土木施工管理は一般的には男性が多いとされていますが、近年では女性でも十分に活躍できると言われるようになってきました。
しかし、その実態はどうなっているのでしょうか。
そこで本記事では、土木施工管理は女性でもなれるのかどうか、女性が土木施工管理になるメリットとデメリットなどについて解説します。
土木施工管理者には女性でも就職・転職は可能
まずは、そもそも女性は土木施工管理になれるのか、という点について解説します。
土木施工管理という職業は、性別に関係なく誰でもなれます。
土木施工管理は、建設プロジェクトの計画、調整、予算管理、品質管理などを担当する職業で、高度な技術知識と組織力が求められます。
そして、これらのスキルは性別に関係なく習得することが可能です。
近年、女性の社会進出が進む中で、建設業界でも女性の活躍が増えてきています。
女性の視点や感性は、プロジェクトの成功に貢献することが多く、多様性の観点からも女性の参加は重要です。
また、建設現場は男性だけの場所ではなく、女性でも働きやすい環境が整備されつつあります。
しかし、土木施工管理はまだまだ女性が少ない職業であることも事実です。
それは、建設業界が伝統的に男性が多い職業であったこと、また、現場作業の体力的な負荷や、長時間労働が求められることが理由として挙げられます。
しかしこれらの問題も、技術の進歩や労働環境の改善により、少しずつ解消されつつあります。
このように、女性でも土木施工管理になることは十分可能です。性別に関係なく、自分の興味や適性に基づいて職業を選び、挑戦することが大切です。
関連記事:施工管理の仕事は未経験の女性でもなれる?メリット・デメリットについて解説
女性土木施工管理技士の主な業務内容
土木施工管理の業務は主に「品質管理」「安全管理」「工程管理」「受入れ管理」「ダメ工事の管理」の5つの業務に分けられます。
業務 | 業務内容 |
品質管理 | 建設プロジェクトが設計通り、またはそれ以上の品質で完成するように、材料の選定、作業手順の確認、完成した工事の検査など、施工の各段階で品質をチェックし、必要に応じて改善措置を講じる。 |
安全管理 | 作業環境の整備、安全教育の実施、危険予知活動の推進、事故の原因分析と再発防止策の立案など、建設現場での作業者の安全を確保する。 |
工程管理 | プロジェクトの全体的な流れを見つつ、各作業が計画通りに進行しているかを確認し、必要に応じて調整を行う。 |
受入れ管理 | 建設プロジェクトの各フェーズで、施工された作業が設計図や規格に適合しているかを確認し、必要に応じて修正や改善を行う。 |
ダメ工事の管理 |
施工上の問題や欠陥を早期に発見し、適切な修正や改善を行う。クライアントや利用者に対して、建設物が設計通りの品質で完成したことを証明する役割も果たす。 |
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女性土木施工管理技士の比率は約4〜7%
国土交通省の発表によると、施工管理における女性の割合は、以下の表のようになっています。
女性の施工管理の割合 | 男性の施工管理の割合 | |
2017 | 約4.5% | 約95.5% |
2018 | 約4.9% | 約95.1% |
2020 | 約6.7% | 約93.3% |
出典:国土交通省「建設業活動実態調査の結果」(平成29年度)
出典:国土交通省「建設業活動実態調査の結果」(平成30年度)
出典:国土交通省「建設業活動実態調査の結果」(令和2年度)
現在も男性が9割以上を占めている一方で、女性の施工管理職の比率は年々増加しています。この比率は、今後も増加していくことが予想されています。
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女性が土木施工管理技士になる3つのメリット
続いては、女性が土木施工管理になるメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
女性視点が活きる
女性が土木施工管理になるメリットは以下の3つです。
まず1つ目は、「女性視点が活きる」ことです。建設現場は伝統的に男性が主導する場所でしたが、女性の視点は新たな視野をもたらし、プロジェクトの成功に寄与します。
また、女性は細部への注意力やコミュニケーション能力に優れているため、チームの協調性を高めることができます。
資格があれば転職に困らない
2つ目のメリットは、「資格があれば就業可能である」ことです。土木施工管理技士の資格を持っていれば、性別に関係なく、その能力が認められ、就業の機会が広がります。
