給排水設備工事に関わる資格は、給水装置工事主任技術者や下水道管理技術認定試験など、いくつか存在します。これらの資格を取得することで、給排水設備工事の仕事でキャリアアップが可能になります。
しかし、給排水設備工事の仕事には、具体的にどのような資格があるのか知らない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、実務経験が無くても取得可能な給排水設備の資格や、勉強方法について解説します。
未経験から給排水設備に関わる仕事に就きたい人は、ぜひご覧ください。
【未経験者】取得しやすい水道関連のおすすめ資格5選
最初に、未経験者でも取得しやすい水道関連のおすすめ資格を5つ解説します。
技術士(上下水道部門)
未経験者でも取得しやすい水道関連のおすすめ資格の1つ目は、技術士(上下水道部門)です。
上下水道部門の技術士の資格は、上水道や下水道システムの設計、施工管理、維持管理に関する専門知識を問う資格です。取得することで、上下水道計画、浄水と水質管理、下水処理に関わり、かつ文部科学省が認定する技術部門での業務を担当することが可能です。
試験は一次と二次に分かれており、第二次まで合格することで技術士の資格を取得できます。
下水道管理技術認定試験
未経験者でも取得しやすい水道関連のおすすめ資格の2つ目は、下水道管理技術認定試験です。
下水道管理技術認定試験は、下水道の運営と維持管理に必要な専門知識と実務能力を認定する資格試験です。
下水道管理技術認定試験に合格すると、下水道の適切な維持と管理に携わる職に就けます。受験資格も無いため、未経験でも挑戦しやすい資格です。
下水道は私たちの生活に欠かせないインフラの一つであるため、将来的な需要も非常に高い資格です。
参考:「技術検定・認定試験のご案内」|地方共同法人日本下水道事業団
配管技能士3級
未経験者でも取得しやすい水道関連のおすすめ資格の3つ目は、配管技能士3級です。
配管技能士3級は、配管作業における基礎的な技能を証明する国家資格です。この資格は主に水道やガスの配管工事、住宅設備の設置などで必要とされ、配管の切断、接合、溶接といった基本的な作業の知識と技術が問われます。
配管工の主な仕事内容は、配管設計・切断や溶接ですが、配管技能士3級を取得することで、給水管やガス管、空調配管や工場の配管など、さまざまな配管に携われるようになります。
資格は3級から1級まであり、3級の合格率は60~70%と比較的高い傾向にあるため、取得がしやすいと言えます。
参考:配管技能士|厚生労働省 技のとびら 技能振興ポータルサイト
管工事施工管理技士2級(第一次検定)
未経験者でも取得しやすい水道関連のおすすめ資格の4つ目は、管工事施工管理技士2級(第一次検定)です。
管工事施工管理技士2級は、建築現場での配管工事の施工計画や工程管理、安全管理に関する知識とスキルを証明する国家資格です。この資格を取得することで、主に小規模な管工事の現場管理や施工指示、品質管理などの業務に従事できるようになります。
国家資格でもある管工事施工管理技士は昨今需要が高まっている資格の一つで、取得することで年収やキャリアアップを叶えやすくなります。また、資格取得にあたって管工事に関わる広い知識を取得できるため、他の配管に関わる資格を取得しやすくなるメリットもあります。
参考:2級管工事施工管理技術検定|一般財団法人全国建設研修センター
浄化槽管理士
未経験者でも取得しやすい水道関連のおすすめ資格の5つ目は、浄化槽管理士です。
浄化槽管理士は、浄化槽の維持管理や水質保全に関する専門知識を証明する国家資格です。この資格を取得することで、浄化槽の保守・点検を担当できます。
浄化槽に関わる知識を網羅することができるため、専門性を高めたい人にとってはおすすめの資格です。
参考:浄化槽管理士試験のご案内|公益財団法人日本環境整備教育センター
関連記事:2級管工事施工管理技士とは|資格取得の方法と勉強のコツ
関連記事:技術士とは?取得方法や試験内容も
【実務経験者】キャリアアップに役立つ給排水設備関連の資格4選
次に、実務経験者に向けたキャリアアップに役立つ給排水設備関連の資格を4つ解説します。
給水装置工事主任技術者
実務経験者向けのキャリアアップに役立つ給排水設備関連の資格の1つ目は、給水装置工事主任技術者です。
給水装置工事主任技術者は、建物への給水装置の設置・修繕・管理を行うための国家資格です。取得することで、給水装置工事の技術管理や作業員の指導を担当できます。
止水栓や水道メーター、蛇口などを工事する現場において給水装置工事主任技術者の設置は義務づけられているため、需要はかなり高いと言えます。しかし、受験資格に3年以上の実務経験が求められるため、取得には一定のハードルがある資格でもあります。
