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建設業の給料は安いのか高いのか?金額を決める10の基準を解説

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建設業の給料は安いのか高いのか?金額を決める10の基準を解説

建設業界は、都市の発展と共に変化し続ける分野の一つであり、多くのプロフェッショナルがその土台を支えています。

しかし、この業界の給料体系は外から見れば一見複雑であり、実際には多様な要因が絡み合っています。

では、建設業の給料はどのように決まるのでしょうか。

本記事では、建設業の給料の実態、建設業の給料が決まる要因などについて解説します。

建設業の給料は安いとは言えない

まずは、建設業の給料について解説します。

建設業の月収水準

建設業の作業員の月収の平均はおおよそ40万円と、飲食、医療福祉などの業界や全体平均と比較して高くなっています。

出典:令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

給与と賞与の水準

前述の通り、建設業の給与水準は、他業界と比較すると高いと言えます。これは賞与に関しても同様です。

ただし、建設業の場合は、他業界よりも長時間労働することが前提の数字となっていることに留意は必要です。

建設業の給料が安いかどうかを決める10の基準

続いては、建設業の給料が安いかどうかを決める基準を10個紹介します。

請け方

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の1つ目は、仕事の請け方です。

建設業の仕事の請け方は下記の3つに分けられており、それぞれで収入に差が生じます。

  • 材料持ち:619万円
  • 手間請け:629万円
  • 常用:480万円

出典:2022年首都圏4組合 賃金実態調査分析報告書|特定非営利活動法人建設政策研究所

工種

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の2つ目は、工種です。

建設業にはさまざまな工種が存在し、工種によって収入に差が生じます。以下は、各工種の年収の一例です。

  • 大工:590万円
  • 左官:523万円
  • 塗装:556万円
  • 電工:634万円
  • 配管:662万円

出典:2022年首都圏4組合 賃金実態調査分析報告書|特定非営利活動法人建設政策研究所

地域

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の3つ目は、地域です。

実際に工事を行う地域によっても、収入に差は生じます。以下は、各地域の年収の一例です。

  • 埼玉:640万円
  • 東京:638万円
  • 千葉:566万円
  • 神奈川:609万円

出典:2022年首都圏4組合 賃金実態調査分析報告書|特定非営利活動法人建設政策研究所

現場

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の4つ目は、現場です。

どのような現場であるかによっても、収入に差は生じます。以下は、各現場の年収の一例です。

  • 野丁場(大手ゼネコン):612万円
  • 野丁場(地場ゼネコン):608万円
  • 町場(施主直接):603万円
  • 町場(地場工務店):563万円
  • 町場(大手HM):653万円

出典:2022年首都圏4組合 賃金実態調査分析報告書|特定非営利活動法人建設政策研究所

勤務日数

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の5つ目は、勤務日数です。

多くの建設業の現場では、日給制や月給制が採用されているため、勤務日数が直接的に給料に影響を及ぼします。

例えば、一日の労働時間は同じであっても、月に20日働く場合と25日働く場合では、その差が明確に給料に現れることとなります。

さらに、建設業特有の天候に左右されやすい環境下では、雨天などでの休業が多い月は収入が減少するリスクも考慮しなければなりません。

そのため、安定した給料を求める場合、勤務日数を増やすことや、天候の影響を受けにくい内装や設備関連の仕事を選ぶなど、職種や業種の選択が鍵となる場合もあるのです。

出典:2022年首都圏4組合 賃金実態調査分析報告書|特定非営利活動法人建設政策研究所

職種

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の6つ目は、職種です。

職種によっても、収入に差は生じます。以下は、建設業の各職種の年収の一例です。

  • クレーン運転工:510万円
  • 電気工:472万円
  • 測量技術者:469万円
  • 配管工:467万円
  • トラック運転手:456万円
  • 鉄筋工:445万円
  • 玉掛け作業員:438万円

経験年数

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の7つ目は、経験年数です。

多くの業界と同様に、建設業も経験が増すにつれて技術や知識が磨かれるため、給料もそれに伴って上昇する傾向が見られます。

初心者や新入社員は基本的な作業を担当することが多く、給与も比較的低めに設定されることが一般的です。しかし、現場での経験を重ねることで、高度な技術やスキルを持つ専門家としての地位を確立できるようになり、その結果として給与も向上します。

