運送業界はあらゆる業界と密接な関係にあり、国内の経済を支える欠かせない存在です。
その一方でトラック運転手に対するイメージは決して良いものばかりではなく、悪いものもたくさんあり、転職に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回はトラック運転手に対する具体的なイメージや底辺と言われている原因を解説し、現状がどう変わってきているのか、将来性などについて解説していきます。
トラック運転手の末路とは?一般的なイメージを紹介
トラック運転手に対して皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか。
ここではトラック運転手のイメージについて、代表的なものをいくつか紹介していきます。
ガラが悪そう
トラック運転手に対してのイメージで最も多いのが「怖い、ガラが悪そう」といったイメージです。
トラック運転手は、他の職種と比べると身だしなみに対する規則が厳しくない会社が多く、髪型や髪色などが自由で、ピアスのような装飾物を許可している運送会社もあります。
そのため見た目が派手になりやすく、中には怖そうに見える運転手がいることが原因と言えます。
また、トラック運転手は一人でいる時間が多く、比較的無口で人と話すのが苦手な人が多いことも、怖そうなイメージを持たれる一つの原因と言えるでしょう。
給料が安くて大変そう
二つ目はトラック運転手の賃金に対するもので「給料が安くて大変そう」といったイメージです。
厚生労働省が公表している令和3年の産業別の賃金統計は下記の通りとなっています。
・電気、ガス、熱供給、水道業:419.7万円
・学術研究、専門技術サービス:386.9万円
・金融、保険業:383.5万円
・教育、学習支援業:373.9万円
・情報通信業:373.5万円
・建設業323.2万円
・不動産、物品賃貸業:326.1万円
・複合サービス事業:296.7万円
・製造業:294.9万円
・医療福祉:291.7万円
・運輸業278.5万円
・生活関連サービス、娯楽業:268.2万円
・宿泊、飲食サービス業:257.6万円
参照元:厚生労働省・令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況
このように他の業界と比べ、トラック運転手は比較的賃金が低い傾向です。
また、トラック運転手の給料が低いというイメージを持たれる別の原因として、「拘束時間」も関係しています。
トラック運転手には荷物を積み下ろすまでの待機時間などがあり、長距離運送の場合は数日かけて荷物を配達するため、拘束時間が長いことから余計に給料が見合っておらず、低賃金であるといったイメージを持たれがちです。
長時間勤務は肉体的に厳しそう
2019年4月から働き方改革関連法により「時間外労働時間の上限規制」が施行されました。
これにより残業は年間720時間以内に抑えなければならず、月あたりでは100時間未満、複数月平均では80時間以内と定められています。
ただし、複数の業務に関しては急に抑えるのが難しく5年間の猶予が与えられました。
その一つに自動車運転の業務があります。
トラック運転手は他の業界と比べ、労働時間がかなり長い傾向にあり、長時間労働で肉体的に辛いといったイメージを持たれがちです。
2023年現在、トラック業界では「2024年問題」が懸念されています。
トラック運送業界は時間外労働を抑えるのが難しいため、2024年の「時間外労働時間の上限規制」の施行によって、会社の売り上げが大きく減少すること・ひいては運転手の収入減少が懸念されています。
ボロボロになるまで働かされそう
トラック運転手は荷物を配達するのが仕事であり、メインは運転業務となりますが、それとは別に荷物の積み下ろしも行わなければなりません。
新人やベテラン関係なく、このような力仕事は避けられず、腰痛は運転手の職業病と言われているほどです。
若いころは体力もあり長時間働き続けられたとしても、歳を取ってくると次第に業務が辛くなり運転手を続けられなくなる可能性もあります。
トラック運転手が底辺だと言われる原因
トラック運転手に対する一般的なイメージについて解説してきました。
この他にも、トラック運転手は底辺といったイメージや考えを持たれがちです。
なぜ底辺と思われてしまうのか、主な原因についてここでは解説していきます。
学歴に関係なく仕事に就ける
入社する会社や挑戦する職種によっては、応募する際に様々な条件が付いています。
「大卒以上」「TOEIC700点以上」など様々ですが、トラック運転手の場合は学歴や年齢に条件はほとんどなく、運転免許を取得していればOKという求人ばかりです。
そのため「高学歴でなくても簡単に就職できる=底辺」というイメージを持たれがちです。
最近ではトラック運転手の人材不足が深刻化しており、若手人材を確保する目的から運転免許を持っていなくても応募できる求人も増えてきています。
「運送業=ブラック」というイメージ
トラック運転手は他の業界や職種と比べ、労働時間が長い傾向にあります。
近年では労働環境の改善が勧められてきていますが、一方で、未だに過酷な長時間労働を行っているトラック運転手も少なくありません。
このような過酷な環境で働き続けた結果、起きてしまうのが「交通事故」です。
トラックは一般車両に比べはるかに大きなサイズであるため、大事故になってしまうリスクがとても高く、ニュースなどメディアでも多く報じられています。
中には飲酒運転や悪質な労働環境による居眠り運転が事故の原因となっており、全国ニュースで報道されるため「運送業界=ブラック」というイメージが持たれやすいのも底辺と思われる原因の一つとなっています。
関連記事:トラック運転手の人気がない理由とは?現役運転手の声も紹介
関連記事:トラック運転手のトイレ問題ってどうしてる?困った時の対処法
