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空調設備の管理に必要な資格は?おすすめの資格や勉強方法について解説

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空調設備をチェックする技術者

設備管理の仕事では、業務内容や点検する設備によって、求められるスキルや知識が異なります。

空調設備の管理では、冷暖房設備の仕組みや構造だけでなく、省エネルギーや関連法規に関する知識も必要です。資格保有者でなければ従事できない業務も少なくありません。

設備管理業界でのキャリアアップを目指しており、「どのような資格が役立つのか分からない」という方もいるでしょう。

この記事では、設備管理者としてキャリアアップする方法や、空調設備の仕事で役立つ関連資格について解説していきます。

資格取得に向けた勉強方法や、資格取得後のキャリアプランについても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

設備管理者のキャリアアップ方法

施工管理技士取得に向けて学習する様子

設備管理者としてキャリアアップするには、以下のような方法があります。

  • チームの育成と指導に力を入れる
  • 研修や外部のセミナーに参加する
  • 設備管理に関する資格を取得する

各キャリアアップ方法の詳細について、解説していきます。

チームの育成と指導に力を入れる

設備管理のリーダーとして働く場合、個人のスキルだけでなく、チーム全体で効率的に設備を運用・保守する「リーダーシップ」や「管理能力」が求められます。

これまでの経験を活かして後輩社員を育成することで、チーム全体の知識や技術が底上げされ、業務効率もアップします。

管理職へのキャリアアップを目指す場合は、チーム育成や指導に関する知識を積極的に身につけていきましょう。

研修や外部のセミナーに参加する

自社研修や外部セミナーへの参加は、設備管理者としてスキルや知識を更新する上で役立ちます。

定期的にセミナーなどへ参加することで、業界のトレンドや最新技術について学べるため、技術者としての成長に繋がります。

積極的に研修に参加することは、向上心のアピールにもなり、社内での評価も高まります。技術者としてさらに成長したい場合は、セミナーや研修への参加を検討してみましょう。

設備管理に関する資格を取得する

設備管理に関する資格の取得は、技術者としてのスキルを証明するだけでなく、仕事の幅を広げる上で有効です。

設備管理で扱う設備には、有資格者でなければ扱えないものが多く、施設の規模によっては管理者の選任義務もあります。

電気主任技術者を例に挙げると、資格を取得することで、高圧電気設備の運用や保守を担当できるようになります。大規模な施設に設置されている「事業用電気工作物」に対しては、保安・監督の役割を担う、主任技術者の選任義務もあります。

このように関連資格を取得することで、設備管理業界での人材価値が高まり、キャリアアップに繋がります。

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター

空調設備資格の需要

冷凍機械を点検する様子

資格取得についてネット上で検索すると「意味がない」といったネガティブな声もあります。「キャリアアップには役立たないのでは」と、不安に感じる方もいるでしょう。

ここでは、空調設備業界の将来性や、特に需要が高い資格について解説していきます。

空調設備業界の将来は明るい

空調設備はビルや商業施設、病院といった、あらゆる施設に欠かせないものです。

近年は、地球温暖化対策に伴い、省エネに特化した空調設備に切り替える企業も増えてきており、設備管理者の需要は高まっています。

設備の些細な異常を早期に発見するには、人による点検が欠かせないため、ロボットによる業務の自動化も難しい職種です。将来的にも空調設備に関する仕事がなくなることはないと言えます。

特に需要が高い資格

特に需要の高い資格には「管工事施工管理技士」や「電気工事士」があります。

管工事施工管理技士は、配管工事全体を管理・監督する役割を担っており、一定の基準を満たす工事では、主任技術者の選任義務があります。

前述の通り、空調設備の切り替え需要が高まってきていることもあり、今後さらに需要が高まっていくと予想されている資格です。

電気工事士は、空調設備の設置や配線業務などを行う上で必要な資格です。設備の運用が始まった後は、各設備の点検や電気系統のトラブル対応の際にも役立ちます。

空調設備の技術者として、このような資格を取得することで仕事の幅が広がり、キャリアアップへと繋がります。

空調設備関連の資格はどれをとればいい?

