佐川急便はブラック企業だから運転手はやめた方がいい、平均年収は高いけど運転手は割に合わないといった評判を、耳にした方も多いのではないでしょうか。
青と白のボーダーの制服を着た運転手が目を引く佐川急便は、昔に比べて運転手の仕事がきつい仕事ではなくなってきています。
それは、働き方改革や佐川急便独自の取り組みを進めているからです。
ここでは、佐川急便の会社の特徴や運転手の仕事量、平均年収などについて昔と比べてどう変わったのか解説していきます。
佐川急便でトラックの運転手へと転職したい方は、ぜひ、この記事をご参考にしてください。
激務とされる佐川急便はどのような運送会社?
宅配業者の大手である佐川急便は、ブラック企業として評判がよくありませんでした。
運転手の1日の労働時間が15時間だったり、大量の荷物を配達しても給料の査定には反映されなかったりと、過酷できつい労働環境だったことが理由です。
平均年収が他の仕事に比べて高かったことや20年から30年前までボーナスが100万円を超えていたこともあり、トラック運転手として人気がありました。
しかし、それよりも仕事の大変さが上回っていたということです。
2015年に行われた労働基準監督署による監査から、徐々にトラック運転手の労動環境が見直されています。
2012年に話題となった「佐川男子」は、佐川急便で運転手として働くイケメンな男性のことですが、トラック運転手のイメージを一新させました。
2019年においても、佐川男子カレンダーは好評で、一般向けに佐川男子を選ぶ投票も行われているほどです。
社会全体だけでなく、会社内のモチベーション向上にも影響を与えるほどの画期的な出来事でした。
佐川男子がきっかけとなり、世の中のトラック運転手への見方は変わってきています。
時代のニーズに合わせたサービスを展開し、便利な暮らしを実現し続けている佐川急便は、1957年に京都ー大阪間でひとつの荷物を届けたことが始まりです。
そこから飛脚業を展開し、1962年に有限会社佐川、1965年に現在の社名である「佐川急便株式会社」となりました。
本社は京都府にあり、全国に18支店・およそ400箇所の営業所を構え、トラック運転手の仕事道具であるトラックなどの車両保有数は、26671台です。
佐川急便全体の平均年収はおよそ500万円で、運送業界では平均的といえます。
ちなみに、飛脚業とは、書類や金銭、貨物などを運ぶ仕事のことで、江戸時代に急速に広まりました。
荷物を棒に引っ掛けて肩に背負って歩く姿は、2007年まで会社のロゴとして使用されていたので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
今では、輸送技術の発達で長距離間の配送が短時間で行われるようになりましたが、大変な仕事というイメージは昔から変わらないのかもしれません。
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【佐川急便】セールスドライバーの仕事の流れ
勤務する場所や仕事量によって違いはありますが、トラック運転手の基本的な仕事の流れは以下のとおりです。
- 出勤し、事務処理をする
- 仕分けと積み込みをする
- 配達と集荷をする
- 営業所や指定の場所で積み込みをする
- 配達と集荷をする
- 営業所に戻る
- 配達をする
- 帰社する
会社に出勤したら事務処理や出勤の処理などをします。
トラック運転手として働いている同僚や会社の先輩へのあいさつは欠かさず行いましょう。
運転手としての仕事を覚えるまでは勤務時間内で荷物を処理しきれないこともあるので、熟練の運転手さんより早く出勤しなければいけない場合もあります。
そのため、仕事を覚える時間を確保するため、お中元やお歳暮の時期、入学式、卒業式などのシーズンを避けて就職するのがいいでしょう。
荷物の仕分けと積み込み作業が終わり次第、トラックに乗って配達に行きます。
朝早くからスピーディーに作業をこなすのは難しいかもしれませんが、荷物の積み込みに時間がかかると配達が遅れてしまうので、効率よく行うことが必要です。
集荷は配達をしているときに回り、荷物の積み込み作業は朝だけでなく、指定された時間に営業所や指定の場所でも行います。
荷物の積み込みも数回ありますが、再配達や夜間配達指定の荷物があるので、配達に関してもすべての荷物を一回でさばくことはできません。
配達に行った際、留守や不在などで荷物を届けることができない場合もあるので、承知しておきましょう。
すべての荷物を処理し終えたら会社に戻り、事務処理などを行ったら終了です。
家に帰る時や会社・営業所に戻ったときは、上司や先輩運転手の方と顔を合わせることがあります。
その際は、肉体的に疲れていたとしても、必ずあいさつをして帰りましょう。
運転手の仕事に慣れるまでは覚えることが多く大変ですが、特別難しいことはありません。
しかし、効率よく荷物を処理できなければ、帰宅時間が遅くなるだけでなく、お客さんにも迷惑をかけてしまいます。
トラック運転手の仕事は、積み込み作業に時間をかけ過ぎないことや回るルートを工夫するなど無駄なく作業を行うことが重要です。
