い退職日を決定するようにしましょう。
会社によっては就業規則により、退職日は○ヵ月以上前に報告するといった形で定められていることもありますが、法的拘束力はありません。
また、これとは別に民法第628条では『やむを得ない自由がある場合は即日退職することができる』と定められています。
やむを得ない事由とは、仕事を続けるのが難しいほどの体調不良や家族の看病、会社側のパワハラや嫌がらせなどが該当します。
パワハラなどが酷く精神的に大変で退職代行サービスなどを利用するケースもありますが、会社都合で辞めるには証拠を提示しなければいけないこともあり退職が長引く可能性もあります。
このような場合、弁護士などへ相談しながら準備を進めるといいでしょう。
退職日が決定した後は、会社都合退職と同じで退職までに揃えておくべき書類や失業保険受給の流れについて、事前に調べておくようにしましょう。
会社都合退職と自己都合退職に共通する準備
会社都合退職や自己都合退職で会社を辞める場合、次の転職先で必要な書類を準備しなければいけません。
転職先が決まっていない場合に関しては、失業保険の申請などが必要となります。
各ケースについて必要な準備について見ていきましょう。
転職先へ入社するまで期間があまりない場合
退職後、すぐに転職する場合は4つの書類が必要となります。
【転職先に提出が必要な書類】
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 健康保険資格喪失証明書
- 雇用保険被保険者証
退職が受理された後に発行される書類もあるのですが、年金手帳などは人事担当が預かっているケースもあるので、必ず返却してもらうようにしましょう。
転職先へ入社するまで期間が空いている場合
急な解雇などにより、次の転職先が決まっていないといった場合、ハローワークで失業保険の手続きが必要です。
申請には離職票が必要となるのですが、会社側に言えば必ず作成してもらえるので事前に伝えておくといいでしょう。
申請は、住民票に記載されている住所を管轄しているハローワークで手続きすることになっており、求職の申し込みをしてから7日の待機期間が必要です。
自己都合退職の場合、さらに2ヵ月の給付制限が適用となるので、それ以降の給付となります。
この他にも3つの項目について注意が必要です。
健康保険
退職した後に自営業となる場合、健康保険に関しては任意継続か国民健康保険に加入しなければなりません。
任意継続とは、退職前の健康保険に引き続き加入し続けられる制度であり、最長2年まで継続できます。
一人分の保険料で家族全員分の保険が適用されるので、扶養家族が多い人などにはメリットが大きいと言えます。
年金
年金は退職した次の日から厚生年金から国民年金に切り替わり、すぐに転職しない場合は保険料の納付手続きが必要です。
申請は退職日から14日以内に住んでいる自治体の年金窓口で行う必要があり、退職日がわかる証明書と基礎年金番号がわかるもの、本人確認が可能な書類を提出しなければいけません。
税金
退職後には所得税と住民税の支払いに注意が必要です。
退職金が出た場合には課税対象となるので、税金未納がないように近くの税務署などで確認
しておくといいでしょう。
「会社都合・自己都合」退職:失業保険受給までの流れ
会社都合退職と自己都合退職では失業保険の内容が異なるのですが、ここでは給付までの流れについて解説していきます。
1.勤務先から「雇用保険被保険者離職票」を受け取る
退職することが決定した場合、雇用保険被保険者離職票を受け取ります。
この際に退職理由が事実と違っていないか、会社都合なのに自己都合退職になっていないかなどを確認しましょう。
2.退職後にハローワークで求職の申し込みをする
失業保険を受給するためには、求職中である必要があるため、その申し込みをハローワークで行います。
この際に退職理由の判定や受給資格の決定が決まります。
自己都合で退職したものの、会社都合によるものであり異議を申し立てたい場合などは、このタイミングで申請します。
3.待機期間である7日間の経過を待つ
申請後は待機期間が7日間あり、この間に雇用保険受給説明会や失業認定日が決まります。
4.失業保険の給付が開始される
会社都合退職の場合は最初の待機期間である7日が経過した後にスタートします。
自己都合退職の場合、2ヵ月の給付制限があり、その後に2回目の失業認定日にハローワークで書類審査と面談を受け、問題が無ければ約1週間ほどで口座に失業保険が振り込まれます。
自己都合退職の場合、給付が開始しても以降、4週間ごとに失業認定を受ける必要があるので注意が必要です。
詳細についてわからないことがある場合は、ハローワークに相談するようにしましょう。
失業保険を受け取るために必要なものは下記の通りです。
- 雇用保険被保険者離職票
- 写真2枚(縦3センチ×横5センチで3ヵ月以内に撮影したもの)
- 印鑑
- 写真付きの身分証明書(運転免許証や住民基本台帳カードなど)
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード)
- 本人名義の普通預金通帳
雇用保険被保険者離職票は、会社から受け取ることができます。
関連記事:職場で嫌がらせを受けたらどうする?8つの対処法を徹底解説
会社都合退職に関するよくある質問
これまで自己都合退職と会社都合退職について、解説してきました。
次に自己都合や会社都合についてよくある質問に回答します。
自己都合と会社都合どちらが得ですか?
