施工管理

管工事施工管理に実務経験は必須?級別の受験資格やメリット

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現場の人

管工事施工管理者試験を受けるには、所定の実務経験を満たす必要があります。

受験を検討しているものの、実務経験を満たしているのか、どこまでが経験として認められるのか分からないという人もいるでしょう。

実務経験年数を満たしていないにもかかわらず、受験した場合はペナルティを課されてしまうため注意が必要です。

今回は、管工事施工管理者の受験資格である実務経験の詳細について詳しく解説していきます。試験の概要も解説していますので、参考にしてみてください。

記事のまとめ

・管工事施工管理検定の第一次検定のみであれば実務経験なしで受験できる

・1級、2級関係なく第二次検定を受験するには、所定の実務経験を満たす必要がある

・実務経験には工事の種類や従事した際の立場に指定がある

管工事施工管理に実務経験は必須なのか

2人の作業員が話し合う様子

管工事施工管理技士は、管工事全体を管理する役割を担っていることもあり、工事に関する実務経験が必須とされてきました。

しかしながら、建設業界の変化に合わせて資格の仕組みや、実務経験の内容が見直されてきています。

まずは施工管理者に関する経験や、仕組みの改正について解説します。

技士補は必須ではない

1・2級管工事施工管理技士補までであれば、実務経験が必要ありません。

技士補とは、令和3年度から創設された新しい立場の資格で、施工管理者の人材不足の解消や、若手人材の積極的な登用を目的としています。

施工管理技士検定の第一次検定に合格することで、技士補になれます。

  受験資格 技士補としてできること
1級施工管理技士補 19歳以上 監理技術者補佐として工事に従事できる
2級施工管理技士補 17歳以上 施工管理者として工事に従事できないが、試験の一次試験が免除される

上記の通り、第一次検定の受験資格は年齢のみであるため、管理経験なしで挑戦できます。ただし、施工管理技士の資格を取得するには、第二次検定に合格しなければなりません。

出典:技術検定制度/技術者制度|国土交通省

令和6年度以降の変更点に注意

令和6年度からは、第二次検定の受験資格として定められている実務経験の内容が変更されました。学歴や専攻科目別で定められていた実務経験が統一されます。

ただし、5年間の経過措置が設けられており、令和6〜10年までであれば新・旧どちらかの受験資格を満たしていれば受験できます。

ちなみに、受験資格の変更に伴い出題される問題の内容も変わります。受験勉強を始める際は、内容を理解したうえで対策しましょう。

参考:2024年以降に実施される試験問題の見直しについて

実務経験を含む管工事施工管理の受験資格

デスクワークの様子

ここでは、1級・2級管工事施工管理技士検定の受験資格について解説します。

前述した通り、令和6年度から受験に必要な実務経験の内容が変更され、経過措置として2024〜2028年までであれば、新・旧どちらかの受験資格を満たすことで受験できます。

変更前と変更後、どちらの受験資格も紹介していきますので、内容を満たしているかチェックしてみてください。

1級試験に挑戦するための条件

1級の第一次試験は19歳以上(試験実施年度中)であることです。受験者の割合は少ないものの、2級試験を受けずに1級・第一次検定に挑戦することもできます。

2級・第二次検定に臨む際に必要となる経験は以下の通りです。

第二次検定の新・受験資格

受験対象者 受験資格
令和3年度以降の1級・第一次検定合格者 試験に受かってから、5年以上の実務経験
試験に受かってから、3年以上の実務経験(特定実務経験を1年含む)
試験に受かってから、1年以上の実務経験(監理技術者補佐として)
土木施工管理技術士・第二次検定に合格した人 第二次検定に受かってから、5年以上の実務経験
第二次検定に受かってから、3年以上実務経験(特定実務経験を1年含む)
2級・第二次検定に合格後、1級・第一次検定に合格した人 2級試験に受かってから、5年以上の実務経験
2級試験に受かってから、3年以上の実務経験(特定実務経験を1年含む)