また、運転手としての技術や営業マンとしての側面を両方兼ね備えていくことが求められます。
作業の正確さやスピードも要求される仕事ですが、トラックの運転手としてのスキルを高めたい人や人と話すことが苦ではない方には、おすすめの仕事です。
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【佐川急便】仕事のきついところ
佐川急便のトラック運転手は平均年収が高くない割に仕事がきついと口コミなどで見かけることがありますが、その理由や状況について4つにまとめて解説します。
【佐川急便】仕事のきついところ1.営業ノルマ
佐川急便のトラック運転手の仕事は、配達や集荷に加えて営業ノルマが課されます。
例えば、カーネーションや朝顔などの販売です。
季節ものの商品が多いですが、品質に対して値段が高いと感じる人が多く、ノルマを達成することが容易ではありません。
そのため、トラック運転手の中には自腹で買う人もいるようです。
トラック運転手の平均年収は高くはないので、自腹は避けたいですよね。
しかし、長く働いている人の中にはノルマをいとも簡単に達成してしまう人もいます。
トラック運転手として黙々と荷物を届けるのではなく、届け先の方とコミュニケーションを取って、信頼関係を築いていくことが大切です。
佐川男子の影響で、昔に比べて運転手へのイメージは上がっているので、特別難しいことではないでしょう。
普段から積極的に会話をして仲良くなることで、ノルマ達成のハードルも下がります。
寡黙なトラック運転手ではなく、話しやすいと感じてもらえるような振る舞いも大切なのです。
【佐川急便】仕事のきついところ2.長い拘束時間
働き改革の後押しもあり、運転手の労働時間は改善されつつありますが、シーズンによっては大量の荷物が発生してしまうため、拘束時間は長くなることがあります。
運転手として働いている人の中には、朝の5時に出社して仕事を始めたのにも関わらず、夜中の12時になっても仕事が終わらなかったという人もいるようです。
平均年収が仕事の割に合わないと感じるのは、長い拘束時間が理由でしょう。
睡眠時間を確保できずに、若い人であっても体力の限界を感じて運転手を辞めてしまう人もいます。
荷物の積み下ろしだけでなく、運転手としての仕事もあるので、睡眠を長く取りたい人にはきつい仕事です。
荷物を積み下ろしているときは、体を動かしているので問題ありませんが、トラックの運転中は睡魔に襲われることもあるでしょう。
しかし、疲れているという理由で事故を起こして許されることはありません。
長い拘束時間は、体力だけでなく心も疲弊させてしまうので、運転手としての強い精神力が試される仕事といえます。
【佐川急便】仕事のきついところ3.厳しい縦社会
佐川急便は、体育会系の会社で、厳しい縦社会です。
上下関係がはっきりとしているので、上司の言っていることがたとえ間違っていると感じても、反論することができません。
時には、叱責が大きくなって、罵声のように感じることもあります。
特にトラック運転手は、きびきびとした行動が要求されますし、先輩社員の言葉を聞き流したりすることもできません。
肉体労働がメインなので、厳しい体育会系の世界を経験してきた先輩運転手も多いです。
学生時代に先生や先輩に鍛えられた体育会系の方は、経験があるので慣れていきますが、その経験が無い方には、きついと感じるかもしれません。
しかし、厳しい言葉をかける上司だけでなく、面倒見がいい先輩運転手もいます。
自身の経験から上司との付き合い方を教えてくれる方や運転手特有の仕事の悩みを相談できる先輩運転手です。
また、体育会系と聞くと、ネガティブなイメージを抱く方もいると思いますが、上下関係がはっきりしている分、チームワークを大切にします。
忙しい中でも同僚や後輩を気遣う面も持っているので、仕事で失敗してしまっても励ましてくれるでしょう。
佐川急便の運転手として長く続けていくには、上司や先輩と上手に付き合っていくことが大切なのです。
【佐川急便】仕事のきついところ4.仕事量過多による激務
佐川急便のトラック運転手は、肉体労働で拘束時間が長く、精神面においてもきついと感じることあるので、会社を辞めてしまう方が多く見受けられます。
平均年収も実際の労働に比べて満足できる額ではないため、運送会社全般でいわれているような人手不足の状態です。
そのため、一人あたりの仕事量が増えています。
また、以下のようなこともトラック運転手が激務と言われる理由です。
- 違法駐車の取締が強化された
- 時間指定サービスや再配達がある
- ネットサービスの拡充
20年から30年前は法律が厳しくなかったので、道路にトラックを停めて荷物の積み込みを行っていました。
そのため、運転手は荷物の積み込みを効率よく行えたのです。
今は取締が強化されているので、営業所に荷物を取りに戻ったり、指定された場所まで移動しなければならず、運転手の時間は取られてしまいます。
また、時間指定サービスや再配達があるので、同じ道を何度も通ることがあり、仕事の非効率化を招いています。
佐川急便は現在でも激務?
