フォークリフトは建築現場で使われるような特殊車両と似ているため、大型特殊自動車免許があれば操縦できると思われている方もいるかもれません。
しかし、大型特殊自動車免許のみではフォークリフトの運転はできません。そこで本記事では、大型特殊自動車免許とフォークリフト運転に必要な資格について解説します。
大型特殊自動車免許のみでフォークリフトは乗れない
フォークリフトを運転するには、大型特殊自動車免許だけでは不十分です。
まずはフォークリフト運転技能講習修了証または特別教育修了証が必要であり、これらの資格を持って初めてフォークリフトを操作できます。詳しくは以下の通りです。
フォークリフトの運転には2つの修了証のどちらかが必要
フォークリフトを構内作業でおこなうには、まずフォークリフト運転技能講習修了証や特別教育修了証のどちらかを取得しなければなりません。それぞれの詳細は以下の通りです。
フォークリフト運転技能講習修了証
フォークリフトを使用する際に必要な資格2つ目は、フォークリフト運転技能講習修了証です。
フォークリフト運転技能講習修了証は、最大荷重1トン以上のフォークリフトを操縦するために必要な修了証です。
フォークリフト運転特別教育修了証だけで事足りる場合もありますが、ほとんどの企業は最大荷重1トン以上のフォークリフトを所有しているため、こちらの方が需要があります。
一般的にフォークリフト免許と呼ばれているのはこの資格のことで、企業が所有するフォークリフトのほとんどが講習修了証を必要とする車両です。求人情報に記載されているのもこの資格になります。
フォークリフト運転特別教育修了証
フォークリフトを使用する際に必要な資格1つ目は、フォークリフト運転特別教育修了証です。
このフォークリフト運転特別教育修了証がない場合、フォークリフトを運転できる技術を有していたとしても、雇ってくれる企業はありません。
なぜなら、フォークリフトの操縦者には特別教育を受講させなければならないと、厚生労働省によって義務付けられているからです。
なお、フォークリフト運転特別教育修了証を取得している場合、最大荷重1トン未満のフォークリフトを操縦できます。
修了証で運転できるのは構内作業のみ
フォークリフトの運転に必要な修了証は、基本的に構内作業限定の資格です。つまり、倉庫や工場の敷地内でフォークリフトを使用する際に適用され、公道での走行には別途免許が必要となります。必要な免許はフォークリフトのサイズや用途次第で異なります。
なお、労働安全衛生法の規定により、1.0トン以上のフォークリフトを運転するには技能講習が必須です。
フォークリフトで公道を運転する際に必要な免許
フォークリフトを公道で運転するには特定の免許が必要です。そこで、公道での運転に必要な2つの免許について解説します。
大型特殊自動車免許
大型特殊自動車免許を取得することで、ブルドーザー、ショベルカー、除雪車など、工業や農業で使用される大型車両を公道で運転できます。この免許は、全長12.0m以下、全幅2.5m以下、全高3.8m以下の車両に適用されます。
なお、車両によっては基準を超える場合、特別な許可が必要です。また、大型特殊免許を取得していると、小型特殊自動車や原動機付自転車も運転可能となります。
関連記事:大型特殊自動車免許の取得費用は?取得の流れや目安日数も
小型特殊自動車免許
小型特殊自動車免許は、フォークリフトやトラクターなど、サイズが比較的小さい特殊車両を運転するための免許です。小型特殊自動車は、全長4.7m以下、全幅1.7m以下、全高2.0m以下で、最高速度が15km/h以下に制限されています。
主に農場や工場の作業車両に使用され、農耕車としてはトラクターやコンバインなどが該当します。この免許でも公道を走行できますが、作業場での操作には別途講習が必要です。
大型特殊自動車におけるフォークリフトの車両区分
大型特殊自動車免許で運転できるフォークリフトには、大型特殊自動車だけでなく小型特殊自動車に分類されるものもあります。
フォークリフトのサイズや規格によって、車両区分が変わってくるのです。
小型特殊自動車に分類される場合は小型特殊自動車免許の取得が必要ですが、最高時速が15㎞/h以下であることが条件のため、それを越える場合は大型特殊自動車に分類されます。
速度によっては小型特殊自動車免許が必要ですが、倉庫の荷下ろしや農作業に使われるフォークリフトは、ほとんどが大型特殊自動車の規格です。
大型特殊自動車免許の方がフォークリフト以外の大型特殊自動車も運転できるため、小型特殊自動車免許よりも大型特殊自動車の方が取得のメリットは大きいと言えます。
フォークリフトで労働安全衛生法の適用を受ける作業をする際に必要な免許
フォークリフトやショベルローダーなど、労働安全衛生法に基づく作業を行うためには、特定の技能講習や特別教育などを修了している必要があります。
適切な資格を持たずに作業を行うことは違法となるため、事前に必ず確認しておきましょう。詳しくは以下の通りです。
フォークリフト運転技能講習修了者
フォークリフトでの構内作業を行う場合、最大荷重が1.0トン未満であれば「フォークリフト運転の特別教育」を修了していることが必要です。
一方、最大荷重が1.0トン以上のフォークリフトを使用する場合は、「フォークリフト運転技能講習」を修了し、技能講習修了証を取得することが義務付けられています。この資格を持たない者は、1.0トン以上の車両で作業ができません。
ショベルローダー等運転技能講習修了者
ショベルローダーやフォークローダーも、最大荷重に応じた資格が必要です。