資格勉強をする技術者

空調設備の仕事で役立つ資格を取得する場合、従事する業務内容に沿ったものを選ぶ必要があります。

ここでは、空調設備の仕事で活かせる資格について、どのような業務や職場で役立つのか解説していきます。

冷凍機械責任者

冷凍機械責任者は、冷凍設備や空調設備を管理・保安するための資格です。稼働状況を監視し、適切な温度や圧力を維持するための運転操作や、定期点検による部品の消耗チェックなどを行います。

扱う冷凍設備の規模によって第一種・第二種・第三種に分かれており、食品工場や冷蔵倉庫、医療施設といった施設で活かせる資格です。

参考:高圧ガス保安協会

電気工事士

電気工事士は、電気設備の設置工事や取扱いに必要な資格です。各施設における電気配線作業のほか、配電盤や照明器具の設置といった業務をこなします。

設備管理の仕事では、電気設備の維持管理や電気系統の不具合が発生した際の対応に役立ちます。

参考:一般財団法人 電気技術者試験センター

ボイラー技士

ボイラー技士は、ボイラー設備の運転や保守管理を行うための資格です。配管やバルブの漏れを点検したり、異常を検知した際に原因を特定した上で、修理や調整を行ったりします。

扱うボイラー設備によって特級、1級、2級の3種類に分かれており、製造工場や商業施設、マンションといった、さまざまな施設に欠かせない存在です。

参考:一般社団法人 日本ボイラ協会

関連記事:ボイラー技士の難易度と資格取得方法に関する対策|仕事内容と勉強方法

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は、管工事全体を管理する役割を担っている資格です。工事を計画通り終わらせるために、「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」「環境管理」の観点から工事現場を管理します。

設備管理の仕事では、設備の保安計画の立案や、工事を依頼した際の管理業務で役立ちます。工事管理で培った安全管理スキルは、設備点検業務にも活かせるでしょう。

参考:一般社団法人 全国建設研修センター

関連記事:【2024年版】1級管工事施工管理技士の試験概要|資格取得の方法、勉強のコツ
関連記事:2級管工事施工管理技士とは|資格取得の方法と勉強のコツ

冷媒フロン類取扱技術者

冷媒フロン類取扱技術者は、冷媒(フロンガス)を適切に取り扱うための資格です。扱う設備にはエアコンや冷凍機などがあり、冷媒の回収や漏れの検査、設備の修理などを行います。

空調設備のメンテナンス会社や、冷凍・冷蔵設備を設置している企業などで役立ちます。

参考:一般社団法人 日本冷凍空調設備工業連合会

建築物環境衛生管理技術者

建築物環境衛生管理技術者は、オフィスビル・工場・病院といった施設で、環境衛生管理を行うための資格です。

具体的には、空気環境・給排水設備・照明および衛生設備の管理を行います。共用部分をきれいな状態で保ち、ゴキブリやネズミといった害虫・害獣の発生を防ぐことも業務に含まれます。

参考:公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター

危険物取扱者・乙種4類

ガソリンや灯油といった引火性液体の危険物を取り扱うための資格です。各種製造工場やボイラー設備のある施設では、燃料としてこれらの危険物を扱うため、さまざまな職場で需要があります。

扱える危険物や携われる業務内容に応じて「乙種」「甲種」「丙種」に分けられています。乙種は、設備管理関連の仕事に就く多くの技術者が保有している資格の1つです。

参考:一般財団法人 消防試験研究センター

関連記事:危険物取扱者の難易度は?資格の種類や勉強時間について
関連記事:危険物取扱者・丙種とは?難易度や乙種・甲種との違いについて

空調設備関連資格の難易度

作業員が話し合う様子

働きながら資格取得を目指す場合、勉強時間の確保が難しいことから、資格取得の難易度も踏まえて資格を選ぶ必要があります。

ここでは、比較的取得しやすい資格と、難易度が高く取得が難しい資格を紹介していきます。

比較的取得しやすい資格

空調設備管理の仕事で活かせる資格の中で、比較的簡単に取得できるものは以下の通りです。

  • 第二種冷媒フロン類取扱技術者:1年の実務経験を満たしていれば、講習(1日)を受講し、修了試験に合格することで取得できる。
  • 第二種電気工事士:筆記試験と実技試験に合格すれば取得できる。参考書や通信講座の種類が多く、初学者でも取り組みやすい。
  • 危険物取扱者・乙種4類:特別な受験資格がなく、取得に必要な勉強時間は40〜60時間と言われており、短期間で合格を狙える。