特に、難易度の高い作業や専門的な知識を要するプロジェクトに参加することができれば、さらなる給与アップのチャンスが広がるでしょう。

しかし、経験年数だけが給与を左右するわけではなく、その経験の中でどれだけのスキルや知識を身につけたか、そしてそれをどれだけ実務で活かしているかが、給料の決定要因となる点を理解することが重要です。

資格の有無

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の8つ目は、資格の有無です。

建設業界は、多岐にわたるプロジェクトや業務が存在し、その多くが特定の技術や知識を要求されます。そのため、特定の資格を持っていることは、その分野の専門家としての確かな知識や技術を持っている証明となり、給与面での評価も高くなる傾向があります。

例えば、建築士や施工管理技士といった資格は、建設現場での重要なポジションに就くための必須条件となることも少なくなく、これらの資格を持つ者は高い給与を期待することが可能です。

一方、資格を持たない者は、限られた業務しか担当できないため、給与面で不利になる場合が多いです。

しかし、資格だけが給与の決定要因ではありません。経験や実績、そしてその資格を活かした実務能力が給与を大きく左右する要因となるのです。

雇用形態

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の9つ目は、雇用形態です。

建設業の雇用形態は、正社員、契約社員、派遣社員、パートタイムやフリーランスなど、多岐にわたります。

正社員として雇用されている場合、基本給や各種手当、ボーナスなどがしっかりと支給されることが一般的であり、安定した収入を期待することができます。また、福利厚生や昇進のチャンスも広がりやすいのも特徴です。

一方、契約社員や派遣社員の場合、正社員に比べて給与面での待遇が劣ることが多く、また雇用の安定性も低いため、収入が不安定になるリスクも高まります。

フリーランスやパートタイムの場合は、働く時間やプロジェクトの規模によって給与が大きく変動することもあり、その分高収入を得るチャンスもありますが、安定した収入を得るのは難しい場合が多いです。

したがって、給与の水準や待遇を考慮する際、雇用形態を注意深く選択することが重要となります。

残業代

建設業の給料が安いかどうかを決める基準の10個目は、残業代です。

多くの建設現場では、タイトな工期や悪天候により、予想以上の時間がかかることが少なくありません。その結果、残業が発生することも多いです。そして、給与の総額を考える際、基本給だけでなく、この残業代がどれほど支給されているかが大きな要因となります。

特に、残業代がきちんと計算され、正当に支給されているかどうかは、給与が安いのか高いのかを判断する大きなポイントとなります。

また、残業代が十分に支払われていない場合、実質的な時給が低下するため、給与の実感としても低く感じてしまうことがあるでしょう。

したがって、建設業の給与を評価する際には、基本給だけでなく、残業代の取り扱いもきちんと確認することが必要です。

関連記事:建設業で働く個人事業主の給料ランキングを職種別に紹介

ここ10年の建設業界の給料の傾向

建設業界では、資材コストの上昇が話題になっていますが、同時に人件費も確実に増加の一途を辿っています。近年の継続的な最低賃金の上昇は、建設業界にも影響を及ぼしているのです。

さらに、今後の給与は2023年を境に、さらなる上昇が見込まれています。帝国データバンクの最近のアンケートによれば、建設業界の3割以上の企業が、2023年の賞与を増額すると述べています。また、2023年には最低賃金も改定されました。

一方、建設投資は増加しているものの、建設業の従事者数は減っています。これにより「一人当たりの建設出資」が増大しており、2015年と2022年を比較すると、建設業界の労働者の労働量は4~8%増加していることがわかります。

建設業の今後の課題

続いて、建設業の今後の課題について解説します。

日給月給の見直し

建設業の今後の課題の1つ目は、日給月給の見直しです。

建設業界は長らく日給制や月給制を中心に給与体系が組まれてきました。しかし、現代の多様な働き方や労働市場の変化を考慮すると、この給与体系の見直しが求められています。

特に、建設業の過酷な現場作業や長時間労働が問題となる中、適切な報酬を保証するための制度を確立することが必要です。

加えて、技術者や専門家の確保、若手の育成と定着のためにも、給与体系を見直し、より公平でモチベーションを向上させる仕組みの導入が課題として浮上しています。

経費の自己負担を減らす

建設業の今後の課題の2つ目は、経費の自己負担を減らすことです。

建設業界において、従業員の経費の自己負担は、長年大きな問題とされてきました。特に、現場作業に必要な工具や保護具の購入、車両の維持費など、多くの経費が労働者の負担となっているケースが散見されます。

