自動車の整備士の仕事を無資格・未経験で始めるにはどうすればよいのでしょうか?
その他にも、無資格でできる仕事、できない仕事や、採用のために取るべき資格や転職の場合の注意点などを紹介しています。
この記事が読者の皆さんの就職活動に少しでも役に立つことを祈ります。
無資格で整備士として働くことは可能?
整備士の求人情報を調べてみると多くの会社が整備士資格などを求めていることが目につきます。しかしながら、実は無資格で整備士として働き始めることは可能です。
無資格・未経験からでも求人をオープンにしている企業は決して少なくありません。そもそも自動車整備士資格の中で最初の登竜門となる3級整備士は整備士としての指定工場での実務経験を受験条件にしています。
整備士としてキャリアを始めようとする時にこれといった資格がない状態で企業への応募をするというのはむしろ一般的です。
ただし無資格でできる仕事とそうでない仕事があり、給与などに差が出てくることを理解しておく必要があります。
まず無資格でもできる仕事の例を見てみましょう。
無資格でもできる仕事
特別資格を持っていなくてもできる仕事の例は、
- タイヤ交換
- エンジンオイルの交換
- 法定点検
- 車検整備
- 分解整備
- エンジンの脱着
- ミッションの脱着
- 鈑金
- 塗装
- 新車PDI (納品前検査)
- ボディーのコーティング
- 電装機器の修理
- エアコンの修理
- ドライブレコーダー取り付け
など多岐に渡ります。ただし一部の作業は有資格者の監督の元行わなければならないなど制限がかかります。
無資格ではできない仕事
資格なしには関わることのできない業務としては、
- エンジン整備
- ブレーキ整備
- サスペンション整備
- 足回りの分解整備
などがあります。
次は未経験の状態から整備士としてのキャリアをスタートさせる具体的な方法についてご紹介します。
無資格・未経験で採用を勝ち取る方法
無資格の人でも企業の採用活動の対象になることはわかりました。実際にディーラーや工場から採用を勝ち取るための活動を議論していきます。
自動車整備工場や運送業者などに知り合いがいない人が採用を勝ち取る方法は大きく分けて3つあります。
- 求人サイト経由での応募
- 人材紹介サービスへの登録
- 企業への直接応募
です。
下ではそれぞれご紹介します
1.求人サイト
真っ先に思いつくのが求人サイトでの検索ですね。多くの会社に一気に応募をしてスピーディに就職活動を進められる点や、隙間時間に少しずつ就職活動を進めていける点が魅力的ですね。
まずは簡単な流れと整備士の就職・転職の場合にかかる所要時間を紹介します。
就職・転職活動の流れ

転職サイトのフォーマットに沿ってこれまでの学歴、職歴をなどを記入すると、人事担当者が採用条件と照らし合わせた上で対面選考に進みます。
求人サイトを利用しての就職活動の場合、直接人事担当者と日程調整をします。この場合、1週間から場合によっては3週間程度かけて数回対面選考を行い、内定を獲得します。
内定してから、数ヶ月の試用期間を経て本採用となります。
【参考】タイプ別オススメの求人サイト

出所:マイナビ転職トップページ
まずはたくさんの候補を比較検討できるマイナビ転職です。
会員数が453万人程度(2018年現在、ピーアールデイリー)の日本最大級の転職サイトです。整備士など技術職の全体に占める割合はおよそ2%と少ないですが、地域を絞ってもたくさんの整備士求人が見つけられます。

出所:求人ボックス
2つ目は自動車整備士の求人に絞って検索できる求人ボックスです。
会員数の多い有名求人サイトでは珍しく、自動車の整備士に絞って検索が可能です。アルバイトや契約社員、正社員など働き方を選んで検索できます。
また、新卒や第二新卒でも応募ができる求人を見つけることもできます。
2.人材会社
次に人材会社を利用しての就職です。人材会社はまず、一人一人の会員と電話面談や対面面談を行い、経歴や希望、条件を把握します。
会員から手に入れた情報を元に、人材会社の担当者が整備士を探している会社と整備士候補をマッチングしてくれます。
まずは人材会社を利用しての整備士転職の流れをご説明します。
就職・転職活動の流れ

