トラック運転手と言えば、荷物の積み下ろしや長距離配送による長時間労働をイメージされがちです。
そうした辛い仕事内容である一方で、もう一つのイメージとしてあるのが「高収入」です。
中には年収1,000万円も可能といった書き込みもあるほどです。
この噂は本当なのでしょうか。
今回はトラック運転手の給与事情について詳しく解説していきます。
関連記事:4tトラック運転手の給料と仕事内容は?手取り額と一緒に紹介
トラック運転手は年収1,000万円稼げる?
まず結論からいうとトラック運転手として1,000万円稼ぐことは、ほぼ不可能と言えます。
その理由としては複数あるのですが、下記のようなトラック業界の時代の移り変わりが大きく影響しています。
・昔に比べて法規制が進み年収1000万円稼ぐのが物理的に難しくなっている
・年収1000万円稼ぐためには長時間労働が必須であるものの、優良な企業では労働時間に関する規制が厳しい
このように会社員のトラック運転手として年収1,000万円を達成するのは難しく、トラック業界で年収1,000万円を達成している人のほとんどは運送事業を立ち上げて経営しているといったケースがほとんどです。
年収1,000万円を稼げなくなった理由と背景
上記で解説した法規制にはいくつかあるのですが、90年に施工された貨物自動車運送事業法の規制緩和により、運送業界に参入する人が大きく増加しました。
そのことが原因でトラック業者間の競争がより激しいものへとなっていきます。
それまで以上に運賃の値下げ競争が進み、景気低迷も影響してトラックドライバーの収入は大きく減ってしまいました。
これによりトラック業界は”きつくて稼げない”というイメージがついてしまい、若年層の参入がかなり少ない状況が続いています。
トラック業界では現在、人手不足とドライバーの高齢化も大きな課題となっており、労働環境や賃金の改善が進められています。
年代別で現実的に目指せる給与
年収1000万円を達成するのが難しい今、実際にはどれくらいの年収となっているのでしょうか。
ここでは年代別のトラック運転手の年収について紹介していきます。
20代のトラック運転手の理想年収
まず20 代のトラック運転手の理想年収ですが約350万円~400万円ほどと言われています。
トラックドライバーの収入に関する特徴としては、働いた分だけ稼げることがあります。
そのため、体力があり比較的長時間働ける若年層のドライバーは20代全体の平均年収よりも高い傾向にあります。
30代のトラック運転手の理想年収
次に30代のトラック運転手の理想年収ですが、約400万円~450万円ほどと言われています。
運転経験を積み待遇の良い会社へ転職したり、さらに上の運転免許を取得することで年収を上げやすくなります。
40代のトラック運転手の理想年収
最後に40代のトラック運転手の理想年収ですが約430万円~500万円ほどと言われています。
30代と同じく、大型免許や関連資格を取得しキャリアアップをすることでさらに年収が上がります。
また、昇給も昇格によって年収を上げることも可能です。
トラック運転手の給料の詳細
トラック運転手の理想年収について解説してきました。
ここでは平均月収や全体の平均年収、初任給や賞与について解説していきます。
トラック運転手の平均月収・給与
全日本トラック協会の調査結果によると、トラックドライバーの平均月収は約33万円~37万円と言われています。
基本給は高卒で19万円、大卒で23万円ほどとなっており就職する会社によって大きな差があるようです。
トラックドライバーは運行手当や能力給の割合が高く、普段の仕事で手当をいかに多くするかで月収が大きく変わると言えます。
トラック運転手の平均年収
次にトラック運転手の平均年収ですが、全日本トラック協会の調査結果によると、393万6000円という結果が出ており、ボーナスありの場合では444万3600円となっています。
就職する会社はもちろん、業績や運転する車両の大きさなどによって変わります。
トラック運転手の年代別平均月給・初任給
トラック運転手の年代別平均月給は下記の通りです。
20代ドライバー:約29万円
30代ドライバー:約35万円
40代ドライバー:約37万円
初任給に関しては約28万円ほどとなっており、運転する車両が大きいほどさらに高くなります。
働いた分だけ稼げるトラックドライバーは、就職年数などは関係なく最初から給与が高めであると言えます。
賞与
トラックドライバーの賞与に関しては、所属している企業によって大きく変わります。
大企業が一番高い傾向にあり、平均40万円ほどとなっており運行管理者や営業所長などの場合は60万円~100万円支給されるケースもあります。
中小企業に関しては~30万円ほどが多く、業績によって変わることが多いと言えます。
零細企業に関しても~30万円ほどとなっているのですが、賞与自体がない会社も多くあります。
また、賞与はないものの決算月に利益に応じて寸志であるものの支給される会社もあるようです。
実際の年収と現場の声
次に実際にトラック運転手として働いている人の年収や労働環境についてご紹介していきます。
トラック運転手の給与事例
ドライバーの書き込み1
引用元:Quora自分は長距離ではありません、中距離でその日に帰れるトレーラー乗りです。週に3000kmほど走っています。拘束時間は平均で11時間超えます。
会社の先輩たちは大型トラックの長距離で、帰宅は週に一度か二度。運行内容により差が出ます。道路状況や荷物の扱い方で大きく変わります。
手で荷物を積み卸す、所謂バラ積みというので、長距離ですと、平均値で450〜600ほどだと思います。空き時間が長い、荷物が少ない、移動距離が短いなど、金額が下がる要因だと思います。
ドライバーの書き込み2
年収で500万前後です。
いくら経験を積んでも運べる量は同じだし、輸送時間も同じなので、昇給がない会社もあるし、ある会社でも微増です。
また、初心者でもベテランでも事故を起こす事があります。タクシー会社や運送会社は経費削減の為、自動車保険に入っていない会社もあるので、事故で良く揉めています。
昔は残業で稼げましたが、今は度重なる死亡事故で乗車時間が厳しく管理されていて残業出来ないので稼げません。
引用元:Quora
ドライバーの書き込み3(アメリカで勤務)
私は週に70時間ほど働きます。
たまには家に帰ってゆっくり1日過ごすことのできる週もあります。私はその幸運な1人ですが、多くの運転手はそうではありません。彼らは出ずっぱりで、トラックの中で眠り、トラック・ストップで食事をし、毎日10時間以上運転する、そんな生活が長いときには数ヶ月続きます。
引用元:Quora
ドライバーの書き込み4
佐川、ヤマト等の宅配を覗いたトラックの集配業務は概ね扱う荷物の重量で給料が決まりますよね。(距離、もあるが質問の趣旨と異なるのでカット)
概ねキロ辺り1.5円~4円という所でしょうか。
幅が広いんじゃない?と思われそうですが、社員か傭車かの違いです。
自分のクルマでと思ったら、年間の売上げが1,000万近くないと割に合わないと思いますよ。
ざっくりした計算ですが、キロ辺り2.5円貰えるとして
1,000万円÷2.5=4,000,000(kg)
÷1年の稼働日(250日程度)=16,000kg
つまり、1日辺り平均16tの荷物を捌けば、単純計算では1年で1,000万円になります。
200kgドラム缶80本捌けば目標達成!
