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イギリスのトラック運転手の年収は1,000万円?人手不足な理由

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イギリスのトラック運転手の年収は1000万円?人手不足な理由

トラック運転手は、どの国でも必須と言える存在です。

中には日本ではなく、国外でトラック運転手として働いてみたいと考える方もいるのではないでしょうか。

国外でトラック運転手として働くことを考えたとき、選択肢の一つにイギリスがあります。

最近では、トラック運転手の年収が高いことが話題となっています。

今回はイギリスのトラック運転手について、収入や現在の物流事情、日本と比べてどっちが得なのかについて解説していきます。

イギリスのトラック運転手って儲かるの?

トラック_世界地図

経済と密接な関係にある物流ですが、トラック運送はほとんどの国で欠かせない存在と言えます。

日本と同じように、日用品や建築材料、燃料などあらゆるものがトラックによって配送されています。

そこで気になるのが、外国のトラック運転手の収入事情です。

日本では『きつくて給料が見合っていない』というイメージを持たれがちなトラック運転手ですが、外国のトラック運転手はどうなのでしょうか。

ここではイギリスのトラック運転手の収入事情などについて解説していきます。

年収1,000万円の求人もある

イギリスのトラック運転手の求人には、年収1,000万円を超えるものもあります。

日本では考えられないほどの収入と言えるのですが、実際に大手求人サイト・インディードには下記のようなトラック運転手の求人があります。

トラック運転手の未経験者歓迎、時給17ポンド
②3.5tトラックと牽引車の運転資格必須、年収64,000ポンド

2023年2月時点で1ポンドは約163円のため、①の求人では時給2771円、②の求人では年収1,000万円を超える計算です。

かなり危険なものを運ぶわけでもなく、必要なスキルに関しても日本の大型一種免許に相当する大型車の運転免許のみです。

日本のトラック運転手の平均年収

現在イギリスでは運転手が不足しており、年収が1,000万円を超えるような求人も出てきています。

一方で日本国内のトラック運転手はどれほどの収入となっているのかを見ていきましょう。

国税庁が行った民間給与実態統計調査によると、トラック運転手の平均年収は下記の通りとなっています。

運輸業・郵便業の平均年収:498万3千円(平均給与444万3千円、平均賞与54万円)

男性の運輸業・郵便業の平均年収:542万6千円(平均給与483万円、平均賞与59万6千円)

女性の運輸業・郵便業の平均年収:296万7千円(平均給与268万2千円、平均賞与28万5千円)

全産業の平均年収:507万7千円(平均給与433万1千円、平均賞与64万6千円)

運輸・郵便業の平均年収は約498万円と全産業の平均年収507万円を少し下回っているものの、ほぼ同じ水準となっています。

参照元:国税庁 第9表 業種別及び給与階級別の給与所得者数・給与額 

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イギリスは深刻なトラック運転手不足

イギリスのトラック運転手の収入は、日本のトラック運転手と比べてかなり高い水準となっているのですが、これにはトラック運転手不足が大きく関係しています。

なぜイギリスで深刻なトラック運転手不足となっているのかについて解説していきます。

トラック運転手が足りない理由

イギリスでトラック運転手が不足してしまった理由としては3つあります。

まず1つ目が『EU離脱による移民制限』です。

イギリスがトラック運転手不足に陥ったのは、欧州連合(EU)から離脱を決めたことが影響しています。

EU離脱前であれば就労ビザを取得しなくてもイギリスで働けたため、他のEU加盟国から多くの人が出稼ぎにやってきていました。

しかし、欧州連合からイギリスが離脱したことで出稼ぎができなくなり、それまでイギリスで働いていた他国出身のトラック運転手は、帰国せざるを得ない状況となったのです。

2つ目が『コロナ禍による感染リスクへの警戒』です。

各国がコロナ対策を行っているものの、イギリスでは感染が拡大しており『今イギリスで働いたとしてもすぐにコロナウイルスに感染してしまうのでは』と考えて求人に対する応募を控えている人が多いと言えます。

3つ目が『ポンド安』の影響です。

EUを離脱後、度重なる交渉のもつれもあり対ユーロのレートは低い状態が続いています。

そのため出稼ぎをする意味があまりなく、コロナウイルス感染の可能性も高いため、イギリスではトラック運転手不足が続いています。

日本のドライバー不足との違い

イギリスでトラック運転手不足が問題となっていますが、日本でもトラック運転手不足はかなり深刻化しています。

その原因は主に2つあります。

1つ目が『ネット通販の浸透によるニーズ増加』です。

コロナウイルスの大流行により、我々の生活スタイルは大きく変化し、ネット通販で買い物を済ませる人が増加しました。

また、最近ではEC産業の急成長もあり、個別でネット販売などが簡単にできるため、荷物の取扱量が今後さらに増えると予想されています。

個人宅への配達では『再配達による配達効率の悪さ』も課題となっています。

2つ目が『法令順守による1人当たりの稼働時間の減少』です。

働き方改革関連法の改正が行われ、2019年4月より順次、施行されています。

その中の一つに『時間外労働の上限規制』があるのですが、時間外労働が多い事業や業務に関しては5年間の猶予が与えられています。

トラック運送業務もそれに含まれており、猶予は2024年3月31日までとなっているため、2024年4月1日以降は時間外労働を年960時間までに抑えなければなりません。