第二次検定の旧・受験資格

受験者の学歴など 受験資格
大学および専門学校の高度専門士 指定学科の場合、3年以上の実務経験
指定学科以外の場合、4年6ヵ月以上実務経験
・短期大学
・5年制高等専門学校
・専門学校の専門士
指定学科の場合、5年以上の実務経験
指定学科以外の場合、7年6ヵ月以上の実務経験
・高等学校
・中等教育学校
・専修学校の専門課程
指定学科の場合、10年以上の実務経験
指定学科以外の場合、11年6ヵ月以上の実務経験
その他 15年以上の実務経験
2級管工事施工管理技術検定・第二次検定合格者 合格後に5年以上の実務経験
2級管工事施工管理技術検定・第二次検定合格者で実務経験が5年に満たない人

【高等学校/中等教育学校/専修学校の専門課程を卒業】

指定学科の場合、卒業後に9年以上の実務経験
指定学科以外の場合、10年6ヵ月以上の実務経験
2級管工事施工管理技術検定・第二次検定合格者で実務経験が5年に満たない人

【上記学歴以外】

14年以上の実務経験
1級・配管の技能検定合格者 10年以上の実務経験

新受験資格における「特定実務経験」とは、建設業法が適用される請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の工事で、主任技術者・監理技術者の指導下のもと、施工管理を行った経験を言います。

旧受験資格の実務経験には「指導監督的実務経験」が1年以上含まれていなければなりません。

これは施工監督・主任技術者・工事主任・現場代理人などの立場で、請負業者や部下に対して、工事の技術面を指導監督した経験を言います。

2級試験に挑戦するための条件

2級・第一次検定の受験資格は17歳以上であることです。第二次検定の新・旧受験資格は以下の通りです。

第二次検定の新・受験資格

受験対象者 受験資格
令和3年度以降の1級・第一次検定合格者 試験に受かってから、1年以上の実務経験
令和3年度以降の2級・第一次検定合格者 試験に受かってから、3年以上の実務経験
技術士・第二次試験合格者
※土木施工管理技術検定に限る
試験に受かってから、1年以上の実務経験
1級・電気通信主任技術者試験合格者 電気通信主任者資格者証の交付を受けた後、または電気通信主任技術者試験に合格後に1年以上の実務経験
2級・電気通信主任技術者試験・第一次検定合格者

第二次検定の旧・受験資格

受験者の学歴など 受験資格
大学および専門学校の高度専門士 指定学科の場合、1年以上の実務経験
指定学科以外の場合、1年6ヵ月以上実務経験
・短期大学
・高等専門学校
・専門学校の専門士
指定学科の場合、2年以上の実務経験
指定学科以外の場合、3年以上の実務経験
・高等学校
・中等教育学校
・専修学校の専門課程
指定学科の場合、3年以上の実務経験
指定学科以外の場合、4年6ヵ月以上の実務経験
その他 8年以上の実務経験
技能検定合格者 4年以上の実務経験

技能検定合格者とは、技能検定の検定職種で1級・配管または2級配管に合格した人のことです。

管工事施工管理の実務経験として認められるもの

新人社員を教育する様子

1級・2級の第二次検定を受験するには、所定の実務経験を満たす必要があります。実務経験の具体的な内容は以下の通りです。

・工事の請負人(受注者)として、施工を監督・指揮した経験(施工図の作成や補助者としての業務もOK)

・工事発注側として現場監督技術者などの経験(補助者としての業務もOK)

・設計者として工事を監理した経験(補助者としての業務もOK)

この他に、対象となる工事や工事に携わった際のポジションに指定があります。内容を理解したうえで実務経験を積むようにしましょう。

対象となる工事

管理経験として認められる工事は以下の通りです。

・冷暖房設備工事
・消火設備工事
・冷凍冷蔵設備工事
・上水道配管工事
・空気調和設備工事
・下水道配管工事
・換気設備工事
・厨房設備工事
・衛生器具設備工事
・給湯・給排水設備工事
・浄化槽設備工事
・管内更生工事
・ガス管配管設備工事

