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ライドシェア反対派は6割|タクシー業界の反対意見が多い理由

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ライドシェア反対派は6割|タクシー業界の反対意見が多い理由

ライドシェアとは、有償の自家用車の相乗りサービスのことを言います。

一般の人がアプリなどのプラットホームに登録し、そこで乗車希望のあった客とマッチングして自家用車に有償で客を乗せ、目的地まで運ぶものです。

アメリカを中心として世界8ヵ国ではすでにライドシェアサービスが解禁となっていますが、安全性や業界団体などとの問題から、日本では導入に反対意見も多いのが現状です。

そこで本記事では、新型コロナでの影響が落ち着き、観光やビジネスでの人の移動が盛んになってきた現在、にわかに話題となってきつつあるライドシェアについて解説していきます。

日本でのライドシェア反対派は6割

日本でのライドシェア反対派は6割

2023年10月に行われた民間調査会社MM総研によるアンケートで、日本でのライドシェア反対派は6割になるとの結果が得られました。

日本でのライドシェアの導入に「反対」「どちらかといえば反対」と答えた人は61%で、賛成の39%を大きく上回りました。

しかし、回答した17歳〜79歳の3000人の中で、2780人がライドシェアを経験したことがないと答え、その割合は回答者数全体の9割にのぼります。

つまり日本では、ライドシェアを経験してはいないが、そこから受けたイメージや聞いた情報で反対意見を表している人が多いという状況です。

出典:ライドシェア「反対6割」→海外で利用者は「賛成8割超」と賛否逆転 民間調査|産経新聞

日本でのライドシェアへ反対意見が多い3つの理由

日本でのライドシェアへ反対意見が多い3つの理由

それでは、日本でのライドシェアへ反対意見が多い3つの理由について挙げていきます。

主な反対意見は以下の3つです。

  • 乗客の安全確保が難しい
  • 違法運送が行われる可能性がある
  • タクシー業界に負担がかかる恐れがある

では、一つずつ解説します。

乗客の安全確保が難しい

日本でのライドシェアへ反対意見が多い理由の1つ目は、乗客の安全確保が難しいからです。

現に、ライドシェアを導入している国々では、シェアリング中に性犯罪や強盗、殺人などが発生している状況です。

また、ライドシェアのプラットホーム企業大手であるアメリカのウーバー社自身が、ライドシェア中の性犯罪被害が増加したという報告書を公表しています。

環境や法律の未整備な状態で、見切り発車で制度を開始しようという政治方針に対して、反対の声が根強いのには、

乗客・運転者とも犯罪に巻き込まれる可能性が大きいことが理由としてあげられます。

違法運送がおこなわれる可能性がある

日本でのライドシェアへ反対意見が多い理由の2つ目は、違法運送がおこなわれる可能性があるからです。

ライドシェアに登録して運転するのは、専門的な知識や経験を持たない一般人であり、2024年2月時点では、

どのような人がライドシェアで乗客を運送することができるのかなどの法律や違反した際の罰則などが整備されていません。

なお、現在の道路運送法では、自家用車で客を運ぶこと自体を「白タク」行為と呼んで禁止にしています。

また、運転者が飲酒をしていないか、薬物依存でないかなどを乗客が判断できる術がないという危険性があります。

加えて、違法運送ではなくともシェアリング中に事故に遭った場合、運転者は自身の保険で補償を受けられる可能性があります。

しかし、乗客にも適応されるかどうかは現時点では不透明です。

タクシー業界に負担がかかる恐れがある

日本でのライドシェアへ反対意見が多い理由の3つ目は、タクシー業界に負担がかかる恐れがあるからです。

コロナ禍の影響もあり、ここ数年でタクシー運転手の数は2019年から2割も減少しました。

ところが最近では外国からの観光客も増加し、国内旅行や出張などの移動も増えたことから、東京、大阪、その他の観光地では、タクシーの供給が間に合っていない状況です。

しかし、その打開策として出されたライドシェアによって価格競争が起き、安い運賃での運送がかえってタクシー業界や運転手の労働環境を悪化させるとの懸念があります。

それにより、タクシー業界からの離職率が増え、ますます公共交通の利便性が悪くなるというのが各労働組合などが反対する主な意見です。

ライドシェア反対に関する日本での各意見について

ライドシェア反対に関する日本での各意見について

次に、ライドシェア反対に関する日本での各意見について、さらに詳しく見ていきます。

日本でのライドシェアへの各意見や現状は、以下の4つです。

  • ライドシェアの利用経験があると賛成が多い
  • ライドシェアに対してタクシー業界では反対意見が多い
  • ライドシェアに反対の政党も多い
  • ライドシェアに対して反対の署名活動も実施されている

