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タクシーの稼働率(実働率)とは?実態や計算方法・向上させるコツ

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タクシーの稼働率とは?実態や計算方法、向上させるコツ

「タクシーの稼働率が低下してなかなか売上につながらない……」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

稼働率が向上しないのは、現状の把握と正確な計算ができていないなど多くの要因が影響しています。

本記事ではタクシーの稼働率「実態・計算方法」を解説しつつ、効果的に稼働率を向上させるコツについて紹介します。

稼働率を最適化したい方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

この記事のまとめ

・タクシー業界の稼働率は55%程
・タクシーの稼働率を上げるには稼働状況を把握する
・ドライバーの時間外労働削減に取り組む必要がある

タクシー業界の稼働率とは?

タクシー業界の稼働率とは、営業時間に占める有料走行時間の割合のことです。稼働率が高ければ高いほど、多くの乗客を乗せて走行できるので、売上を向上させられるでしょう。

以下事例として、28日営業した稼働率40%と60%の実態です。

稼働率の計算式
タクシーの稼働率(%)=(実車時間 ÷ 営業時間)×100

営業時間 有料走行時間 稼働率 平均売上/時間 1日の売上 28日営業 
10時間 4時間 40% ¥4,000 /1H ¥16,000 ¥448,000
10時間 6時間 60% ¥4,000 /1H ¥24,000 ¥672,000

稼働率が異なるだけで、上記のように月の売上が20万円以上の差になります。
しかし、人手不足やタクシー需要の減少など、業界の稼働率は低下気味で厳しい状態が続いています。

タクシー業界の現状について次章で解説していくので、ぜひチェックしてみてください。

タクシーの稼働率の実態

タクシーの稼働率の実態

三井住友銀行「タクシー業界の動向と今後の方向性」でまとめられている資料を参考にすると、タクシーの稼働率は1989年に90%越えだったのに対し、徐々に右肩下がりとなり2017年には76.8%まで低下しています。

タクシー稼働率
出典:三井住友銀行「タクシー業界の動向と今後の方向性」

 

タクシーの稼働率が低下している原因は、タクシー利用者の減少や人手不足、保有タクシーの稼働率の悪さなどが考えられるでしょう。

また、沖縄県にある沖東交通グループの棚原靖裕常務も、以下のようなコメントを残しています。

「感覚的に需要はコロナ前に戻っている。ドライバーさえいれば経営を回復できるが…」

引用:沖縄タイムス「「ドライバーさえいれば…」悩む業界 観光客が戻った沖縄、タクシーの稼働率は5割 10年で半減した理由」

沖東交通グループは保有する439台に対して、1,100人の乗務員が必要ですが、実際に働くのは750人で稼働率は55%にとどまっています。

上記のように、タクシーの稼働率がなかなか回復できず厳しい状態が続いています。新型コロナウイルス感染症の緩和で、外出の機会は増えておりますが、業界全体ではまだまだ厳しいのが現状です。

出典:三井住友銀行「タクシー業界の動向と今後の方向性
出典:沖縄タイムス「「ドライバーさえいれば…」悩む業界 観光客が戻った沖縄、タクシーの稼働率は5割 10年で半減した理由」

タクシーの稼働率を上げるには?

タクシーの稼働率を上げるには?

タクシーの稼働率は、業界全体的に低下が続き厳しい状態です。しかし、以下4つの対策をすれば現状打破できる可能性は十分にあります。

1.稼働状況を把握する
2.免許取得・研修費用の補助を導入
3.人材育成・採用を強化する
4.ドライバーの時間外労働削減に取り組む

それぞれ紹介します。

稼働状況を把握する

タクシーの稼働率を上げるには、まず自社の稼働状況を正確に把握する必要があります。​​ドライバーの勤務状況や車両の使用率を正確に知ることで、最適な人材の配置や配車手配ができます。

タクシーの稼働状況を把握する方法は以下の3つです。

1.配車アプリやGPSなどを利用して、タクシーの位置や移動状況をリアルタイムで把握する
2.走行メーターやドライブレコーダーなどを利用して、走行距離や乗降回数、運賃などを記録する
3.ドライバーや乗客にアンケートを実施して、自社のサービス品質や顧客満足度について知る