トラック運転手が底辺とは言えない根拠
ここまでトラック運転手に対する一般的なイメージや、底辺だと思われている原因について解説してきました。
その一方で「物流は経済の血液」と言われているほど、全ての業界に欠かせない重要な存在であり、私たち国民の生活を支えてくれています。
運送業界は深刻な人材不足となっており、関連の法整備が進められ、各運送会社でも労働環境の改善が行われています。
このような長年の取り組みの影響もあり、トラック運転手に対するイメージは変わりつつあり、底辺でもなくなりました。
ここではトラックが底辺ではなくなった根拠について解説していきます。
長時間労働が是正されている
トラック運転手は、荷主の都合で待機時間が発生することもあり、他の仕事と比べて長時間労働が多い傾向にありました。
今でもその傾向は多少残ってはいるものの、安全運転の徹底や人材確保の対策として長時間労働はなくなってきています。
有限責任監査法人トーマツによると、繁忙期における一日の拘束時間が15時間を超えた回数を調査した結果では「0回」と答えた運転手が全体の67.5%と最も高く、1回が14.4%、2回が12.4%とかなり改善してきていると言えます。
参照元:有限責任監査法人トーマツ・自動車運転者の労働時間等に係る実態調査事業 報告書
それでも長時間労働が完全になくならない原因としては、高収入を目指し当のドライバーが希望しているケースもあるからです。
そのため、望まない人に対する長時間労働はほとんどなくなってきていると言えます。
コンプライアンスへの意識が向上している
運送業界では、年々コンプライアンスに対する意識が向上しており、様々な取り組みが行われています。
運転業務では車両にドラレコを取り付けることで、安全運転に対する意識の向上や、過失のない交通事故が発生した際に運転手を守れるようになりました。
定期的な安全会議も実施されており、より働きやすい環境へと移行しつつあります。
この他にも下記のような取り組みが各運送会社で行われています。
・無駄な待機時間をなくすトラックバース管理システム(予約受付)の導入
・手積みなどによる負担を軽減するため、なるべくパレットを活用する
・荷主との情報共有やシステムの連携
・幹線輸送と集荷配送部分の業務分離
・配送先や集荷先の集約
・運転業務以外の作業の分離
・高速道路利用の促進と混雑時間帯を避けた配送
このような取り組みにより、今後さらに運送業界の労働環境は改善していくと言えるでしょう。
ブラックな運送業者から淘汰されている
帝国データバンクが発表した全国企業倒産集計によると、2022年4月~9月間でトラック運送業界の倒産は99件発生し、前年同期と比較すると約1.5倍に急増しています。
参照元:帝国データバンク・全国企業倒産集計 2022年度上半期報 2022年9月報
それ以前と比較しても、同期での倒産件数としては過去5年で最多となりました。
原因としては燃料価格の高騰があり、適正な価格交渉などを行ってきていなかった業者などが倒産に追い込まれています。
ブラックな運送業者が減少してきている一方で、2024年問題も控えており今後さらにトラック運転手の不足が深刻化すると予想されています。
トラック運転手への転職で失敗しない方法
ここまでトラック運転手を取り巻く環境の変化などについて解説してきました。
労働環境の改善が進められる一方で、今後トラック運転手の不足がより深刻化すると予想されています。
そのため、トラック運転手の求人は増加し、自分に合った条件の中から企業を選び、応募しやすくもなります。
転職に失敗しない方法を理解すると自分に合った企業を見つけることが可能です。
現役運転手はもちろん、異業種からの転職を考えている方も是非参考にしてみてください。
事前にネット上の口コミを調べる
最近では各企業の仕事内容や収入、労働環境などを書き込んだりする口コミサイトが増えてきています。
応募しようとしている企業がある場合には、そのような口コミサイトで実態を調べておくようにしましょう。
転職活動を行う場合、転職サイトを複数活用しながら求人を探すのが一般的なのですが、募集が多く出ている企業には注意が必要です。
運送業界の転職事情としてよくあるのが「紹介制度」であり、別の会社で働いている知人を自分の会社に紹介する制度です。
従業員の紹介なので企業も信用しやすく、紹介された運転手も一生懸命働くのでお互いにメリットがあります。
そのため、条件が良く働きやすい運送会社は求人を出さなくてもすぐに人が補充できる傾向にあります。
求人を出している運送会社が悪質というわけではないのですが、一つの知識として覚えておくといいでしょう。
転職エージェントを活用する
初めての転職で自分に合った求人をどうやって探せばいいのかわからなかったり、異業種から転職をしたりする場合には「転職エージェント」の活用もおすすめです。
転職エージェントでは、キャリアアドバイザーが在籍しており、要望や過去の実績などのヒアリング後には自分に合った求人を紹介してくれます。
一人で転職活動を進める必要がないので、働きながらであっても負担を軽減できます。
また、求人を出している企業に対し、キャリアアドバイザーを通じて質問することも可能です。
まとめ
今回はトラック運転手のイメージや今後の展望について解説してきました。
これまで悪いイメージが先行していたものの、法整備や労働環境の改善によりなくなりつつあります。
2024年問題や人材不足の問題はあるのですが、今後さらに改善が進められる見込みで、トラック運転手の需要はなくならないと言えるでしょう。
資格の有無に関係なく応募できるものもあるので、まずはリサーチから転職活動を進めてみるのがおすすめです。
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