「不動産業界の繁忙期はいつ」「業務内容は変わるのか」などと気にしている人もいるのではないでしょうか。
不動産業界の繁忙期は、新生活シーズンの1~3月と転勤シーズンの9~10月の2度です。
また、繁忙期と閑散期で業務量や業務内容が変わります。引越し希望者のニーズや取扱う物件の数に連動して、業務内容や忙しさが変わるのが特徴です。
この記事では、不動産業界の繁忙期・閑散期について紹介します。ぜひ、不動産業界への就職を考えている人は参考にしてください。
不動産業界の繁忙期:1〜3月と9〜10月
不動産賃貸業界の繁忙期は1年に2度あります。繁忙期は次の通りです。
- 1~3月:新生活シーズン
- 9~10月:転勤シーズン
それぞれの時期の特徴について解説します。
新生活シーズン:1〜3月
1~3月は、4月から就職や進学などで新しい生活を始める人が多い時期です。その結果、賃貸物件の入退去が多く、市場に流通する物件数も増えます。
したがって、お客さまのニーズに合わせた物件の提案や契約の手続きなど、営業活動が忙しい時期です。
この時期のお客さまの特徴は、物件の立地や設備にこだわる傾向があると言われています。
新しい生活を始めるにあたって、通勤や通学の便利さや、インターネットやエアコンなどの生活必需品が揃っているかどうかが重要なポイントになるケースは多いでしょう。
また、初めての一人暮らしや引越しの場合、初期費用や家賃の安さにも敏感です。
このようなお客さまに対しては、物件の魅力やメリットを分かりやすく伝えることが大切です。
たとえば、「物件の周辺にはスーパーやコンビニなどの生活施設が充実している」や「物件の間取りや広さがお客さまの希望に合っている」などです。
また、物件の仕入れや掲載も重要な業務です。この時期に売上を伸ばすためには、閑散期からの準備やスケジュール管理が欠かせません。
転勤シーズン:9〜10月
9~10月は、企業の人事異動や転居が多い時期です。
そのため、新生活シーズンと比較して、単身者向けよりもファミリー層向けの物件の入退去が多くなり、単価の高い賃貸物件の契約が増えます。
この時期のお客さまの特徴は、物件の広さや間取りにこだわる傾向があると言われています。
家族で暮らすにあたって、部屋数や収納スペースなどの広さが重要なポイントになるケースは多いでしょう。
また、子どもの教育環境や治安など地域の特性にも関心が高いです。さらに、転勤は、引越しのタイミングや期間にも制約がある場合が多いです。
このようなお客さまに対しては、物件の詳細や条件の詳細確認が大切です。
たとえば、物件の広さや間取りはもちろんのこと、物件の築年数や管理状況、駐車場の有無や費用などの細かい情報も把握します。
また、地域の特性についても、学校や病院などの公共施設の距離や評判、治安や交通の便利さなどの情報もヒアリングしておきましょう。
ヒアリング情報をもとに、お客さまのライフスタイルに合った物件の提案を行います。
また、9~10月は、お客さまが物件選びを急いでいる場合が多いので、迅速な対応が求められます。
たとえば、お客さまからの問い合わせには、できるだけ早く、返信したり、内見や契約の日程を調整したりしましょう。
この時期に売上を伸ばすためには、お客さまの条件や予算に合った物件の提案や、丁寧かつ迅速な接客が必要です。
不動産業界が繁忙期になる理由
不動産業界の繁忙期となる理由は、主に4月からの新生活や9月ならびに10月の転勤に合わせて、引越しをする人が多くなるためです。
異動や就職、転職、入学、卒業などで住まいを変える人が増えるため、賃貸物件の入居者や転居者の動きが活発になります。
その結果、不動産賃貸仲介業者は、お客さまのニーズに合った物件を提案したり、契約や引渡しの手続きをしたりする業務が多くなります。
月ごとの特徴は次の通りです。
月 | 特徴 |
1月 | ・新しいスタートを切る人が多く、部屋探しの需要が高まる ・入退去者が増え、物件の内見などで忙しくなる |
2月 | ・大学の入試結果や異動の辞令が出て、引越しを決める人が増える ・物件の内見や契約手続きなどで忙しい |
3月 | ・引越し需要がピーク・4月までの入居に向けての問い合わせが多い |
4月 | ・新年度が始まり、新入社員や学生の入居が増える ・繁忙期が過ぎ、徐々に閑散期へと向かい、賃貸物件の空室率も低下する |
5月 | ・賃貸物件の空室率が引き続き低下 ・ゴールデンウィークの影響もあり、閑散期 |
6月 | ・梅雨の影響などもあり、閑散期 |
7月 | ・子どもの夏休み中に引越しを済ませたい人が少々いる ・基本的には閑散期 |
8月 | ・暑さもピークであり、入退去の希望が少ない ・お盆休みなどもあり、顧客対応数が減少する |
9月 | ・転勤の辞令が出て、引越しを決める人が増える ・単身よりファミリー層の物件に関する業務が多い |
10月 | ・10月上旬までが繁忙期で、顧客対応数も多い ・賃貸物件の空室率が高くなる |
11月 | ・閑散期に入る・12月までに引越しを完了させたい人の対応がある |