現在でも年間960時間以上の時間外労働をしているトラック運転手は多く存在しているため、2024年の4月以降はトラック運送業者の収益が減少すると予想されており、それに伴いトラック運転手の収入も大きく減少すると言われています。

賃上げを行い運転手の収益を下げない方法もありますが、それをきっかけに依頼主が他の運送業者へ依頼を変更する恐れもあり、現実的に難しいと言えます。

関連記事:トラック運転手の人気がない理由とは?現役運転手の声も紹介

イギリス政府が対応策を実施

イギリスでトラック運転手不足が発生したことに対し、政府は対応策として『短期労働ビザの発給』を決定しています。

英国ビザ・移民局は運輸省や食料・農村地域省などの各省と協力し、ビザ申請をタイムリーで処理できるよう準備を進めています。

また、運輸省は主要物流業界団体や運転免許庁と共同で、トラックの運転免許を持っている運転手全員に、業界への復帰を促す手紙を送付することで合意しました。

トラック運転手が不足していることから、イギリスではトラック運転手の賃上げが進んでおり、中には年収1,000万円を超える求人があるほどです。

日本のトラック運転手よりもはるかに高い収入と言えますが、実際に働く場合イギリスと日本のどちらがいいのでしょうか。

ここでは、消費税や所得税を含めた手取り額などについて解説していきます。

年収の額面だけを比較しても意味がない

日本とイギリスでは所得税や消費税に大きな違いがあり、社会保障の程度も異なるため、単純に日本の方が収入が低くて悪いというわけではありません。

イギリスでトラック運転手をすることで、裕福な生活を送れるとは限りません。

所得税の違い

まずは所得税の違いについて解説していきます。

所得税とは1年間働いて得た所得に対して課される税金であり、基本的に会社から給料をもらう際に天引きされています。

イギリスと日本の所得税は下記の通りです。

イギリス:最低税率20%、最高税率45%
日本:最低税率5%、最高税率45%

ちなみにアメリカでは最低税率が10%、最高税率が37%となっており、シンガポールでは最低税率が0%、最高税率は22%ほどです。

これに加えて地方税(住民税)を加味すると下記のとおりです。

イギリス:最低税率20%、最高税率45%
日本:最低税率10%、最高税率55%

イギリスやシンガポールには地方税(住民税)がありません。

消費税の違い

次に消費税の違いについて解説していきます。

消費税はモノやサービスを購入する際に課される税金であり、日本では生活をしていく上で必須と言える食料品などの課税率は軽減税率によって低く設定されています。

イギリスでも特定のものやサービスに関しては税率を0%としています。

イギリスと日本の消費税は下記の通りです。

イギリス:20%
日本:10%(食料品などは軽減税率で8%)

ちなみに他の国ではシンガポールが7%、アメリカが0%となっています。

アメリカの場合、消費税はないのですが小売売上税という税金があり消費税に近い性質のものです。

手取り額の違い

ここまで解説してきた所得税や地方税を含めたイギリスと日本の手取り額は下記の通りとなります。

【年収1,000万の場合】

・所得税と地方税の合計額
日本:144万9000円
イギリス:194万5000円

・手取り額
日本:手取り855万1000円
イギリス:手取り805万5000円

【年収500万円の場合】

・所得税と地方税の合計額
日本:37万4000円
イギリス:65万8000円

・手取り額
日本:462万6000円
イギリス:手取り434万2000円

税金だけで考えると日本の方が手取り額が大きいと言えます。※社会保険等は省略しています※

日本とイギリスのどちらがオススメか

ここまで日本とイギリスのトラック運転手の収入事情や、各国の税金などについて解説してきました。

この他にも労働環境は大きく異なり、イギリスでは英語が喋れることが必須と言えます。

ビザを取得する必要もあり、これらの問題をクリアし、ライフスタイルが合うのであればイギリスでトラック運転手として働くのはありと言えます。

ただし、上記で説明した通り額面だけで判断するのはおすすめしません。

補足として、イギリスでは経済対策として所得税の最高税率を45%から40%に引き下げ、金融業界への投資と専門性の高い人材を国内に呼び込もうと考えていましたが、国民からの批判が相次ぎこれを撤廃しています。

関連記事:トラック運転手の平均年収を男女別・地域別・年齢別で紹介

関連記事:アメリカのトラック運転手は日本より稼げる?違いを紹介

イギリスのトラック運転手についてのまとめ

今回はイギリストラック運転手の収入事情について解説してきました。

イギリスではEU離脱による移民制限やポンド安、コロナウイルスの感染拡大が原因で深刻なトラック運転手不足となっています。

その影響もあり年収1,000万円を超えるような求人もあるほどです。

日本のトラック運転手の収入と比べるとかなり高いようにも思えますが、国内の税金などを加味して考えると、どちらかの方が圧倒的に得なわけではありません。

イギリスでトラック運転手で働きたいと考えているのであれば、税金やビザの取得、言葉の問題なども踏まえ総合的に判断してみるといいでしょう。

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