「不動産営業はフリーランスで従事できるのか」と考えている人も多いでしょう。
結論、日本には、不動産営業にフリーランスで従事する人は多くいます。ただし、フリーランスとして働く場合、メリットだけでなく、デメリットもあります。
フリーランスとして独立する前に、想定年収はどれくらいか、どのような働き方ができるかなど具体的にイメージしておきましょう。
この記事では、フリーランスで不動産営業に従事するメリットならびにデメリットなどを解説します。フリーランスとして不動産業界で働くことを検討している人は、ぜひ最後まで読んでください。
不動産業界における会社員とフリーランスの違い
不動産会社に雇用されて勤務する場合、業務内容はセクションごとに分業化されているケースが一般的です。不動産会社の業務区分例は次の通りです。
- 管理業務
- 会計業務
- 売買業務
- 告知営業
多様な仕事を、複数のスタッフが協力しあって進めています。また、不動産会社の場合は、専門的な業務などを下請け業者に委託する場合も非常に多いと言われています。
フリーランスの場合は、一連の仕事をすべて1人で行うか、または、どれか1つに特化するかの2パターンです。1つの仕事に特化する場合、その他の仕事を下請け業者へ委託したり、別セクションを中心に取り組むフリーランスに依頼したりします。
フリーランスとして不動産業界で働く際、毎日の業務は多岐に渡るので膨大と言われています。場合によっては、自分の抱えているタスクの中で、どの部分が外注可能なのかを考えることも重要です。
具体的には、以下のような仕事は、外注できる可能性があります。
- 物件の写真撮影
- 不動産営業に関する事務
- Webサイトの運営
- 図面の作成
- 不動産営業
時には、自分の稼働工数を把握して、携わる案件を減らしたり、業務の外注をしたりして仕事を滞らせないようにしなければなりません。
不動産営業のフリーランスは多い
フリーランスでも不動産営業の仕事に就くことは可能と言われています。
全国に、本業でフリーランスをしている人の数は、209万人です。有業者に占める割合は3.1%です。
不動産業ならびに物品賃貸業に限定すると、本業のフリーランスは16.4万人おり、割合も10.7%にも上ります。
フリーランスでも不動産営業に従事できますが、条件があります。まずは、宅建業の免許がなければ開業はできません。したがって、一般的には、宅建業の免許がある不動産会社と業務委託契約を結んで、仕事をする必要があります。
会社員のケースとフリーランスのケースでは、不動産業界の違いがいくつかあります。主な違いは次の通りです。
項目 | 会社員のケース | フリーランスのケース |
報酬の形態 | 固定給とインセンティブの組み合わせ | 完全歩合制(成約したときだけ報酬) |
働き方の自由度 | 出勤や休暇、休憩などに規則がある | 自分の都合に合わせて働ける |
初期費用や固定費 | 会社が必要な設備や広告などを 用意してくれる | 自分で負担する必要がある (ただし、独立開業に比べると少ない) |
信用や知名度 | 会社のブランドや実績によって高まる | 自分で築く必要がある |
フリーランスとして不動産営業に挑戦する場合、メリットだけでなくデメリットもあります。自分の目標や性格に合った働き方を選びましょう。
不動産営業のフリーランスになるメリット
不動産業界でフリーランスとして働くメリットは、主に4つです。
- フレキシブルな働き方ができる
- 営業成績次第で年収が多くなる
- 事務所がいらない
- 初期費用が開業ほどかからない
それぞれについて解説します。
フレキシブルな働き方ができる
不動産業界のフリーランスは、比較的スケジュールに縛られない勤務形態です。不動産業界では、多くの仕事がフレキシブルなスケジュールで進んでいます。お客さまとの予定以外は自由な時間が多く、出社時間や退勤時間も縛られずに決められるケースもあるようです。したがって、不動産業界では、自分のペースで営業活動ができます。
また、場合によっては、リモートワークや自宅での仕事も可能です。
営業成績次第で年収が多くなる
フリーランスは、完全歩合制で報酬が決まるケースが一般的です。その結果、不動産の売買契約や賃貸契約が多く成立すれば、年収も高くなります。