稼働状況を把握することで、タクシーの配車を調整したり、運行エリアを拡大したりできます。効率的かつ収益性の高い営業スタイルの確立が必要になるでしょう。

免許取得・研修費用の補助を導入

免許取得や研修にかかる費用の補助を導入することで、タクシーの稼働率を上げられるでしょう。タクシーの稼働率を下げる要因のひとつに、ドライバー不足があります。

タクシードライバーになるには、二種免許の取得が必須事項になり、免許を取得するだけで20万円以上の高額な費用が必要です。

また、免許取得や研修にかかる費用が高いので、受講費用の高さからタクシー業界への就職意欲を減らしていることも、ドライバー不足に影響しているでしょう。

ドライバー不足を解消する施策としては、以下のようなものがあります。

1.自社で免許取得や研修の費用を全額または一部負担する
2.免許取得や研修費用を無利子で提供して、ドライバーが一定期間勤務した後に返済免除する
3.政府や地方自治体などから補助金や助成金を受けて、免許取得や研修の費用を補填する

免許取得や研修にかかる費用の補助を導入することで、タクシードライバーを目指す人の負担が減らせます。

今後人材を確保するためには、タクシードライバーを目指しやすい環境作りが大切になるでしょう。

人材育成・採用を強化する

タクシーの稼働率を向上させるためには、人材育成と採用の取り組み強化が必要不可欠です。タクシー業界は平均年齢が60歳を超えており、高齢化や人手不足が深刻な問題になっています。

タクシー運転者の平均年齢

出典:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の仕事を知ってみよう統計からみる運転者の仕事」

今後、タクシー業界の稼働率を上げるためには、若い世代の人材育成と採用は重要になるでしょう。「新卒採用・女性採用・中途採用」の専用特設サイトを用意して情報を発信している企業もでてきています。

タクシー業界に関心を持っていただき、人材育成と採用がスムーズに行われるように取り組みましょう。

ドライバーの時間外労働削減に取り組む

タクシードライバーの時間外労働削減に取り組むことで、タクシーの稼働率を向上させられるでしょう。

昨今、ドライバーの高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響により、退職者が続出、稼働率が低下する厳しい状況が続いています。

さらに改善基準告示の改正に伴い、ドライバーの時間外労働削減についても取り組む必要がでてきました。

しかし、厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善事例」内でも紹介されているように、ドライバーの時間外労働を削減しつつ、稼働率改善に取り組んでいる企業もでてきています。

同一の配車システムを構築した上で、他社のタクシー稼働状況等を、リアルタイムで確認できる大型モニターをセンターに設置し、他社車両でも取次がしやすい環境を整備。

引用:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善事例」

関連記事:タクシードライバーの勤務時間は長い?4つの時間区分とは

業務フロー

出典:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善事例」

ベテランドライバーの方から「お客様を他社の車に乗せることは少し抵抗がある」という声はありますが、乗客を待たせない環境が整えば、徐々に不安もなくなってくるのではないでしょうか。

また、厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の仕事を知ってみよう統計からみる運転者の仕事」の資料によると、タクシードライバーの平均労働時間は年間2,112時間と全産業と近い水準に近づいています。

タクシー運転者の年間労働時間
出典:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の仕事を知ってみよう統計からみる運転者の仕事」

 

データからも読み取れるように、タクシードライバーの時間外労働は改善されてきています。企業側はドライバーの健康と乗客の満足度を最優先に考えることで、経営の持続性と成長を実現できるでしょう。

出典:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の仕事を知ってみよう統計からみる運転者の仕事」
出典:厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善事例」

タクシーの稼働率の計算方法

タクシーの稼働率の計算方法

タクシーの稼働率は、売上に直結する重要な指標です。稼働率の計算方法は、以下の式で求められます。

稼働率の計算式 タクシーの稼働率(%)=(実車時間 ÷ 営業時間)×100
実車時間 ・タクシーが乗客を乗せている時間
営業時間 ・空車時間や休憩時間も含む
計算例 ・1日8時間営業、実車時間が4時間の場合
・稼働率=(4時間 ÷ 8時間)×100 = 50%

タクシーの稼働率を計算することにより、サービスの品質や運転手の勤務環境の改善など、業績向上のための戦略を考えられます。

稼働率をチェックしながら、事業の現状や改善点を見直すようにしましょう。

タクシーの稼働率についてのまとめ

実態を把握してタクシーの稼働率を向上させよう

タクシーの稼働率は、売上に大きく影響する重要な指標です。稼働率の計算方法や現状を理解することで、今後の売上UPや効率性UPにつながります。

人材育成や免許取得の補助、待遇の改善をしてドライバーが働きやすい環境を作りましょう。タクシーの稼働率改善に悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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高坂 勇介

工業高校で電気技術・機械制御・自動車工学を専攻。卒業後、複数業種を経験したのち、大手プラントメーカーで非破壊検査、造船メーカーで品質・工程管理に従事。物流業者への発注業務も多数経験。現在は製造・建設業界で培った12年の知識と経験を活かし、転職専門ライターとして活動中。

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