職種 電気主任技術者

電気主任技術者の試験免除とは?免除の要件や申請手順も

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工事現場の人

電気主任技術者のテストを受けずに免状の認定を受けられる、免除制度があるのをご存じでしょうか。

電気主任技術者の免状は、テストを受けなくても、学歴や実務経験次第で認定してもらえる場合があります。たとえば、電験一種の免状は、認定されている大学を卒業して5年の実務経験を積むと交付の条件を満たせます。

また、電気主任技術者の免状は、電気工事士・消防整備士などの受験時にも有効です。

この記事では、電気主任技術者の試験免除制度について詳しく解説します。電気主任技術者の取得を考えている人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

電気主任技術者の試験免除制度とは

電気主任技術者として活躍する人たち

そもそも電気主任技術者の免状を取得するには2つの方法があります。

それぞれの方法や要件を詳しく解説するので、自分に合った方法を選ぶために活用してください。

免状を取得する2つの方法

免状を取得する方法は、テストを受けるか実務経験を積むかの2種類です。実務経験を積む方法は認定取得と言われています。認定取得とは、一定の要件を満たすことによりテストを受けずに免状を取得できる制度です。

認定取得に必要な要件は、大きく学歴と実務経験の2つに分けられます。

また、免状区分は3種類です。認定取得に必要な要件は、免状の区分によって異なります。

参考:電気主任技術者制度について|経済産業省

免状取得に必要な2つの要件

免状の認定取得に必要な2つの要件は次のとおりです。

  • 学歴に関する要件
  • 実務経験に関する要件

それぞれの要件について解説します。

学歴に関する要件

免状を認定取得するには、実務経験が必要です。また、必要な年数は学歴・免状の区分によって異なっています

たとえば、電験一種の免状交付を目指す場合、認定されている大学を卒業しなければなりません。したがって、短大・高専・高校が最終学歴の場合、電験一種に必要な学歴要件は満たしていないのです。

認定されている学校で所定のカリキュラムを修了して学歴に応じた実務を経験すると、免状が交付されます。

認定されている学校の一覧は経済産業省から公開されているので、事前に確認しておきましょう。

参考:電気主任技術者制度について|経済産業省
参考:電気主任技術者認定校一覧(第1種)|経済産業省

実務経験に関する要件

免状の認定交付には、実務経験が不可欠です。実務経験とは、認定を目指す免状で定められた電圧以上の設備に関する実務に従事した期間です。また、学歴や免状の区分によって求められる年数は異なります。

  • 電験一種
  • 電験二種
  • 電験三種

それぞれの免状で求められる実務経験について解説します。

電験一種

第一種の認定に求められる年数は、認定大学の卒業者ならびに第二種の取得者にかかわらず5年です。また、短大や高専などの卒業は第一種認定の対象外です。

第一種の認定に求められる実務経験とは、電圧5万V以上の電気工作物における工事・維持・運用を指します。

さらに、認定されている大学在学中の実績も5年の期間に含められます。ただし、卒業前の実績は従事した時間の2分の1を実務経験にカウントします。

たとえば、大学を卒業するまでに2年間にわたって、定められた電圧以上の設備に関する業務に従事した場合、カウントとしては1年です。

電験二種

第二種の認定に求められる実務経験は、学歴によって異なります。

第二種の認定に求められる実務経験とは、電圧1万V以上の電気工作物における工事・維持・運用です。

第二種の認定に、求められる年数は学歴ごとに次のとおりです。

学歴年数
認定されている大学の卒業者3年
認定されている短期大学もしくは高等専門学校の卒業者5年
第三種認定者5年

したがって、最終学歴が高校卒業の場合は、第二種の認定対象外となります。

また、認定されている大学・短大・高専在学中に従事した時間も実務経験に含められます。ただし、卒業前の実績は第一種同様に従事した時間の2分の1カウントです。

電験三種

第三種の認定に求められる実務経験も、学歴によって異なります。

第三種の認定に求められる実務経験とは、電圧500V以上の電気工作物における工事・維持・運用です。

学歴ごとの第三種の認定に、求められる年数は次のとおりです。

学歴年数
認定されている大学の卒業者1年
認定されている短期大学もしくは高等専門学校の卒業者2年
認定されている高等学校の卒業者3年

また、認定されている大学・短大・高専・高校在学中に従事した時間も実績に含められます。ただし、卒業前の実績は第一種・第二種同様に従事した時間の2分の1カウントです。

