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土木施工管理はなぜやめとけと言われる?理由と将来性を解説

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土木施工管理の仕事は土木工事に欠かせない存在であり、収入も高く人気の職種の1つと言えます。

その一方で、ネット上で土木施工管理について検索すると「やめとけ」「辛い」といった声があるのも事実です。

これらの情報を見て、土木施工管理の仕事を目指すべきか迷っている方も中にはいるのではないでしょうか。

そこで今回は、土木施工管理の仕事はなぜやめとけと言われるのかについて、詳しく解説していきます。

この記事でわかること

・土木施工管理はなぜ「やめとけ」と言われているのか?
・土木施工管理者として働く人の本音
・土木施工管理の3つの魅力と将来性
・土木施工管理者の具体的な働き方や年収
・土木施工管理でも働きやすいジャンル

土木施工管理はなぜ「やめとけ」と言われるのか?

土木施工管理は、土木工事全体を管理する役割を担っており、土木建設業界には欠かせない存在です。

工事全体を指揮するためプレッシャーがある一方で、やりがいを持ちながら働くことができますし、工事が終われば大きな達成感を感じられるでしょう。

しかし、ネット上で土木施工管理について調べると「やめとけ」といった声を見かけます。

ここでは、土木施工管理の仕事はやめておいた方が良いと言われる7つの理由について、仕事内容と合わせて解説していきます。

長時間労働であり残業が多いから

建設業界は、他の業界と比べて長時間労働の傾向にあり、土木施工管理者も例外ではありません。

国土交通省が公表している「建設産業政策2017+10」によると、建設業界と他の産業の年間労働時間は以下の通りです。

【2016年度・年間総実労働時間】
・建設業:2056時間
・製造業:1951時間
・全産業計:1720時間
参考元:国土交通省|建設産業政策2017+10

全産業と比べると、建設業界は336時間も多く働いていることが分かります。

特に土木施工管理者は、土木工事全体を計画通りに進める上で、あらゆるイレギュラーに対応しなければなりません。

自然を相手にしている工事であるため、悪天候により作業ができなかったり、資材の到着が遅れたりして計画にズレが出ることもあります。

また、工事品質に問題が見つかった場合には、早急に対応を考え工事を進めていかなければなりません。

このようなイレギュラーに対応しながら工事現場全体のチェックを行い、工事が終わった後には報告書類の作成といった事務作業もこなします。

土木施工管理者の仕事は非常に幅広く業務量が多いため、毎日残業が続き長時間労働となることも珍しくありません。

マネジメントスキルが必要だから

土木工事にはトンネル工事や橋梁工事、ダム工事などさまざまな種類があります。

これらの工事は着工から完成するまでの間に多くの工程があり、求められる知識や技術が異なるため、それぞれ携わる協力業者が異なります。

ダム建設工事を例にすると、工事の主な工程は以下の通りです。

・仮排水路や工事用道路の建設
・濁水処理、コンクリート製造の準備
・河床、堤体側面などの基礎掘削作業
・基礎岩盤の補強といった基礎処理工
・コンクリートの打設
・警報設備や取水設備などの管理設備設置
・試験湛水

