施工管理

【2024年版】1級管工事施工管理技士の試験概要|資格取得の方法、勉強のコツ

公開日:

ヘルメットをかぶっている男性

建設業従事者としてキャリアアップするうえで、多くの人が目指すのが「施工管理技士」です。管工事に関しては「1級・2級管工事施工管理技士」があります。

資格取得を検討しているものの、受験資格や勉強方法が分からないという人もいるでしょう。試験概要や勉強方法について理解しておくことで、効率良く取得を目指せます。

今回は、1級管工事施工管理技士の試験概要や勉強方法について、分かりやすく解説していきます。取得メリットや収入事情についても紹介していますので、参考にしてみてください。

記事のまとめ
・1級管工事施工管理技士検定は年に1回開催され、試験に挑戦するには所定の実務経験を満たす必要がある
・令和6年度の試験より、受験条件が改正され出題問題の内容も見直されている。
・資格取得することで、工事規模に関係なく施工管理者として携われるようになり、昇給や昇格に繋がる

1級管工事施工管理技士試験の概要

デスクワークをこなす様子

1級管工事施工管理技士として従事するには「一般財団法人・全国建設研修センター」が実施する1級試験に合格する必要があります。

ここでは、1級試験の試験日程や受験資格について解説していきます。年に1回しか実施されないため、試験日程に合わせてスケジュールを組んでみてください。

今回紹介する日程は、令和6年度試験の内容です。開催年度によって試験日は前後するため必ず試験開催元の情報を確認するようにしましょう。

申込の受付期間

令和6年度・1級管工事施工管理技術検定の申し込み受付期間は、以下の通りです。

申し込み方法受付期間
・インターネット申し込み
※一次試験のみの受験者が対象
令和6年5月7日(火) ~ 令和6年5月21日(火)23:59まで
・書面申し込み
※第一次、第二次あるいは第二次検定のみの受験者が対象
令和6年5月7日(火) ~ 令和6年5月21日(火)

書面申し込みは簡易書留郵便で、締切日の消印があるものまでが有効です。

申込用紙を購入する際は「第一次・第二次検定受験用」と「第二次検定のみ受験用」の二種類があるため、間違えないように注意しましょう。

申込用紙は、全国建設研修センターのホームページからか、指定機関の窓口にて1,000円で販売されています。ホームページからの購入は令和6年5月13日(月)までしかできません。

試験日及び合格発表日

1級試験の試験日と合格発表日は以下の通りです。

 試験日合格発表日
第一次検定令和6年9月1日(日)令和6年10月3日(木)
第二次検定令和6年12月1日(日)令和7年3月5日(水)

試験地

1級試験の開催地は「札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・那覇」の10地区です。第一次検定と第二次検定で試験地が変わることはありません。

試験地は受験申込時に自由に選択可能で、試験会場に関しては受験票にて発表されます。

受検手数料

受験手数料は、第一次検定・第二次検定ともに10,500円(非課税)です。

郵便局窓口にて払込み後「振替払込受付証明書」を受験申込書に貼付しなければならないため、捨てずに保管しておきましょう。

受検資格

1級試験の受験資格は、令和6年度より内容が改正されました。令和6〜10年度までの5年間は経過措置として、新受験資格・旧受験資格のどちらの受験資格でも挑戦できます。

1級試験・第一次検定の受験資格は、19歳以上(試験年度末時点)のみです。第二次検定の受験資格は以下の通りです。

第二次検定の新・受験資格

受験対象者受験資格
令和3年度以降の1級・第一次検定合格者試験に合格後、実務経験を5年以上
試験に合格後、実務経験を3年以上(特定実務経験を1年含む)
試験に合格後、実務経験を1年以上(監理技術者補佐として)
2級・第二次検定に合格後、1級・第一次検定に合格した人2級試験に合格後、5年以上の実務経験
2級試験に合格後、実務経験を3年以上(特定実務経験を1年含む)
土木施工管理技術士・第二次検定に合格した人第二次検定に合格後、実務経験を5年以上
第二次検定に合格後、実務経験を3年以上(特定実務経験を1年含む)

第二次検定の旧・受験資格

受験者の学歴など受験資格
大学および専門学校の高度専門士指定学科の場合、実務経験を3年以上
指定学科以外の場合、実務経験を4年6ヵ月以上
・短期大学
・5年制高等専門学校
・専門学校の専門士
指定学科の場合、実務経験を5年以上
指定学科以外の場合、実務経験を7年6ヵ月以上
・高等学校
・中等教育学校
・専修学校の専門課程
指定学科の場合、実務経験を10年以上
指定学科以外の場合、実務経験を11年6ヵ月以上
その他実務経験を15年以上
2級管工事施工管理技術検定・第二次検定合格者合格後に実務経験を5年以上
2級管工事施工管理技術検定・第二次検定合格者で実務経験が5年に満たない人