資格取得の経験がなく、学習スケジュールの立て方などが分からない場合は、最適なカリキュラムが組まれている通信講座がおすすめです。

取得が難しい資格

設備管理の仕事をこなしながら取得するのが難しい資格は、以下の通りです。

  • 2級管工事施工管理技士:受験資格に実務経験が設けられており、設備管理の業務は含まれていないため、該当する仕事に就く必要がある。初学者の場合3ヶ月前後の勉強が必要と言われており、合格率は4〜6割で推移している。
  • 建築物環境衛生管理技術者:合格に必要な勉強時間は、約1,000時間と言われており、直近の試験合格率は1〜2割で推移している。
  • エネルギー管理士:出題範囲が非常に広く、出題内容も専門的なものが多いため、初学者が独学で学ぶのが難しい。合格率は3割ほどで推移している。

現時点で実務経験などの受験資格を満たしている資格を見つけた上で、受験を検討してみましょう。

出典:2級工事施工管理技士の合格率 | 総合資格学院

短期間で取得できる空調設備関連の資格

工場設備について作業員が話し合う様子

空調設備に関連する資格の中には、短期間で取得を目指せる資格もあります。ここでは、各資格の取得にかかる時間について解説していきます。

危険物取扱者・乙4類

危険物取扱者・乙4類に特別な受験資格はなく、取得に必要な勉強時間は40〜60時間と言われています。1日2時間ずつ学習を進めた場合、1〜2ヶ月で取得できる計算です。

万が一不合格となった場合も、ほぼ毎月試験が実施されているため、すぐに再挑戦できます。

関連記事:危険物取扱者乙4類の難易度は高い?試験概要や合格率について

第二種電気工事士

第二種電気工事士は、受験資格がなく誰でも受験可能です。格取得に必要な勉強時間は100〜200時間と言われているため、初学者の場合は200時間を目安にしましょう。

1日2時間ずつ勉強を進めた場合、約3〜4ヶ月で合格を狙えます。試験は年に2回実施されるため、日程を確認した上で受験計画を立ててみましょう。

関連記事:【2024年度】第二種電気工事士の試験概要|試験日や合格発表日について

第三種冷凍機械責任者

第三種冷凍機械責任者は、特別な受験資格がなく、誰でも受験可能です。資格取得に必要な勉強時間は、経験者で50〜60時間、初学者で90〜120時間と言われています。

初学者が1日に2時間ずつ勉強を進めた場合、4〜6ヶ月で合格を目指せます。試験実施回数は、年に1回のみ(11月前後)であるため、申し込み期間などを確認した上で、学習を進めていきましょう。

関連記事:第三種冷凍機械責任者とは?日程や費用など試験概要や合格率

空調設備資格の勉強方法

サラリーマンが笑う様子

資格取得の勉強方法は、主に3つあります。

  • 独学で勉強する
  • 通信講座を活用する
  • 公表されている過去問を解く

独学で勉強する場合は、参考書をメインに学習を進めていきます。参考書には初学者向けのものと上級者向けのものがあるため、レビューなどを確認してから選びましょう。

近年は、YouTubeでも資格取得に関する解説動画が多数投稿されているため、ちょっとした空き時間に視聴するのもおすすめです。

出題範囲の内容が難しいと感じた場合は、通信講座を活用しましょう。初学者向けに最適なカリキュラムが組まれており、講師陣への質問も可能です。

ある程度知識がある場合は、公表されている過去問を解き、苦手な科目を把握した上で理解を深めていきましょう。

空調設備資格取得後の転職先

学科免除について調べる様子

空調設備に関する関連資格を取得することで、仕事の幅が広がるため、キャリアアップを目的とした転職の可能性も広がります。

ここでは、2つのキャリアプランについて解説していきますので、転職を検討している方は参考にしてみてください。

知識を活かしてエネルギー管理会社、環境コンサルタントへ

エネルギー管理会社では、さまざまな施設におけるエネルギー消費の最適化や、コスト削減を図る業務に従事します。

環境コンサルタントは、企業や自治体に対して、環境負荷の軽減や持続可能な運用について指導する仕事です。個人で活動するほかに、コンサルティングファームに転職する方法もあります。