自己都合と会社都合では、辞めた後の失業保険やその後の転職活動において違いが出てきます。
双方にメリット・デメリットがあるため、一概にどちらの方が得とは言えません。
自己都合退職の場合、次の転職活動では履歴書の提出の際に前の会社の退職理由として「一身上の都合」と記載するのみです。
この詳細については、よほど転職を何回も繰り返したりしていない限り深く追及されることがなく、転職に影響しづらいことがメリットと言えます。
ただし失業保険の給付に関しては、支給されるまでに約3ヵ月ほどの時間がかかるだけでなく、給付期間に関しても90日~150日と制限があります。
失業保険にこれらの制限があるので損をしているように感じられます。
自己都合退職の場合、事前に退職することを自分で決めていることから、失業保険はもらわず退職後すぐに違う会社で働き始める人がほとんどです。
そのため、一般的に自己都合退職で損したと感じることはほとんどないと言えます。
次に会社都合退職ですが、転職の面談で退職理由が会社の倒産などによる場合はそこまで深く追及されないものの、退職勧奨であった時などはなぜそうなったのかを詳しく聞かれる可能性が高くなります。
就労時にどのようなことをしていてそうなったのか、前の会社で働きながら改善はできなかったのかなど、面接官も慎重になって質問してくるので自己都合以上に面接対策が必要です。
その一方で、失業保険に関しては最短7日間の待機期間を超えれば受給可能であり、支給日数は90日〜330日と期間も長くなります。
多くお金をもらえるため会社都合の方が良いようにも思えますが、突然の解雇となり理想の転職先を見つけるまでに時間がかかるため、転職活動の負担が大きいと言えます。
このように双方にメリット・デメリットがあるため、どちらの方が得であり損といったことはありません。
会社都合退職かどうか決めるのは誰ですか?
会社都合となるケースについて解説してきましたが、明らかに当てはまる場合とそうでない場合があります。
このような場合、最終的に会社都合であるかを決定するのはハローワークです。
流れとしては、会社を退職することになると必ず離職票や離職証明書が発行されるのですが、この時に会社の判断で自己都合か会社都合と記載されます。
その後ハローワークに提出するのですが、内容に異議があればハローワークに申し立てすることが可能です。
パワハラや嫌がらせを受けており、その苦痛から自分で辞めるケースや労働条件が面談時に聞いていた内容と明らかに違い、自己都合退職となってしまった場合には、ハローワークでその旨を伝えるようにしましょう。
必ず会社都合になるわけではありませんが、労働契約書や就業規則、タイムカードの内容などを調べて最終的に判断されます。
嫌がらせなど会社側に原因がある場合で、在職中に解決するのが難しかったりする時には、なるべくその証拠を残しておくことで会社都合として認められやすくなります。
心身ともに限界を迎えており、自分で証拠を残したり話し合うのが難しいといった場合には、退職に関して弁護士への相談や、最近では退職代行サービスに依頼することも検討してみましょう。
なぜ会社は会社都合退職にしたがらないのですか?