上記で説明したように佐川急便は、営業ノルマがあったり拘束時間が長く大変、厳しい縦社会などと言った噂があり、口コミなどでもそのような内容のものが書き込まれていることがありました。
確かに内容を見てみると激務であると言えますが、佐川急便関係なくトラック運転手の仕事内容や辛いところをリサーチした結果、同じような口コミが多くありました。
佐川急便の特徴として、大変である一方で成果を出すと給料やボーナスに反映されることがあるのですが、そういった点では逆に恵まれているとも言えます。
実際に佐川急便で働いている現役社員や元社員の口コミとしては以下のような内容がありました。
口コミ1:確かに仕事量はとても多く大変かもしれませんが、結局はどの仕事も本人のやる気しだいであって全員が深夜まで残業をしているということはありません。
また最近ではチーム意識が高く、全員で支え合ったり応援に向かうのでいつも20時位には帰社できており、月の残業は50時間前後くらいです。
口コミ2:入社したての頃は本当に毎日が辛かったが、諦めずに続けた結果今では普通になり、逆に成長できて辞めなくてよかったと思っています。
移動は小走りなど周りから見ると大変そうに見えるかもしれませんが、結局はどの仕事も慣れだと思います。
このように、一部は激務でありブラックといえる職場もあったかもしれないのですが、今では改善されつつあり全社員が毎日深夜まで残業をしているということはないようです。
関連記事:佐川急便は激務か?ブラック/ホワイト徹底調査!口コミや評判から実態を暴露
宅配業における課題
佐川急便が抱える課題は、宅配業すべてに共通しています。
それは、ネット通販の拡大やトラック運転手の不足、トラック運転手の高齢化です。
ネットの広がりで生活は大変便利になりましたが、その裏で宅配業の仕事量や負担は大きくなっています。
また、きつい仕事をやってお金を稼ぐ人が減っていることや、仕事が大変な割に平均年収が高くないことなども相まって、トラック運転手の仕事は人気がありません。
就職を考えている方は、宅配業の課題から見えるトラック運転手の現状について知っておくことをおすすめします。
ネット通販の拡大
先ほどお伝えしたとおり、ネットの広がりによって、暮らしの快適さをネットを使って簡単に実現することができるようになりました。
家にいるだけで欲しかった商品がすぐ手に入りますし、店舗に足を運ぶ手間もありません。
また、商品を買うだけでなく、個人が気軽に商品を売ることもできます。
ネットが普及するまでは商品を個人で扱うためには、店舗となる建物を買ったり、借りたりしなければなりませんでした。
今では、ネットの中であれば、手軽に自分のお店を持つことも可能です。
日本通信販売協会の調査では、2006年からの10年間で、通信販売市場がおよそ2倍もの成長をしているという結果が出ています。
そのため、宅配業におけるトラック運転手が配達する荷物の量も増えているのです。
日本全体の景気がよくない中で、2倍も成長をしている市場ですから、今後国として力を入れていく分野でもあるでしょう。
しかし、ネットサービスの普及に固執するあまり、宅配業におけるトラック運転手の労働環境が悪化することも考えられます。
今では当たり前となった時間指定サービスや荷物追跡サービスも、ネット通販が拡充されたことによって増えた仕事のひとつです。
ネット通販の拡大は、今後もトラック運転手の仕事量が増えるだけでなく、サービスや仕事の質に影響をもたらすでしょう。
ドライバー不足
ネット通販が身近になったことで、利用する人の数も増えています。
2015年の経済産業省の調査によると、10年間で宅配業者が扱った荷物の個数は27%も増加し、年に1億個以上も増えているという結果が出ました。
荷物が増えるということは当然、荷物を運ぶ人手も必要となります。
そこで問題となっているのが、トラック運転手の担い手不足です。
宅配業におけるトラック運転手の仕事は、肉体的に重労働というだけでなく、忙しいこともあって精神面でもきつい仕事といわれています。
仕事の拘束時間が長いことや厳しい上下関係、仕事の割に平均年収が高くないことなどもあり、運転手として働きたいと考える若い人は多くありません。
トラック運転手は、交通事故を起こすことができない責任感ももちろんありますし、天候にも左右される仕事です。
平均年収が他の産業に比べても高くないので、トラック運転手の担い手不足は、すぐには改善されない課題でしょう。
ドライバーの高齢化
日本全体で少子高齢化社会が問題となっていますが、宅配業でも課題として上がっています。
国が調べた2016年の調査によると、宅配業として働いている人のうち、40%以上は40代から50代前半という結果が出ました。