では、一つずつ解説します。

ライドシェアの利用経験があると賛成が多い

MM総研が行った調査の中で興味深いのは、ライドシェアの利用経験があると賛成が多いという点です。

今回のアンケート調査では、回答した3000人中220人が海外でライドシェアを経験したと答えています。

その220人にしぼってライドシェアの賛成・反対を見ると、賛成が84.1%、反対が15.9%と、ライドシェア未経験の人とは真逆の結果となりました。

また、ライドシェアを利用した人の中でサービスに不満を持ったという人は、8%ほどにとどまっています。

日本では、ライドシェアを利用したことはないが、導入には反対しているという、食わず嫌いな現象が起きているとも言えます。

ライドシェアに対してタクシー業界では反対意見が多い

ライドシェアと一番競合するのは、タクシー業界です。

これまでは、タクシーは公共交通としての一翼を担いながら、タクシー業界内での価格競争やシェアの拡大に経営努力を注いでいました。

しかし、タクシーより効率的な輸送手段であり、安価なライドシェアが導入されれば、タクシー自体の存在意義が薄くなる可能性が否めません。

タクシー業界が加盟する労働組合などからは、タクシーをはじめとした運転手の労働環境や生活状況が悪化すると、声高に反対意見が挙げられています。

ライドシェアに反対の政党も多い

岸田首相はじめ閣僚などの政府はライドシェアを推進しつつありますが、与党自民党をはじめ、ライドシェアに反対の政党・議員も多い状況です。

例えば、立憲民主党の辻元清美参議院議員は、「先進国38カ国のうち、30カ国が禁止している」と、まだ世界で安全性が認められていないことを指摘しています。

さらに米ライドシェア大手のUber自身が、性犯罪が多発していることを公表しています。そのため、導入には問題が多いと、自民党をはじめ立憲民主党や維新の会などでも反対意見が根強いのが現状です。

公明党の支持層では、意見が割れながらも反対意見が多かったという結果もあります。

ライドシェアに対して反対の署名活動も実施されている

タクシー業界が作る労働組合では、ライドシェアに対して反対の署名活動も実施されています

この活動は数年前から本格化し、コロナ禍の前後に関わらず全国各地の自動車輸送に関する組合から多くの署名が議員連盟などに提出されてきました。

また、各地の市民団体や弁護士などの有識者が、頻繁に公聴会やシンポジウムなどを開いて、ライドシェアに関する問題点を指摘するなどの動きがあります。

ライドシェアの火付け役となった国会議員|3選

ライドシェアの火付け役となった国会議員|3選

国内を二分するライドシェアの問題ですが、ここで、ライドシェアの火付け役となった国会議員を3人ご紹介します。

  • 菅義偉氏(自民党)
  • 河野太郎氏(自民党)
  • 小泉進次郎氏(自民党)

くしくも3名とも自民党議員で、首相または閣僚の経験者です。自民党内部でも反対意見が多く出されるなど、与党といえどライドシェアに関しては一枚岩ではない状況のようです。

菅義偉氏(自民党)

ライドシェアの主な火付け役と言えるのが、菅義偉前首相です。

菅義偉氏は2023年の8月に行われた地方での講演会で、ライドシェアの必要性を強調し、テレビ出演時などもその重要性を声高に訴えています。

また、ライドシェアは過疎地域などに限定すべきという議論に対し、観光やビジネスでの需要の多い都市圏でも必要であるという考えを示しました。

菅義偉氏は、ライドシェアはゆくゆくは全国で解禁すべきだと明言しています。

河野太郎氏(自民党)

菅氏の考えに追随して、ライドシェア制度を推し進めていくことに言及しているのが河野太郎氏です。

河野氏は、地方によってライドシェアと自動運転などの技術を織り交ぜた独自の案を、テレビ番組などでも主張しています。

また、地域産業活性化ワーキング・グループの作業部会を発足させるなど、ライドシェア導入に向けて実際に動き出しています。

小泉進次郎氏(自民党)

