「自動車整備士で独立するのはありなのか」「失敗している人はいるのか」などと気になっている人もいるでしょう。
自動車整備士の独立には、スキル以外にも経営能力なども必要です。したがって、自動車整備のスキルはあるものの、経営に失敗してしまう人もいるようです。
今回は、自動車整備士の独立失敗あるある8選を紹介します。また、自動車整備士の独立で失敗しやすい人の特徴、メリットやデメリット、さらには注意点も紹介します。
自動車整備士で独立を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
自動車整備士の独立失敗あるある8選
自動車整備士の仕事は、専門技術職です。したがって、スキルが身につくと独立を視野に入れやすい仕事です。
一方で、独立すると、自動車整備以外にも経営などの業務をこなさなければなりません。
自動車整備士の独立失敗あるあるは次の8つです。
- 電話回線を早めに契約すれば良かった
- 産廃業者との契約を早めにすれば良かった
- 認証工場の許可取得に時間がかかると知らなかった
- 自賠責保険の代理店になるには講習の受講が必要だった
- 古物商を早めに取得すれば良かった
- 代車の準備が遅かった
- 開業準備に時間をかけすぎた
- 資金繰りでヒヤヒヤした
それぞれについて解説します。
電話回線を早めに契約すれば良かった
電話回線は契約してから使用までに1か月かかることもあるようです。携帯電話さえあれば問題ないと考えている人もいるでしょう。
しかし、複数人で事業運営する場合は、携帯電話のみでは業務に支障をきたす可能性があります。
開業前に電話回線を契約していなかったため、「ホームページのリリースや広告の印刷を、電話回線の開通までできなかった」などの事例も存在すると言われています。
結果的に、顧客対応や案件受注などがスムーズにできず、機会損失を招きかねません。
産廃業者との契約を早めにすれば良かった
産業廃棄物の処理を自ら行うには資格が必要です。したがって、産廃業者に依頼して処理してもらうケースが多くあります。しかし、産廃業者との契約には時間を要します。
産廃業者と契約していなければ、自動車整備の業務を通して発生する廃棄物処理に困るでしょう。適切な処理方法を認識できておらず、法令違反となる可能性もあるかもしれません。
認証工場の許可取得に時間がかかると知らなかった
認証工場の許可取得にも時間がかかります。そのため、予定していた開業時期が遅れた事例も複数あるようです。
必要書類の準備や許可申請の審査に時間がかかるため、早めの準備を心がけましょう。
自賠責保険の代理店になるには講習の受講が必要だった
自賠責保険の代理店登録には、事前に保険会社が主催する研修を受講しなければなりません。
自賠責保険の代理店登録を希望していたものの講習を受講していなかったため、契約を長らく結べなかった事例もあるようです。
講習は事前予約が必要で、年間の開催回数も多くありません。開業前に必要な資格や講習を把握しておきましょう。
参考:損害保険代理店になるには|一般社団法人 日本損害保険協会
古物商を早めに取得すれば良かった
中古車ならびに中古部品の販売には、古物商の許可が必要です。
古物商許可の取得には審査が必要で、一般的に、40日程度の時間がかかると言われています。中古車や中古部品の販売事業を営むにあたって融資を受けるには、古物商の許可が必要です。
審査期間も踏まえて早めに準備しておきましょう。
代車の準備が遅かった
車検対応などでは、お客さまの車を預かります。したがって、代車を準備できていないと、お客さまの利便性を損ないます。結果的に、車検などを希望するお客さまは少なくなるでしょう。
代車の購入やリースには時間がかかるため、早めに準備しておきましょう。
開業準備に時間をかけすぎた
人によって、開業の必要準備期間は異なります。しかし、開業準備に時間をかけすぎても、事業をスタートさせなければ生産性はゼロです。
開業に向けて明確にスケジュールを立てて、効率的に準備を進めましょう。
資金繰りでヒヤヒヤした
融資を受けるには、一般的に創業計画書の提出や銀行などとの面談などが必要です。さらに、中古車や中古部品の販売事業を営む場合は、古物商の許可が融資を受けるために必要です。
融資を受けられるようになるまでは、自己資金で資材などの費用面を負担しなければいけません。また、開業当初は収入も少ないので、特に資金繰りに苦労するでしょう。
自動車整備士の独立で失敗しやすい人の特徴
自動車整備士の独立は、技術力や経験に加え経営能力も求められるため、決して簡単ではありません。自動車整備士の独立で失敗しやすい人の特徴は、主に4つです。
- 事業計画を綿密に立てられない
- チームワークが苦手に感じている
- 顧客を抱えていない
- 資金に余裕がない
それぞれについて解説します。
事業計画を綿密に立てられない
独立には、資金調達、店舗選定、設備投資、人材確保など、さまざまな準備が必要です。もれなく準備するには、事業計画を綿密に立てなければなりません。
事業計画書には、売上目標、収益計画、資金繰り計画などを具体的に記載する必要があります。
事業計画が曖昧だと、資金不足や「顧客が獲得できない」などの問題に直面し、失敗する可能性が高くなるでしょう。
チームワークが苦手に感じている
自動車整備工場は、チームワークが重要です。1人ですべての作業をこなすことは不可能です。メカニック、サービススタッフ、事務員など、それぞれが役割を果たして事業が成り立ちます。
一方で、チームワークを嫌い、1人での作業を好む人は、独立には向いていないかもしれません。
顧客を抱えていない
独立時には、一定数の顧客を抱えていることが望ましいです。顧客がいなければ、売上が上がらず、事業存続できない可能性があります。
