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1級電気工事施工管理技士とは?仕事内容や2級との違い、年収事情

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1級電気工事施工管理技士とは?仕事内容や2級との違い、年収事情

1級電気工事施工管理技士とは、電気工事に「監理技術者」として携わるために必要な資格で、あらゆる施設の電気工事に欠かせない存在です。

1級電気工事施工管理技士の受験に興味があるものの、取得することでどのようなメリットがあるのか、誰でも簡単に取得できる資格なのかよく分からないという方もいるでしょう。

実際、資格を取得することで、あらゆる電気工事に監督者として携わることができ、建設業界で長く活躍し続けられます。

今回は、1級電気工事施工管理技士とは何か、仕事内容や資格取得のメリットや年収などについて解説していきます。受験する人向けに試験の概要も紹介していますので、参考にしてみてください。

この記事のまとめ

・1級電気工事施工管理技士とは、電気工事を計画通りに終わらせる役割を担う電気工事に欠かせない存在

・1級資格を取得することで、あらゆる電気工事に監理技術者として携われるようになる

・資格取得により、技術者としての知識やスキルの高さを証明できるようになり、社内での昇給や昇格に繋がる

1級電気工事施工管理技士とは

技術者が腕を組む様子

冒頭で解説した通り、1級電気工事施工管理技士はあらゆる電気工事に欠かせない存在です。しかしながら、具体的な役割や2級資格との違いが分からないという方もいるでしょう。

まずは、電気工事施工管理技士がどのような資格なのか、2級との違いや取得難易度などについて解説します。

電気工事施工管理技士とは

電気工事施工管理技士とは、工事監督者として工事全体を管理しながら、計画通りに終わらせる役割を担っています。

施工管理者の主な管理内容には「品質・原価・工期・安全・環境」の5項目があり、これを施工管理の五大管理と呼びます。

工事工程の知識はもちろん、多くの職人たちをまとめ上げるリーダーシップスキルが求められる仕事です。

全ての電気工事で配置が義務付けられており、建設業界に必要不可欠な存在です。そのため、需要が落ちることはなく将来性の高い資格と言えます。

ちなみに、担当する工事によって、電気工事以外では以下のような資格が設けられています。

・建築施工管理技士
・管工事施工管理技士
・土木施工管理技士
・電気通信工事施工管理技士
・建設機械施工管理技士
・造園施工管理技士

2級電気工事施工管理技士との違い

2級と1級では、電気工事に携わる際の立場が異なります。2級は「主任技術者」として、1級は「監理技術者」として従事できます。

主任技術者とは
下請けや元請け、工事規模に関係なく、あらゆる建設工事に配置する義務がある
監理技術者とは
工事発注者から直接請け負う工事で、4,500万円(建築一式では7,000万円)以上の下請契約を締結する場合に配置が義務付けられている

つまり、1級資格を取得することで、大規模な電気工事にも施工管理者として携われるようになります。

1級電気工事施工管理技士の年収

作業員同士で話し合う様子

職業情報提供サイト・jobtagが公表した、建築施工管理技術者の令和5年度における平均年収は632万8,000円です。

電気工事施工管理技士も仕事内容や立場が同じであることから、年収は600万円前後と推測されます。

実際にある1級電気工事施工管理技士の求人には、以下のような推定年収のものがありました。

主な仕事内容想定年収
石油プラント・水処理プラントの日常保全工事504~684万円
マンション・ビルの電気設備工事の施工管理600~1,200万円
商業施設・オフィスビルにおける電気設備工事施工管理500万円
東アジア・東南アジアでの屋内電気設備工事の工事管理500~850万円

全て働き始めの想定年収であるため、ある程度経験があれば年収500万円以上はすぐに目指せると推測されます。

出典:職業情報提供サイトjobtag・建築施工管理技術者|厚生労働省
参考:indeed

1級電気工事施工管理技士を取得するメリット

デスクワークをこなす様子

1級電気工事施工管理技士を取得するメリットには、以下のような内容があります。

・知識やスキルの高さを公的に証明できる
・業界内でのキャリアアップに役立つ

なぜキャリアアップを目指しやすくなるのか、建設業界の仕組みを交えながら解説していきます。

知識やスキルの高さを公的に証明できる

施工管理技士になると「専任技術者」として選任されるようになり、知識やスキルを公的に証明できます。

専任技術者とは、請負契約の適正な締結をサポートする役割を担っており、施工管理技士の有資格者でなければ選任できません。

また、公共工事を直接請け負う建設業者が受けなければならない「経営事項審査」では、施工管理技士の在籍が加点対象となります。技術力の証明になり、企業全体の評価が上がります。

