タクシードライバーと聞いて「男性の仕事」といったイメージを持つ人も多いかもしれません。
実際に、女性のタクシードライバーは、かなり珍しいと言えるでしょう。
しかし最近では、女性でタクシードライバーに挑戦する人が増加傾向にあります。
今回は、なぜ女性のタクシードライバーが増えてきているのか、詳しく解説していきます。
この記事でわかること ・タクシー業界における女性ドライバーの割合 ・女性のタクシードライバーが増えてきている理由 ・女性がタクシードライバーになるメリットとデメリット ・現役の女性タクシードライバーの声 |
女性でもタクシードライバーとして活躍できる
全国ハイヤー・タクシー連合会が公表した、タクシー業界で働く女性ドライバーの割合は以下の通りです。
【平成28年・都道府県別労働組合の組織状況】
地域 | 従業員総数 | 女性従業員数 | 女性従業員数の割合 |
北海道 | 17,741人 | 1,013人 | 5.7% |
東北 | 20,167人 | 1,727人 | 8.6% |
関東 | 120,232人 | 5,733人 | 4.8% |
北陸信越 | 11,092人 | 1,240人 | 11.2% |
中部 | 25,746人 | 1,938人 | 7.5% |
近畿 | 39,022人 | 1,774人 | 4.5% |
中国 | 17,291人 | 1,588人 | 9.2% |
四国 | 6,276人 | 606人 | 9.6% |
九州・沖縄 | 43,974人 | 2,960人 | 6.7% |
全地域 | 301,541人 | 18,579人 | 6.2% |
全国ハイヤー・タクシー連合会が公表したデータによれば、タクシー業界で働く女性ドライバーの割合は依然として少数ではありますが、徐々に増加傾向にあります。
従来は男性の職業というイメージが強かったタクシードライバーですが、女性でも目指せる時代が来たと言っていいでしょう。
たとえば、北陸信越地方では、女性従業員の割合が11.2%と比較的高く、他の地域と比べて女性の進出が目立っています。
また、東北地方でも8.6%と比較的高い割合を示しており、特定の地域で女性のタクシードライバーの活躍が広がっていることが伺えます。
参照:労働組合組織実態調査(平成28年10月末現在)|全国ハイヤー・タクシー連合会
女性タクシードライバーが増えている理由
タクシー業界における女性ドライバーの割合は、現時点で1割前後と少ない一方で、年々増加している傾向にあります。
内閣府が発表した、タクシードライバー数と女性のタクシードライバーの推移は、以下の通りです。
年度 | タクシー運転者数 | 女性ドライバーの割合 |
平成17年 | 約22.5万人 | 2.2% |
平成20年 | 約20万人 | 2.5% |
平成23年 | 約20万人 | 2.3% |
平成26年 | 約17万人 | 2.5%(H27年) |
人口減少によって毎年タクシードライバーの数は減ってきているものの、女性ドライバーの割合は徐々に増えてきています。
男性ドライバーが多いタクシー業界で、女性タクシーが年々増加している理由は主に以下の3つです。
・業界が積極的に採用している
・子育てと両立しやすい
・マイペースに仕事ができる
ここでは、上記について詳しく解説します。
業界が積極的に採用している
タクシー業界は、隔日勤務で労働時間が長いこともあり、体力のある男性ドライバーの採用がほとんどでした。
しかし近年では、乗客のニーズに合わせて、女性ドライバーの採用に力を入れているタクシー会社が増えてきています。
女性ドライバーを採用するメリットは3つあります。
・女性ならではの細かい気遣いができて、顧客満足度を上げやすい ・男性と比べて運転が丁寧で乗り心地が良い ・女性の乗客の場合、男性よりも女性ドライバーの方がくつろぎやすい |
乗客のニーズを踏まえ、タクシー会社では、女性がタクシー業界に挑戦しやすくなるような職場環境の改善も行っています。
具体的な取組みとしてあるのが、女性専用の仮眠室・浴場・更衣室の完備です。
職場の環境を整えることにより、少しずつ女性の応募が増えてきています。
日の丸交通株式会社では、女性ドライバーを指定して予約ができる新たなサービスも開始しています。
子育てと両立しやすい
タクシー業界は1回の勤務で2日分働く「隔日勤務」が主流です。