各工事における具体的な工事内容に関しては試験実施機関「全国建設研修センター」の受験の手引きに掲載されています。

記載されていない工事に従事した経験がある場合は、事前に問い合わせて確認しておきましょう。

対象となる地位やポジション

前述した工事にて、どのようなポジションで携わっていたかにも指定があります。

工事における役割 工事における立場
施工管理(請負者として) 工事係・工事主任・現場代理人・主任技術者・施工監督・配管工・施工管理係
施工監督(発注者側として) 監督員の補助/発注者側監督員
設計監理(設計者として) 工事監理者の補助/工事監理者

参考:令和6年度・2級管工事施工管理技術検定|第一次検定・第二次検定受検の手引|一般財団法人 全国建設研修センター

関連記事:管工事施工管理は何がきつい?仕事内容やリアルな体験談

管工事施工管理の実務経験として認められないもの

切断作業の様子

次に工事を管理した経験として認められない内容を紹介します。

対象外の工事

工事を管理した経験として対象にならない工事は、以下の通りです。

・土木一式工事
・マンションなどの建築一式工事
・電気工事
・機械器具設置工事
・上水道、下水道工事
・電気通信工事

これらの工事は、管工事の関係性がなく身に着けた知識を管工事の施工管理で活かせないことから対象外となります。

各工事の具体的な作業内容は、試験実施機関「全国建設研修センター」の受験の手引きで確認できます。

対象外の作業

工事を管理した経験として認められない作業は、以下の通りです。

・点検、調査、維持、保守、メンテナンスなどの業務
・工事を始める前の設計者としての実施設計や基本設計
・工事に関する営業や事務作業
・アルバイトとしての作業
・研究所や学校などでの教育や研究作業
・品質や工程の管理を除く雑務
・建設会社に入社した際の研修期間

上記内容に該当しなければ、問題ないわけではないため、判断の難しい経験がある場合は事前に確認するようにしましょう。

参考:令和5年度・2級管工事施工管理技術検定|第一次検定・第二次検定受検の手引|一般財団法人 全国建設研修センター

管工事施工管理の申込方法

女性社員がデスクワークする様子

管工事施工管理技術検定は、1級が年に1回、2級は年に2回試験(二次試験は1回のみ)が実施されます。試験の申し込み期間や申し込み方法に指定があるため、理解したうえで申請しましょう。

ここでは、検定の概要について解説していきます。

申込受付期間

試験の申込受付期間は以下の通りです。

1級試験 【インターネットによる申し込み】
2024年5月7日(火) ~ 2024年5月21日(火)【書面申し込み】
2024年5月7日(火) ~ 2024年5月21日(火)
2級試験 【第一次前期】
2024年3月6日(水)~2024年3月21日(木)【第一次、第二次同時受験・第一次後期・第二次のみ】
2024年7月9日(火)~2024年7月23日(日)

第一次検定のみ受験する場合は、インターネットによる申し込みとなり、第二次検定を受験する場合は書面による申し込みとなります。

申込用紙は、指定機関の窓口か全国建設研修センターのホームページにて、1,000円で販売されています。

申込用紙を購入する際は「第二次検定のみ受験用」と「第一次・第二次検定受験用」の二種類があるため、間違えないように注意しましょう。

試験日及び合格発表日

各試験の試験日と合格発表日は以下の通りです。

【1級試験】

  試験日 合格発表日
第一次検定 2024年9月1日(日) 2024年10月3日(木)
第二次検定 2024年12月1日(日) 2024年3月5日(水)

【2級試験】

  試験日 合格発表日
第一次前期 2024年6月2日(日) 2024年7月2日(火)
第一次後期・第二次検定 2024年11月17日(日) 【第一次後期】
2025年1月6日(月)【第二次検定】
2025年3月5日(水)