転職の際に重宝される資格には、エネルギー管理士や建築物環境衛生管理技術者があります。また、空調設備のメンテナンスや運用管理経験、エネルギー消費の最適化に取り組んだ経験があると転職後の業務で活かせます。

経営知識も習得し施設管理会社のオーナー側へ

設備管理の技術者として経験を積み、業務に必要な資格を取得することで、施設管理会社としての起業も可能です。

起業する際には、経営に関する知識も求められます。財務管理や営業、人材管理といった分野についても事前に身に着けておきましょう。

起業や経営に関する知識は、オンライン教材や短期のビジネス講座などで身に着けられます。商工会議所などでは、関連セミナーが定期的に開かれているため、リサーチしてみましょう。

空調設備資格に関するよくある質問

デスクワークをこなす様子

最後は空調設備の関連資格に関する、3つのよくある質問に答えていきます。

  • 空調メンテナンスに必要な資格は?
  • 第一種電気工事士取得者は定期講習の受講が必須ですか?
  • 設備管理者の転職先は?

資格取得やキャリアプランに関する内容ですので、参考にしてみてください。

空調メンテナンスに必要な資格は?

空調メンテナンスに必要な資格は、担当する業務にもよりますが、以下のような資格があります。

  • 第二種電気工事士
  • 冷媒フロン類取扱技術者
  • ボイラー技士
  • 危険物取扱者
  • 冷凍機械責任者

設備管理業への転職を検討している場合は、求人票で業務内容と優遇される資格を調べてみましょう。

第一種電気工事士取得者は定期講習の受講が必須?

第一種電気工事士を取得した場合、5年ごとに定期講習の受講が義務付けられています。受講しなかった場合、違法となり免状の返納を命ぜられる可能性があります。

ちなみに、電気工事士の資格を必要としない仕事に転職した場合も、免状の交付を受けている人は定期講習を受講しなければなりません。

関連記事:【2024年版】第一種電気工事士の試験概要|合格率や勉強時間について

設備管理者の転職先は?

設備管理者の経験があれば、さまざまな会社へ転職可能です。

  • ビル管理会社
  • 製造工場の設備管理部門
  • 病院や医療施設の設備管理
  • エネルギー管理会社
  • 不動産管理会社の設備管理部門
  • 施設管理やエネルギー効率のコンサルティング会社

関連の求人票をもとに、キャリアップできそうな転職先を見つけてみましょう。

空調設備の資格を取得してキャリアアップに繋げよう

作業員が遠くを見つめている様子

空調設備に関する仕事で役立てられる関連資格にはさまざまな種類があります。

資格によって従事できる業務内容や取得難易度が異なるため、将来のキャリアプランに沿った資格の取得を検討してみましょう。

関連資格とこれまでの経験を活かして、別の職種へ転職することも可能です。資格取得だけでなく、関連のセミナーや研修を受けるなどして知識やスキルを身に付けてみましょう。

「空調設備の資格を活かした仕事がしたい」「設備関連の仕事に就きたい」など、資格取得後に転職を検討している場合は、建設業界特化の転職エージェント「建職キャリア」にご相談ください。

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この記事を書いたライター

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工業高校・航空専門学校で「電気工事士」「危険物取扱者」「けん引免許」などの資格を取得。学校卒業後は、航空貨物を扱う会社の輸入部署にて、倉庫業や物流業に関する仕事に約8年ほど従事。転職後はカーコーティング会社でマーケティング担当として約5年間勤務。現在は自身の経験をもとに専業Webライターとして活動中。

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