しかし、早番や遅番でドライバーを募集しているタクシー会社も少なくありません。
24時間営業が多いタクシー会社では、シフト制で出勤時間の調整もしやすく、希望した時間帯で働くことも可能です。
子供の送迎などに合わせた働き方ができることを理由に、タクシー業界に応募する人もいます。
ちなみに隔日勤務とは、7時〜翌2時というように、1回の勤務で20時間前後まとめて働く勤務です。
長時間勤務ではありますが、途中3時間の休憩が用意されており、自分の好きなタイミングで休めます。
マイペースに仕事ができる
タクシードライバーは、一人で過ごす時間が多く、待機中の過ごし方に細かいルールはありません。
休憩時間に関しても、自分の好きな時間に休めるため、マイペースに働きやすい仕事と言えます。
最低限の接客業務はあるものの、人間関係によるストレスはほとんどありません。
仕事の引き継ぎ等も発生しないため、周りに気を遣って出勤時間を調整したり、家に仕事を持ち帰ったりすることもありません。
女性がタクシードライバーになるメリット
タクシードライバーは24時間営業である会社が多く、シフト制が主流です。
収入に関しては歩合制であり、結果次第で給料が変わります。
これらの勤務形態は、女性にとってメリットになり得ます。
ここでは、女性がタクシードライバーになるメリットについて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
シフトの融通が利く
タクシードライバーのシフト勤務には、昼日勤・夜日勤・隔日勤務の3種類があります。
昼日勤は7〜9時に出勤し16〜18時まで働くような流れです。
夜日勤は17〜18時に出勤し翌2〜3時まで働きます。
出勤時間に関しては、複数のパターンがあるため、他の職種と比べても時間に融通が利きやすい特徴があります。
隔日勤務に関しても、勤務が終わった日とその翌日は必ず休みになるため、2連休のような感覚で時間を使うことも可能です。
体力的に大変といった声もありますが、3時間の休憩が用意されており、休むタイミングは自由に決められます。
常に動き回るわけでもないため「慣れればそこまで辛くない」といった意見も多くあります。
関連記事:タクシー運転手の隔日勤務はつらい?労働時間の実態を徹底検証
高収入の可能性がある
タクシー業界は基本的に歩合制であり、性別や経験年数に関係なく、売り上げで給料が決定します。
乗客の見つかる場所や時間帯を覚えれば、一定以上の結果を出すことも十分可能です。
細やかな気配りや丁寧な運転が得意な女性は、売り上げも上げやすいと言えます。
中には、働き始めて1年も経たないうちに、年収500~600万円稼ぐようなドライバーもいます。
関連記事:女性タクシードライバーになる3つのメリットと転職時の注意点
女性がタクシードライバーになるデメリット
女性がタクシードライバーとして働く場合、デメリットも少なからずあります。
・セクハラを受ける可能性がある
・トラブルに巻き込まれる可能性がある
タクシードライバーの辛さも踏まえながら、2つのデメリットについて解説していきます。
セクハラを受ける可能性がある
勤務時間帯にもよりますが、タクシードライバーとして最も稼ぎ時となる夜間帯には、お酒に酔った乗客を乗せることがあります。
酔っ払って気持ちが大きくなっている乗客から暴言を吐かれたり、セクハラまがいの会話をされたりすることも珍しくありません。
「仕事だから」と割り切れる人であれば問題ありませんが、こういったストレスに耐えきれず退職する人も中にはいます。
トラブルに巻き込まれる可能性がある
タクシーの車内は、密室で周りに状況が伝わりにくいこともあり、強盗の標的になりやすいと言えます。
酔った乗客とトラブルになり、暴力を受けるといった事例も発生しており、力の弱い女性の場合は特に注意が必要です。
近年はドライブレコーダーで車内を撮影しており、緊急事態を知らせるボタンもあるため、被害は減少しているものの、絶対に安心とも限りません。
女性タクシードライバーの1日の流れ
ここでは、女性タクシードライバーの1日の流れの例を紹介します。お子様がいる女性ドライバーの例を紹介するので参考にしてください。
8:00 出社と準備
お子様と一緒に家を出発し、会社に到着後、まずはアルコールチェックと車両点検をおこないます。カーナビや免許証の期限なども確認した後、体調チェックを含む点呼を受けましょう。
