三級自動車整備士になるには、学科試験と実技試験に合格しなければなりません。
実技試験は、修了科目や技術講習の受講により免除可能である一方で、学科試験は全ての受験者が受けます。
学科試験に合格するための対策として、有効なのが「過去問を多く解くこと」です。
今回は、三級自動車整備士の過去問について、解説していきます。
【この記事で分かること】 ・三級試験の過去問を確認する方法 ・三級試験の種類別過去問 ・三級試験の問題傾向について ・三級試験に関するよくある質問 |
三級自動車整備士の資格の過去問は日本自動車整備振興会で確認できる
自動車整備士試験は2種類存在します。
・検定試験:国土交通省が実施する自動車整備士試験 ・登録試験:民間機関が実施する自動車整備士試験 |
検定試験は、試験の開催地や実施試験が少ないことから、年々受験者数が減少しています。
そのため、各都道府県の日本自動車整備振興会が実施する登録試験に合格し、三級整備士資格を取得する人がほとんどです。
ちなみに、試験に合格したあとに検定試験の免除を申請(全免申請)しなければ、整備士資格を取得したことにならないため、注意しましょう。
登録試験の過去問は、日本自動車整備振興会のホームページから確認できます。
【日本自動車整備振興会・過去問の確認方法】 ・ホームページの「自動車整備士資格情報」をクリックする ・「過去の問題・解答」をクリックする |
参考:過去の問題と解答|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
【種類別】三級自動車整備士の資格試験でよく出題される過去問
三級整備士試験は「シャシ・ガソリン・ジーゼル・二輪」の4種類があります。
ここでは、各学科試験の過去問を数問ずつ紹介していきます。
三級自動車整備士(シャシ)
三級シャシ整備士・学科試験の過去問を紹介していきます。
問1・旋回時のフロント・ホイールの切れ角を説明する記述として適切なものは、4つのうちどれか。
問1・旋回時のフロント・ホイールの切れ角を説明する記述として適切なものは、4つのうちどれか。
1・外側ホイールよりも内側ホイールの方が大きい 2・外側ホイールよりも内側ホイールの方が小さい 3・内側ホイールよりも外側ホイールの方が大きい 4・内側、外側ホイール共に同じである |
問2・ラック、ピニオン型ギヤ機構を用いたステアリング装置に関する記述として適切なものは4つのうちどれか。
1・ボール・ナット型ギヤ機構のステアリング装置と比べると、路面の振動がハンドルに伝わりやすい。 2・ボール・ナット型ギヤ機構用のステアリング装置の方が、路面の振動がハンドルに伝わりやすい。 3・ピニオンの往復運動へラックの回転運動を変換している 4・セクタの往復運動へウォーム・シャフトの回転運動を変換している |
問3・独立懸架式サスペンションの小型乗用車のステアリング、リング機構の部品として間違っているのは次のうちどれか
1・ラックエンド 2・ドラッグリンク 3・ナックルアーム 4・タイロッドエンド |
【正解】
問1・1
問2・1
問3・2
三級自動車整備士(ガソリン)
三級ガソリン整備士・学科試験の過去問を紹介していきます。
問1・コンロッド・ベアリングのクラッシュ・ハイトについて説明した記述として正しいのは次のうちどれか。
1・ベアリングの内周とベアリング・ハウジングの内周における寸法差を示している 2・ベアリングの内周と外周との寸法差を示している 3・ベアリング・ハウ人との内周とベアリングの外周との寸法差を示している 4・クランク・ピンの幅とベアリング幅の寸法差を示している |
問2・オイル・ポンプのリリーフ・バルブに関する説明として、正しいのは次のうちどれか
1・オイル・ストレーナが目詰まりを起こした際に開く 2・オイル・フィルタが目詰まりを起こした際に開く 3・オイル・ポンプの油圧が規定値を下回った時に開く 4・オイル・ポンプの油圧が規定値を上回った時に開く |
問3・冷機時のエンジン始動させてすぐの冷却水の流れ方の説明として、正しいのは次のうちどれか
1・シリンダ・ブロックのウォーター・ジャケットにラジエータのロアー・タンクの冷却水が送られる 2・ロアー・タンクにラジエーターのアッパ・タンクの冷却水が送られる 3・ラジエーターを通ってシリンダ・ブロックのウォータ・ジャケットの冷却水が循環する 4・バイパス通路を通ってシリンダ・ヘツドやシリンダ・ブロックの冷却水が循環する |
【正解】
問1・3
問2・4
問3・4
三級自動車整備士(ジーゼル)
三級ジーゼル整備士・学科試験の過去問を紹介していきます。
問1・シリンダ・ヘッド下面のひずみを点検する作業で必要な測定器具として、正しいのは次のうちどれか
1・スコヤとシックネス・ゲージ 2・定盤とシックネス・ゲージ 3・ストレートエッジとシックネス・ゲージ 4・Vブロックと定盤とダイヤル・ゲージ |
問2・4サイクル直列6シリンダ・エンジンのカムシャフトが1回転した際の説明として正しいのは次のうちどれか
1・1つのシリンダだけが、エキゾースト・バルブとインレットが1回開閉する 2・2つのシリンダだけが、エキゾースト・バルブとインレットが1回開閉する 3・3つのシリンダだけが、エキゾースト・バルブとインレットが1回開閉する 4・6つのシリンダだけが、エキゾースト・バルブとインレットが1回開閉する |
問3・インジェクション・ノズルについての説明として、正しいのは次のうちどれか
1・ホール型よりもスロットル型の方が、燃料噴射開始圧力が高い 2・スロットル型よりもホール型の方が、燃料噴射開始圧力が高い 3・燃料噴射開始圧力はスロットル型もホール方も同じである 4・スロットル型は、直接噴射式エンジンに使われている |
【正解】
問1・3
問2・4
問3・2
三級自動車整備士(二輪)
三級二輪自動車整備士・学科試験の過去問を紹介していきます。