これが業界への新規参入の障壁となっているだけでなく、現場の労働者のモチベーション低下や離職の原因にもなっています。

今後の建設業の持続的な発展のためには、これらの自己負担を減少させ、従業員の経済的な負担を軽減する施策の導入と普及が急募となっているのです。

アナログな環境からの脱却

建設業の今後の課題の3つ目は、アナログな環境からの脱却です。

建設業界は、伝統的にアナログな業務手法や作業方法が色濃く残っているのが特徴です。例えば、手書きの図面や現場での口頭伝達、そして手作業による施工など、古くからの方法が未だに多く取り入れられています。

しかし、現代の技術進化のスピードを考慮すると、このアナログな環境は業界全体の生産性向上の足かせともなっています。

今後の建設業界の競争力を維持するためには、デジタル技術の導入や、最新の情報共有ツールの活用、さらにはAIやロボット技術を駆使した施工方法へのシフトが不可欠です。

この「アナログな環境からの脱却」は、建設業の未来を左右する大きな課題と言えるでしょう。

2024年問題への対応

建設業の今後の課題の4つ目は、2024年問題への対応です。

「2024年問題」とは、1980年代のバブル期に大量採用された労働者たちが次々と定年退職を迎える2024年を指し、それに伴う業界内の技術者や熟練労働者の大量流出が懸念される問題です。

これにより、経験と技術を持ったベテランの欠如が業界全体の品質や生産性に大きな影響を及ぼす可能性が高まっています。

この問題への対応としては、若手の技術者育成や知識の継承体制の構築、さらには外国人労働者の積極的な受け入れや働き方の多様化など、多岐にわたる戦略的な取り組みが求められています。

今後の建設業界の持続的な発展のため、この2024年問題の克服は避けられない重要なテーマとなっているのです。

関連記事:建設業で週休2日が導入されると給料が減る?義務化はいつから?

建設業で給料を上げるなら

続いては、建設業で給料を上げるためにすべきことを3つ紹介します。

転職

建設業で給料を上げるためにすべきことの1つ目は、転職です。

経験やスキルを積んだ後、自分の価値を再評価し、より高い給与や待遇を提供する企業を探求することは、給与アップの有効な手段となり得ます。

特に、建設業界はプロジェクトごとのニーズや状況、地域性によって求められる技術者の種類や給与が大きく変動するため、自分の経験やスキルセットを最大限に活かせる場所を見つけることで、給与の向上を実現することが可能です。

ただし、転職を考える際には、単に給与だけでなく、職場環境や将来的なキャリアパスなど、多角的な視点から判断することが重要となります。

資格の取得

建設業で給料を上げるためにすべきことの2つ目は、資格の取得です。

建設業界は、特定の技術や知識を持つ技術者が求められる場面が多く、専門性を証明する資格を持つことで、自身の市場価値を高めることができます。

例えば、施工管理技士や建築士といった資格は、建設業界での給与や昇進のチャンスを大きく向上させる可能性があります。

加えて、資格取得は自らのスキルセットの拡充を意味するため、業務範囲も広がり、多岐にわたるプロジェクトに関与する機会も増えるでしょう。

資格は、確かな技術と知識の証であり、それを取得することで、建設業界における自分のポジションを大きく前進させることが期待できるのです。

独立

建設業で給料を上げるためにすべきことの3つ目は、独立です。

長い間、業界での経験とノウハウを積み重ねてきたプロフェッショナルにとって、独立して自らの会社を立ち上げることは、収益を直接手にするチャンスとなります。

もちろん、独立する際にはリスクも伴いますが、そのリスクを管理し、適切なビジネスプランと戦略を持つことで、従業員として勤務するよりも高い収入を得ることが期待できます。

また、独立によって得られるものは給料だけではありません。自分のビジョンに基づいてビジネスを運営する自由や、自らの価値観や方針を業務に反映させることができる点も大きな魅力と言えるでしょう。

しかし、そのためには独立前にしっかりとした準備と計画、さらには持続的な努力が求められます。

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「建設業の給料は安い」についてのまとめ

今回は建設業の給料について解説しました。

建設業界への就職を検討している方は、本記事を参考にして、ぜひ建設業界への就職に挑戦してみてください。

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