トラック運転手で考えると、10人の営業所に4人は40代から50代後半の方が働いていることになります。
20代から30代の若手の運転手が入ってこなければ、10年後には、50代以上の方がほとんどという計算です。
産業全体の平均がおよそ35%なので、非常に深刻な課題であることがわかります。
若い人のドライバー離れが深刻化していることで人の入れ替えが難しく、人手不足の状態が続いていることも原因です。
採用者側もトラック運転手として新人で入ってくる人が40代50代であっても、採用せざるを得ない状態でしょう。
これからの宅配業を担う20代から30代の方を増やさなければ、トラック運転手の高齢化を食い止めることはできません。
トラック運転手の平均年収を上げるか、仕事量を減らすかなど、抜本的な見直しが必要です。
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佐川急便の課題に対する取り組み
仕事がきつくて平均年収に見合わないブラック企業とまで言われた佐川急便ですが、宅配業における課題についてさまざまな取り組みを進めています。
- 週三日制の導入
- 連続休暇取得の推奨
- 勤務パターンの拡充
- アシストスーツの導入
- AIの活用
2018年から注目を集めている取り組みが、週三日制の導入です。
従来は、週二日制で、1日8時間×週5日でした。
それを、1日10時間×週4日の働き方を選べるという施策です。
休みを増やすことによって子供がいるトラック運転手の方も家族と過ごす時間が増え、働き方を選択できるようになります。
休みが増えても労働時間に差はないので、平均年収に変化はありません。
連続休暇の取り組みは、社内の声を反映させて実現した取り組みです。
土日祝日も含めた有給休暇を、会社として取りやすい方向にしていくことや、誕生日や結婚記念日に合わせて休暇を取ることを推奨しています。
毎日過酷な労働を強いられているトラック運転手の労働環境を考えると、休みやすい会社は魅力があるでしょう。
また、9時から18時の定時勤務に加えて、4パターンの勤務時間を設定したことで、個人のライフスタイルに合わせた働き方が選べるようになりました。
トラック運転手は、現状が人手不足なので、ライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことが難しいですが、将来実現することができるかもしれません。
さらに、アシストスーツは、腰痛や体への過負荷を考えたもので、重たい荷物を体に負荷をかけることなく運ぶことができます。
トラック運転手は、お客さんのところに荷物を届けるので、アシストスーツを着て作業することは少ないかもしれませんが、営業所や会社での荷物の積み下ろしをするときは効果的です。
運転手特有の腰痛を防ぐことができるでしょう。
佐川急便は、AIを業務の中に取り入れることで、業務の効率化を進め、独自の技術開発にも力を入れています。
例えば、手書きの配送伝票の読み込みやパソコン作業の自動化です。
トラック運転手の仕事の中には、AIを活用することで負担が軽減される業務もあるので、期待が高まっています。
佐川急便は、少子高齢化社会で人手を集めることが難しいので、働きやすい労働環境を整えたり、AIを活用したりして、トラック運転手を集める工夫をしています。
トラック運転手の仕事は忙しくて、肉体的精神的に過酷な仕事ではありますが、需要がある仕事です。
需要があるということは、これから数十年は運転手として安定して働くことができる職業なので、長く働きたいと考えている方に、おすすめの仕事といえます。
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【まとめ】佐川急便は昔に比べればきつい仕事は減った
昔は口コミや会社の評価においても決して評判がいいとは言えなかった佐川急便ですが、働き方改革の後押しなどもあり、運転手の労働環境が改善されています。
週三日制の導入や連続休暇の推奨、勤務パターンを増やしたりする取り組みです。
子供がいる方は家族との時間が大切ですし、1日の拘束時間が長くなる場合もあるので、会社の方針を活用していくことで、仕事を長く続けることができるでしょう。
トラック運転手の肉体的な労働を改善していくには、まだ時間がかかりますが、精神的な負担はこれから取り除かれていく体制が取られていきます。
ネットの普及でトラック運転手の仕事量はこれから増えていくので、定年まで長く働くことができる職業のひとつです。
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