関連記事:電気主任技術者はやめとけ?そうとも言えない6つの理由やメリット・年収・将来性

参考:電気主任技術者制度について|経済産業省

電気主任技術者の免状を申請する3つの手順

細かな作業をする人たち

電気主任技術者の免状を申請するためには、大きく3つの手順を踏む必要があります。

また、試験免除を受ける場合には追加の書類が必要です。以下で手順と必要書類について詳しく解説します。

1. 試験に合格する、または試験免除の条件を満たす

免状を取得するには、試験に合格するか、学歴や実務経験を活かして試験免除の条件を満たす方法があります。試験免除を希望する場合は、以下の書類を準備する必要があります。

  • 主任技術者免状交付申請書(すべての申請者)
  • 卒業証明書(経済産業大臣認定教育施設や旧資格検定規則認定校の卒業者)
  • 単位取得証明書又はこれに代わるもの(経済産業大臣認定教育施設卒業者)
  • 電気主任技術者免状又は合格書の写し(現に免状を交付されている者)
  • 実務経歴証明書(すべての申請者)
  • 戸籍抄本又は住民票(すべての申請者)
  • 免状送付用宛先用紙(すべての申請者)

2. 試験結果通知書に同封されている免状交付申請書を完成させる

試験に合格すると、一般財団法人電気技術者試験センターから試験結果通知書が送られます。

この通知書には免状交付申請書が同封されているので、日付や氏名などの必要事項を記入します。試験免除の場合も、必要書類を添付して申請書を完成させましょう。

3. 免状交付申請書を電気技術者試験センターに提出する

完成した申請書を一般財団法人電気技術者試験センターに郵送で提出します。

免状交付までには約2か月かかるとされているので、スケジュールに余裕を持って手続きを行いましょう。

参考:電気主任技術者の免状交付 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター

電気主任技術者の免除制度を利用できない場合の対処法

デスクワーク

電気主任技術者の免除制度を利用できない場合でも、資格取得を目指す方法は複数あります。以下の3つの方法を活用して、試験合格や必要条件をクリアしましょう。

科目等履修生制度を活用する

認定校を卒業しているものの、履修科目や単位が不足している場合は、科目等履修生制度を活用する方法があります。

この制度では、大学や大学院で不足している特定の科目だけを履修し、単位を取得することが可能です。

例えば、理論科目の単位が足りない場合、不足分に該当する講義を受けて試験に合格することで単位を習得できます。ただし、次の点に注意が必要です。

  • 免除申請に必要な科目区分ごとに履修できるのは1科目まで
  • 卒業した学校のみで履修が可能
  • 卒業後3年以内に取得した単位が対象

不足している単位が明確な場合は、この制度を検討するとよいでしょう。

独学・通信講座などで試験に挑む

免除制度が適用されない場合は、独学や通信講座を利用して試験に合格する方法があります。

電験三種では4科目に合格する必要がありますが、科目別合格制度を活用すれば1科目ずつ進めることも可能です。

実務経験を積める企業に就職する

認定校を卒業していて必須単位を取得済みの場合、実務経験を積むことで免除申請の要件を満たせます。

電気主任技術者に関連する業務に従事できる企業に就職し、必要な年数の経験を積むのがおすすめです。

業界未経験者を採用し、資格取得を支援してくれる企業も多いため、働きながら知識を深めることが可能です。

電気主任技術者の科目が免除される制度もある

試験

電気主任技術者試験では、合格した科目を一定期間免除できる「科目合格制度」が設けられています。

この制度は、第三種では4科目、第二種および第一種では6科目が対象となり、難易度の高い試験を一度ですべて合格するのが難しい受験者をサポートする仕組みです。

科目合格制度を活用すると、合格した科目は2年間免除されます。そのため、第三種の場合は4科目を、第二種や第一種では6科目をこの期間内に合格すれば、資格取得が可能となります。