でもそれは、社員では無い「傭車」の話です。
引用元:Quora
ドライバーの書き込み5
活魚の輸送で車を持ち込んでも1回30万もしないため
寝ずに頑張っても600万円が限界です。
人件費で言うなら往復で10万円が良い所です
雇われていたら4万円って感じかな…
引用元:ヤフー知恵袋
ドライバーの書き込み6
年収としてなら、20数年前、某急便の催しに行った事がありまして。
その時に駐車場に止めてある外車の列に呆然としました。
今はそこまで稼げないようですが。
引用元:ヤフー知恵袋
ドライバーの書き込み7
バイトでトラック運転したけど1日1万円です。
運転は楽だけど荷物の積み下ろしがある。
全部手運びで3日やったら足腰ガタガタになります。
若い頃からやっていれば大丈夫だろうけど、サラリーマンやってた人ができる仕事ではないです。
引用元:ヤフー知恵袋
ドライバーの書き込み8
大型、長距離運転の仕事でも
50万は稼げないと思いますよ。。
引用元:ヤフー知恵袋
ドライバーの書き込み9
私もトラック転がしてみたくなりました。
友達は会社所属で中型で小矢部→首都圏を走りながらクワガタ捕ってますが、手取り30万です
引用元:ヤフー知恵袋
ドライバーの書き込み10
今やトラック運転手で高収入は稼げません。
引用元:ヤフー知恵袋
長距離トラックドライバー
長距離トラックドライバーの場合、片道で10時間以上の運行となることも珍しくなく、日帰りが難しいです。
運転する車両も大きい傾向にあり、手積みなどの場合はかなり大変だと言えます。
集荷先や配達先によっては、順番が車で待機する必要があり長時間の拘束が多いといった書き込みが多くありました。
長距離トラックと普通のトラックではどちらが稼げる?
トラックドライバーは働いた分だけ収入に反映されやすい職業と言えます。
では長距離トラックと中距離や近距離のトラックではどちらが稼げるのかについて解説していきます。
長距離トラックドライバーのほうが稼げる
長距離トラックドライバーの求人は主に関東~東北や近畿から九州などの定期便が多い傾向にあります。
積み込み荷物や仕事内容などは関係なく、いかに効率よく荷物を積み込んで運行するかが自営業の場合は重要となります。
会社によって給与は違いますが、近距離ドライバーの給料が約25万円であるのに対し、長距離ドライバーの給料は30万円~50万円です。
拘束時間が長く仕事内容も辛くはなるものの、長距離トラックドライバーの方が稼げると言えます。
トラック運転手になるには?
トラック運転手になるためには、運転する車両に応じた免許が必須と言えます。
具体的な免許について見ていきましょう。
必要な資格・試験について
トラックの運転には、車両のサイズに応じて3つの免許が必要となります。
軽の貨物自動車などの場合は普通自動車免許が必要であり、4tなどの中型トラックでは中型免許、10tなどの大型トラックでは大型免許が必要です。
また、トレーラーをけん引する場合にはけん引免許が別に必要となります。
トラック運送業者への就職に関しては、求人によっては運転資格が必須となっており経験も求められるものもあれば、未経験者歓迎の求人もあります。
未経験者歓迎の求人の中には、資格未取得でも応募可能なものもあり、会社で関連業務を士ながら資格を取得する流れとなります。
また、中型トラックを運転しながらいずれは大型トラックの運転をしたいという場合に関しても、自分で資格を取得して就職するのではなく働きながら資格を取得して大型運転手になるケースがほとんどです。
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国際基督教大学卒。エン・ジャパンの新規事業企画室でHRTech(SaaS)の事業企画と営業を経験。シード期のHR系スタートアップでインサイドセールスとキャリアコンサルタントに従事し全社MVPを獲得。その後、5年で300名と急成長するベンチャー企業ネクストビートにて、高所得女性向け情報メディア事業、ホテル向け人材事業の立ち上げを行う。