人材紹介会社を見つけたらまずは会員登録をします。その後担当者とメールや電話で面談日程を設定します。
想定する給与や、待遇などを担当者に話すと、一般的には2週間以内に応募候補になる会社を紹介してくれます。
ただ、場合によっては面談の時点で、会社を紹介してもらえることもあります。
【参考】整備士に特化した人材紹介会社サイト

出所:自動車整備士求人ナビ
まず、自動車整備士求人ナビです。経験が重要視されることの多い業界ですが、事業として未経験者を歓迎しているようです。トヨタグループをはじめとする大手にも人材を紹介した実績があります。

出所:カンパネルトップページ
基本的に転職者を対象にした人材紹介業者ですので、社会経験のない人は利用ができないサービスです。企業とのやり取りを代行してくれることはもちろん、履歴書などの書類作成まで担当者がサポートしてくれます。
3.企業への直接応募
求人サイトや人材紹介会社を介さず、自分1人で就職活動を進める方法もあります。現在では多くの企業が自分たちのWebサイトを立ち上げ、求職者のための問い合わせ窓口を設けています。
また専用ではなくとも、問い合わせ窓口から採用の有無を聞く方法もあります。
ここまでのまとめ
3つの方法を見てきましたが、ご自身の状況やお仕事選びの条件によってどれを使うと良いのかは違ってきます。
まず、求人サイトを用いれば、気軽に就職/転職活動を進められます。
一方人材紹介サービスを利用すればプロからのサポートを受けながら安心して活動ができます。
ハードルは高いですが最もシンプルな方法が直接会社に応募する方法です。
では他の候補者の間で自分をよりよくアピールするためにはどんな方法や、経歴ごとの注意点など整備士としての求職活動によくある疑問にお答えしています。
未経験、無資格でも大丈夫な整備士の求人の詳細
次に無資格での整備士で出ている実際の求人についてどのような待遇があるかをいくつか紹介していきます。
応募例1・整備士(求人詳細はこちらをクリック)
雇用形態:正社員
仕事内容:自動車整備業務全般(点検、修理、整備、車検、洗車など)
応募資格:自動車整備士3級以上、普通自動車免許※無資格、未経験でも可能
給与:23万~26万円+諸手当
勤務時間:9:00~17:30
応募例2・整備士(求人詳細はこちらをクリック)
雇用形態:正社員
仕事内容:自動車整備業務全般(車検整備、故障診断など)
応募資格:普通自動車免許(AT限定不可)
給与:25万~33.5万円+諸手当
応募例3・整備士(求人詳細はこちらをクリック)
雇用形態:正社員
仕事内容:スズキ車の用品取り付け作業、整備等
応募資格:普通自動車免許(AT限定不可)
給与:19.5万~41.2万円
未経験から整備士になる上でのよくある疑問点
Q. 未経験で整備士になるため資格は取るべき?
一般的にはありません。「経験」が最も重視されているためです。
それでも少なくない数の企業が未経験者を採用しています。
未経験者を採用する会社は資格の代わりに、「素直に学ぶ姿勢」や「誠実な人柄」などの人間性を求める人材の条件としてあげています。
また、「機械いじりや車が好きかどうか」、ということも重要なポイントとして上がってきます。
無資格・未経験で求職活動をする場合、スポンジの様に先輩や上司の教えてくれることを吸収する姿勢を示すことが資格以上に大切になりそうです。
Q. 未経験から整備士になるために必要な知識はあるか
求人サイトには知識として知っておいてほしいことを明記している会社はあまりありません。反対に知識がなくても、業務を進める中で学び、活躍していける旨を記述している会社が多くあります。
また趣味として自動車や二輪車の整備を行なっている人を歓迎する会社も多いようです。
Q.整備士が最初に取るべき資格は?
整備士見習いとして働き始めた人が最初に目指すべき資格は3級整備士です。
3級整備士とは4つの種類に別れており、その内容は以下の通りとなります。
・3級自動車シャシ整備士
~普通自動車、小型自動車、軽自動車のシャシ部分の基本的な整備を行うことが可能な資格
・3級自動車ジーゼルエンジン整備士
~ジーゼルエンジンで動く普通自動車や小型自動車、軽自動車のエンジン部分の基本的な整備を行うことが可能な資格
・3級ガソリンエンジン整備士
~ガソリンエンジンで動く普通自動車や小型自動車、軽自動車のエンジン部分の基本的な整備を行うことが可能な資格
・3級二輪自動車整備士