成功報酬や手数料など、成績に応じた報酬が得られるため、やる気と能力次第で高い年収を実現できる可能性があります。
事務所がいらない
フリーランスは、事務所を構えなくても仕事ができるケースが多いです。不動産会社と業務委託契約を結べば、提携先の事務所や設備を利用させてもらえるでしょう。
また、不動産業界では、多くの業務がオンラインや外出先からできるため、専用の事務所が無くても支障をきたさない場合が多いようです。
初期費用が開業ほどかからない
不動産業界でフリーランスとして働く場合、独立開業に比べて初期費用が低く抑えられます。独立開業には事務所の賃貸や装飾、広告宣伝費など多くの初期費用がかかりますが、フリーランスで働く際は必要ありません。
独立開業の場合は、初期費用が少なくとも300万円程度は必要と言われています。
不動産営業のフリーランスになるデメリット
不動産業界でフリーランスとして働くデメリットは、主に4つです。
- 不動産営業に関するすべての業務が自己責任
- 年収が不安定になる
- 信用を得られにくい
- 手数料が取られる
デメリットを事前に把握して対策できるように解説します。
不動産営業における業務はすべて自己責任となる
フリーランスとして独立して不動産営業に従事すると、すべての事象が自己責任です。契約の獲得や顧客のフォロー、トラブルの対応などのすべてを、自分で行わなければなりません。
会社からのサポートや保証がないので、その分、案件に対する責任が重くなります。また、自分で案件を探さなければならないため、営業力やPRする力が求められるでしょう。
年収が不安定になる
フリーランスの報酬は、営業成績次第で大きく変動します。フリーランスの報酬形態は、完全歩合制が一般的です。成績を上げれば上げるほど、報酬も高くなる一方、成績が出なければ、報酬も少なくなります。
さらに、不動産業界は市況や経済動向に大きく左右されるため、不況になると仕事が減る可能性もあります。
信用を得られにくい
フリーランスの場合、信用を得られにくいケースがあります。不動産は高額な物件であり、契約に至るまでの期間も長いです。そのため、お客さまは信頼できる不動産会社や営業担当者を選びたいと考えます。
しかし、フリーランスには、会社の看板やブランド認知がありません。実績やスキルをアピールして、信頼関係の構築が求められます。
手数料が取られる
フリーランスの働き方は、不動産会社と業務委託契約を結ぶケースが一般的です。不動産会社のブランドやシステムなどを借りて働くので、成約時に手数料を支払う必要があります。手数料の割合は契約内容によって異なりますが、30%程度が一般的と言われています。
手数料が取られると、手元に残る報酬が減るので認識しておきましょう。
不動産営業のフリーランスとして働く際の注意点
フリーランスとして独立して不動産業界で働く際は、次の2点に注意が必要です。
- 業務委託契約書で定められた手数料率を確認する
- 税務知識を身に付ける
それぞれについて解説します。
業務委託契約書で定められた手数料率を確認する
不動産業界で独立してフリーランスとして働く際には、一般的に、業務委託契約を結びます。業務委託時の手数料率に関して注意が必要です。
不動産の売買や賃貸などの取引に伴って手数料が発生しますが、報酬金額や支払い条件は不動産会社との契約内容によって異なります。
売上の30%程度が手数料で引かれるケースが月並みです。
税務知識を身に付ける
不動産業界で独立してフリーランスとして働く場合、税務知識を身に付けることが重要です。不動産業界では、さまざまな経費が発生するため、適切な税金対策を行うことで負担を軽減できます。
たとえば、経費にできる支出の例は、次の通りです。
- 旅費交通費
- 広告宣伝費
- 消耗品費
- 接待交際費
- 通信費
- 租税公課
他にも、経費算入できる支出はあります。フリーランスとして独立する前に税務関係を確認しておきましょう。
不動産営業のフリーランスの年収事情
フリーランスとして独立して、不動産営業をする場合、年収面に関して認識しておきたい点は次の2点と言われています。
- フリーランスの年収は営業成績次第で変動する
- 働き方次第によっては年収1,000万円以上も可能?
