テールゲートリフターは、荷物の積み降ろし作業を効率化し、作業員の負担を軽減する便利な機器です。
しかし、テールゲートリフターの操作には専門的な知識と技術が必要であり、安全に利用するためには、正しい操作方法と安全対策を習得することが欠かせません。
2024年から始まるテールゲートリフターの特別教育の義務化は、この点に対応するための重要なステップです。
本記事では、テールゲートリフターの特別教育の目的、内容、受講場所、テールゲートリフターに関する「特別教育の義務化」以外の改正内容などについて解説します。
テールゲートリフターの特別教育の義務化は2024年から
2024年2月1日より、テールゲートリフターを操作する際の特別教育が義務化されます。
テールゲートリフターとは、トラックや大型輸送車両の後部に設置される荷物の積み降ろしを容易にするための装置です。このテールゲートリフターの操作には、特定の知識と技術が必要なため、テールゲートリフターの特別教育が義務化されることになりました。
義務化される特別教育は、テールゲートリフターの装置を安全かつ、効率的に使用するための基本的な操作方法や、安全管理に関する重要な知識を習得するためのものです。
具体的には、テールゲートリフターに関する知識、テールゲートリフターによる作業に関する知識及び関係法令の科目に係る学科教育(計4時間)及び、テールゲートリフターの操作の科目に係る実技教育(2時間)が必須となります。
テールゲートリフター特別教育:義務化に違反したら罰則あり
テールゲートリフターの特別教育が義務化されることにより、違反した場合は罰則の対象となるため注意が必要です。
特別教育を実施せず、労働者に作業を行わせた事業主は労働安全衛生法に違反することとなり、「6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金」に、課せられます。
また、特別教育の記録を保存しなかった事業主は、労働安全衛生法違反となり、「50万円以下の罰金」が課せられます。
出典:労働安全衛生法|陸上貨物運送事業労働災害防止協会北海道支部
テールゲートリフターの特別教育と義務化について
続いては、テールゲートリフターの特別教育について詳しく解説します。
特別教育の対象車両
テールゲートリフターの特別教育の対象となる車両は、テールゲートリフターを装備したトラックやその他の車両です。
特別教育の対象者
テールゲートリフターの特別教育の対象者は、テールゲートリフターを操作する作業に携わる労働者です。これには、以下のような職業の人々が含まれます。
- トラックドライバー:荷物の積み降ろしにテールゲートリフターを使用するドライバー
- 倉庫作業員や物流作業員:荷物の積み降ろしや移動にテールゲートリフターを使う作業員
- 現場作業員:建設現場などで重い機材や資材の運搬にテールゲートリフターを使う作業員
- 管理職や監督者:テールゲートリフターの操作を監督または管理する立場の人々
これらの対象者は、テールゲートリフターの特別教育が必要です。
特別教育の内容
テールゲートリフターの特別教育では、安全かつ効率的な操作方法や関連する安全規則について学びます。主な教育内容は以下の通りです。
- テールゲートリフターの構造と原理:リフターの基本的な構造や動作原理を理解する。
- テールゲートリフターの操作方法:リフターの安全な操作方法について学ぶ。実際に操作する際の手順や注意点について具体的な指導が行われる。
- テールゲートリフターの安全管理・保守・点検:リフターを使う際の安全対策や事故防止策、定期的な保守と点検の重要性と方法、また、異常が発生した場合の対処法についても学ぶ。
- テールゲートリフターの法規制とルール:テールゲートリフターを操作する際に遵守しなければならない法律や規則について学ぶ。
- 操縦実習:実際に運転しながら、技術を習得する。
特別教育を受けさせる場所
テールゲートリフターの特別教育を受ける場所は地域によって異なりますが、一般的には以下のような場所で提供されています。
- 運送会社の内部研修:大手運送会社や物流企業では、社内で従業員に対するテールゲートリフターの特別教育を行うことがあります。
- 外部の研修機関:外部の研修機関で、テールゲートリフターを含む各種の物流機器の操作に関する教育を提供することもあります。
- 専門の教習所:一部の教習所では、テールゲートリフターの特別教育を提供することがあります。
受講を検討している場合は、事前に各教育機関に問い合わせて、教育内容、スケジュール、費用などの詳細を確認することが重要です。
テールゲートリフター義務化に関する3つの改正内容
続いては、テールゲートリフターに関する「特別教育の義務化」以外の改正内容について解説します。
昇降設備の設置義務範囲の拡大
テールゲートリフターに関する「特別教育の義務化」以外の改正内容の1つ目は、昇降設備の設置義務範囲の拡大です。
昇降設備の設置が義務付けられていた貨物自動車の範囲は、以前は「最大積載量5トン以上」でした。しかし、法改正により、「最大積載量2トン以上」の貨物自動車に範囲が拡大しました。
保護帽の着用義務範囲の拡大
テールゲートリフターに関する「特別教育の義務化」以外の改正内容の2つ目は、保護帽の着用義務範囲の拡大です。
昇降設備と同じように、以前は「最大積載量5トン以上」の貨物自動車に課せられていた保護帽の着用義務が、法改正により「最大積載量2トン以上」の貨物自動車に範囲が拡大しました。
なお、保護帽の着用義務の拡大に関しては、荷台の側面が構造上開閉できるものなど、昇降設備が備えられている箇所以外で荷役作業が行われる可能性がある自動車や、テールゲートリフターが設置されている自動車に限ります。
運転者が離れるときの措置
法改正以前は、運転者が自動車を離れる際は原動機の停止が義務付けられていました。
しかし、テールゲートリフターの中には、原動機停止の状態では操作することができない種類も存在することから、運転者が離れる際の原動機の停止義務は除外されました。
テールゲートリフター義務化:労働安全衛生規則が改正される背景
労働安全衛生規則が改正される背景には、テールゲートリフターによる労働災害の数が影響しています。
テールゲートリフターが原因の労働災害は、令和2年度で330件発生しています。そのうち4割以上が休業見込日数60日以上を超えており、災害の内容も重いことが分かります。また、死亡事故も複数件発生しています。
また、陸運業の墜落・転落による死亡災害の分析では「最大積載量5t以上のトラックからの災害が約5割、最大積載量2t以上4t未満のトラックからの災害が約4割」との結果が出ています。
このデータの中には、5トン未満のトラックに保護帽の着用義務が無かったため、保護帽を着用しておらず死亡事故に繋がったケースもありました。
以上の事象が重なって、労働安全衛生規則が改正されることになったと言われています。
テールゲートリフターの特別教育義務化についてのまとめ
今回は、テールゲートリフターの特別教育義務化について解説しました。
今後、業務でテールゲートリフターを利用する可能性がある方は、本記事を参考にして、ぜひテールゲートリフターの特別教育を受講するようにしましょう。
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