問1・アルミニウム合金製のピストンについての説明として、正しいのは次のうちどれか
1・熱膨張の影響でピストンが変形するのを防ぐため、スカート部を切り欠いている 2・下部の径よりも頭部の径が小さい 3・頭部上面の深い凹部はピストンを軽くするためのもの 4・ボス方向の径は、その直角方向の径よりも大きくなっている |
問2・冷却装置のサーモスタットに関する説明として、正しいのは次のうちどれか
1・冷却系統内の圧力を高めるためのもの 2・エンジンの暖機を早くするためのもの 3・エンジンがオーバーヒートするのを防ぐためのもの 4・冷却水の沸点を100度よりも高くするためのもの |
問3・始動装置に関する説明として、間違っているのは次のうちどれか
1・スタータ・モータは、回転速度が低くなるほど発生するトルクが大きくなり、大きな負荷電流が流れる 2・スタータ・モータは、回転速度が低くなるほど大きなトルクを発生させる、直巻きモーターが用いられている 3・ワンウェイ・クラッチは、スタータ・モータがエンジンから駆動されるのを防ぐ働きがある 4・ワンウェイ・クラッチは、リング・ギヤとピニオンのかみ合いを円滑にする働きがある |
【正解】
問1・2
問2・2
問3・4
参考:整備士試験〇×チャレンジ‐試験問題一覧|Tossnet
三級自動車整備士の資格試験の問題傾向について
三級自動車整備士試験は、学科試験と実技試験が実施されます。
それぞれの出題内容や試験時間、合格基準は事前に公表されています。
ここでは、各試験の詳細について紹介していきますので、理解したうえで対策していきましょう。
三級自動車整備士の学科試験
三級整備士・学科試験の出題内容は、以下の通りです。
【学科試験の出題内容】 ・自動車整備に関する法規や保安基準 ・機能や構造、取扱い法に関する初等知識 ・燃料油脂や材料の性質、用法に関する初等知識 ・修理や調整、点検に関する初等知識 ・整備で使用する計量器や工具、試験機の取扱い法に関する初等知識 |
マークシート式で試験が行われ、試験時間は60分で30問が出題されます。
1問1点の30点満点中、21点以上を取れば合格です。
三級自動車整備士の実技試験
学科試験に合格した後に受けるのが実技試験であり、出題内容は以下の通りです。
【実技試験の出題内容】 ・簡単な修理 ・組み立てや分解、簡単な調整や点検 ・簡単な基本工作 ・簡単な計量器や工具、整備用試験機の取り扱い |
実技試験は、自動車学校の専用カリキュラムを修了している場合、免除されます。
また、自動車整備振興会が実施する「自動車整備技術講習」を受講することでも免除可能です。
三級整備士の場合、技術講習の養成機関は半年間で、働きながらでも受講できるように平日夜間や日曜の昼間に受けられるコースもあります。
ほとんどの受験者は上記のいずれかを満たしているため、実技試験の受験者は毎回数十名ほどです。
関連記事:三級自動車整備士の受験資格3パターンと受験資格の疑問を解説
三級自動車整備士の資格試験の過去問に関してよくある質問
最後は、三級自動車整備士試験に関する、3つのよくある質問に答えていきます。
・三級自動車整備士の試験は難しいですか?
・三級自動車整備士の試験は何点で合格ですか?
・三級自動車整備士になるには実務経験が何年必要ですか?
整備士試験を受ける予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。
三級自動車整備士の試験は難しいですか?
三級自動車整備士は、整備士の入門資格であるため二級や一級試験と比べると難易度は低いと言えます。
ちなみに学科試験の合格率は、以下の通りです。
種類 | 令和4年 | 令和3年 | 令和2年 |
三級シャシ | 63.8% | 66.7% | 76.4% |
三級ガソリン | 71.9% | 74.7% | 77.9% |
三級ジーゼル | 60.6% | 71.5% | 72.2% |
三級二輪 | 84.1% | 85.4% | 82.7% |
実技試験に関しては、受験者が少ないこともあり、開催されない年が多く合格率は約5割ほどで推移しています。
参照:試験結果(受験者及び合格者数等)|一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
関連記事:【未経験向け】自動車整備士へ働きながら目指す3ステップ|具体的な道のり
三級自動車整備士の試験は何点で合格ですか?
三級整備士試験の合格基準は、以下の通りです。
・学科試験:30点満点中、21点以上(1問1点) ・実技試験:40満点中、32点以上で、各問題の正答率が4割以上であること |
三級自動車整備士になるには実務経験が何年必要ですか?
三級整備士になるには、指定の学科を修了するか、実務経験を満たしておかなければなりません。
学歴・修了科目 | 受験条件 |
自動車学校の三級整備士養成カリキュラムを修了 | 卒業と同時に受験可能 |
高校で機械科系の学科を修了している | 6ヵ月の実務経験が必要 |
それ以外の学科で高校を卒業している | 1年間の実務経験が必要 |
具体的な条件は、変更される可能性があるため、必ず整備振興会や国土交通省のホームページで確認するようにしましょう。
三級自動車整備士の資格についてのまとめ
三級自動車整備士試験では、学科試験と実技試験が実施され、両方に合格することで資格取得できます。
学科試験の過去問は、自動車整備振興会のホームページから確認できますので、試験対策として使用してみてください。
実技試験の対策が難しいという場合は、自動車整備振興会の自動車技術講習を半年間受講することで試験が免除されます。
夜間などに受けられる講習もあるため、受講を検討してみてください。
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