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トレーラー免許(けん引免許)の取得方法・費用・難易度を紹介

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トラックの中でも特にサイズの大きいトレーラーを運転するには、トレーラー免許(けん引免許)が必要です。

運転免許とは別に取得するのですが、どのような場合に必要なのか、どうやって取得するのか分からない方もいるでしょう。

今回はトレーラー免許(けん引免許)について、内容や取得方法、試験に合格するコツなどを分かりやすく解説していきます。

将来トレーラーを運転したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

トレーラー免許(けん引免許)とは

トレーラー免許(けん引免許)とは、車両総重量が750㎏を超える車両をけん引するために必要な免許です。

運転する主な車両にはタンクローリーや貨物トレーラー、コンテナ車があります。

トレーラー免許には3つの種類があります。

・けん引免許
・けん引二種免許
・けん引小型トレーラー限定免許

けん引免許は、貨物トレーラーやコンテナ車とトラクター(トラック)を連結させて運転を行うための免許です。

けん引二種免許は、旅客運送としてけん引車両を運転するための免許です。

最後のけん引小型トレーラー限定免許は、750㎏〜2,000㎏未満限定でトレーラーを運転できます。

関連記事:トレーラー運転手の仕事内容と年収とは?なるにはどんな資格がいる?

トレーラー免許(けん引免許)の取得方法と費用

トレーラー免許を取得するには、満18歳以上で、普通免許・中型免許・大型免許・大型特殊免許・二種免許のいずれかを取得しておかなければなりません。

この条件を満たした上でトレーラー免許を取得する方法は3つあります。

・教習所に通う
・合宿免許に参加する
・運転免許センターで一発試験を受ける

この3つの方法について、具体的な取得の流れや取得費用について解説していきます。

教習所に通う

教習所でトレーラー免許を取得する場合は、受講ペースにもよりますが1週間〜2週間で取得可能です。

教習所でトレーラー免許を取得する流れは下記の通りです。

・教習所へ入学
・視力、聴力の適性検査、運転適性検査を受ける
・技能卒業検定(12時間)
・試験場での適性検査
・トレーラー免許証の交付

学校によって流れが変わることはありません。

教習所でトレーラー免許を取得する場合、料金には下記項目が含まれます。

・入所手付金
・教習料
・諸費用
・検定料(初回分のみ)

各費用は教習所によって異なります。

【トレーラー免許取得費用例・コヤマドライビングスクール二子玉川校】

 

・普通免許、準中型、中型、大型免許所持の場合:183,150円

参照元:koyama Driving School|FUTAKOTAMAGAWA|けん引

【トレーラー免許取得費用例・阪和鳳自動車学校】

 

・普通MT以上所持:145,530円

参照元:阪和鳳自動車学校|けん引

【トレーラー免許取得費用例・福岡市自動車学校】

 

・普通免許・大型免許所持の場合:181,170円

参照元:福岡市自動車学校|けん引

合宿に参加する

合宿宿舎に泊まりながら短期間でトレーラー免許を取得できます。

トレーラー免許取得までの期間は7日ほどです。

【トレーラー免許取得費用例・那須自動車学校】

 

・けん引チャレンジコース(普通車MT所持):121,550円

・けん引安心コース(普通車MT所持):132,000円

参照元:那須自動車学校|けん引免許

【トレーラー免許取得費用例・セイブ自動車学校】

 

・普通車MT所持:137,500円~173,800円(期間による)

参照元:セイブ自動車学校|セイブの合宿免許取得プランについて

【トレーラー免許取得費用例・岩滝自動車教習所】

 

