三級自動車整備士の受験資格3パターンと受験資格の疑問を解説

自動車整備士の入門資格と言える三級整備士ですが、誰でも試験に挑戦できるわけではありません。

学歴や修了した科目によって、それぞれに受験資格が定められています。

これから整備士を目指す場合、自分の経歴に沿った受験資格を満たす必要があります。

今回は、三級整備士試験の受験資格について分かりやすく解説していきます。

【この記事で分かること】 ・三級整備士試験の受験資格 ・整備士試験における検定試験と登録試験の違い ・受験するために必要な実務経験について ・三級整備士資格の取得に関するよくある質問

三級自動車整備士の受験資格について3パターン紹介

三級整備士試験には、受験資格が設けられており、以下の3パターンそれぞれで内容が異なります。

・自動車整備系以外の学校を卒業している人
・機械工学科等を卒業している人
・自動車整備系の高校・専門学校を卒業している人

ここでは、各パターンの受験資格詳細について解説していきます。

自動車整備系以外の学校を卒業している人

自動車整備士になるうえで多くの人が進学する自動車学校ですが、必ず進学しなければいけないわけではありません。

整備学校に進学しておらず、整備関連の学科を専攻していない人でも三級整備士試験に挑戦できます。

【整備系の学校を卒業していない場合の受験資格】 ・整備工場における実務経験が1年以上

「三級自動車整備士の実務経験と受験資格の関係」で詳しく解説していますが、実務経験は整備に関することであれば何でも認められるわけではありません。

詳細ルールについて理解したうえで、実務経験を積む就職先を見つけるようにしましょう。

機械工学科等を卒業している人

高校や専門学校、大学などで機械系の学科を修了している場合、未経験者よりも必要な実務経験が短縮されます。

【機械系の学科を修了している場合の受験資格】 ・整備工場における実務経験が6ヵ月以上

ちなみに、対象となる学科の詳細は以下の通りです。

・精密機械学科 ・農業機械学科 ・機械工学科 ・建設機械科 ・航空学科 ・機械電気科 ・航空機原動機科 ・造船学科

実務経験の内容は未経験者と同じで、どのような経験でも認められるわけではありません。

自動車整備系の高校・専門学校を卒業している人

整備士を目指すうえで、最も一般的なのが自動車整備学校への進学です。

整備士学校にて、三級整備士養成課程を修了した場合、卒業と同時に実務経験なしで受験できます。

整備士学校を卒業している場合は、実技試験が免除されて学科試験のみとなります。

ちなみに、二級整備士養成課程を卒業した場合は、いきなり二級整備士試験に挑戦可能です。

参考：自動車整備士になるには・受験資格について｜国土交通省

関連記事：無資格でも自動車整備士を目指せる？実務未経験で働く方法・求人の探し方

三級自動車整備士の検定経験と登録試験の関係について

三級整備士資格は国家資格で、試験には「検定試験」と「登録試験」のいずれかに合格することで取得できます。

・検定試験：国土交通省が実施する整備士試験 ・登録試験：民間の機関(日本自動車整備振興会連合会)が実施する整備士試験

検定試験は、試験の種類や試験地が限られていることから、各都道府県の整備振興会が実施する登録試験を受ける人がほとんどです。

登録試験に合格した後は、検定試験を免除するための「全免申請」をすることで、整備士として認定されます。

三級自動車整備士の実務経験と受験資格の関係について

三級整備士試験に挑戦するには、実務経験を6〜12ヵ月積む必要がありますが、経験を積む場所や内容には以下の通り指定があります。

【実務経験を積む事業所】   ・自動車分解整備事業(道路運送車両法第78条)の認証を受けている整備工場など ・自動車分解整備事業(道路運送車両法第94条)の認証を受けている整備工場など ・自動車電気装置作業工場、自動車タイヤ整備作業工場、自動車車体整備作業工場 ・自動車整備用の機械や器具を完備した整備作業場のある自動車部品の事業場やガソリンスタンド

【実務経験と認められる作業】   ・分解整備(道路運送車両法施行規則第３条)に係わる整備作業 ・インジェクション・ポンプやキャブレーターといった主要な装置の調整や点検、整備作業 ・自動車の主要部品や装置の交換に関する調整や点検および整備作業

