「ライドシェアとは一体何?」と疑問に思う人も多いでしょう。
ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車で、有償で乗客を送迎するサービスです。
ライドシェアは、2024年2月時点、日本では基本的に禁止されていますが、2024年4月から条件付きで始まります。
本記事では、国土交通省の見解も踏まえてライドシェアに関する解説、さらにはタクシーとの違いについてもわかりやすく解説しています。
簡単に、ライドシェアを理解したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
ライドシェアとは:相乗りサービス
ライドシェア(Ride Share)とは、一般のドライバーが自家用車を使い、有償で乗客を送迎するサービスです。
ライドシェアリングと呼ばれるケースもあります。
海外ではスマートフォンアプリを使ってマッチングする形態が主流ですが、日本では法律上の規制があり、現在はほとんど認められていません。
しかし、政府は2024年4月からタクシー会社が運行管理するなどの条件のもと、タクシーが不足する地域や時間帯に限ってライドシェアを解禁する方針を示しています。
ライドシェアにはメリットとデメリットがあります。
メリットは、利用者にとっては選択肢が増えて移動が便利になり、ドライバーにとっては副業や収入源になる可能性があります。
他にも、相乗りによる新たな出会いや移動時間の会話などもメリットです。
一方で、タクシー業界にとっては競争が激化して経営が圧迫される恐れがあり、安全性やサービス品質の確保などの課題がデメリットに挙げられます。
ライドシェアの市場規模は2017年時点で5兆5,000億円規模
ライドシェアにおける世界全体の市場規模は、2017年に約5兆5,000億円でしたが、2030年には約43兆円に達すると予測されています。
ライドシェアの市場規模は、国や地域によっても異なるようです。
ライドシェアの市場規模は、今後もさまざまな要因によって拡大すると見込まれています。
たとえば、都市部の交通渋滞や駐車場の不足、燃料の高騰などの車を所有するうえでのリスクの低減、環境への意識の高まりによるシェアリングエコノミーの普及などです。
海外のライドシェア大手4社がすでに上場している
海外のライドシェア大手4社とは、Uber、Lyft、DiDi、Grabを指します。
これらの4社は、すでに上場しています。
各社の上場開始時期と上場先は次の通りです。
企業名 | 国 | 上場開始時期 | 上場先 |
Uber Technologies | アメリカ | 2019年5月 | ニューヨーク証券取引所 |
Lyft | アメリカ | 2019年3月 | ナスダック |
Didi Chuxing | 中国 | 2021年6月 | ニューヨーク証券取引所 |
Grab Holdings | 東南アジア | 2021年12月 | ナスダック |
ちなみに、Grabの本社はシンガポールにあります。
さらに、エジプト発のスタートアップ企業で、アラブ首長国連邦のドバイに本社を構えるスエフルも、ナスダック上場へ乗り出したようです。
参考:会社概要 | Uber
参考:トップページ|Lyft
参考:トップページ|DiDi Global
参考:エジプト発スタートアップのスエフル、米国ナスダック上場へ(米国、アラブ首長国連邦、エジプト) | ビジネス短信
ライドシェアに関する4つの類型
ライドシェアは、大きく分けて次の4つに分類できます。
- カープール型
- バンプール型
- カジュアルカープール型
- TNCサービス型
それぞれについて解説します。
カープール型
カープール型は、目的地が同じ一般ドライバーと利用者が相乗りするライドシェアです。
ドライバーは利用者からガソリン代や高速道路代、駐車場代などの実費程度を受け取れますが、基本的に報酬はありません。
日本では「notteco(のってこ! )」などが、カープール型のライドシェアサービスです。
バンプール型
バンプール型は、バンなどの大型車両に大勢が相乗りするライドシェアです。
カープール型と同様に、ドライバーの報酬はありませんが、多人数の移動を効率的に行えます。
そのため、バンプール型は通勤や通学で利用されるケースが多いです。
費用は、ドライバーと利用者がともに負担します。
カジュアルカープール型
カジュアルカープール型は、ヒッチハイク型のライドシェアです。
カープール型とヒッチハイク型のかけ合わせと考えてもらえるとイメージしやすいでしょう。
道路沿いの所定の乗り場に並んでいる人をドライバーが乗せる仕組みです。
