施工管理

【2024年版】電気工事施工管理技士に必要な実務経験は?計算方法や認められない例

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作業員同士で確認しあう様子

電気工事施工管理技士の検定試験は、誰でも受験できるわけではありません。第一次検定は年齢、第二次検定では所定の実務経験を満たす必要があります。

現役の技術者として取得を検討しているものの、自分の実務経験で受験できるのか分からないという人もいるでしょう。

実務経験は、電気工事に関する内容であれば何でも認められるわけではなく、期間の数え方にもルールがあります。

今回は、施工管理技士試験に挑戦するために必要な実務経験について、分かりやすく解説していきます。

【この記事のまとめ】

・1級の第二次検定を受験するには経験内容によって1~5年の実務経験が必要

・2級の第二次検定を受験するには経験内容によって1~3年の実務経験が必要

・受験条件の改正に伴う経過措置として、令和10年までは旧受験条件を満たす人も受験可能

・実務経験には工事の種類や従事する立場に指定があり、計算方法にもルールがある

電気工事施工管理技士に必要な実務経験

作業員が横並びに立っている様子

検定は、第一次検定と第二次検定に分かれています。1級・2級ともに第一次検定は年齢に指定があり、第二次検定では実務経験を満たしていなければ受験できません。

令和6年度の試験より実務経験の内容が改正されることとなり、経過措置として令和10年までは新・旧どちらかの受験条件を満たしていれば問題ありません。

ここでは、1級・2級の実務経験の内容について解説します。

1級電気工事施工管理技士の場合

1級試験・第二次検定に設けられている実務経験の内容は以下の通りです。

第二次検定の新・受験資格

受験対象者受験資格
1級・第一次検定合格者試験に合格後、5年以上の実務経験
試験に合格後、3年以上の実務経験(特定実務経験を1年含む)
試験に合格後、1年以上の実務経験(監理技術者補佐として)
2級・第二次検定に合格後、1級・第一次検定に合格した人2級試験に合格後、5の実務経験
2級試験に合格後、3年以上の実務経験(特定実務経験を1年含む)
第一種電気工事士試験の合格者試験に合格後、5年以上の実務経験
第二次検定に合格後、実務経験を3年以上(特定実務経験を1年含む)

特定実務経験とは、請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の電気工事で、監理技術者・主任技術者の指導を受けながら、施工管理を行った経験を言います。

受験条件改正の経過措置として、令和10年までは、旧・受験条件を満たすことでも試験を受けられます。

第二次検定の旧・受験資格

受験者の学歴など受験資格
大学および専門学校の高度専門士指定学科の場合、3年以上の実務経験
指定学科以外の場合、4年6ヵ月以上の実務経験
・短期大学
・5年制高等専門学校
・専門学校の専門士
指定学科の場合、5年以上の実務経験
指定学科以外の場合、7年6ヵ月以上の実務経験
・高等学校
・中等教育学校
・専修学校の専門課程
指定学科の場合、10年以上の実務経験
指定学科以外の場合、11年6ヵ月以上の実務経験
その他15年以上の実務経験
第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状の交付を受けている人合格後に6年以上の実務経験
第一種電気工事士免状の交付を受けている人実務経験年数に指定なし
2級電気工事施工管理試験・第二次検定の合格者5年以上の実務経験
2級電気工事施工管理試験・第二次検定の合格者で実務経験が5年に満たない人【短期大学、5年生高等専門学校、専門学校の専門士】
・指定学科で卒業:短縮なし
・指定学科以外で卒業:9年以上の実務経験
【高等学校、中等教育学校、専門学校の専門課程】
・指定学科で卒業:9年以上の実務経験
・指定学科以外で卒業:10年6ヵ月以上の実務経験
【その他】
通算14年以上の実務経験