このように指定があるため、整備設備のないカー用品店や、ガソリンスタンドにおける洗車作業や簡単なオイル交換作業などは、実務経験として認められません。

試験を受ける際には、実務経験を証明する書類も必要です。

参考：自動車整備士技能検定等にかかる適正な実務経験の証明について｜国土交通省

三級自動車整備士の受験申請に必要なものは5つ

受験条件を満たし、受験する場合は各都道府県の自動車整備振興会に申請を行います。

【申請に必要なもの】 ・受験資格を証明する証明書 ・登録試験受験申請書 ・縦4.5cm×横3.5cmの写真 ・はがき(学科試験のみ受験する場合は2枚、実技試験も受験する場合は4枚)

受験手数料は、学科試験が7,200円、実技試験が14,000円です。

申請の詳細に関しては、各都道府県の自動車整備振興会で確認しましょう。

三級自動車整備士の試験日について

整備士試験は年に2回実施され、令和5年度第2回試験の日程は以下の通りです。

試験の受付期間(学科・実技)	令和6年1月22日～1月26日
学科試験日	令和6年3月24日
実技試験日	令和6年8月25日

毎年同じ時期に開催されていますが、変更となる可能性もあるため、必ず自動車整備振興会の案内を確認するようにしましょう。

ちなみに、三級整備士の実技試験は自動車学校の専用課程を修了するか、整備振興会の技術講習を受けると免除されます。

受験者が少ない場合、実技試験が開催されないこともあるので事前に確認しておくようにしましょう。

三級自動車整備士の受験資格に関するよくある質問

最後は、三級整備士試験に関する、5つのよくある質問について答えていきます。

・三級自動車整備士には実務経験なしでなれますか？
・三級自動車整備士は独学で取得できますか？
・三級自動車整備士の実務経験はどこでできますか？
・三級自動車整備士は分解整備ができますか？
・三級自動車整備士は難しいですか？

試験の難易度や、資格取得後の業務範囲に関する内容ですので、整備業界を目指す方は参考にしてみてください。

三級自動車整備士には実務経験なしでなれますか？

三級自動車整備士は、整備学校で三級整備士養成課程を修了した人のみ、実務経験なしで試験を受けられます。

ちなみに、実技試験も免除されるため学科試験のみに合格すれば、三級整備士資格を取得できます。

それ以外の受験者は、6〜12ヵ月間の実務経験が必須であり、実技試験を免除するには自動車技術講習を受講しなければなりません。

三級自動車整備士は独学で取得できますか？

三級整備士資格を取得する上で、必ず整備学校を卒業していなければならないわけではないため、独学でも試験に合格すれば資格を取得できます。

ただし、整備学校へ通っていない場合は、所定の実務経験を満たす必要があります。

三級自動車整備士の実務経験はどこでできますか？

三級自動車整備士の実務経験は、国の指定を受けた整備工場や所定の整備設備を完備した部品販売店などでの作業が対象です。

整備設備のないガソリンスタンドやカー用品店での、簡単な整備業務は実務経験として認められません。

三級自動車整備士は分解整備ができますか？

三級自動車整備士が携われるのは、基本的な整備業務だけでエンジンなどの分解整備業務はできません。

基本的な整備業務としては、エンジンオイルやギアオイルの交換、タイヤ交換などがあります。

二級整備士になれば、資格の種類ごとに定められた車両において、分解整備もこなせます。

三級自動車整備士は難しいですか？

三級整備士資格は、整備士の入門資格ということもあり二級や一級試験に比べると難易度は低いと言えます。

ただし、所定の受験資格を満たす必要があり、学科試験に合格するには基本的な整備に関する知識や技術が必須と言えます。

各年度の試験合格率は、以下の通りです。

種類	令和4年	令和3年	令和2年
三級ガソリン	71.9%	74.7%	77.9%
三級ジーゼル	60.6%	71.5%	72.2%
三級シャシ	63.8%	66.7%	76.4%
三級二輪	84.1%	85.4%	82.7%

実技試験の合格率は5割前後で推移しています。

参照：試験結果（受験者及び合格者数等）｜一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

関連記事：二級自動車整備士の合格率は約22〜95％｜資格取得には独学と通学がある

三級自動車整備士の受験資格に関するまとめ

三級自動車整備士試験は、学歴や修了した科目によって受験資格が設けられています。

整備学校を卒業していない場合は実務経験を満たす必要があり、業務内容や従事する工場にも指定があるため、注意が必要です。

実務経験を積みながら、学科試験の対策を進めて資格取得を目指してみてください。