費用に関して、ドライバーは利用者からカープール型同様に交通費代のみ受け取れます。
TNCサービス型
TNCサービス型は、スマートフォンアプリなどでマッチングする形態のライドシェアです。
TNCサービス型では、一般ドライバーが自家用車を使用して有償で利用者を送迎しています。
カープール型の進化版とも捉えられています。
先ほどにも触れた通り海外ではUberやLyft、DiDiなどが認知度の高いTNCサービス型として有名です。
日本では道路運送法により、これまで基本的に違法でしたが、2024年4月からはタクシーが不足する地域や時間帯に限って、
タクシー会社がライドシェアの運行管理をするなどの条件のもと、大幅に解禁される方針となっています。
ライドシェアとカーシェアリングとのビジネス観点での違い
ライドシェアとカーシェアリングは、いずれもシェアリングエコノミーのひとつです。
ライドシェアとカーシェアリングのメリットは、車を所有しなくても移動できる点や、車の有効活用ができる点です。
一方で、ドライバーや車の品質が保証されない点や、予約が取りにくい点などがデメリットとしてあげられます。
ただし、ライドシェアとカーシェアリングには、決定的に異なる点があります。
- ライドシェア
- カーシェアリング
それぞれについて、ビジネス観点での違いについて紹介します。
ライドシェア
ライドシェアは、ドライバーと同じ目的地に行きたい人をマッチングさせるサービスです。
利用者はドライバーに移動費を支払います。タクシーや相乗りタクシーに似ていますが、ドライバーはプロではなく個人です。
日本では、ライドシェアは基本的に、道路交通法で白タク行為として禁止されています。
カーシェアリング
カーシェアリングは、事業者や個人が所有する車を利用者に貸し出すサービスです。
利用者は車を借りて自分で運転します。レンタカーに似ていますが、貸し出しや返却がインターネットで簡単にできます。
ライドシェアと異なり、カーシェアリングは、すでに合法です。
カーシェアリングは、車両台数や会員数が増加しており、今後も拡大が期待されています。
日本とアメリカのライドシェアの普及状況
2024年2月時点で、日本とアメリカのライドシェアの普及状況の差は歴然です。
- 日本
- アメリカ
それぞれのライドシェアの普及状況について解説します。
日本
日本では、2024年2月時点、自家用車を利用した営利目的のライドシェアは法律で基本的に禁止されています。
先ほど紹介したライドシェアアプリを提供しているUberなどは日本に進出していますが、タクシーの配車などに留まっており、利用できるサービスは限定的です。
災害のために緊急を要する場合や公共交通事業が成り立たない地域で、特定非営利活動法人などが住民を運送する場合に限って、自家用車での有償運送が認められています。
また、国家戦略特区法により、地域住民の自家用車による有償運送の対象が観光客にまで拡大されました。
これらの例外を含めると、有償のライドシェアが日本で全く行われていないわけではありません。
しかし、2024年4月にはタクシー会社が運行管理し運賃はタクシーと同じ、車両不足が深刻な地域や時間帯に絞って限定する解禁条件のもと、ライドシェアサービスが解禁される予定です。
深刻なタクシー不足や交通弱者の移動ニーズに応えるための政策です。
『日本版ライドシェア』は、TNC型ではなく、日本独自の形態になることが見込まれています。
参考:国家戦略特区法の一部改正法概要(自家用有償運送等の比較)|国土交通省
アメリカ
アメリカでは、TNC型のライドシェアが認められており、UberやLyftが人気です。
ドライバーは自家用車を使用でき、プラットフォーム事業者が管理や運行を行っています。
アメリカのライドシェア市場は、2009年にUber Technologiesがインターネットマッチングのライドシェア事業を立ち上げて以降、急激に伸びてきました。
Uber Technologiesの時価総額は、2024年2月時点で1400億ドルを超えています。
参考:諸外国における ライドシェア法制と 安全確保への取り組み|内閣府
参考:海外のライドシェアの現状と日本でのあり方|大和総研
ライドシェアに関する日本の流れ|5選
日本でのライドシェアを巡っての現状や見込まれている事項は、次の5つです。
- 現在ライドシェアは日本で禁止されている
- ライドシェア全面解禁に国土交通省は慎重になっている
- ライドシェアの料金はタクシーと同等の予定になっている
- ライドシェアはタクシーが足りない場合のみ認められる
- ライドシェア導入に反対の声が6割になっている
それぞれについて解説します。