参考:給水装置工事主任技術者試験|公益財団法人給水工事技術振興財団
管工事施工管理技士
実務経験者向けのキャリアアップに役立つ給排水設備関連の資格の2つ目は、管工事施工管理技士です。
管工事施工管理技士1級を取得することで、安全管理・品質管理・工程管理・原価管理・環境管理といった業務に携われるようになります。
また、1級を取得することで以下の資格の受験資格を得られます。
- 浄化槽設備士
- 建築設備総合管理士
- 建築設備士(実務経験2年以上)
- 登録ダクト基幹技能者
- 下水道管きょ更生施工管理技士
参考:1級管工事施工管理技術検定|一般財団法人全国建設研修センター
排水設備工事責任技術者
実務経験者向けのキャリアアップに役立つ給排水設備関連の資格の3つ目は、排水設備工事責任技術者です。
排水設備工事責任技術者は、建物の排水設備工事に関して技術的な責任を担う資格です。主に地方自治体の認可を受けた排水設備業者で必要とされる資格で、排水設備工事では、設備の修復や撤去、そして新設までを担います。
工事の範囲はさまざまですが、大規模なものになると公共の下水管も担当します。
参考:「排水設備工事責任技術者」総合ページ|東京都下水道サービス株式会社
水道技術管理者
実務経験者向けのキャリアアップに役立つ給排水設備関連の資格の4つ目は、水道技術管理者です。
水道技術管理者は、水道施設の維持管理や水質管理の責任者としての役割を担うための資格です。取得することで水道施設の安全性や水質を保つための管理業務を行えるようになります。
水道を管理する上で、水道技術管理者の設置は義務付けられています。そのため、この資格の将来性は高く、給排水設備の仕事でキャリアアップを狙うのであれば取得しておきたい資格と言えます。
関連記事:給水装置工事主任技術者とは?仕事内容や試験概要、資格取得のポイント
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給排水設備関連で難易度が低い資格は?
上記で紹介した中で難易度が低い資格は、管工事施工管理技士2級(第一次検定)と配管技能士3級の2つです。
理由としては、管工事施工管理技士2級は17歳以上であれば誰でも受験でき、配管技能士3級に至っては受験資格がないことから、未経験でも挑戦しやすい点が挙げられます。
また、管工事施工管理技士2級の合格率は約50%となっており、配管技能士の合格率は非公表ですが、こちらも50%程度と言われています。
給排水設備の資格取得に必要な勉強時間
資格取得に必要な勉強時間は、平均150~200時間程度とされています。
1日2時間の勉強時間を確保できる人であれば、3~4か月で取得が可能です。仕事が忙しく勉強時間を確保できない人は、休日に多く勉強することで、2~3か月での取得も可能になります。
給排水設備の資格の効果的な勉強方法
次に、給排水設備に関する資格の効率的な勉強方法を4つ解説します。
テキストで基礎知識を習得する
給排水設備の資格の効果的な勉強方法の1つ目は、テキストで基礎知識を習得することです。
資格を取得するにあたっては、公式から販売されているテキストをしっかりと読み込むことが重要になります。
関連する問題集は多くありますが、手あたり次第に購入するよりも1冊を繰り返し学習する方が効率的です。
資格取得には広範囲の知識が必要になるため、まずは基礎知識を習得することを意識しましょう。
過去問を利用して問題傾向と苦手分野を掴む
給排水設備の資格の効果的な勉強方法の2つ目は、過去問を利用して問題傾向と苦手分野を掴むことです。
多くの資格において、例年大きな問題の変化はありません。そのため、過去問をどのように活用するかが合格率の上下につながります。
また、過去問を何度も解くことで、本番に強くなるメリットもあります。
参考:令和6年度2級管工事施工管理技術検定第一次検定(前期)試験問題|一般財団法人全国建設研修センター
講習を受講して効率的に知識をインプットする
給排水設備の資格の効果的な勉強方法の3つ目は、講習を受講して効率的に知識をインプットすることです。
試験の前や定期的に開催される講習は、給排水設備職未経験者にとって大きなメリットです。また、試験に関わる実践的な知識を得られるだけではなく、プロの講師から直接フィードバックをもらえることもメリットの一つです。
受講に費用はかかるものの、一発合格を狙うのであれば受講をおすすめします。
記述問題がある資格は通信講座を活用して添削を受ける
給排水設備の資格の効果的な勉強方法の4つ目は、記述問題がある資格は通信講座を活用して添削を受けることです。
記述問題は採点方式が加点式だけではないことから、独学での対策には限界があります。そのため、通信講座で添削を受けることで、合格率を上げられます。