各工程で協力業者も異なる中、土木施工管理者は全ての工事工程を踏まえた上で、計画通りに作業が進むようにマネジメントを行います。

職人たちをよく観察しながら指示出しを行うだけでなく、最善の工法で進めていくためにさまざまな職人の声を聞くことも非常に大切です。

職人の意見や依頼主の要望をまとめた上で、要領良く現場をマネジメントしていくのは、大変な仕事だと言えるでしょう。

また、工事現場ではさまざまな職種や年齢の職人が作業を行っており、年上のベテラン職人もいれば、年下の見習い職人もいます。

職人によって指示の出し方を変えるなどして、上手く自分の考えを伝えなければ、計画通りに工事も進みません。

そのため、上手に工事全体をマネジメントしていくにはコミュニケーション能力も必須と言えるでしょう。

業務内容の割に給料が低いから

土木施工管理者は非常に業務量が多く、人間関係で悩むこともあるため、業務内容と給料が見合っていないと感じる人も少なくありません。

土木施工管理者は土木工事の中で「工程・品質・予算・安全」の4大管理を行います。

イレギュラーが発生するたびに都度スケジュールを組み直し、計画通りの工期で完成するように工程管理を行わなければなりません。

品質や安全管理では、工事現場全体をくまなく見ていきながら、作業に問題がないかをチェックします。

予算管理では機材や資材の発注から行い、決められた予算内に費用を抑えるのはもちろん、自社の利益も確保しなければなりません。

これに加えて、工事が終わった後には報告書類の作成なども行います。

時には指示出しの内容で職人と言い合いになったり、依頼主や上司との板挟みになったりすることもあるでしょう。

多忙で人間関係に悩み、心身共に辛い日々が続いていると、給料が見合っていないと感じてしまいやすくなります。

休日出勤が多いから

土木施工管理者は工事が行われる日には、現場で管理業務を行わなければならず、休みを取りにくいと言えます。

また、工事が休みの日には普段できていなかった業務を進めたり、会議を行ったりするため休日出勤となることも珍しくありません。

日建協が実施した「2015年時短アンケートの概要」によると、建設業の休日日数は以下のような内容でした。

【建設業・外勤技術系の休日取得状況】

建設業界の休日取得状況

引用元:日建協|2015時短アンケートの概要2016.4

土木工事の場合、半数以上の人が週に1日しか休みを取れておらず、週休二日以上取れている人の割合は全体の5.6%しかいません。

建設業界全体の平均年間休日は104日で、月あたりの休日は9日ほどです。

夏季休暇や年末年始休暇を除いたとしても、週に1日ほど休日出勤せざるを得ない土木工事従事者が多いと推測できます。

また、土木施工管理者の場合は平日に休みを取れたとしても、工事でイレギュラーが発生してしまい、急に対応を求められるケースもあります。

業務に危険が伴うから

土木工事現場では、ショベルカーやクレーンなどさまざまな重機が動いており、現場によっては足場が不安定な箇所もあります。

このような現場で働く土木施工管理者は、他の職人と同様に危険が伴います。

厚生労働省が公表している「令和2年労働災害発生状況」によると、建設業界で起きた事故の詳細は以下の通りです。

【死亡者数】
・建設業界:258人(全体の32.2%)
・第三次産業:225人
・製造業:136人
・陸上貨物運送業:87人
・その他:60人
・林業:36人

参照元:厚生労働省|令和2年 労働災害発生状況

建設業界は重量物の落下事故や重機との接触事故、高所からの転落事故が多く、死亡事故が最も多い業界となっています。

毎日危険と隣り合わせの現場で長期的に働くことはリスクが高く、本人が働きたくても、家族や親から反対されるケースもあるでしょう。

体力的に辛いから

土木施工管理者は、各工程に問題がないか工事現場をチェックして回ります。

一日中歩き回りながら職人への指示出しを行い、必要に応じて警察や役所に工事の届け出を出したり、周辺住民への説明を行ったりします。

職人や周辺住民との話し合いでは幅広い年齢層の人達と話すこととなり、相手に合わせて上手に話を進めていかなければなりません。

気を遣いながらのコミュニケーションは想像以上に体力を使います。

作業が終わった後には、書類作成や今後の工程に関する話し合いも行われ、毎日遅くまで仕事が続くので、体力的にかなり辛いと言えるでしょう。

業務量が多く休日出勤も多いため、十分に身体を休められません。

また、所属する会社が現場作業も請け負っている場合、作業の進み具合によっては現場作業を手伝うこともあります。

朝から晩まで長時間労働が続くと、体力的な辛さから辞めたいと感じる人もいるでしょう。

屋外での仕事がきついから

土木工事は山や川の現場が多く、それ以外の工事現場でも作業は屋外で行います。

夏場は炎天下の中で、土木工事の各作業をチェックして回らなければなりません。

冬場に関しても、冷たい風の吹き付ける中で同様にチェック作業を行います。

危険と判断されない限りは、たとえ雨の中でも作業が進むため、過酷な環境で仕事を行うこととなります。

土木施工管理者が工事作業を行うのはレアなケースですが、屋外での作業は体力的にも辛いため、熱中症や風邪で体調を崩さないようにしなければなりません。

関連記事:未経験者が「施工管理はやめとけ」と言われる5つの理由

関連記事:施工管理がきつい・大変と言われる理由|派遣はやめとけ?