最大荷重が1.0トン未満の車両の場合、「ショベルローダー等運転の特別教育」を修了していれば構内作業を行うことが可能です。
しかし、1.0トン以上の車両を運転するためには「ショベルローダー等運転技能講習」を修了し、修了証を取得する必要があります。
車両系建設機械運転技能講習修了者
トラクターショベルなどの車両系建設機械を使用する場合も、技能講習の修了が必要です。
機体重量が3トン未満の車両については、「小型車両系建設機械運転の特別教育」を修了していることで作業が許可されます。
一方、3トン以上の車両を扱う場合には「車両系建設機械運転技能講習」の修了証が必要となります。
大型特殊自動車免許を取得する方法
続いては、大型特殊免許を取得する方法を解説します。大型特殊免許を取得する方法は以下の3つです。
- 一発試験
- 指定の教習所に通学
- 合宿形式の講習
では、1つずつ解説します。
一発試験
大型特殊自動車免許を取得する方法の1つ目は、一発試験です。
一発試験とは、教習所を利用せずに直接試験場で行われる学科と技能の試験に挑む方法を指します。
この方法を選ぶことで、時間と費用の面で大きな節約が期待できます。ただし、名前が示す通り、一発試験ではすべての科目を一度の試験でパスすることが必要であり、これには十分な事前準備が不可欠です。
そのため、一般的に一発試験の合格率は教習所に通って受ける試験の合格率よりも低めであり、自信がある人のみがこの試験形式を選ぶべきと言えます。
指定の教習所に通う
大型特殊自動車免許を取得する方法の2つ目は、指定の教習所に通学です。
教習所では、大型特殊車両を運転する上で必要とされる、法律知識、安全な運転技術、車両操作の方法といった、幅広い内容が学習できます。また、実際に運転技術を習得するための実技の授業も実施され、受講者の進度や理解の度合いに合わせた指導が行われます。
教習所における最大のメリットは、豊富な経験を持つ教官からの直接的な指導を受ける機会があることです。このため、運転経験が浅い初心者でも、効果的に必須の知識と技能を学ぶことができます。
さらに、教習所では試験に焦点を当てた特別なトレーニングを受けることが可能であり、試験での重要ポイントや実技試験で留意すべきことなど、合格へ向けた実践的なアドバイスを提供しています。
合宿形式の講習
大型特殊自動車免許を取得する方法の3つ目は、合宿形式の講習です。
合宿講習では、参加者は特定の教習所が提供する宿泊設備で生活しながら、免許習得のための学科と実技教習に完全に集中できます。この方式では、限られた期間内に密度の高い学習スケジュールが組まれ、迅速な免許取得を目指せます。
合宿講習のメリットは、充実した教習カリキュラムが用意されている点です。計画に沿って実施される講義や実技の授業によって、受講者は免許取得を目指した継続的なトレーニングを経験することができます。さらに、同じ目的を持つ受講者同士が支え合うことで、学習意欲を互いに刺激し合うメリットもあります。
特に、日常生活において自習の時間を見つけることが難しい人にとって、合宿講習は効果的な学習手段となり得ます。この集中的な学習環境は、短期間での免許取得を現実のものとします。
大型特殊自動車とフォークリフトに関するQ&A
最後に、大型特殊自動車とフォークリフトに関するよくある質問に回答します。
フォークリフトは何車両に分類される?
A1.フォークリフトは特殊自動車の一種です。大きさによって小型特殊自動車と大型特殊自動車に区分されます。
大型特殊自動車免許で運転できる車両は?
A2.大型特殊自動車免許では、クレーン車やレッカー車などの特殊な車両や大型バス、大型トラック、パワーショベルなどさまざまな車両が運転・操縦できます。
大型バスの運転には大型自動車免許だけで運転可能ですが、大型特殊自動車免許では幅広い車両が運転可能です。
大型特殊自動車免許の取得費用は?
A3.地域や教習所によってさまざまですが、免許を取るために必要な金額は10〜15万円前後で済む場合がほとんどです。
ただし、これは「普通自動車免許を持っている」という場合のため、普通自動車免許を持っていない場合はさらに費用がかかります。
公道と私有地の境界線はなんですか?
公道と私有地の違いは、所有者や管理主体に基づいて区別されます。公道は国や地方公共団体が管理し、一般の車両や歩行者が自由に通行できる道を指します。
一方、私有地内の道や駐車場などは私道とされ、個人や企業が所有・管理しています。フォークリフトを私有地で使用する場合は、免許の要件が異なることもありますが、公道で走行する際には必ず登録や保険が必要です。
フォークリフトには税金が課せられますか?
フォークリフトは車両のサイズや使用場所によって課税対象となります。特に公道を走行する際は、フォークリフトは「小型特殊自動車」または「大型特殊自動車」として登録され、軽自動車税や自賠責保険の加入が義務付けられます。
たとえば、小型特殊自動車の税額は年額5,900円で、定置場所に基づいて手続きが必要です。
なお、私有地内での運転に対しては税金はかかりませんが、労働安全衛生法に基づく免許や資格が必要となります。
大型特殊自動車とフォークリフトに関するまとめ
フォークリフトを公道で運転するには、大型特殊自動車免許のほかに特定の技能講習修了証が必要です。
また、労働安全衛生法に基づく作業には、別途適切な修了証が求められます。
フォークリフトの運転を考えている方は、必要な資格を確認し、万全な準備を整えてください。
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