日本版のライドシェアが導入された場合、タクシー料金と比べて安くなるのか気になる人も多いはずです。
一般的なライドシェアでは、タクシーと比較して、運賃は2~3割程度安くなる傾向があります。しかし、日本版ライドシェアは、一般的なライドシェアの料金体系とは異なります。さらに、ライドシェアの運用方法も海外とは別物です。
本記事では、日本版ライドシェアはタクシー料金より2〜3割安くなるのか、他にもライドシェアとタクシーの今後の関係などを解説します。詳しく知りたい人は、参考にしてみてください。
ライドシェアはタクシーの料金より2〜3割安くなる傾向がある
ライドシェアとは、ドライバーの自家用車を使用して、利用者と相乗りして移動する有料サービスです。ライドシェアは、車両を有効活用できるため、タクシーよりもコストを抑えられます。
海外での一般的なライドシェアの料金は、タクシーの料金よりも2〜3割安くなる傾向があります。日本ではライドシェアは法的に規制されていますが、2024年4月に一部解禁されました。
日本で解禁されるライドシェアは、タクシー会社が雇用する一般のドライバーが運行します。また、運賃はタクシーと同額に設定される見込みです。
ライドシェアの解禁から一定期間経過した際には、『ダイナミックプライシング』の導入も検討されています。ダイナミックプライシングとは、需要に応じて料金を柔軟に変動させる仕組みです。
具体的には、需要の高い時間帯や地域では、料金を高く設定して、ドライバーや車両の誘引を促します。逆に、需要の低い時間帯や地域では、料金を安く設定して利用機会を増やしドライバーの収入源を確保します。
関連記事:ライドシェアとは?わかりやすく説明すると相乗りサービス - クロスワーク・マガジン
ライドシェアとタクシーの料金システムの違い
ライドシェアとタクシーの料金と特徴の違いについて解説します。
- ライドシェア
- タクシー
ライドシェア
先ほど触れたように、ライドシェアとは、ドライバーの自家用車を使用して、利用者と相乗りする有料のサービスです。ライドシェアの料金は、ガソリン代や高速代などの実費を全員で分担して支払います。また、乗車するタイミングで料金は決まっています。
他にも、ライドシェアのドライバーになるために必要な資格は、普通自動車第一種免許のみです。また、事故時の責任はドライバーが取らなければいけません。
タクシー
タクシーとは、旅客運送事業者が運営する有料の移動サービスです。タクシーの料金は、距離や時間に応じて計算される運賃表に基づいて支払います。運賃表は、道路運送法で定められた基本料金や加算料金などで構成されます。また、目的地は同じでも、10m程度の差で料金が変わる場合も少なくありません。
他にも、タクシードライバーになるためには、普通自動車第二種免許の資格が必要です。万が一、事故を起こしてしまった場合の責任は、所属会社に帰属します。
ライドシェアとタクシーの違いを表でまとめると、以下の通りです。
項目 | ライドシェア | タクシー |
事業者 | 仲介のみで運行には責任を負わない | 車両を保有、運転者を雇用し、運行全体に責任を負う |
運転免許 | 普通免許でOK | 二種免許が必要 |
労働時間 | 管理・規制なし | 就業時間・休暇・休憩の規制あり |
健康・アルコールチェック | 管理・規制なし | 乗車前の点呼・アルコールチェック義務付け |
経歴や資質 | 社員でない | 社員として管理 |
車両 | 自家用車 | 事業者用車両 |
車両点検 | 規制なし | 点検、整備、清潔保持などを規制 |
事故対応 | 個人の責任 | 会社の責任 |
保険 | 保障されるか不明 | 事業用の保険の加入が義務付けられている |
料金 | 実費を全員で割り勘 | 利益を確保するための基本料金や加算料金を利用者が全額支払う |
料金確定のタイミング | 乗車前に基本的には決まっている | 降車時に決まる |
ルート | 事前に指定 | 乗車後に指定 |
ライドシェアの規制が緩い一方で、タクシーは安全性を担保できるように多くのルールが定められています。
出典:危険な白タク ライドシェアの合法化は許せません|自交総連
日本版ライドシェアの料金はタクシーと同等の予定
日本版ライドシェアは、アメリカや中国などで普及しているライドシェアとは異なり、タクシー事業者がドライバーの研修や車両の管理などに責任を持ち、安心・安全を担保します。
2024年4月から解禁された日本版ライドシェアの料金は、タクシーと同等になっています。ちなみに、海外の一般的なライドシェアの料金は、タクシーよりも2割から3割程度安いケースが多いと言われています。また、今後の全面解禁に向けた議論や実際の運用状況によっては、料金設定に変更があるかもしれません。
一方で、タクシーが不足する特定の地域では、日本版ライドシェアが限定的に導入されています。すでに実施されている地域では、タクシーの5割程度の運賃ですが、8割程度まで引き上げられる見込みです。
