新型コロナウイルスの影響が限定的になり、国内ではインバウンド需要が元に戻りつつあります。
そのような中で深刻となっているのが、交通機関の運転手不足です。
これを受けて各企業では、人材確保に向けた取り組みが進められており、転職を検討する人が増えてきています。
運転手への転職を決めたものの「バス運転手とタクシー運転手のどっちがいいのか」と、迷っている方もいるのではないでしょうか。
同じ運転職でも、乗車する車両によって、具体的な業務内容や仕事の辛さは大きく異なります。
今回は、バス運転手とタクシー運転手の違いについて、分かりやすく解説していきます。
【この記事で分かること】 ・バス運転手とタクシー運転手はどちらがいいのか ・各職種の年収や仕事内容の違い ・各職種の労働時間や休日の違い ・各職種のメリット、デメリットや適性 |
バス運転手とタクシー運転手はどっちがいいか
結論から述べると、仕事内容や待遇面はどちらにもメリット・デメリットがあるため、一概にどちらがいいとは言えません。
例えば、バス運転手は安定した収入と勤務時間が魅力で、固定ルートを運行するために予測しやすいスケジュールが特徴です。一方、タクシー運転手は自由度が高く、努力次第で収入を増やすことが可能です。
転職を考える際には、こういった仕事の特徴が自分の求める条件やライフスタイルに合っているかを確認することが重要です。
そこで、次章以降では年収や仕事の大変さ、各職業のメリット、向き不向きなどをそれぞれ比較します。
バス運転手とタクシー運転手はどっちの年収が高い?
転職先を決めるうえで、収入はとても重要と言えるでしょう。
令和4年賃金構造基本統計調査の結果によると、バス運転手とタクシー運転手の収入は以下の通りです。
- 月給:29万2,800円
- 賞与:46万400円円
- 推計年収:397万4,000円
バス運転手の給与体系は「基本給+各種手当」で、各種手当の中には皆勤手当や無事故手当といった運転手ならではの手当もあります。
また、夜間バスに乗務したり、目的地が遠方で運行の中で宿泊が必要であったりする場合は、深夜手当や宿泊手当も支給されます。
一年に複数回ある昇給により収入が上がっていくため、高収入を目指しにくい一方で、収入が安定していることが魅力と言えるでしょう。
- 月給:29万4,100円
- 賞与:8万2,600円
- 推計年収:361万1,800円
タクシー運転手の給与形態は、主に3種類あり主流となっているのが「AB型賃金」です。
AB型賃金は「基本給+賞与」となっており、賞与はドライバーの売り上げによって支給額が変わる歩合制です。
そのため、個人の成果によっては経験年数などに関係なく、誰でも高収入を目指せる魅力があります。
一方で、結果が出なければ賞与が支給されないため、収入が安定しないことがデメリットと言えるでしょう。
双方を比較した場合、月収に大きな違いはないものの、賞与に差がありバス運転手の方が36万円ほど高い結果となりました。
個人での頑張りを収入に反映させて、高収入を目指したい人はタクシー運転手がおすすめです。
収入の安定性を求める人は、バス運転手をおすすめします。
出典:令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|厚生労働省
バス運転手とタクシー運転手はどっちの仕事が大変か
バス運転手とタクシー運転手の仕事内容
仕事内容は、どちらも運転がメイン業務となりますが、具体的な業務内容は全く異なります。
- 車両点検や点呼、運行ルートの確認
- 状況に応じた車内アナウンス
- 停留所でのドアの開閉や乗り降りのサポート
バス運転手には「路線バス・高速バス・観光バス・送迎バス」などの仕事があり、それぞれで仕事内容が若干異なります。
路線バスは、通勤・通学などで利用する人が多く、混雑する時間帯は立って乗車する人もいるため、安全に運行するための車内アナウンスなどを行います。
高齢者や小さな子供に対するサポートも、運転手の大切な仕事です。
- 車両点検や洗車、点呼
- 流し営業などによる乗客探し
- 運賃の収受
タクシー運転手は、出社後に点呼や車両点検を済ませた後に、営業所を出庫して乗客を探します。
営業方法には、街中を走行しながら乗客を探す「流し営業」や、駅などで待機する「待機営業」などがあります。
乗客を乗せた後は、指定された場所まで向かうだけであり、降車時に行う運賃の収受以外に特別な作業はありません。
バス運転手は、車両サイズが大きく立って乗車している人もいることから、高度な運転技術が求められます。
タクシー運転手は、乗用車を運転するため、高度な運転技術は必要ないものの、依頼された目的地へ最短で向かう地理の知識が必須と言えるでしょう。
労働時間や休日
バス運転手とタクシー運転手は、労働時間や休日の内容にも大きな違いがあります。
- 労働時間:早番、遅番などのシフト制
- 休日:休日が決まっておらず平日休みもある
バス運転手は、運行内容にもよりますが、通勤や通学で早い時間から利用する人が多いため、早番や遅番のシフト制が採用されています。
高速バスは、朝に目的地に到着するダイヤが多く、夜間勤務もあります。
曜日に関係なく多くの人が利用するため、休日は決まっていません。
観光バスは、大型連休などの需要が高いため、ゴールデンウイークや年末年始に周りと同じように休みが取りにくい特徴があります。
- 労働時間:隔日勤務が主流である
- 休日:シフト制で月に17~18日の休日がある
タクシーは、バスや電車が動かなくなる時間帯に需要が高まるため、24時間営業が一般的です。
日勤や夜勤も用意されているものの、主流となるのは「隔日勤務」という働き方です。
隔日勤務とは、1日おきに勤務する働き方で、1回の運行で2日分働きます。
【隔日勤務の例】
・7:00~翌3:00
・12:00~翌8:00
・17:00~翌13:00
勤務が終わった日に再出勤することはなく、次の日も休みになります。
それとは別に公休も用意されているため、月の出勤回数は13回前後です。
一回の勤務における拘束時間が20時間ほどと長い一方で、まとまって休めることが魅力と言えるでしょう。
バス運転手とタクシー運転手はどっちのメリットが大きい?