業界内でのキャリアアップに役立つ

前述した通り、1級施工管理技士になることで専任技術者になれたり、経営事項審査にて加点対象として評価してもらえたりします。

携われる電気工事の幅も広がり、企業に対してこれまで以上に貢献できるため、昇給や昇格も期待できます。

また、業界内での需要が高いことから、さらに条件の良い企業への転職も有利に進められるでしょう。業界内でのキャリアアップを目指し、多くの人が施工管理技士取得に挑戦しています。

1級電気工事施工管理技士の試験内容

女性社員がデスクワークする様子

ここからは実際に資格を取得するときに気になる試験概要などを紹介します。

試験では、工事計画や施工図の作成、品質・工程・安全管理などを適確に行える技術を要しているかが試されます。試験は第一次・第二次検定に分かれており、試験日程や内容は以下の通りです。

試験日程

令和6年度・1級試験の日程は以下の通りです。

 申請受付期間試験日合格発表
第一次検定2月22日(木)~3月8日(金)まで
第一次検定のみの新規受験のみ4月5日(金)まで
7月14日(日)8月23日(金)
第二次検定2月22日(木)~3月8日(金)まで10月20日(日)令和7年1月10日(金)

試験内容

1級試験における、第一次検定・第二次検定の試験内容は以下の通りです。

第一次検定

検定科目検定の基準解答形式
施工管理法・監理技術者の補佐として、電気工事の施工管理を適確に行なうために必要な施工計画の作成方法

・品質、工程、安全管理などの施工管理方法に関する知識

四肢択一
監理技術者の補佐として、電気工事の施工管理を適確に行なうための応用能力五肢択一 
電気工学等・施工管理を適確に進めるうえで必要な電気通信工学、電気工学、機械工学、土木工学、建築学に関する一般的な知識

・施工管理を適確に進めるうえで必要な設計図書に関する一般的な知識

・施工管理を適確に進めるうえで必要な変電設備、発電設備、構内電気設備、送配電設備に関する一般的な知識

四肢択一 
法規建設工事の施工管理を適確に行なうために必要な法令に関する一般的な知識四肢択一 

第二次検定

検定科目検定の基準解答形式
施工管理法監理技術者として、電気工事の施工管理を適確に進めるための知識五肢択一
・監理技術者として、設計図書にて要求される変電設備、発電設備、構内電気設備、送配電設備等の性能を確保するために、設計図書の内容を正確に理解できる

・電気設備の施工図を適正に作成し、必要な機材を選定したうえで配置なども行なえる応用能力

記述

令和6年度からの受験資格の改正を受けて、同年度の試験問題から一部見直しが行なわれることが決まっています。

参考:令和6年度・1級 電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人 建設業振興基金

1級電気工事施工管理技士の難易度

1級試験の合格率は、以下の通り推移しています。

試験実施年度第一次検定第二次検定
令和4年度38.3%59.0%
令和3年度53.3%58.8%
令和2年度38.1%72.7%

第一次検定は約4割、第二次検定は約6割で推移しており、合格率は高めと言えるでしょう。

ただし、第二次検定を受験するには所定の実務経験を満たす必要があります。受験者の大半が現役技術者であることを踏まえると、難易度は高いと言えるでしょう。

参照:令和4年度 建築・電気工事施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表|国土交通省

1級電気工事施工管理技術検定の受検資格

1級試験は、第一次検定と第二次検定に分かれており、それぞれに受験資格が設けられています。令和6年度からは、その内容が新しくなります。

ここでは、受験資格の変更点や注意点について解説します。

令和6年度から受験資格が変更

近年、施工管理者が不足しており、将来的にはさらに問題が深刻化すると予想されています。これを受けて令和6年度より、受験資格が改正されました。

一次検定に関しては、19歳以上であれば誰でも受験できます。改正された、二次検定の受験条件は以下の通りです。

第二次検定の新・受験資格

受験対象者受験資格
1級・第一次検定合格者試験に合格後、5年以上の実務経験
試験に合格後、3年以上の実務経験(特定実務経験を1年含む)
試験に合格後、1年以上の実務経験(監理技術者補佐として)
2級・第二次検定に合格後、1級・第一次検定に合格した人2級試験に合格後、5年の実務経験
2級試験に合格後、3年以上の実務経験(特定実務経験を1年含む)
第一種電気工事士試験の合格者試験に合格後、5年以上の実務経験
第二次検定に合格後、実務経験を3年以上(特定実務経験を1年含む)

特定実務経験」とは、建設業法が適用される請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、主任技術者・監理技術者の指導下のもと、施工管理を行った経験を言います。