実際の試験では、受験条件が変更となる可能性もあるため、必ず「建設業振興基金」の受験の手引きを確認するようにしましょう。

ちなみに、1級試験の第一次検定を受験できるのは19歳以上の人だけです。

参考:令和6年度1級 電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人 建設業振興基金

2級電気工事施工管理技士の場合

2級試験・第二次検定に設けられている実務経験の内容は以下の通りです。

第二次検定の新・受験資格

・2級試験の第一次検定に合格してから、実務経験を3年以上

・1級試験に第一次検定に合格してから、実務経験を1年以上

・電気主任技術者または電気工事士の免状交付を受けており、実務経験を1年以上※2級試験の第一次検定の合格者のみ

上記3つのうち、いずれかを満たせば第二次検定に挑戦できます。受験条件の改正の経過措置として令和10年まで適用となる旧・受験資格は以下の通りです。

第二次検定の旧・受験資格

受験者の学歴など受験資格
大学および専門学校の高度専門士指定学科の場合、1年以上の実務経験
指定学科以外の場合、1年6ヵ月以上の実務経験
・短期大学

・5年制高等専門学校

・専門学校の専門士

指定学科の場合、2年以上の実務経験
指定学科以外の場合、3年以上の実務経験
・高等学校

・中等教育学校

・専修学校の専門課程

指定学科の場合、3年以上の実務経験
指定学科以外の場合、4年6ヵ月以上の実務経験
その他通算で8年以上の実務経験
第一種・第二種・第三種電気主任技術者免状の交付を受けている人通算で1年以上の実務経験
第一種電気工事士免状の交付を受けている人実務経験年数に指定なし
第二種電気工事士免状の交付を受けている人通算で1年以上の実務経験

第一次検定の受験条件は満17歳以上であることです。

参考:令和6年度2級 電気工事施工管理技術検定のご案内|一般財団法人 建設業振興基金

関連記事:電気施工管理はきつい?やめとけ?そうとも言えない4つの理由

電気工事施工管理技士に必要な実務経験の要件

作業員が話し合う様子

受験に必要な実務経験の年数を紹介しましたが、電気工事に関する経験であれば、何でも認められるわけではありません。

工事内容や工事に携わった際の立場にも指定があります。ここでは、実務経験に認められる内容と認められない内容について解説します。

今回は「令和6年度・1級試験の受験の手引き(旧受験資格用)」の内容を参考にしています。

実務経験として認められる工事や立場

実務経験として認められる工事の種別と立場は、以下の通りです。

工事種別

構内電気設備工事・変電設備工事・発電設備工事・送配電線工事・引込線工事・信号設備工事・照明設備工事・電車線工事・ネオン装置工事

工事に従事した立場

・施工管理:受注者として安全・工程・品質等の管理をした経験
・設計監理:設計者の立場で工事監理業務をした経験
・施工監督:発注者側として現場監督技術者などでの工事監理業務経験

ちなみに、新受験資格における受験の手引きでは、対象となる工事種別が「電気工事」と一括りにされています。

各工事の詳細については、建設業振興基金ホームページにある、受験の手引きで確認できます。

実務経験として認められない工事や業務

実務経験として認められない工事種別や業務内容は、以下の通りです。

工事種別

・電気設備の保守、点検、メンテナンスなど
・電話交換機、インターホン設備などの通信設備工事
・電気通信工事全般
・機械器具設置工事全般
・管工事全般
・消防施設工事全般
・熱絶縁工事全般
・その他、電気以外の建設工事

実務経験として認められない業務内容

・工事が始まる前の設計者としての実施設計や基本設計
・工事現場での営業、積算、事務
・保守、点検、メンテナンスなどの業務
・電気工事における単純な労働や雑務など
・教育機関や研究施設などでの指導や教育
・入社後の研修期間に行なった業務
・工場製作のみの工事
・人材派遣による建設業務(電気工事の施工管理業務を除く)