技術的な知識と経験を証明する資格を持っていれば、女性であっても施工管理の仕事に就くことができます。
ブランク後の復帰がしやすい
3つ目のメリットは、「ブランク後の復帰がしやすい」ことです。
子育てや介護などで一時的に職場を離れる女性も多いですが、土木施工管理技士の資格があれば、ブランク後も再び職場に戻ることが容易になります。
資格は一度取得すれば永続的なものであり、それがあれば、いつでも職場に戻ることができます。
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女性が土木施工管理技士になる2つのデメリット
女性が土木施工管理になるデメリットは以下の2つです。
体力的負担がある
まず1つ目は、体力的な負担です。土木施工管理は、現場での作業が主な職務であり、重い機材の運搬や長時間の立ち仕事が求められることもあります。
これらは、男性に比べて筋力が劣るとされる女性にとって、無視できないデメリットです。
男性ばかりで馴染みにくい
次に、性別を理由に軽んじられることも、女性が土木施工管理になるデメリットです。
土木施工管理は伝統的に男性が多い職種であり、女性が新たに参入することは、一部の男性からの反発を招く可能性があります。
これは、女性にとって職場での人間関係を難しくし、ストレスを感じる原因となり得ます。
最後に、女性用の設備が充分でないことも大きなデメリットです。
特に、現場に女性用のトイレがないことは、女性が土木施工管理になる際の大きな問題となります。
これは、女性の働きやすさを大きく損なう可能性があります。
土木施工管理技士に向いている女性の特徴|3選
続いては、土木施工管理に向いている女性の特徴を3つ紹介します。
根性がある
土木施工管理に向いている女性の特徴の1つ目は、根性があることです。
土木施工管理は、多くの困難や予期せぬ問題に直面することが日常的にあります。
そのため、困難な状況に直面しても諦めず、解決策を見つけ出すために努力を続ける「根性」が求められます。
特に、男性が多いこの業界で活躍する女性にとっては、性別による偏見や固定観念を乗り越えるためにも、この「根性」が必要となるでしょう。
また、根性があることで、困難な状況でも冷静に対処し、プロジェクトを成功に導く力が身につきます。
論理的な思考ができる
土木施工管理に向いている女性の特徴の2つ目は、論理的な思考が得意であることです。
土木施工管理の仕事は、工程管理や品質管理、安全管理など、多くの要素を同時に考慮しながら進行させる必要があります。
そのため、複雑な情報を整理し、問題解決に向けた策を立てる論理的な思考力が求められます。
特に女性は、細部への配慮や多角的な視点からの分析能力に長けていると言われており、これらの能力は論理的な思考を支える重要な要素となります。
細かな配慮ができる
土木施工管理に向いている女性の特徴の3つ目は、細かな配慮ができることです。
土木施工管理の仕事は、多くの部分が細部にわたるチェックや調整を必要とします。そのため、細かな点まで気を配り、抜け漏れなく管理を行う能力が求められます。
特に女性は、細部への配慮や感じ取りやすさが強みとされており、これらの能力は施工管理の現場で大いに活かされます。
細かな配慮ができることで、工事の品質向上や安全管理、効率的な工程管理につながり、プロジェクトの成功に大きく寄与するのです。
女性土木施工管理者のリアルな声
このように、土木施工管理は女性でも活躍できる仕事であると言われています。
では、実際に現場で働いている女性はどう思っているのでしょうか。
30代:東京都で監督業をしている女性
私の仕事は、建設現場での品質、安全、工程、受け入れ管理など、プロジェクト全体の監督業務です。
この仕事は体力的にも精神的にも厳しい面がありますが、女性ならではの視点や配慮が、現場でのコミュニケーションや問題解決に役立つことも多く、仕事にはやりがいを感じています。
また、女性の施工管理士が増えることで、業界全体の多様性が高まり、もっと女性が働きやすい職場になると信じています。
ですが、それは決して簡単ではありません。女性用の設備が不足している現場もあり、体力的な負担や性別による偏見に直面することも正直あります。
それでも私はこの土木施工管理の仕事を続けたいと思っています。自分が関わったプロジェクトが完成したときの達成感は、それらの困難を上回るからです。
40代:神奈川県で現場リーダーをしている女性
この仕事を始めてから数十年、多くのプロジェクトを経験し、数々の困難を乗り越えてきました。
男性が多いこの業界で女性として働くことは、時に孤独を感じることもありますが、それは同時に自分自身を成長させる機会になったと思っています。
