この先、AIの導入によって建設業界はどう変わるのか、施工管理の仕事はなくなるのか、解説します。
また、施工管理が人手不足となっている原因や、将来なくなるかもしれない施工管理会社の特徴も紹介するので、参考にしてください。
AIを導入しても施工管理の仕事がなくなるとは言えない理由
昨今、急速に浸透しつつあるAIですが、「建設業界にAIを導入すると施工管理の仕事がなくなる」と心配する声もあります。
そこで、ここではAIを導入しても施工管理の仕事がなくなるとは言えない4つの理由を紹介します。
人間の思考力や判断力が必要な場面が多いから
AIの導入により、施工管理では人とAIの業務が分化すると考えられます。しかし、複雑な判断や創造的な思考力は人間にしかできない業務が多いです。
特に現場の状況判断やトラブル対応など、即座の判断が求められる場面で人間の役割が重要となるでしょう。
導入までに課題が多く残っているから
AIを開発し導入するには多くの課題が存在します。たとえば、AIのシステムを現場に適用する際、開発者の意図と現場の実情が一致しないことがよくあります。
情報共有の不足や現場の状況への理解不足が原因となることが多いのです。スムーズにAIを導入するには、現場でのテスト運を重ねながら徐々に導入する必要があるため、すぐに仕事がなくなるとは考えにくいでしょう。
導入後も継続的な改善が必要だから
国土交通省が進める「i-Construction」のように、AIの導入は継続的な改善と適応が必要です。これは、単にAI技術を導入するだけでなく、その運用を継続的に最適化し、現場のニーズに合わせてカスタマイズするプロセスを含みます。
このような改善を継続的におこなうには、施工管理の現場を客観的に理解できている人間の存在が不可欠でしょう。
施工管理が人手不足になっている原因
AIが導入されたら施工管理の人手不足が解消されるのかといえば、事はそれほど単純ではありません。
では、そもそもなぜ今施工管理は人手不足になっているのか、6つの原因を解説するので参考にしてください。
若者離れ
建設業界の人手不足の背景には、新卒者の建設業界への流入減少が一因として挙げられます。
実際に、厚生労働省の調査によると、建設業界への新卒者の入職は依然として十分ではありません。
建設業界の就業者数は全産業の約8%を占めているにも関わらず、新卒から建設業界への就職者は全新卒就職者の5.8%にとどまっています。
新卒採用の段階で適切な人材を確保することが、建設業界の人手不足解消に向けた有効な策の1つと言えるでしょう。
給与面での不満
建設業界で人手不足が起きている原因のひとつに、給与面の不満があります。多くの時間と労力を費やし、現場で重要な責任を担っているにもかかわらず、給与が期待に応えないと感じる人が少なくありません。
しかし、「求人ボックス給料ナビ」によると施工管理の平均年収自体は445万円であり、決して低いわけではありません。個人差があるため、結果として一部の人が「割に合わない」と感じています。
実際、施工管理は資格がなくてもできる職種であるため、資格の有無が年収に大きく影響している可能性が高いでしょう。
特に上位資格である1級施工管理技士の年収は高くなりやすいので、それが原因となって格差が生まれていると言えます。
残業時間の長さ
残業時間の長さもまた、業界から人材が離れる要因となっています。
オープンワーク株式会社が運営する『働きがい研究所』の調査によると、日本全体の平均残業時間は過去数年間で徐々に減少しており、2021年の1〜3月では平均23.93時間/月でした。
しかし、業界別の残業時間を見ると、コンサルティング、マスコミ、不動産・建設業界では他の業界と比べて残業時間が長いことが判明しています。
特に不動産・建設業界は、2021年の1〜3月に平均31.48時間/月の残業時間を記録し、全業界平均を上回っています。
建設業界の残業時間が長くなる主な要因は、以下のものです。
- プロジェクトの進行状況による影響
- 早朝からの業務開始やトラブル対応による残業
- 書類整理や報告書の作成などの事務作業の多さ
これらの要因が建設業界の長い残業時間に大きく影響していると考えられます。
責任の重さ