「土木施工管理はやめとけ」と言われる人の特徴

ここまで解説してきた通り、土木施工管理者は高いマネジメントスキルが必要とされ、長時間労働や休日出勤もあり毎日が多忙です。

他にも大変に感じることは多くあるため、以下の項目に当てはまる人は、土木施工管理者を目指す上で特に慎重になる必要があります。

・コミュニケーションが苦手で積極的に話せない
・リーダーシップを取るのが苦手
・計画を立てて目標に取り組んだ経験がなく、マネジメント経験が浅い
・ネガティブでちょっとしたことでも考え込んでしまう
・パソコンを使用した入力作業が苦手
・体力を使う仕事が苦手で自信がない
・複数の業務を同時にこなすマルチタスクが苦手
・長時間の残業が苦手で休日出勤をしたくない人

コミュニケーションが苦手で、積極的に職人や責任者と連携が取れなければ、計画通りに工事が進まず自分の負担がより大きくなります。

工程ごとに組み立てる作業計画の立案や、職人を束ねるためのリーダーシップを取れない場合も同様に負担が大きくなるでしょう。

体力に自信がないと、毎日工事現場を歩き回るのも大変です。

職人とのコミュニケーションを取り、工事の作業計画を調整しながら、同時に事務作業もこなしていかなければなりません。

上の項目に当てはまる方は、土木施工管理者になれないわけではありませんが、各スキルを身に付けるまでは負担が大きく大変だと言えるでしょう。

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関連記事:土木施工管理に向いている人・向いていない人の特徴とは?

「土木施工管理はやめとけ」と言われても気にしない人の本音

やめとけと言われながらも、仕事の大変さを理解した上で土木施工管理者を目指す人は多くいます。

その中には、先述した「やめとけと言われる人の特徴」に当てはまる人も少なからずいます。

ここでは仕事が大変だと分かっていながらも、土木施工管理者を目指している方の本音について見ていきましょう。

ものづくりが好き

建設業界で働く人たちの中には「ものづくり」が好きだという方が多くいます。

建設物は業種によって異なりますが、いずれも完成後には形として残り、多くの人の生活に役立ち続けます。

工作物の規模が大きくなるほど、作業が大変で時間もかかりますが、完成した際には大きな達成感と充実感を味わえるでしょう。

土木施工管理は、工事全体を管理して指揮を取っていくため「ものづくり」の実感をより味わえるポジションと言えます。

自分たちの手によって工作物を作り上げていくことに、やりがいや面白さを感じられるから大変でも頑張れるという土木施工管理者は多くいます。

達成感がある

土木工事で完成した工作物は全て形として残り、人々の生活を支え続けます。

工事の途中には過酷な作業もあり大変な仕事であるからこそ、完成した時にはより達成感を味わうことができます。

同時に、仕事を通して地域や社会に貢献していると実感できるでしょう。

国土交通省が実施した「建設従事者向けインターネット調査」では、建設業界に従事する理由として以下のような結果が出ています。

・形に残り達成感がある仕事だから:476票
・社会や地域に対する貢献度が高いから:414票
・専門で学んだ知識が活かせるから:414票
・仕事内容に対してやりがいを持てるから:382票
・家族など周りに建設業の従事者がいるから:231票
・収入が良いから:169票
・勤務場所が希望通りだったから:152票
・楽しく働けそうだったから:108票
・その他:44票

参考元:国土交通省|建設従事者向けインターネット調査集計

このアンケート調査でも分かる通り、携わった工作物が形として残り、地元住民の生活に貢献していることに達成感を感じている人が多くいます。

体力に自信がある

土木に関する専門的な知識を学んできた上で、体力に自信があるからと土木施工管理の仕事を選択する人もいます。

工事現場を歩いて回りながら作業のチェックを行い、事務作業も行う土木施工管理の仕事は、体力に自信があり、それを仕事で活かしたいと考えている人に最適だと言えるでしょう。