独立前に、整備士としての実績を積み、顧客との信頼関係を築いておきましょう。
資金に余裕がない
独立には、開業資金だけでなく、運転資金も必要です。開業資金は、店舗の賃貸料、設備投資などに充てられます。運転資金は、人件費、材料費、家賃の支払いなどに必要です。
資金不足になると、必要な設備を購入できなかったり、人件費を支払えなかったりして、事業存続できない可能性があります。
自動車整備士が独立するメリットとデメリット
自動車整備士の独立には、メリットとデメリットがあります。
- 独立するメリット
- 独立するデメリット
それぞれについて解説します。
独立するメリット
自動車整備士が独立するメリットは次の通りです。
- 自身の理念やビジョンに基づいて働ける
- 収入が上がる可能性がある
- 自分のペースで働ける
- 人材育成や地域貢献など、社会的な役割を担える
それぞれについて解説します。
自身の理念やビジョンに基づいて働ける
会社員として働く場合、経営方針や顧客層など、自身の意思とは関係なく働く環境が左右されるケースが一般的です。一方、独立すれば、お客さまへのサービス内容や整備方針など、すべてを自らの意思で決定できます。
収入が上がる可能性がある
自動車整備工場の経営が軌道に乗れば、会社員時代よりも高い収入を得られる可能性があります。特に、高単価な作業に特化したり、顧客満足度の高いサービスを提供したりできれば、収益を高められるでしょう。
自分のペースで働ける
会社員と異なり、出勤時間や休憩時間などを自由に設定できます。自身の体調やライフスタイルに合わせた働き方を選択できるため、ワークライフバランスを実現しやすい環境と言えるでしょう。
人材育成や地域貢献など、社会的な役割を担える
従業員の育成や地域イベントへの参加などを通じて、社会に貢献できます。単に自動車を整備するだけでなく、地域の人々とつながることで、仕事にさらなるやりがいを感じられるでしょう。
独立するデメリット
自動車整備士が独立するデメリットは次の通りです。
- 資金調達が難しい
- 経営経験や知識が必要になる
- 顧客獲得が難しい
- 責任が大きい
それぞれについて解説します。
資金調達が難しい
整備工場を開業するには、固定費や変動費などに備えた多額の資金が必要です。場合によっては、自己資金だけでなく融資や補助金などを活用する必要があります。
経営経験や知識が必要になる
整備技術だけでなく、経営に関する知識や経験も必要です。顧客対応、経理、人事など、さまざまな業務をこなさなければなりません。
顧客獲得が難しい
競合となる整備工場が多い地域では、顧客獲得が難しい場合があります。差別化できるサービス内容や顧客満足度の高いサービスを提供して、顧客獲得に努めましょう。
責任が大きい
経営者として、従業員の雇用や事業の継続など、すべてに責任を負わなければなりません。最悪の場合、経営がうまくいかずに倒産してしまうリスクもあります。
自動車整備士として独立して失敗しないための注意点
自動車整備士で独立して失敗しないための注意点は次の通りです。
- 独立に必要な基本条件を押さえておく
- 独立に必要な資格や人材を押さえておく
- 綿密な経営戦略を立てておく
それぞれについて解説します。
独立に必要な基本条件を押さえておく
独立には、技術以外にも資金調達、場所の選定、設備の購入、スタッフの採用など、さまざまな準備が必要です。準備をスムーズに進めるためには、自己資金や顧客基盤などの基本条件を押さえておきましょう。
独立に必要な資格や人材を押さえておく
自動車整備業を営むためには、資格が必要です。また、自賠責保険を取り扱う場合は代理店登録、中古部品などを販売する場合は古物商の許可が必要です。
他にも、整備工場を1人で営むには限界がありますので、必要な人材の確保も求められます。
綿密な経営戦略を立てておく
事業を成功させるためには、明確な経営戦略が不可欠です。
競合のサービスを把握して、差別化を図らなければなりません。また、収益計画なども立てて事業を継続的に運営できる土台を整えましょう。
経営戦略は定期的に見直し、必要に応じて修正を加えるのも重要です。
自動車整備士で独立して失敗するのが嫌なら転職もあり
自動車整備士での独立は、大きな夢であり、やりがいもあるでしょう。しかし、同時にリスクも伴います。独立に失敗してしまうと、経済的な負担だけでなく、精神的なダメージも大きくなるでしょう。
独立のリスクを考えると、転職も十分に検討する価値があります。転職の場合、安定した収入を得られるだけでなく、経験を積んだり、スキルを磨いたりもできるでしょう。
また、近年は自動車整備士の需要が高まっているため、転職市場は活発と言われています。
希望に合った条件で転職できる可能性は十分にあるでしょう。
自動車整備士の独立失敗あるあるについてのまとめ
今回は、自動車整備士の独立失敗あるある8選や独立時の注意点などを解説しました。
自動車整備士の独立失敗あるあるは次の8つです。
- 電話回線を早めに契約すれば良かった
- 産廃業者との契約を早めにすれば良かった
- 認証工場の許可取得に時間がかかると知らなかった
- 自賠責保険の代理店になるには講習の受講が必要だった
- 古物商を早めに取得すれば良かった
- 代車の準備が遅かった
- 開業準備に時間をかけすぎた
- 資金繰りでヒヤヒヤした
事前に失敗例を認識しておくことで、入念な独立準備ができるでしょう。
独立時の失敗あるあるや注意点を踏まえて、自動車整備業の開業を目指してはいかがでしょうか。
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