会社都合退職になるケースについて解説してきましたが、中には退職までに会社都合退職であるかを確認したところ「自己都合退職になる」と言われたり、勝手にそうなっていることがあります。
また、会社都合にしようとして上司からあまり良い顔をされなかった経験がある方もいるのではないでしょうか。
この理由としては「助成金」が関係しています。
助成金は、厚生労働省が民間企業の事業支援として支給しているお金のことであり、多くの企業が利用しています。
この助成金ですが、全ての民間企業が支給されるというわけではありません。
支給には条件があり、その中の一つに「6ヵ月以内に会社都合退職者が一人もいないこと」と定められています。
そのため会社都合退職者が出てしまうことは、会社にとって大きなデメリットとなってしまうのです。
「自己都合退職にして欲しい」と言われた時はどうすればいいですか?
退職の理由が、会社都合退職の条件に該当しているのにも関わらず、自己都合退職にしてほしいなどと言われることがあります。
会社都合退職の条件に当てはまっているのであれば、自己都合退職を断れば良いのですが、お世話になってきたこともあり嫌だと言いにくく感じるかもしれません。
このような場合は、全国の労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談コーナー」や日本司法支援センター(法テラス)の無料相談を利用してみるといいでしょう。
既に自己都合退職で離職してしまっているといった場合には「特定理由離職者」という枠を利用する方法もあります。
特定理由離職者と認められれば、自己都合退職で合っても失業保険の給付制限や最大給付日数などで優遇を受けることが可能です。
特定理由離職者と認められる条件としては上記の見出し「会社都合退職が認められるケース」で解説したように解雇や倒産によって離職によるものがあります。
労働契約満了し、かつ労働契約の更新が無かったり、病気など心身の障害により離職した場合、事業所が通勤困難な場所に移転したなどの条件に当てはまれば問題ありません。
自分の離職理由が、特定理由離職者になるかどうかわからないといった場合は、ハローワークで相談してみるといいでしょう。
関連記事:契約満了って何?解雇との違いや失業手当の申請方法など解説
会社都合退職と自己都合退職の変更はできますか?
明らかに会社都合の条件に当てはまるのに、自己都合退職を進められたりした場合はハローワークや全国の労働基準監督署内に設置されている「総合労働相談コーナー」や日本司法支援センター(法テラス)の無料相談を利用する方法があります。
退職届を出してしまうと、自らの希望により退職したという証明書になってしまうので注意が必要です。
会社都合退職の条件に当てはまるのに、自己都合退職をしてしまい変更したいという場合は、失業保険の申請前に相談するようにしましょう。
自己都合退職に対し異議を申し立てれば、ハローワークが再度判断をしてくれるので変更となる可能性があります。
この他にも「特定理由理由離職者」に認められれば、自己都合退職から変更できなかったとしても失業保険の給付制限などが緩和されます。
逆に会社都合退職を自己都合退職にすることは、基本的にできません。
どうしても自己都合で会社を辞めたいといった場合には、解雇予告をされた際に上司へ自己都合退職にしたいと相談してみるといいでしょう。
会社都合退職すると転職活動で不利になりますか?
自己都合退職で転職活動を行う場合、前の会社の退職理由は一身上の都合と記載します。
一方で会社都合退職の場合は、そのまま会社都合退職により退職と記載しなければなりません。
この違いで転職活動が不利になることは基本的にありません。
会社都合の理由は、倒産であったり事業所の移転など会社側に問題があるからです。
ただし注意が必要なのが「退職勧奨」である場合です。
退職勧奨とは、何らかの理由で会社が従業員に条件を提示し、自ら退職するように進めることを言い、最終判断は従業員となります。
この退職勧奨の場合、なぜそうなったのか、何か仕事上で問題となることを起こしてしまったのでは、と相手に思われてしまう可能性があります。
ですがこれに関しても、退職勧奨となり辞めたことは必ず伝えなければいけないということはありません。
どうしても退職勧奨などで会社都合退職をしたくないといった場合には、退職前に自己都合退職をしたいと相談してみるのも一つの方法です。
退職勧奨と聞くと誰もが動揺して落ち込んでしまいがちですが「ここの会社にいては未来がない」「もっと違う会社なら活躍できる」といった考えが理由である可能性もあります。
退職となった場合には、前向きに転職活動を進めていきましょう。
退職理由を変えると転職先にバレますか?