【高等学校・中等教育学校・専修学校の専門課程を卒業】

指定学科の場合、卒業後に実務経験を9年以上
指定学科以外の場合、実務経験を10年6ヵ月以上
2級管工事施工管理技術検定・第二次検定合格者で実務経験が5年に満たない人

【上記学歴以外】

実務経験を14年以上
1級・配管の技能検定合格者実務経験を10年以上

上記実務経験には、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていなければなりません。専任の主任技術者の実務経験が1年以上ある場合などは、別で受験資格が設けられています。

受験条件の詳細については、変更される可能性があるため、必ず試験実施機関「全国建設研修センター」の案内ページを確認しましょう。

参考元:令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります【新受検資格】|一般財団法人全国建設研修センター

1級管工事施工管理技士に申し込む際の注意点

スマホを操作する様子

1級試験には、以下の通り3つの検定区分があり、それぞれで受験資格が設けられているため、注意しましょう。

検定区分受験資格
第一次検定のみ受験令和6年度中に19歳に以上であること
第二次検定のみ受験二次検定の新・級いずれかの受験資格を満たしていること
第一次検定・第二次検定どちらも受験19歳以上で、第二次検定の新・級いずれかの受験資格を満たしていること

※第一次検定に合格した場合のみ第二次検定を受験可能

「申込の受付期間」で解説した通り、受験区分によって申し込み方法も変わるため、間違えないように注意しましょう。

1級管工事施工管理技士の試験内容

女性社員がデスクワークする様子

1級試験の試験は第一次・第二次と分かれており、検定科目や検定基準が異なります。

第一次検定の内容

検定の科目検定基準
施工管理法・監理技術者補佐として管工事の施工管理を行なうために必要な施工計画の作成知識

・品質管理、工程管理、安全管理など、施工管理に関する知識

・監理技術者補佐として、管工事を施工管理するための応用能力

機械工学等・管工事を施工管理するために必要な衛生工学、機械工学、電気工学、電気通信工学、建築学に関する知識

・管工事を施工管理するために必要な空気調和、冷暖房、給排水、衛生などの設備に関する知識

・管工事を施工管理するために必要な設計図書に関する知識

法規建設工事で施工管理を行う際に必要な法令に関する知識

試験は、午前の部が2時間30分、午後の部が2時間の計4時間30分で実施されます。マークシート方式での解答です。

第二次検定の内容

検定の科目検定基準
施工管理法・監理技術者として管工事の施工管理を行なうために必要な知識

・監理技術者として、設計図書で求められる整備の性能を確保するために、設計図書の内容を理解する能力

・設計図書の内容に沿って設備の施工図を正しく作成したり、必要な機材の選定や配置を行なったりできる応用能力

試験は午後に行なわれ、試験時間は2時間45分です。試験は記述式です。試験問題は、令和6年度の受験資格改正に合わせて、下記の通り見直されています。

【第一次検定】

第二次検定の受験条件において、学歴に関係なく実務経験年数が一定となるため、第一次検定の試験問題では、管工事の施工管理に必要な工学基礎知識を確認する内容とする

【第二次検定】

安全管理と工程管理の問題を必ず出題する。また、受験者の経験に基づかない解答を防ぐために、経験に基づく問題の出題をやめる。衛生・空調の施工に関する選択問題では、経験で得た知見・知識を幅広い視点から確認できる問題に見直しする

具体的な問題例などはないものの、試験内容が従来のものと変わるため、勉強する際に注意しましょう。

参考:■令和6年度以降の管工事施工管理技術検定試験問題の見直しについて|一般財団法人全国建設研修センター

1級管工事施工管理技士の勉強方法

社員がデスクワークする様子

1級試験は、管工事に関する幅広い知識と経験が求められるため、難易度がかなり高いと言えます。バランスよく知識を身に着けるには、勉強方法にも工夫が必要です。

ここでは、第一次検定と第二次検定の学習を効率良く進められる勉強方法について解説していきます。

第一次検定の勉強方法

第一次検定に合格するためにおすすめするのは「過去問を繰り返し解きながら知識を身に着ける勉強スタイル」です。

一般的には、参考書である程度知識を身に付けてから過去問挑戦へと移行しますが、出題範囲が広いため多くの時間がかかってしまいます。

まずは過去問に挑戦し、各科目の知識量を把握したうえで、苦手な科目はテキストを併用しながら対策していきます。各科目に合格基準が設けられているため、バランスよく点数を上げていくようにしましょう。