それぞれについて解説します。
フリーランスの年収は営業成績次第で変動する
フリーランスの年収は、営業成績次第で変動する『フルコミッション(完全歩合)制』が一般的です。フリーランスは、業務提携している不動産会社から固定給をもらうのではなく、成約した物件の手数料の一部を報酬としてもらいます。
フルコミッションの利点は、自分の営業成績に応じて高い報酬が得られる点です。不動産の取引は、1件あたりの金額が高いので、1年に数件でも成約すれば、十分な収入を得られるでしょう。
働き方次第によっては年収1,000万円以上も可能?
働き方によっては、年収1,000万円以上も目指せます。フリーランスは、業務提携する会社にもよりますが、一般的には、働く時間や場所は自由です。不動産営業では、商材1件あたりの取引金額が高額のため、成約した際の手数料も高くなります。
一方、会社員として不動産営業の仕事をする場合、固定給がベースであり、インセンティブの割合は低くなります。また、働き方は会社の方針や規則に従わなければなりません。
不動産営業のフリーランスが年収をアップさせる方法
不動産業界でフリーランスとして年収アップを狙う方法は、主に3つです。
- 人脈を有効活用する
- 潜在的なニーズのある人を探す
- SNSなどで積極的な情報発信を心がける
それぞれについて解説します。
1.人脈を有効活用する
不動産業界はフリーランスに限らず、人脈が非常に重要と言われています。お客さまや仲介業者、デベロッパー、他にも、知人などとの培ってきた関係を活用できると、仕事の機会や情報を得やすくなります。
また、信頼関係を築くことで、リピートや紹介などの口コミも増えるでしょう。
2.潜在的なニーズのある人を探す
不動産業界では、潜在的なニーズのある人を探す活動も年収アップにつながります。潜在的なニーズのある人とは、不動産の購入を検討しているものの、まだ具体的な物件や条件を決めていない人です。
潜在的なニーズのある人を探し続け、定期的にアプローチしていければ、安定した成約に近づきやすいと言われています。
3.SNSなどで積極的な情報発信を心がける
不動産業界では、自身のSNSなどでの積極的な情報発信も有効です。 SNSなどの媒体を活用すると、自分の知名度や信頼度が高まります。
また、不動産に関する最新情報やトレンド、自分の実績や成功事例などを発信すれば、信用度が増したり、ユーザーの興味や関心を引きつけたりできるでしょう。
不動産業界における営業以外のフリーランスの職種
不動産関係でフリーランスとして従事できる仕事は、いくつもあります。たとえば、次の通りです。
- 不動産営業
- 物件の写真撮影
- 不動産事務
- 物件サイトの制作・運営
- 図面作成
- 不動産投資に関するコンサルティング業務
いずれも、不動産業界での経験や知識があると有利ですが、中には未経験から挑戦できる業務もあります。実際に、不動産営業は未経験からの転職も多いと言われています。
フリーランスの不動産営業についてのまとめ
今回は、フリーランスで不動産営業を行うメリット、デメリットなどについて解説しました。
不動産業ならびに物品賃貸業に従事する本業のフリーランスは16.4万人もいます。
不動産業界でフリーランスとして従事する利点は、次の通りです。
- フレキシブルな働き方ができる
- 営業成績次第で年収が多くなる
- 事務所がいらない
- 初期費用が開業ほどかからない
一方で、デメリットもありますが、事前にリスクを把握できれば、対策は可能です。
もし、不動産業界でフリーランスとして独立を検討しているのであれば、挑戦してはいかがでしょうか。
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