マネジメントスキルを高めたい

マネジメントスキルは、土木施工管理だけでなくさまざまな業界・業種で求められる、非常に重要なスキルの1つです。

そのため土木施工管理の仕事を通して、更にマネジメントスキルを高めたいと考える人もいます。

リーダーシップも大切ですが、的確な作業計画を作成し、スムーズに工事が進められる専門的な知識や経験も重要です。

土木施工管理者は、仕事の中で起こるさまざまな経験を通じて、マネジメントスキルを上げられるでしょう。

適性がある

先述した建設従事者向けインターネット調査の結果にもあるように、学校で身に付けてきた専門的な知識を活かすために土木施工管理者を目指す方もいます。

それまでに学んできた知識を工事現場で活かし、経験を積んでいけば、手に職を付けて長期的に活躍できるようになります。

土木施工管理の仕事はトンネル工事や道路工事、橋梁工事など幅広く、今後もなくなることのない将来性の高い職種と言えるでしょう。

そのため、学校で身に付けた知識を更に高めたいと考えて、土木施工管理技士に就職する人もいます。

土木施工管理の3つの魅力

土木施工管理が大変であることを理解した上で、働く人たちの本音を紹介してきましたが、それ以外にも魅力はあります。

・未経験でも参入しやすい
・DX化が進んでいる
・転職のチャンスが多い

土木施工管理を目指すメリットとも言える、この3つのメリットについて解説していきます。

未経験でも参入しやすい

建設業界では人材不足が深刻化しており、その原因となっているのが「従事者の高齢化」と「若手人材の参入減少」です。

そのため、建設業界では若手人材の確保を目的とした、未経験者の積極的な採用を行っています。

国土交通省の「国民経済社会の動向」によると、建設業就業者の年齢層は以下の通りです。

【55歳以上の従事者・2016年】
・建設業:33.9%
・全産業:29.3%

【29歳以下の従事者・2016年】
・建設業:11.4%
・全産業:16.4%

参照元:国土交通省|国民経済社会の動向|参考資料1.データ編

全体の約3割が55歳以上であることから、これから約10年後には更に人手不足が深刻化すると予想されます。

実際にある土木工事関連の求人の中には「未経験者歓迎」「資格取得補助制度あり」といったものが多くあります。

就職してすぐに土木施工管理の仕事に就けるわけではありませんが、未経験からでも挑戦できることは大きな魅力の1つと言えるでしょう。

DX化が進んでいる

先述した建設業界における人材不足の解消に向けた取り組みが、工事現場へのIT技術導入やDX化です。

DX化が進めば、作業効率が向上するため従事者の負担を軽減できます。

土木施工管理も、現場でDX化が進めば工事管理を行いやすくなり、長時間の残業や休日出勤を減らすことができるでしょう。

具体的なDX化の取り組みには以下のようなものがあります。

・スマホやタブレットを使った工事の進捗管理・図面管理のデジタル化
・VR技術を使った安全教育や作業計画共有
・ドローンによる3次元計測や安全性のチェック
・ICT建機による作業効率の向上