・普通車MT所持:185,900円

参照元:運転免許トロッカ!|岩滝自動車教習所

運転免許センターで一発試験を受ける

トレーラー免許を一発試験で取得する場合、運転免許センターで下記の流れで進めていきます。

・技能卒業検定
・試験場での適性検査
・けん引免許証の交付

技能講習はなくいきなり技能卒業検定を受けるので、教習や合宿免許よりも費用や取得期間を減らせます。

教習を受けずに受験するので一回で合格する確率は低く、複数回受験することも珍しくありません。

トレーラー免許を一発試験で取得するために必要な費用は下記の通りです。

・受験料:2,600円
・試験車使用料:1,450円
・免許交付料:2,050円

合計で6,100円となり、不合格となった場合にはその都度受験料と試験車使用料が必要です。

参考元:埼玉県警察|指定自動車教習所を卒業しないでけん引一種免許を受験されるかた

トレーラー免許(けん引免許)の取得条件

トレーラー免許を取得するには2つの条件を満たす必要があります。

・指定の運転免許を取得している
・身体検査をクリアしている

この2つの取得条件について解説していきます。

他の免許を取得している

トレーラー免許を取得するには、下記免許のいずれかを取得しておく必要があります。

・普通自動車免許
・中型自動車免許
・大型自動車免許
・大型特殊自動車免許

中型・大型・大型特殊自動車免許の取得には普通自動車免許が必要です。

そのため、普通自動車免許の取得が最低条件と考えておくといいでしょう。

身体調査をクリアしている

身体に関する条件は下記の通りです。

・視力が両方で0.8以上、片目で0.5以上(コンタクトやメガネの使用可)

 

・三桿法の奥行知覚検査器で2.5mの距離で3回検査を行い、平均誤差が2㎝以下

・色彩識別で赤色・青色・黄色の識別ができること

・10m離れた場所からでも90dbの音を聞きとれること

・自動車の運転に支障を及ぼす身体の障害がないこと

・通常の読み書きができること

この条件を全て満たしていればトレーラー免許の取得が認められます。

トレーラー免許(けん引免許)の難易度

警察庁が公表した「運転免許統計」によるトレーラー免許の合格率は下記の通りです。

・第一種牽引免許:82.1%(受験者数33,802人、合格者数27,762人)

・第二種牽引免許:21.6%(受験者数1,812人、合格者数391人)

参照元:警察庁|運転免許統計令和2年版

 

トレーラー免許には学科試験がないため、合格できるかは技能試験次第となります。

採点方法は100点満点からスタートして、減点事項があるとマイナスされていきます。

試験終了時に70点以上であれば合格です。

具体的な技能試験の内容は下記の通りとなります。

・安全確認後の正しい発進
・場内を一周しながらの慣らし運転
・30㎞~40㎞の指示速度走行
・方向転換とバックでの車庫入れ
・S字カーブ
・障害物の回避
・ギア固定で踏切通貨
・見通しの悪い交差点の通過
・正しい停車

第二種トレーラー免許は旅客運送用となり、第一種トレーラー免許よりも難易度が高くなります。

試験の種類は、学科試験と技能試験の2種類です。

学科試験はイラスト問題5問と文章問題95問の計100問で、90点以上取れば合格です。

技能試験の内容は第一種トレーラー試験と変わりませんが、合格基準が70点から80点以上に変わります。

そのため、第二種トレーラー試験の方が第一種トレーラー試験よりも合格率が下がります。

関連記事:牽引免許の取得難易度はどれくらい?試験内容や仕事内容を解説!

