ドライバー職の方が中型免許を取得すれば、運転可能な自動車の範囲が増えるので、今後のキャリアの選択肢が増えます。
そこでこの記事では、中型免許の取得方法、取得条件、さらにはそのメリットまでを詳しく解説します。
中型免許とは:7.5~11tの車両を運転できる免許
中型免許は、車両総重量が7.5tから11tの車両を運転するために必要な免許です。
この免許を取得することで、大型車両の一部を運転することが可能になります。
運送業や建設業などで、中型トラックを運転する機会がある方にとっては重要な資格となります。
中型免許を取得するための条件
中型免許は2007年の道路交通法改正の際につくられた免許で、普通免許や大型免許よりも新しいものです。また、2017年3月に新設された準中型免許とは別物になります。
以下の条件を満たす方であれば、中型免許の取得が可能です。
- 19歳以上であること
- 普通免許、準中型免許、大型特殊免許のいずれかの運転免許を所持していた期間が1年以上
- 36時限以上の特例教習を修了している
以前は中型免許を取得するためには20歳以上である必要がありましたが、現在では19歳以上に年齢制限が引き下げられています。
ただし、免許停止などの処分を受けていた期間は含まれず、処分を受けていない期間が1年以上必要です。
両眼で0.8以上、各眼で0.5以上の視力が必要で、眼鏡やコンタクトレンズの使用も可能となります。
また、「深視力」と呼ばれる、物体の遠近感や立体感を捉える能力も必要です。
この検査は三桿法(さんかんほう)の奥行知覚検査器を使用し、2.5メートルの距離でおこなわれる3回の検査の平均誤差が2センチメートル以下でなければなりません。
中型免許取得費用:約3〜30万円
中型免許の取得費用は、取得方法によって異なります。
教習所に通学する場合は17万円から24万円(所持免許によって変わります)、合宿では時期に応じて11万円から30万円の範囲で費用が変動します。
また、一発試験にかかる費用は、自分で準備する教材費を除き、受験料、試験車使用料、免許交付手数料、取得時の講習費用などがあり、合計で3万1千円〜3万7千円程度です。
ただし、これらの金額は目安であり、実際の費用は個人のスキルやスケジュールによって異なります。
中型免許で運転できる車両の種類や範囲
現在、中型免許で運転可能な自動車の種類や範囲は以下の通りです。
自動車の種類 |
普通自動車・中型自動車 |
車両総重量 |
11t未満 |
最大積載量 |
6.5t未満 |
乗車定員 |
29人以下 |
中型免許では、車両総重量が11t未満で最大積載量が6.5t未満の中型自動車を運転できます。
この範囲には、運送業界で広く利用されている4tトラックも含まれます。そのため、中型免許があれば、トラック運転手として多くの現場で働くことが可能です。
ただし、マイクロバスのように運賃を徴収する業務に携わる場合は、中型第二種免許の取得が必要となります。
中型免許と8t限定中型免許の違い
2007年6月2日の道路交通法改正以前は、普通免許を所持していれば8t未満の車両を運転できました。
しかし、5tから8tの車両による事故の増加と運転者の技術不足が問題となり、中型免許のカテゴリーが設けられたのです。
法改正の前から普通免許を所持していた人は「8t限定中型免許」として、以前と同じ車両を運転できます。
ただし、免許証には「中型」の表記が新たに加わり、運転できる中型車は8tまでとされています。
「8t限定中型免許」で運転できる自動車は以下の通りです。
自動車の種類 |
中型自動車 |
車両総重量 |
8t未満 |
最大積載量 |
5t未満 |
乗車定員 |
10人以下 |
8t限定中型免許の限定解除方法について
8t限定中型免許は指定の手続きや試験を受けることで、限定を解除できます。ここではその方法や費用について解説します。
8t限定中型免許の制限を解除し、中型免許へとアップグレードするためには、以下のステップを踏む必要があります。
まず、指定された自動車教習所で必要な時限数の技能教習を受講します。この技能教習は、マニュアル車では5時限、オートマチック車では9時限が必要です。
技能教習を終え、指定教習所での技能審査に合格することで、中型免許の限定解除審査の受験資格が得られます。
その後、運転免許試験場で免許変更手続きをすることで限定解除は完了です。
限定解除後は、大型免許取得時と同様の適性試験がおこなわれます。
この試験では、視力は両眼で0.8以上、各眼で0.5以上でなければなりません。
また、「深視力」と呼ばれる、物体の遠近感や立体感を判断する能力の試験もおこなわれます。
なお、適性試験に不合格の場合、下位の普通免許や原付免許に降格される可能性もあります。
中型免許の限定解除をおこなう際の運転免許試験場での手数料は1,400円です。
【比較表】中型免許と準中型免許の違い
中型免許の新設から約10年後の2017年に、今度は準中型免許が設立されました。普通免許、準中型免許、中型免許、大型免許のそれぞれの違いは以下の通りです。
免許の種類 |
自動車の種類 |
受験資格 |
車両総重量 |
最大積載量 |
乗車人数 |
普通免許 |
普通自動車 |
18歳以上 |
3.5t未満 |
2t未満 |
10人以下 |
準中型免許 |
準中型自動車 |
18歳以上 |
7.5t未満 |
4.5t未満 |
10人以下 |
中型免許 |
中型自動車 |
20歳以上、運転経験2年以上 |
11t未満 |
6.5t未満 |
29人以下 |
大型免許 |
大型自動車 |
21歳以上、運転経験3年以上 |
11t以上 |
6.5t以上 |
30人以上 |
準中型免許では、普通自動車から準中型自動車までの運転が可能です。具体的には、車両総重量7.5t未満、最大積載量4.5t未満、乗車定員10人以下の車両が該当します。
この改正に伴い、以前は普通免許で運転可能だった5t車が準中型免許の対象となり、改正前に普通免許を取得した人は「5t限定準中型免許」として運転が可能となりました。
免許証の種類表記も「普通」から「準中型」へと変更され、「準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)に限る」という条件が追加されています。
中型免許についてのまとめ
中型免許は、道路交通法の改正の影響を受け続けてたことで、準中型免許や8t限定中型免許など、似たような名前の免許が新設されてきた背景があります。
そのため、仕事の都合で中型免許の取得を目指す場合は、それらと中型免許とを混同しないように注意が必要です。
中型免許を取得する際は、取得条件や運転可能な自動車の範囲などをしっかりと確認した上で、手続きをおこなってください。
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