建設・工事

建築士に高卒でなるには?取得条件や合格者の年齢傾向を解説

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屋根の上で作業をしている様子

建築士はあらゆる建物の設計や工事監理を行うのが仕事です。

構造や機能性に詳しい建築物のスペシャリストとして、さまざまな業種での活躍が可能な、将来性の高い職種と言えるでしょう。

建築士は専門的な知識を幅広く身に付ける必要があり、専門学校や大学で学びながら目指すのが一般的です。

しかし、高卒で建築士を目指したいと考えている人も中にはいるのではないでしょうか。

今回は高卒で建築士になる方法について、資格の取得条件や合格者の平均年齢などを解説していきます。

【この記事でわかること】
・高卒で建築士になれるのかどうか
・高卒から建築士の資格を取得する条件
・大学に入学して資格を取得する条件
・社会人が建築士の資格を取得する4つの手段
・建築士になった人の年齢や資格取得に関するよくある質問

建築士には高卒でもなれる

男性が遠くを見つめている様子

結論から述べますと、高卒でも建築士にはなれます。

ただし、建築士になる上で必ず挑戦しなければならない「建築士試験」には、受験資格を満たしていなければなりません。

受験資格には、学歴に関する指定もあるため、どのような高校で何の学科を学んだのかによって建築士を目指す方法は異なります。

高卒から建築士の資格を取得する条件

上司と工事の打ち合わせをしている様子

高卒から建築士を目指す場合、まずは建築士試験の受験条件を満たさなければなりません。

受験条件は、学歴や学んだ学科別で細かく分けられています。

ここでは、普通科・土木、建築学科のそれぞれで、建築士試験の受験条件について解説していきます。

普通科の高卒の場合

建築士とは全く関係のない普通科やその他の学科を学び高校を卒業した場合、以下の2種類の方法で建築士を目指せます。

・建築に関連する学科を学べる学校に再入学して建築士試験に挑戦する

 

・建築関連の会社で実務経験を積んで建築士試験に挑戦する

まず1つ目の方法は、建築専門の学校で、受験条件で定められた指定学科を学び直すことです。

指定学科を学べる学校には、大学のほか短大や専門学校があります。

指定学科を修了した上で卒業すれば、建築士試験の受験条件を満たせます。

2つ目の方法は、建築関連の会社で働きながら実務経験を積むことです。

指定学科を修了していなかったとしても、7年の実務経験を積めば2級建築士を受験できます。

ちなみに、建築士になるには試験に合格後、定められた実務経験を満たさなければ免許登録ができません。

2級建築士の受験条件と指定の実務経験年数は以下の通りです。

学歴や経歴受験資格免許登録に必要な実務経験
建築に関する学歴なし実務経験7年以上受験資格で満たしているため不要
高等学校、中等教育学校指定科目を修了して卒業実務経験不要※単位数による
大学、短大、高等専門学校指定科目を修了して卒業実務経験不要※単位数による

実務経験に関しても、業務内容に指定があります。

【実務経験として認められる業務内容】

・建物の設計に関する業務
・建築物の工事監理に関する業務
・建築工事の指導監督に関する業
・建築事務所での建築物に関する評価や調査業務
・工事施工の技術上の管理業務

各業務の中でも更に、実務経験と認められる作業とそうでない作業が定められています。

詳しくは「建築技術教育普及センター」で確認できます。

参考:建築士資格に係る実務経験の対象実務の例示表|公益財団法人 建築技術教普及センター

土木・建築学科の高卒の場合

建築関連の学科を高校で学び卒業している場合、単位の取得数によって受験資格や免許登録資格が異なります。

指定科目の内容と必要な単位数は以下の通りです。

建築環境工学2単位
建築計画
建築設備
構造力学3単位
建築材料
建築一般構造
建築設計製図3単位
建築法規1単位
建築生産1単位
上記科目の合計10単位
複合・関連科目適宣
上記科目の合計単位が20単位ある場合は、卒業後すぐに受験可能であり、免許登録にかかる実務経験は2年
上記科目の合計単位が15単位の場合は、卒業後1年の実務経験を積めば受験可能であり、免許登録にかかる実務経験は3年