会社都合退職の理由としては、倒産や解雇などがありそのほとんどが会社に原因があり、退職者側に責任があるケースは少ないと言えます。
ですが、中には退職理由を知られたくないと考えている方もいるのではないでしょうか。
転職活動時にこのような退職理由について嘘をついた場合、バレる可能性はあります。
会社都合の内容にもよるのですが、同業界へ転職する場合、違う会社の倒産情報などはすぐに知れ渡ってしまいます。
また、会社同士の付き合いがあり、転職先の企業に情報が漏れてしまう可能性もゼロではありません。
この他にも離職票や雇用保険受給資格者証、退職証明書等には退職の理由として解雇などの欄もあり提出を求められた場合には必ずわかってしまいます。
ケースによっては経歴詐称となる可能性もありますし、そこまでいかなかったとしても嘘がバレてしまった場合には信頼がなくなって働きにくくなってしまいます。
退職理由などを面接で伝える場合、なるべくポジティブに話す必要はありますが、嘘をついたりするのはやめましょう。
会社都合退職で有給消化はどうなりますか?
会社で働きはじめて6ヵ月以上経っていれば、雇用形態などは関係なく全ての労働者に有給休暇が与えられます。
突然会社都合により解雇通知書が渡された場合、残っている有給休暇に関しては一般の退職と同じで退職日までに消化させる必要があります。
「急すぎて引き継ぎがあるから」「他の人が忙しそうだから」と遠慮する人もいますが、有給は労働者に与えられた権利であるため必ず消化するようにしましょう。
有給休暇の残日数が多くどうしても全て消化できないといった場合には、退職日を変更したり買い取ってもらう方法などがあります。
ただし買い取りに関しては、義務付けられているわけではないため会社側と相談して決定するようにします。
退職メールの書き方はどうすればいいですか?
解雇や事業所の移転など、会社都合により退職することとなった場合、挨拶状はどのような内容にすればいいのか迷う方もいるのではないでしょうか。
会社都合の場合、退職までにいろいろと不満に思うことや愚痴もあるかもしれませんが、マイナスな表現は避けるようにしましょう。
挨拶状の中では、退職の理由を一身上の都合にするなどして、込み入った内容は書かないのが一般的です。
【会社都合による挨拶状例文】
謹啓○○の候、皆様ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
私こと、このたび〇年間に渡り務めさせていただいた〇〇会社を一身上の都合により退職することとなりました。
在職中は大変お世話になり、厚く御礼申し上げます。
今後につきましては未定ではありますが、詳細が決まり次第改めてご挨拶申し上げたく存じます。
未筆ではございますが、皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。
略式ながら書中をもちましてご挨拶を申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
このような内容でお世話になった方への感謝の気持ちを述べるようにしましょう。
「会社都合・自己都合」退職後の就職活動について
自己都合退職の場合、ほとんどの人は自分で辞めると決意しているため、その後の生活について考えていることが多いと言えます。
会社都合退職の場合は、急に退職となることが多く、次の仕事を探すための就職活動をどう進めていけばいいのかわからないという方もいるのではないでしょうか。
就職活動は、今後働いていく会社を決める大切な時期であり、生活に大きな影響を及ぼします。
なるべく焦らずに自分に合った会社を見つける必要があります。
最近では転職サイトが多くあり、ある業界や職種に特化したものもあります。
また、ほとんどの求人サイトには労働条件ごとで検索できたり、自分の経歴を登録して企業からのスカウトを待つなどの方法もあります。
転職活動が初めてであり、自分ひとりでは上手く進められないという方には転職エージェントがおすすめです。
転職エージェントとは、転職に詳しいキャリアアドバイザーが担当として面談を行い、おすすめの求人を紹介してくれます。
客観的に分析をしてくれるので自分で求人を探したりする負担を最小限におさえられます。
また、面接に向けて履歴書の添削や練習ができたりすることもあるので、初めて転職をする人でも安心です。
会社都合退職であれば、失業保険をすぐに受け取ることができるので、今後の大切な人生のためにもしっかりと準備を行い次の会社を探していきましょう。
会社都合退職に関するまとめ
会社都合退職か自己都合退職かによって、主に影響が出るのは退職金、失業保険、経歴などです。
特に退職金や失業保険は、次の転職先が決まるまでの重要な資金源です。
辞め方1つでその後の人生を大きく左右すると言っても過言ではありません。
状況に合わせて適切な選択をしましょう。
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