新しい受験条件でも実務経験として認められない業務内容に違いはありません。

参考:令和 6 年度・1級電気工事施工管理技術検定・第一次検定・第二次検定受検の手引 総合版(旧受検資格用)|一般財団法人 建設業振興基金

関連記事:電気施工管理の職務経歴書|書き方や見本

電気工事施工管理技士に必要な実務経験年数の計算方法

会議をしている様子

実務経験の計算方法にもルールがあるため、注意が必要です。仮に、計算方法が誤っていたことが判明した場合、合格が取り消しになるだけでなくペナルティが課されます。

ここでは、実務経験年数の計算方法と虚偽の申告をした場合のペナルティについて解説していきます。

基準日から逆算する

実務経験年数を計算するにあたっては、試験ごとに基準日が設けられます。令和6年度試験の場合は、令和6年3月31日時点でカウントします。

予定されている実務経験を加味する場合の注意点

基準日時点で経験年数が足りない場合は、第二次検定の試験日前日まででカウントすることも可能です。

ただし、基準日以降に携わる工事に関しては、受験申請の時点で工事契約が済んでおり、工事を特定できなければいけません。

実務経験を満たせる予定であったものの、満たせないと判明した場合は、試験日の前日までに自己申告が必要です。

虚偽の場合はペナルティが発生

実務経験において虚偽の申告をした場合、以下のようなペナルティが発生します。

・合格の取り消し
・発覚以降、3年間の受験資格取り消し
・受験者が在籍する企業名の公表および、営業停止措置
・企業の建設業許可の取り消し

必ず全てのペナルティを課されるとは限らないものの、受験者だけでなく実務経験を証明した企業側もペナルティの対象となります。

「知らなかった」では済まされないため、必ず受験手引きを確認したうえで、実務経験を計算しましょう。

実務経験の計算におけるよくあるカウントミス

実務経験を計算するうえでよくあるのが「工事が重複した際のカウントミス」です。

・1~4月:商店街の電気設備改修工事
・3~12月:新築マンションの電気設備工事

この場合、1つ目の工事経験は4ヵ月・2つ目の工事経験は10ヵ月というようにカウントできません。

重複した期間はどちらかに割り振ってカウントします。上記工事では2つの工事合わせて12ヵ月の経験を積んだことになります。

参考:令和 6 年度・1級電気工事施工管理技術検定・第一次検定・第二次検定受検の手引 総合版(旧受検資格用)|一般財団法人 建設業振興基金

電気工事施工管理技士に必要な実務経験証明書を書く際の注意点

スマホを操作する様子

第二次検定を受ける場合、実務経験証明書を作成し申請する必要があります。

ここでは、申請書類を作成する際の注意点について解説します。

通算の年数を記入する

実務経験証明書の作成で特に注意すべきなのが「実務経験の年数を記入する項目」です。

複数の工事に携わっている人が多いのですが、記入の際は分けて記入するのではなく、通算の年数を記載します。

会社の代表者の証明が必須

実務経験の年数は自己申告となりますが、必ず所属している会社代表からの署名と公印がなければなりません。

勤務先が複数あり、代表の印鑑をもらうのが大変な場合は、各営業所の代表者の印鑑も有効です。

電気工事施工管理技士の試験概要

女性社員がデスクワークする様子

最後に、電気工事施工管理技士試験の概要を紹介します。年間スケジュールを確認したうえで学習計画を立ててみてください。

試験日程

令和6年度における、各試験の日程は以下の通りです。

【1級試験の日程】

 申請受付期間試験日合格発表
第一次検定2月22日(木)~3月8日(金)まで
第一次検定のみの新規受験のみ4月5日(金)まで
7月14日(日)8月23日(金)
第二次検定2月22日(木)~3月8日(金)まで10月20日(日)令和7年1月10日(金)

【2級試験の日程】

 申請受付期間試験日合格発表
前期試験
※1次検定のみ
2月9日(金)~3月8日(金)まで6月9日(日)7月10(水)
後期試験
※一次のみ
※一次・二次同時
※二次のみ
【ネット申請】
6月26日(水)~7月24日(水)まで【書面申請】
7月10日(水)~7月24日(水)まで
11月24日(日)【第一次検定】
1月10日(金)【第二次検定】
2月7日(金)

申請方法

申請方法は「ネット申請」と「書面申請」の2種類があり、第一次検定はネットで申請します。

第二次検定は、実務経験証明書などの提出が必要であることから、書面での申請となります。ただし、再受験の場合は以前に実務経験を証明できているため、ネットでの申請も可能です。

受検手数料

各試験の受験手数料は、以下の通りです。

 第一次検定(非課税)第二次検定(非課税)
1級試験13,200円13,200円
2級試験6,600円6,600円

試験地

各試験の試験地は以下の通りです。

1級試験札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・沖縄
2級・前期札幌・仙台・新潟・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・沖縄
2級・後期札幌・青森・仙台・新潟・金沢・東京・名古屋・大阪・高松・広島・福岡・鹿児島・沖縄(学校申請者向けに、別で8試験地を設置予定)

関連記事:電気工事施工管理技術検定とは|1級・2級の合格率や難易度、取得のコツ

電気工事施工管理技士の実務経験についてのまとめ

作業員が遠くを見つめている様子

電気工事施工管理技士の試験では、第二次検定に実務経験の指定があります。1級の場合は1~5年、2級の場合は1~3年となります。

実務経験として認められる電気工事や業務内容には指定があります。計算方法にもルールがあるため、受験の手引きを確認したうえで申請するようにしましょう。

虚偽申告した場合、翌年度から3年間受験できなくなるだけでなく、所属企業もペナルティの対象となります。自分での判断が難しい場合は「建設業振興基金」に確認したうえで申請するようにしましょう。

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工業高校・航空専門学校で「電気工事士」「危険物取扱者」「けん引免許」などの資格を取得。学校卒業後は、航空貨物を扱う会社の輸入部署にて、倉庫業や物流業に関する仕事に約8年ほど従事。転職後はカーコーティング会社でマーケティング担当として約5年間勤務。現在は自身の経験をもとに専業Webライターとして活動中。

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