この仕組みを活用すれば、負担を分散しながら着実に合格を目指せます。

試験結果は科目ごとに合否が判定されるため、一部の科目だけ合格した場合でも「科目合格」として翌年度および翌々年度の試験でその科目の受験が免除されます。

電気主任技術者の資格取得を効率よく進めるために、この制度の活用を検討してみましょう。

電気主任技術者資格によって免除を受けられる関連資格4選

電気主任技術者以外に消防整備士も目指す人

電気主任技術者を保有していれば、テストの免除を受けられる資格があります。

  • 電気工事士
  • 消防設備士
  • 弁理士
  • 職業訓練指導員

それぞれの資格ならびに免除されるテストもしくは科目について解説します。

電気工事士

電気工事士とは、電気工作物の工事・維持保全・保安などを担うための国家資格です。電気工事士の資格は、第一種と第二種の2種類あります。

電気工事士を取得するには、筆記と技能のテストに合格しなければなりません。電気主任技術者の免状があれば、筆記の免除を受けられます。

消防設備士

消防設備士とは、消防設備の点検・整備・報告などを担うための国家資格です。消防整備士の資格は、甲種と乙種の2種類あります。

消防整備士を取得するには、筆記と実技のテストに合格しなければなりません。電気主任技術者の免状があれば、テスト科目一部の免除を受けられます。

弁理士

弁理士は、発明・商標・意匠などの知的財産権について、出願・登録・権利侵害の調査・紛争処理などを担当する専門家です。

弁理士を取得するには、筆記と口述のテストに合格しなければなりません。電気主任技術者の免状があれば、筆記の理工II(数学・物理)を免除してもらえます。

職業訓練指導員

職業訓練指導員は、就職やスキルアップなどに必要な技能および知識を習得させる指導を担うための免許です。実に123種類にも分かれています。

職業訓練指導員の資格を取得するには、テストに合格しなければなりません。電気主任技術者の免状があれば、電気科・電気工事科の一部科目を免除してもらえます。

参考:職業訓練指導員になるには|厚生労働省

電気主任技術者の免除に関係するよくある質問

電験三種を認定取得した人

電気主任技術者の免除に関するよくある質問は次のとおりです。

  • 電験三種を免除できる認定校はどこですか?
  • 電験一種の一次試験は免除になる科目がありますか?
  • 電験三種の試験が免除される大学はありますか?
  • 電気主任技術者免状の番号はどこで確認できますか?
  • 電気主任技術者が法律違反をした場合、免状はどうなりますか?

それぞれの質問について解説します。

電験三種を免除できる認定校はどこですか?

電験三種の認定に必要な学歴を満たす認定校は、全国に数多くあります。

電験三種の認定に必要な学歴は、認定されている大学・短期大学・高等専門学校・高等学校のいずれかです。認定されている学校の一覧は、経済産業省から公開されています。

参考:電気主任技術者認定校一覧(第1種)|経済産業省

電験一種の一次試験は免除になる科目がありますか?

電験一種の一次で免除になる科目はありません。電験一種の一次では、4科目すべてのテストに合格しなければなりません。

ただし、電験一種の一次には科目別合格制度があります。科目別合格制度は合格から3年間有効です。

電験三種の試験が免除される大学はありますか?

電験三種のテストは、認定されている大学・短期大学・高等専門学校・高等学校を卒業した後に必要な実務経験を積むと免除されます。

認定されている学校の一覧は経済産業省から公開されているので、テストを受けずに免状取得したい場合は確認しておきましょう。

電気主任技術者免状の番号はどこで確認できますか?

電気主任技術者免状の番号は、一般財団法人電気技術者試験センターで確認できます。確認する際は、試験名・氏名・生年月日を入力する必要があります。

参考:合格証明書番号・受験番号検索|一般財団法人電気技術者試験センター

電気主任技術者が法律違反をした場合、免状はどうなりますか?

電気主任技術者が法律違反をした場合、免状を返納しなければなりません。また、独立開業を目指す場合、承認が取り消されてから2年以上経過している必要があります。

関連記事:電験三種の難易度は合格率10%前後と難しいが取得価値はある

参考:「電気管理技術者」が具備すべき要件:施行規則第52条の2の規定|公益財団法人東京電気管理技術者協会

電気主任技術者の免除についてのまとめ

電気主任技術者として活躍する人たち

この記事では、電気主任技術者の試験免除制度について解説しました。

試験免除制度を活用すると、一定の要件を満たすことにより受験せずに資格を取得できます。認定取得に必要な要件は学歴と実務経験の2つです。

また、免状の区分によって、求められる学歴や年数が異なります。

たとえば、第一種の場合、認定されている大学を卒業して5年の実務経験を積むと、免状の認定を受けられます。

電気主任技術者の認定取得を目指しているのであれば、学歴に応じた実務経験を積んではいかがでしょうか。

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