機械設計技術者試験は、機械設計に関する知識やスキルを証明できる資格で、年々受験者が増えてきています。
その中で、難易度が高いのか、合格するための方法などを知りたい方もいるのではないでしょうか。
機械設計技術者の試験は普段の業務に活かせるのはもちろん、専門知識をアピールできるため、採用試験や社内での昇格などでも役立てられます。
今回は、機械設計技術者試験の難易度を中心に、試験に合格するコツなどについて解説していきます。
【この記事のまとめ】 ・機械設計技術者試験の合格率は40%前後 ・1級、2級試験は所定の実務経験も満たす必要があり難易度は高め ・試験の傾向を把握したうえで過去問を繰り返し解くことが大切 |
機械設計技術者試験の難易度は高い
機械設計技術者試験は、1級〜3級に分けられており、受験の対象者が異なります。
最も難易度が低く、機械設計の入門資格となるのが3級で、1級になると機械設計関連の資格で最上位の資格と言われるほど、難易度の高い資格です。
ここでは、各級の合格率や関連資格と比較しながら、試験の難易度について解説していきます。
機械設計技術者試験の合格率:約40%前後
機械設計技術者試験の合格率は、以下の通りです。
試験合格率 | 2023年 | 2022年 | 2021年 |
1級試験 | 36.4% | 33.1% | 37.8% |
2級試験 | 40.8% | 42.6% | 41.2% |
3級試験 | 47.1% | 38.1% | 43.1% |
1級試験は35%前後、2級試験は41%前後、3級試験は43%前後と、いずれも合格者は半数以下で推移しています。
最難関である1級と入門資格である3級に合格率で大きな差はありません。
ただし、3級は誰でも受験できるのに対し、1級試験は学歴によって5〜10年の実務経験を満たした人だけが受験しています。
全員が現役の機械設計技術者であることを考えると、1級の難易度は高いと言えるでしょう。
ちなみに、2級試験にも受験条件として実務経験が定められています。
他の機械設計関連資格の合格率:約30〜60%
機械設計関連の資格には、他にも「CAD利用技術者」や「技術士・機械部門」があります。
CAD利用技術者とは、設計システムであるCADに関する知識やスキルを証明する資格です。
1級の合格率は40~60%、2級は50%前後で推移しています。
CAD利用技術者と合格率に差はないものの、設計全般の知識やスキルが試される機械設計技術者試験の方が難易度は高いと言えるでしょう。
技術士は21の部門に分けられており、機械設計に関しては機械部門が該当します。
5大国家資格とも言われており、取得できればベテラン設計者としてコンサルティング業務もできるほど信用の高い資格です。
技術士・機械部門の合格率は3割前後で推移しており、機械設計技術者試験とほとんど差がありません。
技術士試験の難易度に関しては、機械設計技術者試験1級よりも高いと言われています。
関連記事:機械設計エンジニアにおすすめの資格10選|メリットや難易度も
機械設計技術者試験の概要について
ここからは、機械設計技術者試験の概要について解説していきます。
受験級によって、受験資格や出題範囲が異なるため、自分のレベルに合った試験への挑戦を検討してみてください。
試験の種類
機械設計技術者試験は、1級・2級・3級に分かれています。
試験の種類 | 受験者レベル |
1級試験 | 機械や装置の基本仕様を決定するために必要な計算や、構想図の作成など基本設計業務をこなせるレベル |
2級試験 | 基本設計に基づいて機械や装置の機構・構造・機能の具体化を図る計画設計業務をこなせるレベル |
3級試験 | 機械や装置の詳細設計のサポートや製図などの業務をこなせるレベル |
3級から取得しなければならないわけではなく、2級や1級試験を直接受験することもできます。
受験資格
3級試験は、入門レベルであることから特別な受験資格は設けられておらず、誰でも受験できます。
1級・2級試験に関しては、以下の通り実務経験に指定があります。
最終学歴 | 2級試験 | 1級試験 |
・工学系の大学 ・高度専門士 ・高専専攻科 ・職業能力開発大学校 |
・直接受験の場合は3年以上 ・3級合格者の場合は2年以上 |
・直接受験の場合は5年以上 ・2級合格者は次年度から受験可能 |
・短大 ・職業能力開発短期大学 ・高専、専門学校 |
・直接受験の場合は5年以上 ・3級合格者の場合は3年以上 |
・直接受験の場合は7年以上 ・2級合格者は次年度から受験可能 |
その他(上記以外) | ・直接受験の場合は7年以上 ・3級合格者の場合は4年以上 |
・直接受験の場合は10年以上 ・2級合格者は次年度から受験可能 |
直接受験の場合、職務経歴書の提出が求められ、審査に合格した場合のみ試験を受けられます。
出題範囲
機械設計技術者試験の出題範囲は、以下の通りです。
受験級 | 出題範囲 |
1級試験 | 設計管理関連/環境経営関連/機械設計基礎/実技関連 |
2級試験 | 力学分野/流体・熱分野/機械設計分野/メカトロニクス分野/材料・加工分野/安全・環境分野/応用・総合 |