~二輪自動車や原付バイクの基本的な整備を行うことが可能な資格
3級整備士は誰でも試験を受けれるわけではなく、実務経験が必要となります。(学歴や専攻学科により異なる)
試験は学科試験と実技試験があり合格率はその種類によって違いますが平均で約63%ほどとなっています。
合格するための勉強期間は2~4ヶ月ほどとなります。
3級整備士になるといくつかの業務を有資格者が監督していなくても、単独で進められます。例えば、タイヤ交換、エンジン交換などができる様になります。
実務として認められる職場
認証工場ないし指定工場です。認定工場とは車の分解整備を行う場合に各地方運輸局長(関東運輸局長など)の認証を受けた工場です。
一方認証工場が申請し、設備や技術、管理体制などについて一定の質を有していると判断された場合、地方運輸局長はその工場を指定工場として「指定」できます。
近年適切な認定を受けていない工場での違法な分解整備を行うだけでなく、その工場での「実務」の経歴で、自動車整備士の国家資格を不正に取得する例が多発しています。
将来にわたって整備士としてのキャリアを重ねていきたい方は、この「認証」にも気をつけて求人情報を見極めましょう。
Q. 転職の場合資格がないと難しい?
転職だとしても、新卒だとしても、未経験から整備士として採用されるのは簡単ではありません。
ただし未経験の場合、職歴の有無以上に年齢が重視される傾向があるため、転職の場合は難しいというイメージが生まれたのかもしれません。
また自動車業界での勤務経験は整備士の採用においてはアピールポイントにはしにくいようです。
Q.整備士の資格取得に学歴は必要?
整備士になる場合、まずは3級整備士の取得をすることが目標となるのですが、取得するのに必要な学歴はなく、中卒や高校中退の場合でも3級整備士は取得可能です。
ただし、上記で説明したように学歴や先行学科によって実務経験の条件をクリアする必要があり、中卒や高校中退の場合は1年以上の実務経験が条件となります。
ちなみに実務経験はどこで働いていてもカウントされるというわけではなく、勤務する職場が「認証向上」か「指定工場」の認定をうけていなければなりません。
最近では整備士が不足傾向にあり、会社によっては未経験からのスタートでも就職可能な場合もあり、働いて知識や技術を身につけながら資格取得を目指すといった流れの会社も増えてきています。
もちろん資格がなくても作業可能な業務もあるため安心して就職することができます。
Q.通信講座などでの取得は可能?
最近では学校に通わなくても通信講座などで資格を取得できるようになりました。
3級整備士の場合、受験資格に必ず実務経験が必要であるため通信講座のみでの取得は不可能です。
ですが、実務経験を満たした後に行われる学科試験などは通信講座でも勉強することができます。
Q.女性でも一から整備士を目指すことは可能?
整備士と言えば3K(きつい、汚い、危険)のイメージを持たれがちですがそんなことはなく、昔に比べて重いものを持ったりすることも少なくなってきています。
逆に最近では車両はもちろん整備士の仕事もコンピューター化や機械化が進んでおり力仕事よりも繊細な仕事も増えてきています。
また、基本的にチームで動いたりするため力仕事は男性の整備士が担当するなどできるので、女性だから整備士として活躍できないということは全くありません。
整備士は自動車の修理はもちろん異常などを見つけて故障を防止するのも大事な役目であり、繊細な感覚を持っている女性だからこそ活躍できる作業も多くあります。
他にも整備士は狭い箇所の修理や点検も行うことが多く、腕が太い男性では苦労するような箇所も女性なら簡単に行えるなどのメリットもあります。
会社自体も女性の整備士が現場にいることで、サービス担当として女性の客様が気軽に不安や疑問を話しやすくなるという面もあります。
まとめ
未経験でも、無資格でも、整備士としてのキャリアをスタートさせることは可能です。
万人に合う正攻法のようなものはないのでご自身の希望にあった方法で求職活動を選びましょう。
ただしどの方法を取るにしても、その工場が資格取得支援の体制を持っているかなどキャリアビジョンとの比較はもちろん、そもそもその会社での業務が整備士資格取得のための実務になるかなどの観点で厳しくチェックしましょう。
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