現在ライドシェアは日本で禁止されている
道路運送法により、普通自動車第二種運転免許を持たない人による有償での送迎は原則できません。
このような行為は『白タク行為』と呼ばれ、罰則があります。
ただし、一部の地域では自家用有償旅客運送制度のもと、地域住民が自家用車で運行できます。
ライドシェア全面解禁に国土交通省は慎重になっている
国土交通省は、ライドシェアの導入によるタクシー業界への影響や安全性の確保などの課題を慎重に検討中です。2024年6月までに全面解禁の是非を判断すると言われています。
参考:ライドシェア、国交省は全面解禁になお慎重 推進派とつばぜり合い|産経ニュース
ライドシェアの料金はタクシーと同等の予定になっている
2024年4月から一部解禁される予定の『日本版ライドシェア』では、運賃はタクシーと同じとする方針です。
しかし、全面解禁された場合には、ダイナミックプライシングが採用される可能性もあると言われています。
ちなみに、ダイナミックプライシングとは、商品やサービスの価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる価格戦略を指します。
ライドシェアはタクシーが足りない場合のみ認められる
2024年4月から一部解禁される予定の『日本版ライドシェア』では、一部の都市部や観光地のみが対象です。
また、あらかじめ定めるタクシー台数が足りなく、基準を下回った場合にのみ運行が認められます。
ライドシェア導入に反対の声が6割になっている
ライドシェアの利用経験がない人のうち、導入に反対する声が64.4%です。
一方で、ライドシェアの利用経験のある人の場合、導入賛成の声が84.1%もあります。
日本では、ライドシェアの利用経験のない人が大半のため、乗らず嫌いと言い換えられるでしょう。
参考:諸外国における ライドシェア法制と 安全確保への取り組み|内閣府
ライドシェア:5つの問題点
日本がライドシェアを解禁するにあたって、5つの問題があると言われています。
- ドライバーが乗客に危害を加えるおそれがある
- 乗客がドライバーに危害を加える場合がある
- ドライバーが飲酒運転をしているかチェックできない
- タクシーのように質が担保されない
- 事故を起こした場合の保険や保障に不安が残る
それぞれについて解説します。
ドライバーが乗客に危害を加えるおそれがある
ライドシェアは、ドライバーの資質や車両の状態が不均一であり、安全性の確保が難しいとされています。
実際に海外では、ライドシェアの運転手による乗客への暴行や誘拐などの犯罪が発生しています。
車内は密閉空間のため、人の目から触れにくいです。
また、乗った自動車にチャイルドロックがかけられていると、利用者が車内から脱出するのは極めて困難になります。
乗客がドライバーに危害を加える場合がある
酔っ払いの乗客などによる、ドライバーへの暴言や暴力行為なども懸念されています。自家用車で嘔吐されたり、車を傷つけられる可能性もあるでしょう。
少しでもリスクを排除できるように、世界各国のライドシェアの仕組みの多くは、『相互レビュー』が一般的です。
相互レビューにより、利用者もドライバーもお互い気持ちよくサービスが利用できるように、相手側の情報を事前に把握して選択できます。
ドライバーが飲酒運転をしているかチェックできない
タクシーの場合、運行管理者によるドライバーの体調確認や車両点検、他にも酒気帯び確認が義務付けられています。
しかし、ライドシェアでは、一般のドライバーが自家用車で利用者を乗せるため、チェックできません。
ドライバーが、もし飲酒運転をしていても、酩酊状態でなければ乗客は気づかないでしょう。
利用者はもちろんですが、他の通行人やドライバーなどにも迷惑をかけかねません。
場合によっては、重大な事故につながる恐れまであります。
他にもライドシェアには労働時間の規制もなく、体調不良であったり、居眠りしながらであったりの運転などの課題も拭えていません。
タクシーのように質が担保されない
ライドシェアの反対意見として多く挙げられるのが、タクシー基準の運転や安全性が担保されていない点です。
ライドシェアは、基本的に普通自動車第一種運転免許があれば誰でも始められます。
ゆえに、ドライバーによって運転技術の差が出るので、不安を感じている人が多いようです。
事故を起こした場合の保険や保障に不安が残る
ライドシェアの車が事故をした場合、保険や保障に不安が残ります。タクシードライバーの場合は、会社が保険に加入しており、保障が準備されています。
一方で、ライドシェアの保障は、一般的にドライバーが個人向けに加入している自動車保険のみです。保障内容次第では、不十分な可能性もあるでしょう。