ただし、前述した通り令和6年度から試験問題の内容が見直されるため、過去問の傾向が通用しない可能性があります。

第二次検定の勉強方法

第二次検定に関しては、記述式となるため数字などを用いて簡潔に答えることがポイントです。

実際の工事を元に出題されるため、さまざまな管工事について正しく記述することに慣れておくようにしましょう。

どうしても自分だけで学習を進められない場合は、通信講座を受講するのも1つの方法です。合格に向けて適切なカリキュラムが組まれており、分からない箇所は講師陣への質問もできます。

1級管工事施工管理技士を取得するメリット

2人の作業員が立っている様子

1級管工事施工管理技士の資格を取得する主なメリットは3つあります。

・専任の技術者になれる
・監理技術者・主任技術者になれる
・経営事項審査において企業に貢献できる

専任の技術者とはなんなのか、監理技術者と主任技術者の違いも交えながら解説していきます。

専任の技術者になれる

専任の技術者とは、適正な請負契約をサポートしたり、建設工事をバックアップしてあげる役割を担っています。建設業法により各営業所への設置が義務付けられていることから、建設会社には必要不可欠な存在です。

1級管工事施工管理技士になると、専任の技術者として選任できるようになります。企業内での評価が高まるため、昇給や昇格に繋がります。

監理技術者・主任技術者になれる

あらゆる建設工事では、計画通りに工事を進められるように全体を管理する立場として、主任技術者・監理技術者の設置が義務付けられています。

下請金額4,500万円未満の工事で施工管理を行なえるのが主任技術者で、2級施工管理技士の資格が必要です。

工事の下請金額が4,500万円を超える場合は、監理技術者の設置が必要であり、1級施工管理技士のみが携われます。つまり、1級管工事施工管理技士になれば、あらゆる規模の管工事に従事できるようになります。

携われる管工事が増えるため、社内での評価が高まるだけでなく、キャリアアップを目的とした転職もしやすくなるでしょう。

経営事項審査において企業に貢献できる

1級管工事施工管理技士になると、経営事項審査の加点対象となり企業全体の評価を上げられます。

経営事項審査とは、各企業の経営状況や技術力などを数値化し評価するものです。公共工事を直接請け負う建設業者は必ず受けなければならない審査です。

施工管理技士の在籍は、審査時に加点の対象となるため企業の評価自体が上がります。

1級管工事施工管理技士に関してよくある質問

2人の作業員が話し合う様子

最後は1級管工事施工管理技士に関する、2つのよくある質問に答えていきます。

・管工事施工管理技士1級で何ができますか?
・1級管工事施工管理技士の給料はいくらですか?

資格取得前と後での仕事内容の違いや収入事情に関する内容ですので、受験を検討するうえで参考にしてみてください。

管工事施工管理技士1級で何ができますか?

1級資格を取得することで、管工事に監理技術者として従事できるようになります。

監理技術者は、工事全体を管理する役割を担っており、規模に関係なく全ての管工事で管理者として携われます。

1級管工事施工管理技士の給料はいくらですか?

職業情報提供サイト・jobtagによると、土木施工管理技術者の令和5年度における平均年収は603万9,000円です。

役割や仕事内容が同じであるため、管工事施工管理者も同程度の収入と考えられます。施工管理技士として経験を積むことで、年収700万円以上も十分に目指せます。

出典:職業情報提供サイトjobtag・土木施工管理技術者|厚生労働省

1級管工事施工管理技士についてのまとめ

作業員が遠くを見つめる様子

1級管工事施工管理技士検定は、年に1回行われており第一次・第二次検定に合格することで資格を取得できます。誰でも受験できるわけではなく、第二次検定に挑戦するには所定の実務経験を満たす必要があります。

受験資格や試験内容を確認したうえで、無理のない学習スケジュールを立ててみましょう。

資格を取得することで、施工管理者として従事できる工事の規模に制限がなくなり、工事技術者としてさらに成長できます。建設業界で長く活躍したいと考えている方は、ぜひ取得を検討してみてください。

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この記事を書いたライター

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工業高校・航空専門学校で「電気工事士」「危険物取扱者」「けん引免許」などの資格を取得。学校卒業後は、航空貨物を扱う会社の輸入部署にて、倉庫業や物流業に関する仕事に約8年ほど従事。転職後はカーコーティング会社でマーケティング担当として約5年間勤務。現在は自身の経験をもとに専業Webライターとして活動中。

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