スマホやタブレットで各作業の状況を共有できるようになれば、管理業務のために現場まで足を運ぶ回数が減らせます。

また、品質チェックに欠かせない紙ベースの図面やカメラを持ち運ぶ必要もなく、雨の中での図面確認も可能です。

各工事作業がこれまで以上に早く進められるようになれば、工期にも余裕が出てきて土木施工管理の負担も軽減していくでしょう。

転職のチャンスが多い

全ての工事現場では、安全かつ計画通りに工程が進むよう、主任技術者や監理技術者の設置が義務付けられています。

この主任技術者や監理技術者に従事できるのは、施工管理技士の有資格者のみです。

そのため、施工管理の経験を積み重ね資格を取得すれば、建設関連の会社では非常に重宝される存在となるでしょう。

実際にある土木施工管理求人のほとんどで「土木施工管理技士〇級保持者優遇」と記載されています。

在籍している会社での昇給や昇格はもちろん、更にキャリアアップを目指した転職のチャンスも増やせます。

建設業界の人材不足が深刻化していることもあり、手に職を付ければ長期的に活躍できる点も、土木施工管理者の大きな魅力と言えるでしょう。

土木施工管理には将来性がある

土木施工管理の魅力について解説してきましたが、これから目指す方には将来性が気になるという方もいるのではないでしょうか。

これに関しても、土木施工管理の仕事は非常に将来性が高いと言えるでしょう。

土木施工管理者の将来性が高い2つの理由について解説していきます。

人材として希少価値が高まる可能性

土木施工管理技士は、今後更に需要が高まり希少価値が上がると言われています。

希少価値が上がる理由は主に2つあります。

・インフラ設備の老朽化による補強・補修工事の増加
・建設業界全体の人材不足

人々の生活を支えている道路や橋、トンネルなどのほとんどは高度成長期あたりに作られたものが多く、建設後50年を超えて老朽化が進んでいます。

国土交通省が公表している「社会資本の老朽化の現状と将来」によると、建設後50年を超える工作物の割合は以下の通りです。

工作物の種類2030年3月2040年3月
橋(約73万橋)約55%約75%
下水道管(総延長:約48万km)約16%約35%
港湾施設(水域施設や外郭施設)約43%約66%
トンネル(1万1千本)約36%約53%

参照元:国土交通省|社会資本の老朽化の現状と将来

このような工作物の補修や補強工事が今後増えていくため、土木施工管理の希少価値は更に上がっていくでしょう。

また、土木施工管理の仕事は土木に関する知識や監督経験が求められ、誰でもすぐに従事できないことから、特に人材が不足している状況です。

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、建設業関連の有効求人倍率は以下の通りです。

【ハローワーク求人統計データ】
・土木施工管理技術者:11.88倍
・防水工:8.54倍
・土木作業員:7.17倍
・測量士:4.07倍
・建設機械オペレーター:3.42倍
・CADオペレーター:0.98倍
参照元:厚生労働省|職業情報提供サイト jobtag

他の職種も人材不足であるものの、特に土木施工管理者は足りていないことが分かります。

各企業が行っている外国人採用も、日本語があまり話せないため、施工管理者の人材不足解消の解決には至っていないのが現状です。

働き方改革により環境改善が進行中

土木施工管理者は長時間の残業や休日出勤が常態化しているため、労働環境の改善が進められています。

国土交通省が定める「建設業界働き方改革加速化プログラム」では、以下のような労働環境改善を促進しています。

・週休2日制の導入
・長時間労働をなくすための適正な工期設定
・技能や経験にふさわしい給与の実現
・社会保険加入の促進
・IT・LOT技術の促進
参考元:国土交通省|「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定|~官民一体となって建設業の働き方改革を加速~