参考:世界各国における自家用車ライドシェアをめぐる犯罪行為等に関する質問主意書|衆議院
ライドシェアに関連する日本の実験事例|3選
日本におけるライドシェアの実験事例はいくつかありますが、厳選して3つを紹介します。
- なかとんべつライドシェア
- 天塩-稚内 相乗り交通事業
- そらまめバス
なかとんべつライドシェア
なかとんべつライドシェアは、北海道中頓別町で、町民の自家用車を活用したライドシェアです。2016年に実証実験が開始され、現在まで続いています。
町内の路線バスやタクシーが減少しているため、高齢者や来訪者の移動にライドシェアが不可欠です。
天塩-稚内 相乗り交通事業
天塩-稚内 相乗り交通事業は、北海道天塩町と稚内市を住民同士の車の相乗りで移動できるようにする日本初の試みです。
2007年から運営されている相乗りプラットフォーム『notteco』を利用して、住民同士での相乗りをスムーズに行っています。
天塩町では、公共交通機関が不足しているため、医療や買い物などの移動をサポートしています。
そらまめバス
そらまめバスは、千葉県南房総市富浦町大宮区で、耕作放棄地を利用してそら豆などを栽培し、売上からバスのガソリン代を充当する取り組みです。
町内を運行するバスの本数が少ないため、高齢者の生活を支える役割を果たしています。
ライドシェアとは?に関するよくある質問
ライドシェアに関するよくある質問は次の通りです。
- ライドシェアのガソリン代は誰が負担するのですか?
- 日本型ライドシェアとはなんですか?
- ライドシェアとはどういう意味ですか?
- タクシーとライドシェアの違いは何ですか?
- ライドシェアが禁止されている理由は何ですか?
- 二種免許のある人はライドシェアの運転手になれますか?
- ライドシェアとヒッチハイクの違いは何ですか?
それぞれについて解説します。
ライドシェアのガソリン代は誰が負担するのですか?
ライドシェアのガソリン代は、ドライバーと利用者の間で話し合って決めることになります。
一般的には、ガソリン代を折半するか、距離に応じて一定の金額を支払うかのどちらかが多いようです。
ただし、日本ではライドシェアはまだ法的に認められていないので、注意が必要です。
日本版ライドシェアとはなんですか?
「日本版ライドシェア」とは、移動が困難な地域に、地域の自家用車やドライバーを活用してタクシー会社がサービスを提供する日本独自の仕組みです。
ライドシェアとはどういう意味ですか?
ライドシェア(Ride Share)とは、自動車の相乗りを指します。ライドシェアリングとも呼ばれます。
タクシーとライドシェアの違いは何ですか?
タクシーは、旅客運送業として道路運送法に基づく事業許可を受けており、ドライバーには普通自動車第二種運転免許が必要です。
一方、ライドシェアは、普通自動車第一種免許があればドライバーになれます。
ライドシェアが禁止されている理由は何ですか?
ライドシェアが禁止されている理由は、道路運送法によるものです。
道路運送法では、自家用車を使った有償での送迎を原則禁止しています。
二種免許のある人はライドシェアの運転手になれますか?
普通自動車第二種運転免許のある人はライドシェアの運転手になれますが、必須ではありません。
改正法では、ライドシェアは『自家用自動車を有償で運送の用に供する行為』から除外される規定が設けられており、
運転者は、普通自動車第二種運転免許の取得が不要になりました。
そのため、普通自動車第一種免許を取得していれば、免許の条件はクリアできます。
ライドシェアとヒッチハイクの違いは何ですか?
ライドシェアは、事前にスマートフォンアプリなどでドライバーと乗客をマッチングするサービスです。
一方、ヒッチハイクは、道路沿いで手を振って通りかかる車に乗せてもらう行為を指します。
ライドシェアとは?についてのまとめ
今回はライドシェアについて解説しました。
ライドシェアは、一般のドライバーが自家用車で、利用者を送迎する有償のサービスです。
ライドシェアは、2024年2月時点、日本では基本的に禁止されていますが、2024年4月から条件付きで始まります。
ライドシェアは、すでに海外では必要不可欠な移動手段です。2030年のライドシェア市場は、約43兆円にも上ると言われています。
もし、ライドシェアのドライバーに興味があれば、すでにエントリーを募っているタクシー会社もあるのでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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