試験地

1・2級試験の試験地は、以下の通りです。

【1級試験の試験地】

札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・那覇

【2級試験の試験地】

第一次前期 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・那覇
第一次後期 札幌・青森・仙台・東京・宇都宮・金沢・新潟・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・鹿児島・那覇
第二次検定 札幌・青森・仙台・東京・金沢・新潟・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・鹿児島・那覇

試験地は、試験申し込み時に選ぶことが可能です。試験会場に関しては、受験票に記載されています。

変更となる可能性もあるため、必ず試験実施機関の情報を確認するようにしましょう。

受検手数料

検定の受験手数料(非課税)は、以下の通りです。

1級試験 ・第一検定:5,250円
・第一検定:5,250円
2級試験 ・第一検定:10,500円
・第一検定:10,500円

関連記事:施工管理技士試験の難易度ランキング|受験資格や勉強時間、取得のメリット

管工事施工管理の実務経験に関してよくある質問

技術者が腕を組む様子

最後は管工事施工管理試験の実務経験に関する、4つのよくある質問に答えていきます。

・実務経験を偽っていることが判明した場合、ペナルティはありますか?
・複数の種目にまたがって工事を経験した場合、経験期間はどう計算すればいいですか?
・実務経験の年数は、出願時点で条件を満たしている必要があるのですか?
・職業訓練での経験は実務経験に含まれますか?

ケースごとに細かくルールが定められているため、間違わないように注意しましょう。

実務経験を偽っていることが判明した場合、ペナルティはありますか?

実務経験を偽って申請した場合、ペナルティを課されてしまいます。

ペナルティの詳細として、受験者は、合格が取り消され3年以内の受験ができなくなります。受験者が所属する企業は企業名の公表や建設業法による罰則を受けます。

「知らなかった」では済まされないため、実務経験のルールについて理解したうえで申請するようにしましょう。

複数の種目にまたがって工事を経験した場合、経験期間はどう計算すればいいですか?

複数の種目にまたがって工事していた場合、業務量によって期間を割り当てます。例として、土木工事と管工事の施工管理を6ヵ月間担当した場合、以下のように割り当てます。

・土木工事の管理期間:1ヵ月
・管工事の管理期間:5ヵ月

どちらも6ヵ月間としてカウントすることはできません、

実務経験の年数は、出願時点で条件を満たしている必要があるのですか?

実務経験の年数は、出願時点で満たしている必要はありません。第二次検定の試験日前日までに経験日数を満たせば受験できます。

日数を満たせると思って出願したものの、足りないとなった場合は試験の前日までに、全国建設研修センターに連絡しましょう。そのまま受けてしまうと、ペナルティの対象になるので注意が必要です。

職業訓練での経験は実務経験に含まれますか?

国土交通省により認定を受けている管工事関連の職業訓練であれば、受験資格として定められた期間の3分の2までカウントできます。

ただし、関連する訓練を複数受けている場合、カウントできるのは1つのみで、修了証明書の提出が必要です。また、指導監督的実務経験としてはカウントできません。

管工事施工管理の実務経験についてのまとめ

作業員が遠くを見つめる様子

管工事施工管理者試験は第一次と第二次検定に分かれており、二次検定のみ実務経験に指定があります。令和6年より内容が改正され、経過措置として令和10年までは旧受験条件を満たすことでも受験できます。

実務経験は、何でも認められるわけではなく、工事の種類や携わった際の立場などに指定があるため、理解した上でカウントするようにしましょう。

近年は施工管理者が不足してきており、建設業界では貴重な存在となっています。将来性の高い資格であるため、建設業に従事している人は、経験を積んだうえで受験を検討してみてください。

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工業高校・航空専門学校で「電気工事士」「危険物取扱者」「けん引免許」などの資格を取得。学校卒業後は、航空貨物を扱う会社の輸入部署にて、倉庫業や物流業に関する仕事に約8年ほど従事。転職後はカーコーティング会社でマーケティング担当として約5年間勤務。現在は自身の経験をもとに専業Webライターとして活動中。

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