添削を受けることで回答の傾向を掴むこともでき、記述問題に強くなれるのです。
給排水設備関連の仕事のキャリアパス
次に、給排水設備関連の仕事のキャリアパスを4つ解説します。
①見習いとして実務経験を積む
給排水設備関連の仕事のキャリアパスの1つ目は、見習いとして実務経験を積むことです。
専門知識の習得が重要なのは言うまでもありませんが、給排水設備関連の仕事においては現場での経験が大きな学びにつながります。
実際に使用する工具や作業は現場や担当者によって異なるため、見習い期間のうちに基本的な動き方を身につけることで、その後のキャリアの幅が広がります。
知識習得と現場作業を並行するのはかなりハードですが、今後のキャリアの土台となる期間でもあるため、常に学ぶ姿勢を持って仕事に取り組みましょう。
②資格を取得して専門職へキャリアアップする
給排水設備関連の仕事のキャリアパスの2つ目は、資格を取得して専門職へキャリアアップすることです。
資格取得をすることで、担当できる工事の幅が広がります。これは、工事現場の規模や担当できる業務は、法律や規定によって定められているからです。
そのため、資格を取得することで専門的な知識を所持している証明にもなり、より多くの専門職を選択できるようになります。
③現場の主任技術者・リーダーになる
給排水設備関連の仕事のキャリアパスの3つ目は、現場の主任技術者・リーダーになることです。
実務経験や資格取得によって、現場の主任やリーダーになる道も見えてきます。主任やリーダーになれば、現場管理や人材のまとめ方など、マネジメントに関わる経験を積めます。また、工事にかかる費用や金銭的な知識も身につくため、管理職へのキャリアアップも期待できるでしょう。
④施工管理者・設計などのマネジメント層へと昇進
給排水設備関連の仕事のキャリアパスの4つ目は、施工管理者・設計などのマネジメント層へと昇進することです。
現場の職人として技術力を磨いた後は、管理者や設計など工事の全般をマネジメントする職への昇進を目指すこともできます。
施工管理者や設計者はプロジェクトの方向性を決める重要なポジションでもあるため、年収アップにつながるでしょう。
また、マネジメント経験を積むことで、将来的に独立する選択肢も見えてくるようになります。
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給排水設備資格に関するよくある質問
最後に、給排水設備資格に関するよくある質問に3つ回答します。
給排水設備に関する資格のうち国家資格はどれですか?
本記事で紹介した給排水設備に関する資格のうち、国家資格にあたるのは技術士(上下水道部門)、管工事施工管理技士、浄化槽管理士、給水装置工事主任技術者の4つです。
国家資格は法律によって一定以上の社会地位が保証されていること、社会からの信頼性が高くあることから、数ある資格の中でも特別な立ち位置にあります。
国家資格を取得することで、転職市場でも自身の価値を大いに高めることができるため、資格取得を目指してみましょう。
給水装置工事主任技術者の難易度は?
給水装置工事主任技術者資格の合格率は、最新の令和5年で34.5%、過去10年の平均で36.6%となっています。
国家資格の中には合格率が10%台のものもあるため、給水装置工事主任技術者の難易度は相対的には低いと言えます。しかし、不合格になる可能性も十分にあるため、テキストと過去問の反復学習を怠らないようにしましょう。
参考:主任技術者試験を受験する / 過去の受験者数&合格者数|公益財団法人給水工事技術振興財団
排水設備業者の年収は?
会社や地域、資格の有無によって変動はありますが、排水設備業者(設備工事)の平均年収は428万円です。
経験が浅いと給与は少なくなりますが、インフラ業界は永続的に需要がある貴重な市場です。スキルや経験を積むことで大幅な年収アップも期待できるため、安定感と手に職をつけることができる点においては、非常に魅力的な業界と言えます。
参考:設備工事の仕事の年収・時給・給料(求人統計データ)|求人ボックス給料ナビ
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給排水設備の資格を取得し未経験でも安定したキャリアを築こう
今回は、給排水設備に関わる資格について解説しました。
給排水設備の資格は、建物や施設における給水・排水システムの安全な施工と管理に必要不可欠です。各資格によって求められるスキルや役割が異なりますが、給排水設備のプロとしてキャリアを築くためには資格取得が重要です。
給排水設備の資格取得を検討している方は、本記事を参考にしながら、ぜひ資格取得を目指してみてください。
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