日本版ライドシェアは、タクシー不足の解消や地域経済の活性化に貢献する可能性がありますが、料金面ではタクシーと大きな差はないようです。
ライドシェアとタクシーが共存する方法
タクシーは、公共交通機関と連携して、旅客の移動ニーズに応える役割を担っています。タクシーはライドシェアと比較して、運転手の資質や車両の安全性が保証されています。その結果、多くの利用者は安心感をもってタクシーに乗車できているはずです。
また、タクシー会社は営利企業のため、需要の高い地域や時間帯に集中して運行しています。
一方で、日本版ライドシェアでは、タクシーが不足する地域や時間帯に運行して、交通空白地や福祉目的の移動ニーズに応える役割が期待されています。ライドシェアはタクシーと比較して信頼性や安心性で劣ると言われていますが、昨今では『相互レビュー』によりドライバーの資質が可視化されつつあるようです。
タクシーとライドシェアは、互いに競合するのではなく、補完する関係になり得ます。
ライドシェアが禁止になっている法律上の背景
ライドシェアとは、ドライバーの自家用車で利用者を有料で送迎するサービスです。日本で、ライドシェアは『白タク』と同様の扱いです。
道路運送法第78条では、自家用車での有償運送を原則として許可していません。したがって、ライドシェアが日本では禁止されています。
ただし、ライドシェアの禁止には、一部例外があります。たとえば、タクシーが不足している地域では、市町村やNPO法人などが自家用車を用いて有償で運送できる『自家用有償旅客運送』です。
ライドシェアとタクシー料金に関してよくある筆問
ライドシェアとタクシー料金に関するよくある質問は、主に4つです。
- ライドシェアのメリット・デメリットは?
- ライドシェアのタクシー業に与える問題点は何ですか?
- ライドシェア解禁のタクシー業界の影響は?
- ライドシェアとタクシーの料金はどちらが安いですか?
それぞれについて解説します。
ライドシェアのメリット・デメリットは?
ライドシェアのメリットは、タクシーよりも安く移動できたり、交通空白地でも対応できたりする点です。また、ドライバー視点で見ると、普通自動車第一種免許のみで仕事できる点も利点と言えるでしょう。
一方、ライドシェアのデメリットは、ドライバーの資質や安全性が保証されない点です。
ライドシェアのタクシー業に与える問題点は何ですか?
ライドシェアは、タクシー業にとって競合となり得ます。ライドシェアが普及すれば、タクシーの需要や収入が減少する可能性があります。
また、海外で導入されているライドシェアは、タクシーと比べて法的な規制が緩いです。その結果、「不公平な競争になるのでは」との指摘もあります。たとえば、タクシーは、体調の確認やアルコールチェックなどに厳しい基準が課せられていますが、ライドシェアでは、規制がありません。
ライドシェア解禁のタクシー業界の影響は?
ライドシェアの限定解禁は、2024年4月におこなわれました。日本版ライドシェアでは、タクシー会社が雇用する一般のドライバーの自家用車を使用して利用者を有料で送迎します。
日本版ライドシェアの影響は、タクシー業界にとってプラスにもマイナスにもなり得ます。プラスになる場合は、タクシー会社がライドシェアのプラットフォームを活用して、新たな収入源や顧客層を獲得できる可能性があります。
一方で、タクシー会社がライドシェアの競争に巻き込まれて、運賃やサービスの低下に追い込まれるかもしれません。また、タクシー会社がライドシェアの運行管理を負うことになるため、事故やトラブルのリスクが増える可能性もあるでしょう。
ライドシェアとタクシーの料金はどちらが安いですか?
日本における、ライドシェアとタクシーの料金は、同等の見込みです。すでに実施されている自家用有償旅客運送では、タクシーの5割程度の運賃ですが、8割程度まで引き上げられる見込みです。
海外に目を向けると、一般的には、ライドシェアがタクシーよりも安いケースが多い傾向にあります。
ライドシェアとタクシー料金についてのまとめ
今回は、ライドシェアとタクシーの料金や特徴について解説しました。
ライドシェアは、一般的にタクシーの料金より2〜3割安い価格設定となっています。しかし、日本では、海外で導入されている仕様ではなく、タクシー会社が雇用する一般のドライバーの自家用車を使用して利用者を有料で送迎する日本版ライドシェアが始まります。
日本版ライドシェアでは、タクシー会社が運行管理をします。その結果、ライドシェアの運賃もタクシーと同等の見込みです。
タクシーにとってライドシェアが競合になるとの意見もありますが、共存できる方法もあると言われています。
今後、タクシードライバーへの就職を検討しているのであれば、ライドシェアも視野にいれて就職活動するのはいかがでしょうか。
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