大卒から建築士の資格を取得する条件

腕を組む技術スタッフの様子

高卒から建築士を目指す場合、大学に入学し建築士について学ぶのも1つの方法です。

大学の場合も、他の学歴と受験資格となる指定科目の内容に違いはありません。

ここでは大学で土木科・建築学科を卒業した場合の資格取得条件について解説していきます。

土木科卒の場合

4年制大学で土木学科を専攻した場合、指定の単位数を満たしていれば、卒業後に1年の実務経験を積むことで2級建築士試験を受験できます。

ただし、前述した通り学科の単位などによって変わるため、詳しくは建築技術教育普及センターで確認するようにしましょう。

建築学科卒の場合

4年制大学で建築学科を専攻していた場合、卒業してすぐに2級建築士試験を受験できます。

また、1級建築士試験も受験可能です。

大学卒業後、1級建築士試験に合格した場合、免許登録するには2~4年の実務経験が必要です。※取得単位による

実務経験は、1級建築士試験を受ける前の経験も含まれます。

社会人が建築士の資格を取得する4つの手段

勉強会をしている様子

既に高校を卒業し、社会人として働いているという人もいるのではないでしょうか。

社会人が、建築士試験の受験条件を満たして資格を取得するには、主に4つの方法があります。

・実務経験を積む
・仕事をしながら通学
・仕事を辞めて通学
・通信講座を受ける

ここでは、4つの方法について建築士になるまでの流れや時間、費用などを解説していきます。

実務経験を積む

社会人として建築士を目指す1つ目の方法が「建築関連の会社で実務経験を積む」ことです。

建築関連の学科を修了している場合は、単位数によって0~1年の実務経験を積めば受験できます。

建築関連の学科以外で高校を卒業している場合には、7年の実務経験を積めば受験できます。

建築関連の会社に入社する場合、指定の実務経験をこなせるのか、部署異動などがないのかを調べておくようにしましょう。

普通科などを卒業している場合、試験挑戦までに7年かかる一方で、学費などが一切かからないメリットがあります。

仕事をしながら通学

社会人が建築士を目指す2つ目の方法が「仕事をしながら通学する」ことです。

主な入学先としては、建築関連の専門学校や大学があり、短大や専門学校であれば、最短2~3年で試験に挑戦できます。

家族がいるなどして、仕事を辞められないような人におすすめの方法と言えるでしょう。

働きながら学ぶ必要があり負担が高い一方で、仮に途中で挫折したとしても、収入がなくならないメリットがあります。

仕事を辞めて通学

社会人から建築士を目指す3つ目の方法は「今の仕事を学び通学する」ことです。

学費として100~300万円必要であり、生活費もかかるため金銭的な余裕がある人におすすめの方法です。

費用がかかる一方で、集中して学べるため最も建築士を目指しやすいと言えるでしょう。

通信講座を受ける

建築関連の学科を卒業しており、実務経験を1年積めば受験できるものの、学んだことを覚えていないような人は「通信講座」がおすすめです。

学校通学よりも費用が安く、20~50万円ほどで学べます。

近年はオンライン学習が当たり前になり、通勤中やちょっとした空き時間でも学習を進められることもメリットと言えます。

7年の実務経験を積んだ上で、建築士試験に挑戦する予定の人にもおすすめです。

関連記事:建築施工管理の給料の平均は?年代別・地域別・資格別に紹介

建築士に合格した人の年齢の傾向

現場打合せの様子

建築士試験を受験するには、専門の学校に通ったり指定の実務経験を満たしたりする必要があります。

そのため、誰でもすぐに挑戦できるような資格ではありません。

また、2級建築士の合格率は約3割ほどであり、試験自体も難しいと言えるでしょう。

建築技術教育普及センターが公表している、建築士試験の合格者の年齢分布は以下の通りです。

年代構成比
~24歳63.2%
25~29歳11.3%
30代13.6%
40代8.3% 
50歳以上3.6%
平均26.8歳

専門の短大や大学を卒業してすぐに挑戦する人がほとんどであり、20代前半が全体の約6割を占めています。

ちなみに、指定科目を修了せずに、7年の実務経験を積んだ上で受験した人の割合は11.8%ほどです。

全体の1割程度であるものの、社会人から建築士を満たしている人もいることが分かります。

参照:過去5年間の二級建築士試験結果データ|公益財団法人 建築技術教普及センター

建築士に高卒でなるには?に関してよくある質問

点検をする様子

最後は高卒で建築士を目指すことに関する、3つのよくある質問に答えていきます。

・中卒から建築士になれる?
・高卒の建築士で有名な人はいる?
・建築士になるには高校で何科に通えばいい?

中卒からの建築士資格の取得や、建築士の指定科目を修了できる学科に関する内容ですので、参考にしてみてください。

中卒から建築士になれる?

中卒からでも建築士になれます。

はじめに挑戦することとなる2級建築士の受験資格は、高卒の条件と同じです。

指定科目を学べる学校へ入学するか、実務経験を7年以上積むことにより建築士試験に挑戦できます。

高卒の建築士で有名な人はいる?

高卒で建築士として活躍する人は多くいますが、その中でも有名な建築家として「安藤忠雄」がいます。

一級建築士として「光の教会」「ピューリッツァー美術館」などがあります。

最終学歴は城東工科高等学校です。

ちなみに、今回は2級建築士の挑戦をメインに解説してきましたが、高卒でも2級建築士として経験を積めば1級建築士も取得できます。

建築士になるには高校で何科に通えばいい?

建築士を目指す場合、高校では建築科や土木科を先行するようにしましょう。

大学の場合には、建築学部や理工学部建築学科、芸術学部のデザイン学科やインテリア学科などがあります。

大学以外でも建築士を目指せる専門学校や短大は多くあります。

関連記事:建設業で週休2日が導入されると給料が減る?義務化はいつから?

建築士に高卒でなるには?についてのまとめ

作業員が2人並んで立っている様子

建築士になるには、建築士試験に合格する必要があります。

建築士試験には、指定科目の修了や実務経験などの条件が定められています。

これらの条件を満たしていれば、高卒でも建築士試験を受験可能です。

既に高校を卒業しており社会人として働いている人でも、さまざまなパターンで建築士を目指せます。

今後のライフプランを考えた上で、自分に合った方法で建築士資格の取得にチャレンジしてみましょう。

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