12月 | ・閑散期ではあるものの、一足先に新生活を考える人の対応がある ・年末年始休業の関係で、営業日が少ない |
不動産業界における繁忙期と閑散期の違い
繁忙期と閑散期では、日々の忙しさに加えて、さまざまな状況が異なります。
- 繁忙期
- 閑散期
それぞれについて解説します。
繁忙期
繁忙期は、退去する人が多いため、空室状況を頻繁に更新しなければなりません。
また、新築物件の入居募集も多い時期です。お客さまの問い合わせや内見の対応が増えるため、忙しさがピークになります。
また、入退去の動きが多いため、賃貸物件の空室状況なども激しく入れ替わります。
物件探しをしているお客さまには、早めに決断を迫らなければ入居できないケースもあるかもしれません。
さらに、顧客対応数が増えるため、お客さま1人あたりの対応時間を短くせざるを得ない場合があります。
閑散期
閑散期は、退去する人が少なく、空室情報が減ります。また、お客さまの問い合わせや内見の対応も減るため、忙しさが落ち着きます。
一方で、閑散期を狙って、物件探しをする人もいるようです。理由は、一般的に、閑散期は家賃や敷金・礼金などの値下げ交渉がしやすい時期と言われているためです。
他にも、引越し費用も閑散期は安くなると言われています。
不動産売買仲介業:繁忙期の業務内容|3選
不動産売買仲介で働く人が繁忙期に注力する業務内容は、主に3つです。
- 集客と追客の業務
- 接客業務
- 契約業務
それぞれについて解説します。
集客と追客の業務
集客と追客の業務とは、不動産売買の仲介を依頼された物件の販売活動です。
集客とは、物件の情報をポータルサイトやチラシなどで広告し、購入希望者を集める業務です。繁忙期は、物件の仕入れや掲載以上に、空室状況のメンテナンスを行う傾向にあります。
追客とは、集客した購入希望者に対して、電話やメールなどでフォローし、内見や契約につなげる業務です。
特に、不動産の売買仲介は、契約までのリードタイムが長く、日常的な追客により、契約数を増やしていきます。
集客と追客の業務を効果的に行うためには、次の点に注意しましょう。
- 物件の特徴や魅力を的確に伝える広告文や写真を作成する
- 広告媒体や掲載期間を、物件のターゲット層や市場動向に合わせて選択する
- 集客した見込み客のニーズや購入意欲を把握し、適切なタイミングで内見や提案をする
- 購入希望者とのコミュニケーションを密に取り、信頼関係を築く
集客と追客の業務は、繁忙期には特に重要です。繁忙期には物件の需要が高まり、競合他社との差別化やスピード感が求められます。
接客業務
接客とは、購入希望者に対して、物件の案内や説明、質問への回答などを行う業務です。接客業務は、購入希望者の購入意思を高めるために非常に重要です。
接客業務を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
- 物件の内見は事前に予約を取り、物件の状態や周辺環境を確認する
- 物件の内見では、購入希望者の目線に立って、商材のメリットやデメリットを適切に伝える
- 物件の内見後は、購入希望者の感想や疑問を聞き、次のアクションを促す
- 物件の説明や質問への回答では、正確かつ分かりやすい情報を提供する
また、お客さまの購入意欲が高いタイミングに商談できるように、Web会議ツールなども活用しながら相談を受けられる体制を整えておきましょう。
契約業務
契約業務とは、購入希望者と売主との間で、物件の売買契約を締結する手続きです。契約業務は、不動産売買の仲介業務の最終段階で最も重要です。
契約業務を行う際には、以下の点に注意する必要があります。
- 売買契約の条件や内容を両者に事前に確認し、合意を得る
- 売買契約書や重要事項説明書などの契約書類を作成し、両者に説明する
- 売買契約の際には、両者の本人確認や印鑑証明などの必要書類を確認する
- 売買契約後は、決済や引渡しの手続きをスムーズに進める
不動産業界の繁忙期に関するまとめ
今回は、不動産業界における繁忙期や閑散期の特徴や業務内容について解説しました。
不動産業界の繁忙期は、1年のうち新生活シーズンの1~3月と転勤シーズンの9~10月の2度あります。
繁忙期になる理由は、異動や就職、転職、入学、卒業などで住まいを変える人が増え、賃貸物件の入居者や転居者の動きが活発になるためです。
繁忙期は、次の特徴があります。
- 退去する人が多いため、空室状況を頻繁に更新しなければならない
- 新築物件の入居募集も多い時期
- お客さまの問い合わせや内見の対応が増えるため、忙しさがピーク
- 顧客対応数が増え、お客さま1人あたりの対応時間が短くなる傾向がある
また、繁忙期の業務は閑散期と異なり、成果に直結する業務が多くなります。
不動産業界への就職を考えている人は、繁忙期と閑散期の業務イメージをもってチャレンジしてはいかがでしょうか。
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