企業によっては、このようにお子様と一緒に出勤できる環境もあります。
8:15 保育園への送り
点呼が終わると、タクシーでそのままお子様を保育園に送ります。保育園にお子様を見送った後は、仕事モードに切り替えて営業開始します。
9:00 営業開始
配車アプリを使えば、次々に仕事の依頼が入ります。安全運転を心がけながら、お客様を安心して目的地までお届けします。女性ドライバーとして、きめ細やかなサービスが強みです。
12:00 ランチ休憩
午前の仕事を終えた後、ゆっくりとランチを取り休憩します。
13:00 午後の営業
午後も午前と同様に営業をおこないます。
17:00 点検と業務終了の準備
帰社後、車両点検や洗車をおこない、夜勤担当者へ車両を引き継ぎます。売上の集計を終えたら、業務は終了です。
17:15 保育園へのお迎え
仕事を終えたら保育園にお子様を迎えに行き、そのまま一緒にスーパーへ立ち寄って買い物を済ませます。
現役女性タクシードライバーのリアルな声
女性がタクシードライバーとして働く、メリット・デメリットについて解説してきましたが、実際に働いている人はどのように思っているのでしょうか。
ここでは、現役の女性タクシードライバーの意見を3つ紹介していきます。
長く勤められる仕事が良かった
1つ目の意見は、子育てをしながらタクシードライバーとして働いている女性の意見です。
子供が中学に進学するタイミングで働こうと決めており、運転が好きだったのでタクシードライバーに挑戦することにしました。
はじめの内は運転にばかり集中してしまい、接客に苦戦しましたが、次第に慣れていきました。 力仕事は一切なく、時間に追われるようなこともないため、今後も長く働けると確信しています。 周りは男性ばかりですが、特に窮屈な思いをすることもなく、マイペースに働けています。 |
家庭と両立させやすい
2つ目の意見は、子育てと仕事を両立させながら働いている女性の意見です。
フルタイムで働ける仕事を探していたのですが、子供の送り迎えに合う勤務時間の仕事がなく、悩んでいたところでタクシードライバーという仕事に興味を持ちました。
出勤時間は、私の都合に合わせてもらう形で調整してもらい、働いています。 子供の体調不良などで早退する日があっても、個々で動いているので、周りの迷惑をかけないこともメリットと感じています。 休憩はどこでも取れるので、家に立ち寄ってちょっとだけ家事をしてから仕事に戻っています。 体力的にも辛いと感じることはなく、今では楽しんで続けられています。 |
頑張りが給料に反映されるのが嬉しい
3つ目の意見は、タクシードライバーとしてしっかり稼げている女性の意見です。
車の運転が好きで、自動車教習所の送迎の仕事をしていたのですが、コロナの影響で休みが増えて収入が落ちてしまっている状態でした。
それなりに稼げる運転の仕事を探していた結果、タクシードライバーとして働くこととなりました。 初めは道を覚えるのが大変でしたが、次第に慣れて今では隔日勤務で働いています。 夜間帯は稀に酔ったお客様に理不尽なことを言われる時もありますが、話が通じない時にはそのまま交番へ向かうようにしています。 収入に関しては前職の2倍ほど稼げるようになり、今後も続けていきたいと感じています。 |
女性のタクシードライバーの中には、子育てが終わり隔日勤務で働いているといった人も多くいました。
体力面に関しては「慣れたらそこまできつくない」と感じている人が多い印象がありました。
関連記事:タクシードライバーの仕事内容・年収の実態を徹底解説
関連記事:40代でタクシー運転手への転職はあり?歓迎される理由を解説
女性タクシードライバーについてのまとめ
女性タクシードライバーの割合は1割程度と、まだまだ少ないのが現状です。
しかし最近では、女性を積極的に採用しているタクシー会社が増えてきており、労働環境の改善に向けた取組みも行われています。
シフトの融通が利きやすく、歩合制であるため結果次第では高収入も目指せます。
楽しいことばかりというわけではないものの、女性であっても問題なく働き続けられるでしょう。
近年は、コロナウイルスの影響も限定的になってきており、さらにタクシードライバーの需要が上がっていくと予想されています。
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