ここまで解説してきた通り、バス運転手とタクシー運転手では働き方に大きな違いがあるため、メリット・デメリットも異なります。
- 1人で働くため人間関係の煩わしさがない
- 需要が高く収入が安定している
- 社会貢献度が高い
- 利用者が多い分クレームが多い
- 事故できないプレッシャーが大きい
- 高収入を目指しにくい
バス運転手は、運行中1人で業務をこなすため、上司や後輩と連携しながら仕事をしません。
そのため、上司から理不尽な要求をされたり、後輩との板挟みになったりすることはなく、黙々と仕事に打ち込めます。
一方で、多くの人が利用しているため、ちょっとした到着の遅れや運転の粗さを指摘するクレームが多いと言えます。
一定以上の需要があるため、収入面は安定しているものの、個人の頑張りで大きく収入が上がるようなことはありません。
交通手段として欠かせない乗り物であり、社会貢献度が高い一方で、多くの乗客の命を預かるため、事故に対するプレッシャーがかなり大きいと言えます。
- 1人で働くため人間関係の煩わしさがない
- 結果次第で高収入を目指せる
- ライフスタイルに合わせた働き方ができる
- 収入が安定しない
- お客様とトラブルになることがある
- 拘束時間が長い
タクシー運転手も、勤務中は1人で働くため会社内での人間関係に悩むことはありません。
一方で、夜間帯は酔った乗客も多く理不尽な要求をされたり、暴言を吐かれたりするケースも珍しくありません。
収入面は、賞与が歩合制であるため、売上げ次第ですぐに高収入を目指せるものの、逆に収入が下がってしまうリスクもあります。
働き方に関しては、拘束時間が長く大変である一方で、休みが多くまとまった時間を作りやすいことは大きなメリットと言えるでしょう。
バス運転手とタクシー運転手のどっちに向いている?
バス運転手とタクシー運転手は、運転する車両のサイズや労働時間が異なることから、仕事の適性にも違いがあります。
- 路線バス:時間管理が得意で接客が好きな人
- 高速バス:体力があり長時間運転に慣れている人
- 観光バス:サービス精神があり、旅行が好きな人
- 送迎バス:規則正しい生活をしたい人
- 売上げを上げるための分析力・観察力がある人
- コミュニケーション能力の高い人
- 高収入を目指したい人
運転スキルに関しては、未経験から入社した場合でも研修が用意されているため安心です。
どちらも長時間の運転となるため、運転が好きであることが特に重要と言えるでしょう。
バス運転手とタクシー運転手のどっちがおすすめ?
最後は、各職種で働く現役運転手の声を紹介していきます。
- 需要が高く収入が安定しているので助かっている。利益が多く出た時はボーナスに反映されるのが嬉しい。
- 未経験からの入社で不安でしたが、教習所に通える制度があり、免許取得後の研修もしっかりしていて、問題なく運転手として乗務できています。
- いつも利用している方から「ありがとう」とお声がけしてもらえることがたまにあり、やりがいを感じる
- ドライバーが不足しており、12時間ほどの拘束時間がきつい。休日出勤もある。
バス運転手の口コミとして多かったのが「収入の安定と乗客とのつながり」に関する内容でした。
歩合制ではないため、収入が安定しており、人々の生活を支えているのはもちろん、旅行の思い出作りをサポートできることは大きなやりがいといえます。
一方で、現役運転手の高齢化やインバウンド需要の増加により、都市部や観光地を中心に運転手不足が深刻化している状況です。
連日の残業や、休日出勤している運転手も珍しくありません。
- 乗客と話しながら楽しく仕事できることが気に入っている。
- 徐々に営業の進め方などが分かってきたこともあり、年収500万円以上稼げている
- まとまった時間があるので、子供の行事にも出やすく転職して良かった。
タクシー運転手の口コミとして多かったのは「ある程度自由な働き方ができること」や、「まとまった時間を作りやすい」といった内容でした。
タクシー運転手は、隔日勤務が主流であり拘束時間は長いものの、月に17日前後の休日があります。
勤務時間も複数種類に分けられているため、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
長時間労働に関しては「途中に休憩があり、慣れたらそこまで辛くない」といった声がありました。
出典:職業情報提供サイトjobtag・タクシー運転手|厚生労働省
出典:職業情報提供サイトjobtag・路線バス運転手|厚生労働省
「バス運転手とタクシー運転手はどっちがいい?」についてのまとめ
バス運転手とタクシー運転手は、運転する車両や利用者層の違いによって双方にメリット・デメリットがあります。
どっちがいいというわけではなく、運転職に転職する上での条件と合っている方を選ぶことが大切です。
バス運転手もタクシー運転手も、二種免許が必要であるものの最近では「資格取得支援制度」を導入する会社が増えてきています。
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