体力的に厳しい現場作業もありますが、それを補うための知識や技術、そして経験が私にはあります。
私の存在が、現場の雰囲気を和らげ、チーム全体のコミュニケーションをスムーズにすることもあります。
私が女性であることは、現場での一員として、またリーダーとして、新たな価値を生み出していると思います。
30代:大阪府で施工管理会社に勤務している女性
私は20代でこの業界に転職しました。この業界に飛び込んだ当初、本当に自分がこの仕事を続けられるのか不安でした。
しかし、新しい職場での経験は、その不安を払拭するものでした。
男性が主体の環境であることは確かですが、同僚や先輩は私を萎縮させることはなく、作業を丁寧に教えてくださいました。
時には厳しい言葉をかけられることもありましたが、それも自分自身の成長のためと思っていました。
また、私以外にも女性の施工管理士の方がいらっしゃったので、とても心強く感じました。
女性が土木施工管理技士になる上での注意点
続いては、女性が土木施工管理になる上での注意点を2つ紹介します。
家族に反対される可能性がある
女性が土木施工管理になる上での注意点の1つ目は、家族に反対される可能性があることです。
土木施工管理は、現場作業が主な業務であり、体力的にも精神的にも厳しい職業であるため、家族からの理解や支援が必要となる場合があります。
特に、伝統的な性別役割制の考えを強く持つ家族からは、女性がこのような職業に就くことに反対の意見が出ることもあります。
しかし、女性が土木施工管理の職に就くことは十分可能であり、多くの女性がこの分野で成功を収めています。
そのため、自身のキャリア選択に対する家族の理解を得るためには、自分の意志をしっかりと伝え、土木施工管理の仕事の意義ややりがいを説明することが重要です。
女性特有の問題が発生する可能性がある
女性が土木施工管理になる上での注意点の2つ目は、女性特有の問題が発生する可能性があることです。
土木施工管理は伝統的に男性が多い職業であり、現場では女性特有の問題が発生することがあります。
例えば、女性用の設備の不足です。特に、女性用トイレの不足は、女性が働きやすい環境を作る上で大きな障害となります。
この問題は施工管理の現場だけでなく、多くの職場で共通して見られる問題であり、女性の活躍を促進するためには、職場環境の改善が必要となります。
そのため、女性が土木施工管理になる上での注意点としては、自身の働きやすさを確保するための対策を考えることが重要となるのです。
女性が土木施工管理技士になる際の取得要件
土木施工管理技士の資格を取得するには、まず「一般財団法人全国建設研修センター」が主催する「土木施工管理技士」の試験に合格する必要があります。
この試験は、土木施工管理に関する広範囲な知識と技術を問うものです。
試験内容は、土木工事の施工管理に関する理論と実技が含まれ、それぞれの領域で高いスコアを獲得しなければなりません。
試験は一年に一度開催され、合格者はその年度の土木施工管理技士として認定されます。
ただし、この試験を受験するためには一定の実務経験も必要で、その期間は資格の級によって異なります。
例えば、2級の場合は「大学卒業者」もしくは「専門学校卒業者(高度専門士に限る)」で、指定された学科を卒業した後、1年以上の実務経験が必要となります。
これらの要件を満たすことで、土木施工管理技士の資格を取得することができます。
詳細な受験資格に関しては、一般財団法人全国建設研修センターのHPを参照ください。
女性が土木施工管理になるなら狙い目の求人
女性が土木施工管理になる上では、女性に対する理解とサポートがある企業を探すのがおすすめです。
これは、女性が働きやすい環境を提供する企業であれば、より良いパフォーマンスを発揮できる可能性が高いからです。
また、女性の施工管理者としてのキャリアを支援するための教育プログラムや、メンターシッププログラムを提供している企業も狙い目です。
さらに、女性が働きやすい職場環境を提供している企業、例えば、フレキシブルな勤務時間やリモートワークのオプションを提供している企業も重要です。
これらの要素を考慮に入れることで、女性が土木施工管理の職に就く際の最適な求人を見つけることができるのです。
女性土木施工管理技士に関するまとめ
今回は、土木施工管理は女性でもなれるのかについて解説しました。
女性が土木施工管理の職に就くことは、男性主導の建設業界に新たな視点と多様性をもたらすことができます。
土木施工管理の仕事に興味がある女性は、ぜひ本記事を参考にして、土木施工管理への就職に挑戦してみてください。
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