国の予算を使った大型プロジェクトや、短期間で完成させる必要のあるプロジェクトなど、施工管理に求められる業務は多岐にわたります。
小さなミスが大きな事故や人命に影響する可能性があるため、極めて高い注意力と慎重さが求められるのです。
自身の安全はもちろん、作業に従事する全員の安全に配慮しなければなりません。
さらに、施工管理業務には施工計画書、施工体制台帳、安全点検表など、法律で定められた様々な書類の作成も含まれます。
このように、あらゆる業務で責任やプレッシャーを感じやすい仕事のため、施工管理を辞める人もいます。
需要が安定しない
建設業の特徴として「受注が先行する」ことが挙げられます。
プロジェクトを受注できなければ現場が始動することはなく、その結果、手元にいる人材が過剰になることもあるのです。
言い換えれば、一つのプロジェクトの受注が人材の需要に大きな影響を与えます。余分な人材を常時確保しておくことはコスト的に困難なため、プロジェクトが急に増えた場合、すぐに人手不足に陥ることがあるのです。
このような状況が建設業界の人手不足をさらに深刻化させています。
求職者側と企業側とでイメージにギャップがある
施工管理という仕事に対して、いわゆるガテン系のイメージを持つ人は少なくないでしょう。
実際に働いている側からすれば昔のイメージであり、今は違うかもしれませんが、少なからず求職者側と企業側との間にイメージのギャップがある可能性は高いです。
そして、そういったイメージのギャップが、新たな人材が流入する上で障壁となっている可能性はゼロではないでしょう。
将来なくなるかもしれない施工管理会社の特徴
続いて、ここでは将来なくなるかもしれない施工管理会社の特徴を紹介します。現職を辞めるかどうかを考える際の参考にしてください。
業務量が多すぎる
大まかに施工管理の仕事を分けると「工程管理」「品質管理」「安全管理」「原価管理」の4つがあり、それらの業務量は膨大であることが珍しくありません。
たとえば「工程管理」では、工事が工期までに終えるようにスケジュール管理をおこないます。具体的には、現場で働く職人の人材確保、資材の発注、重機の手配などです。
他にも、工事中は大なり小なりトラブルが発生するので、その解決方法を考えたり、スケジュールの調整をするのも工程管理の仕事になります。
工程管理以外にも、現場で工事の進捗をチェックしたり、関連会社との打ち合わせをしたりするので、業務量は基本的に膨大な仕事です。
そのような状況を放置している会社では、仕事が辛くて辞める人が今後増えていき、将来的に経営が傾く可能性があるでしょう。
孫請け会社である
「建築業界は需要が高いから、今後も仕事がなくなる心配はない」という声もあります。
確かにマンションの建設やビルの建設、インフラの整備など、工事そのものがなくなるとことはないでしょう。
しかし、一方で建設業界には資材や燃料、人件費の高騰という切迫した問題があります。出ていくお金が増えるので、利益率が下がる会社が増える可能性が高いでしょう。
特に注意したいのが孫請け会社のように、元々利益率が高くない会社です。
転職先を探す際は、その会社がどこから仕事を受注しているのか、孫請け会社かどうかをしっかり確認することをオススメします。
施工管理の将来性に関連してよくある質問
ここでは施工監理の将来性に関連してよくある質問に回答します。
施工管理の離職率は?
建設業界全体では、特に施工管理職に特化した離職率に関する統計データは存在しません。ただ、一般的には1級施工管理技士の年間離職率は約5%、2級施工管理技士では約10%程度とされています。
他の建設業の職種と比較すると、施工管理の離職率は比較的低いと言えるでしょう。
「施工管理の仕事はなくなる?」についてのまとめ
建設業界にAIが導入されたとしても、施工管理の仕事そのものがなくなることはまずありません。むしろ、業務によっては大幅に負担が軽減される可能性が高いです。
一方で、AIを導入する以上、監理監督を求められる施工管理は、現場で誰よりも使い方やメリットを理解しておく必要があります。
仕事をAIに奪われるのではなく、AIと共に仕事ができる施工管理が、今後はますます必要とされていくでしょう。
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