第二次検定は古い受験資格でも受験可能

受験資格を改正した経過措置として、令和6~10年までは新・旧どちらかの受験条件を満たしていれば受験できます。旧受験資格の内容は以下の通りです。

第二次検定の旧・受験資格

受験者の学歴など受験資格
大学および専門学校の高度専門士指定学科の場合、3年以上の実務経験
指定学科以外の場合、4年6ヵ月以上の実務経験
・短期大学
・5年制高等専門学校
・専門学校の専門士
指定学科の場合、5年以上の実務経験
指定学科以外の場合、7年6ヵ月以上の実務経験
・高等学校
・中等教育学校
・専修学校の専門課程
指定学科の場合、10年以上の実務経験
指定学科以外の場合、11年6ヵ月以上の実務経験
その他15年以上の実務経験
第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状の交付を受けている人合格後に6年以上の実務経験
第一種電気工事士免状の交付を受けている人実務経験年数に指定なし
2級電気工事施工管理試験・第二次検定の合格者5年以上の実務経験
2級電気工事施工管理試験・第二次検定の合格者で実務経験が5年に満たない人【短期大学、5年生高等専門学校、専門学校の専門士】
・指定学科で卒業:短縮なし
・指定学科以外で卒業:9年以上の実務経験
【高等学校、中等教育学校、専門学校の専門課程】
・指定学科で卒業:9年以上の実務経験
・指定学科以外で卒業:10年6ヵ月以上の実務経験
【その他】
通算14年以上の実務経験

実務経験の内容などに関しては、試験実施機関「建設業振興基金」で確認できます。

申請方法

試験の申請方法には、ネット申請と書面申請の2種類があり、受験内容によって異なります。

受験内容新規受験の場合再受験の場合
第一次検定のみネット申請ネット申請
第一次・第二次書面申請ネット申請・書面申請どちらでも可
第二次検定のみ書面申請ネット申請・書面申請どちらでも可

受検手数料

受験手数料は、第一次検定・第二次検定ともに13,200円で非課税です。

試験地

試験予定地は「札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・沖縄」です。

会場が確保できない場合、変更となる可能性があるため、必ず事前に確認しましょう。

1級電気工事施工管理技士に関してよくある質問

スマホを操作する様子

最後は、1級試験に関する3つのよくある質問に答えていきます。

・試験の過去問はどこで見れますか?
・合格者の年齢層はどれくらいですか?
・どのような仕事をしている人が受験していますか?

試験の過去問や受験者の状況に関する内容ですので、受験を検討するうえで参考にしてみてください。

試験の過去問はどこで見れますか?

試験の過去問は、試験実施機関である「建設業振興基金」の公式サイトから無料でダウンロードできます。

試験の合格基準なども、同じページに掲載されていますので、気になる方はチェックしてみてください。

合格者の年齢層はどれくらいですか?

2022年度試験における受験者の年齢層は、以下の通りです。

年齢層第一次検定第二次検定
20代29%26%
30代前半20%19%
30代後半14%14%
40代前半13%14%
40代後半12%14%
50代前半7%7%
50代後半3%4%
60代2%2%

施工管理に関する実務経験を積む必要があることから、最も多い年齢層は30代という結果でした。

どのような仕事をしている人が受験していますか?

2022年度試験における受験者の勤務先は、以下の通りです。

年齢層第一次検定第二次検定
建設業(電気)80%79%
建設業(その他)10%11%
設計事務所1%1%
官公庁1%1%
電力会社1%1%
鉄道会社1%1%
その他6%6%

1級電気工事施工管理技士試験の受験者は、建設業の従事者が9割を締める結果となりました。

1級電気工事施工管理技士についてのまとめ

作業員が遠くを見つめている様子

電気工事施工管理技士は、電気工事全体を管理する役割を担っています。1級を取得することで、工事規模に関係なくあらゆる電気工事の施工管理をできるようになります。

試験の合格率は4~6割で推移しており、決して低いわけではありません。ただし、実務経験を満たした現役技術者ばかりが挑戦していることを踏まえると、難易度は高いと言えるでしょう。

工事全体を管理する「監理技術者」は1級に合格した人しかなれないため、業界内で重宝される存在と言えるでしょう。

資格取得することで、キャリアアップはもちろん長く業界内で活躍し続けられます。建設業界で働いている方は、受験を検討してみてください。

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この記事を書いたライター

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T・S

工業高校・航空専門学校で「電気工事士」「危険物取扱者」「けん引免許」などの資格を取得。学校卒業後は、航空貨物を扱う会社の輸入部署にて、倉庫業や物流業に関する仕事に約8年ほど従事。転職後はカーコーティング会社でマーケティング担当として約5年間勤務。現在は自身の経験をもとに専業Webライターとして活動中。

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