3級試験 | 機械要素設計・機構学/工作法/流体工学/機械製図/機械力学/制御工学/工業材料/熱工学 |
出題形式
機械設計技術者試験の出題形式は、以下の通りです。
受験級 | 出題形式 |
1級試験 | 全て記述式で、小論文に関しては出題テーパから1つ選択して解答 |
2級試験 | 原則マークシート方式で、一部記述式となる場合あり |
3級試験 | マークシート方式 |
試験時間
機械設計技術者試験の試験時間は、以下の通りです。
受験級 | 試験時間(令和5年度試験の場合) |
1級試験 |
・1時限目:9:30~11:40 ・2時限目:12:40~14:40 ・3時限目:15:00~16:30 |
2級試験 | |
3級試験 |
・1時限目:12:00~14:00 ・2時限目:14:20~16:20 |
合格ライン
各試験の合格ラインは公表されておらず、毎年の合格点は試験の難易度によって調整されます。
ちなみに、不合格であった場合は、科目別での点数を10段階評価表でチェックできます。
試験会場
試験会場は、受験者数の多さによって変更される可能性があります、受験票に記載されているため、間違えないように注意しましょう。
令和6年度の試験は、以下の都道府県での実施が予定されています。
【機械設計技術者試験の試験会場】 北海道/青森/東京/埼玉/愛知/静岡/富山/石川/福井/滋賀/大阪/広島/香川/愛媛/山口/福岡/熊本/沖縄 |
各都道府県の会場詳細は、日本機械設計工業会の専用ページでチェックできます。
試験日程
技術者試験は、年に1回のペースで11月下旬ごろに開催されます。
令和6年度試験の予定スケジュール | 日付 |
試験実施日 | 11月17日(日) |
受験申請受付期間 | 7月19(金)~9月30日(月) |
受験料の入金期限 | 10月7日(月)まで |
合格発表 | 12月頃を予定 |
あくまでも予定であるため、事前に詳細についてチェックするようにしましょう。
受験料
各試験の受験料は以下の通りです。
受験級 | 受験料 |
1級 | 33,000円 |
2級 | 22,000円 |
3級 | 8,800円 |
振込の際の手数料は、受験者負担です。
難易度が高い機械設計技術者試験に受かるコツ
難易度の高い機械設計技術者試験に合格するには、効率良く学習を進めていくことが大切です。
試験勉強を効率良く進めていくコツは3つあります。
・試験の傾向を把握する
・過去問の活用をする
関数電卓に慣れるようにする
各コツの詳細について解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
試験の傾向を把握する
受験級ごとの試験の傾向について把握したうえで学習を進めていくようにしましょう。
3級の場合は、全問題の約6割が計算問題で4割が知識問題で出題されるため、点数の割合が大きい計算問題から勉強していきます。
計算問題が出題される科目は「材料力学・流体工学・熱工学・機械力学」です。
設計に関する計算について理解した後から、暗記科目の勉強へと移り、全体像を理解していく流れがおすすめです。
過去問の活用をする
ある程度、理解できてきた後は過去問を活用して、試験形式で勉強を進めていきます。
繰り返し解きながら理解を深めていくだけでなく、解答のペース配分にも慣れておくようにしましょう。
過去問に関しては、市販で解説付きの参考書が販売されています。
関数電卓に慣れるようにする
試験の6割を占める計算問題では、普段使用しない関数電卓を用いる問題もあります。
設計に関する知識があったとしても、関数電卓の操作を間違えてしまっては意味がありません。
普段から関数電卓を使うようにして、操作に慣れておくようにしましょう。
難易度が高い機械設計技術者試験におすすめの教材
機械設計技術者試験に関する教材は、さまざまな種類が販売されています。
出題科目をバランスよく学べるおすすめの教材は「機械設計技術者試験準拠 機械設計技術者のための基礎知識」です。
試験で出題される9科目の基礎基本を中心に、製図で使用するCADやCAMについても分かりやすく解説されています。
どうしても1人で学習を進めるのが難しい場合は、受験講習会への参加をおすすめします。
JMC(日本機械設計技術者クラブ)では、受験者を対象に講習会を定期的に開いています。
講習の日程に関しては、日本機械設計工業会の「受験講習会」でチェックできます。
機械設計技術者試験の難易度についてのまとめ
機械設計技術者試験は、1級〜3級に分けられており、入門資格と言える3級は誰でも受験できます。
1級・2級に関しては、実務経験を満たす必要があり、試験のレベルも上がります。
合格率は40%ほどで推移しており、決して低くはないものの実務経験を満たした人のみが受験していることを踏まえると、難易度は高いと言えます。
1級や2級から挑戦することもできますので、自分の実力をチェックしたうえで、試験に挑戦してみてください。
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