小泉進次郎氏は、政党の垣根を越え、2023年11月にライドシェアに関する勉強会を発起人の一人として発足させました。

環境大臣であった経験からも、ライドシェアで環境問題をどう改善できるのかに取り組む考えもあります。

また、タクシーと共存できるような制度を模索するなど、ライドシェアの実用化に向けて意見を取りまとめていく考えです。

ライドシェア反対に関するよくある質問

ライドシェア反対に関するよくある質問

最後に、ライドシェア反対に関するよくある質問をまとめました。ライドシェア反対に関するよくある質問は以下の5つです。

  • ライドシェアが禁止されている理由は何ですか?
  • ライドシェアの問題点は何ですか?
  • ライドシェアは日本では禁止されていますか?
  • ライドシェアと白タクの違いは何ですか?
  • ライドシェアとタクシーの違いは何ですか?

では、一つずつ回答します。

ライドシェアが禁止されている理由は何ですか?

日本では、道路運送法という法律の78条に、「自家用自動車を有償で運送の用に供してはならない」と明確に記してあります。

ライドシェアは、「白タク」と呼ばれる無許可営業のタクシーと同じように、法律違反に当たるというのが現状です。

出典:道路運送法78条|e-Gov法令検索サイト

ライドシェアの問題点は何ですか?

ライドシェアの大きな問題点は、運転者、乗客それぞれが性犯罪、強盗、殺人などの犯罪に巻き込まれるリスクがあることです。

アメリカでライドシェアが解禁された当初、それまでのタクシーなどの利用者との間に混乱が起こり、客とのトラブルが頻発したとの報告もあります。

ニューヨークなどの都市部では、過度なライドシェアの普及により、ひどい交通渋滞が発生したほどです。

加えて、ライドシェアのドライバーは個人事業主とみなされ、最低賃金や年金などが保障されず、燃料費などもすべて自己負担で、安定した労働環境などが得にくい状況も発生しています。

ライドシェアは日本では禁止されていますか?

ライドシェアは、現在日本では禁止されています

上記の「ライドシェアが禁止されている理由は何ですか?」の項目でお伝えしたとおり、道路運送法に許可を受けた者のみが有償で乗客を自動車で運ぶことが可能と明記されています。

例外として、2018年から一部の過疎地域では、市町村やNPO法人で、国土交通省の認可を得た団体が、有償で自家用車に客を乗せられる制度ができました。

しかし、これはあくまで非営利活動であり、かつ多くの法律や条件をクリアする必要があります。

タクシーなど国土交通省の許可を得た者以外が、ライドシェアのように有償で、かつ営利目的で客を自家用車で運ぶことは、日本では禁止されているのが現状です。

ライドシェアと白タクの違いは何ですか?

現在、ライドシェアと白タクの明確な違いはどの法律にも記されておらず、同じ扱いとなっています。

つまりは、日本ではどちらも現時点では違法であるということです。

また、日本で「ライドシェア」と言われることの多い、市町村やNPO法人が行う過疎地域の「自家用有償旅客運用」は、ここでお伝えしているライドシェアとは別物になります。

ライドシェアとタクシーの違いは何ですか?

海外で導入されているライドシェアは、スマホなどのアプリで乗客が位置を知らせ、一番近くにいる運転手がそこに向かい乗車させるようになっています。

乗車時に目的地までの料金をあらかじめ提示するか否かが、ライドシェアとタクシーの大きな違いの一つでしょう。

また、タクシーは安全に運行するための基準が法律で厳しく記されており、各タクシー会社や個人タクシーはそれに従わなければ罰せられます。

ライドシェアは現在まだ導入されていませんが、今後、法律でどこまで厳格に安全基準や適正人員などを定めるかについては未知数です。

まとめ:ライドシェア反対の声はまだまだ多い

まとめ:ライドシェア反対の声はまだまだ多い

今回は、「ライドシェア反対派は6割?タクシー業界で反対意見が多い理由」というテーマでお伝えしてきました。

アメリカなどのライドシェアを解禁している国でも、まだ問題は山積みで、一つずつ解決策を練っている段階です。

日本でも導入に当たっては、安全性の確保への不安視や、業界団体の抵抗があるなど、ライドシェア反対の声はまだまだ多くあります。

ただライドシェアにも、「安価でタクシーのように快適に目的地に着ける」「過疎地域での高齢者の脚としての活用」など、メリットは多数あります。

本記事を通して、ライドシェアのことを考えるきっかけにしてみてください。

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