トレーラー免許(けん引免許)を取得するコツ

トレーラー免許を取得するコツは、乗用車にはない特性に慣れておくことです。

具体的には3つのコツがあります。

・車幅の違いに慣れる
・バックの修正を小刻みで行う
・右左折時は内輪差に注意する

乗用車との違いも踏まえ、3つのコツについて解説していきます。

車幅の違いに慣れる

トレーラーの車幅に慣れることは、接触事故を防ぐ上でとても重要となります。

トレーラーのほとんどは、他のトラックや乗用車と比べて車幅が広くなるからです。

対向車とのすれ違いやカーブを曲がる際には、車幅を意識しないと接触してしまう可能性があります。

車幅を認識しやすい箇所を自分なりに見つけ、その基準を意識しながら運転に慣れていくなどの方法があります。

バックの修正を小刻みで行う

トレーラーのバックは他のトラックとは違い、ハンドル操作を小刻みに行わなければなりません。

トレーラーの構造上、乗用車とハンドル操作が逆になり急な修正ができないからです。

乗用車の場合、左にハンドルを切ると左側へ、右にハンドルを切ると右側へバックしていきます。

一方でトレーラーの場合、左にハンドルを切ると右側へ、右にハンドルを切ると左側へバックしていきます。

この時、牽引車とトレーラーは "くの字"の形となり、修正しようとしてもすぐに向きを変えられません。

そのため、バックをする場合には小刻みな修正をすることがポイントと言えるでしょう。

右左折時は内輪差に注意する

トレーラーで右左折する場合、通常よりも大きい内輪差に注意が必要です。

トレーラーは車体が乗用車と比べて非常に長いからです。

乗用車よりも大周りで曲がらなければ、内輪差によってバイクや自転車を巻き込んでしまう恐れがあります。

曲がる際には前方の障害物に注意しながら、できるだけ大周りすることを意識しましょう。

トレーラー免許(けん引免許)を取得する流れ

トレーラー免許を取得するには、自動車教習所への入学から始まります。

運転適性検査や適性検査の後、技能講習を12時間受けていきます。

技能講習の後は卒業検定を受ける流れです。

最後に運転免許試験場で適性試験に合格すれば牽引免許証の交付となります。

トレーラーと大型トラックとの違い

トレーラーを運転するにはけん引免許が、大型トラックを運転するには大型免許が必要です。

ここではサイズの違いや難しさ、必要性について解説していきます。

トレーラーと大型トラックのサイズ

トレーラーと大型トラックのサイズはトレーラーの種類によって異なります。

トレーラーのタイプ セミトレーラー フルトレーラー 大型トラック
全長 16.5m(連結時) 18m(連結時) 12m
トレーラー長 12m 12m(5~6m)  
トラクター長 12m(5~6m) 12m  
全高 3.8m 3.8m 3.8m
全幅 2.5m 2.5m 2.5m

※全て以内での数字となります

 

セミトレーラーとは、運転席のあるトラクターと連結して物資の輸送ができるタイプのものです。

フルトレーラーはトラクターと荷台が一体となっており、更に後ろにトレーラーを連結できるタイプです。

海外ほど道路が広くない日本では、セミトレーラーが最も多く走っています。

大型特殊とトレーラー免許(けん引免許)は両方必要なの?

トレーラーを運転する上で、トレーラー免許と大型特殊免許の両方を取得しておく必要はありません。

運転するトラックサイズに応じた運転免許とトレーラー免許があれば問題ありません。

大型特殊免許とはクレーン車・ブルドーザーなど特殊な大型自動車で公道を走るための免許です。

トレーラーを運転しつつ、特殊な大型自動車を公道で運転することもある職場では両方の免許が必要となります。

大型特殊とトレーラー免許(けん引免許)はどちらが難しい?

大型の特殊自動車を運転する大型特殊免許とトレーラー免許では、トレーラー免許の方が難しいと言えるでしょう。

全長が長く車両の幅も広くなるので、電柱やバイクとの接触には細心の注意が必要です。

右左折時には内輪差を考えて大周りに、かつ車両前方や後方に気を遣いながら曲がらなければいけません。

バックも逆ハンドルとなるので、トレーラー特有の難しさがあります。

第二種トレーラー免許になると試験自体も難しくなるため、合格率は35%ほどまで下がります。

関連記事:大型トラックの種類まとめ-トレーラー/けん引に必要な免許は?日野・いすゞ・UD車も紹介

トレーラーの運転には危険も伴う

トレーラーはトラクター(トラック)とトレーラーが一体化しておらず、連結して運搬を行います。

車両サイズが大きく、運転中にはトレーラー特有の現象にも注意が必要です。

具体的な現象の種類や実際に起きた事故事例を解説していきます。

事故の原因になりやすいトレーラー特有の現象

事故に繋がりやすいトレーラー特有の現象は主に3つあります。

【ジャックナイフ現象】

トレーラー部分とトラクター部分がくの字に曲がってしまい、運転操作ができなくなる現象です。

急ハンドル・急ブレーキやハンドルとブレーキの同時操作によって発生します。

他にも過重積載や積み荷の偏荷重が原因となり得ます。

凍結した道路では特に発生しやすいので注意が必要です。

 

【プラウアウト現象】

トラクターヘッドのブレーキがロックされることで起こる現象です。

トラクターとトレーラーが一直線のままで固まり、ハンドル操作ができずそのまま直進してしまいます。

原因は急ブレーキであり、車間距離を詰め過ぎていたりカーブの手前でスピードを出し過ぎていたりする場合に起こりやすいと言われています。

 

【トレーラースイング現象】

トレーラースイング現象も、急ブレーキによってブレーキがロックされることで起こる現象です。

ブレーキにロックがかかり、バットのスイングのようにトレーラーが左右に揺れてしまいます。

トレーラーの事故事例

サイズが大きく特有の現象も起こることのあるトレーラーは、各地で交通事故が起きています。

【岡山県倉敷市福田町の市道で発生した事故】

市道を走るオートバイと、脇道から市道に合流しようとした大型トレーラーが衝突しました。

午前6時前後で現場は暗かったため周りが見えにくく、周囲をしっかりと確認していなかったことが原因と考えられます。

 

【愛知県小牧市元町の国道で発生した事故】

大型トレーラーが渋滞中の車に追突し、車28台が絡む多重事故が発生しました。

この事故により男性2人が重傷、22人が軽傷を負っています。

前方不注意が原因と考えられ、車両サイズが大きいトレーラーであったため28台が絡む大事故となりました。

 

【徳島県小松島市和田島町の県道で発生した事故】

午前7時35分ごろ、小学校に登校中だった小学4年生の児童が県道交差点で左折してきたトレーラと接触して死亡しました。

詳しい状況はわかっていませんが、トレーラーは全長が長く内輪差が大きいため、歩行者や原付バイクを巻き込んでしまう恐れがあります。

カーブを曲がる前にしっかりと周りを確認していれば防げていたかもしれません。

 

この他にもカーブを走行している最中にコンテナが外れて落下してしまい、隣を走行していた乗用車が下敷きになる事故も発生しています。

運転時にはトレーラー特有の現象を理解した上で余裕を持つことが大切です。

トレーラーはサイズが大きくちょっとしたミスが大事故に繋がります。

運転中はもちろん、出発前にも連結部のチェックをするなどして安全意識をしっかりと持つようにしましょう。

トレーラー免許(けん引免許)の取得に関してよくある質問

トレーラー免許をこれから取得する場合どれくらいの日数が必要なのでしょうか。

また、どのようなケースで必要となるのかについて解説していきます。

トレーラー免許(けん引免許)の取得にかかる日数は?

トレーラー免許の取得にかかる日数は最短で1週間ほどとなります。

教習所に通うペースによって異なりますが、最短での取得を目指すのであれば合宿免許での取得がおすすめです。

トレーラー免許(けん引免許)が必要な場合と不要な場合の違いって?

トレーラー免許が必要となるのは、普通自動車・準中型・中型・大型・大型特殊自動車のいずれかで車両総重量750㎏を超える車を牽引する場合です。

けん引する車の車両総重量が750㎏未満であれば、トレーラー免許は不要です。

この他に、運転するトラックのサイズに応じた運転免許が必要となります。

関連記事:牽引免許は難しい?資格取得方法や運転のコツなどについて詳しく解説

関連記事:大型トレーラー運転手の仕事内容と年収は?未経験でも本当になれるのか徹底解説

まとめ

今回はトレーラー免許について解説してきました。

車両総重量が750㎏以上の車両をけん引する場合に必要な資格で、約1週間〜2週間で取得できます。

トレーラー免許を取得する方法は合宿免許への参加・自動車学校へ通う・一発試験に合格する3つがあります。

第一種けん引免許の合格率は約80%ほどです。

将来的にトレーラーを運転したい方は今回紹介した方法で挑戦してみるといいでしょう。

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