これらの改革は「働きやすい環境の整備」に関するもので、目的は若年層を中心とした人材の確保となります。

これらの改革が各企業で浸透していけば「建設業界はやめておけ」と言われることも次第に減少していくでしょう。

関連記事:電気施工管理はきつい?やめとけ?そうとも言えない4つの理由

土木施工管理の働き方や年収を再確認

土木施工管理の仕事はとにかく業務範囲が広く大変ですが、具体的にどのような仕事を行いながら1日を過ごすのかについて解説していきます。

土木施工管理の平均年収や、主任技術者や監理技術者として従事するための条件も解説しますので、これから目指す方は参考にしてみてください。

土木施工管理の仕事内容

土木施工管理者は、以下のような土木工事の施工計画を立案した上で、工事の監督業務を行います。

・橋梁工事
・トンネル工事
・道路工事
・鉄道工事
・ダム工事
・河川、海岸工事
・空港建設工事
・下水道工事
・砂防工事

施工計画は施工基準や仕様書、関連法規を踏まえた上で立案しなければなりません。

工事が始まると計画通りに工事が進むよう、以下の4項目ごとに管理を行います。

・工程管理
・品質管理
・安全管理
・予算管理

管理業務を行う上で、各現場の写真撮影や品質試験、安全教育や機材・資材の発注など、さまざまな業務をこなしていきます。

また、工事を開始するために必要な用地の確保や官公庁・警察への諸手続き、周辺住民への説明も欠かせない業務の1つです。

作業の途中で何かしらのイレギュラーが発生した場合には、都度原因究明を行い、対策を迅速に考え、計画に遅れが出ないように管理していきます。

土木施工管理の1日の流れ

土木施工管理者の1日の流れは、工事の内容や進行具合によって異なりますが、基本的に以下のような流れで進みます。

7:30・出勤工事現場に出勤して、朝礼の準備などを進めていく
8:00・朝礼その日の各作業予定の説明や、昨日に起きたイレギュラー等の共有を行う
8:15・工事スタート各作業現場を巡回し、写真撮影や必要に応じて職人さんへの指示出しを行う
12:00・昼休憩各協力会社の方とコミュニケーションを取りながら休む
13:00・工事再開午前中に引き続き、巡回作業を行い作業の進み具合をチェックする
16:00・打ち合わせと事務作業今後の作業に関する打ち合わせを行い、工事に品質監理や安全管理に関する書類の作成を行う
20:00:退勤その日の内に終わらせなければならない事務作業を終わらせて退勤する

工事の作業内容によっては、午前中に依頼主と話し合いをしたり、官公庁などへの諸手続きを行ったりします。

工期に余裕がなく忙しいと更に退社時間が遅くなり、日付を超えることも珍しくありません。

休みに関しては、日曜日のみの週休1日ペースが多いのですが、比較的余裕がある場合には平日や土曜日の休みもあります。

土木施工管理の平均年収

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、土木施工管理者の平均年収は573.2万円ほどで、平均年齢は45.4歳となります。

ハローワーク求人統計データの求人賃金は32.5万円ほどです。

建設・土木作業員の平均年収は417.1万円(46歳)で、求人賃金は25.7万円ほどなので、土木工事業界の中でも平均年収は高い職種だと言えるでしょう。
参照元:厚生労働省|職業情報提供サイト jobtag

土木施工管理になるには

土木施工管理技士は、高校や大学で土木工学を専攻し専門知識を習得した上で、会社に就職するのが一般的です。

しかし最近では若手人材の確保のため、学歴に関係なく、未経験者でも採用する企業も増えてきています。

入職後には土木に関する知識に加え、工事を安全に行うための労働基準法や、労働安全衛生法など、労働関係法令についての知識も身に付けなければなりません。

また、主任技術者や監理技術者の作業を手伝いながら、監督業務の経験を積んでいきます。

最終的に土木施工管理技士試験に合格すれば、主任技術者や監理技術者として土木工事に従事できるようになります。

土木施工管理技士の資格概要

先述した通り、主任技術者や監理技術者として土木工事に従事するには、国家試験である土木施工管理技士試験に合格する必要があります。

土木施工管理技士には1級と2級があり、2級を取得すれば主任技術者に、1級を取得すれば監理技術者として工事に従事できます。

土木施工管理技士試験は、第一次検定と第二次検定に分かれており、全ての問題が四肢択一のマーク方式です。

試験の合格基準は60%以上が目安となり、合格率は以下の通りです。

【2級土木施工管理技士】

区分2022年度2021年度2020年度
第一次検定65.3%73.6%72.6%
第二次検定37.9%35.7%42.2%

【1級土木施工管理技士】

区分2022年度2021年度2020年度
第一次検定54.6%60.6%60.1%
第二次検定28.7%36.6%31.0%

参照元:株式会社東北技術検定研修協会

1級・2級共に第二次検定の合格率は30〜40%ほどであり、一発合格している人は非常に少ないことが分かります。

第二次検定ではマーク方式とは別に実地試験が行われ、基本的に記述式となるため、工事監督経験が必須となります。

文章表現力も必要であり、難易度の高い試験と言えるでしょう。

関連記事:未経験でも土木施工管理になれる?必要な実務経験年数とは

土木施工管理に転職で成功するポイント

土木施工管理の仕事に就いて長期的に活躍していくためには、労働環境の改善が進んでいるホワイト企業に転職できるかが非常に重要となります。

就職や転職に成功するポイントは主に5つあります。

・転職サイトで求人を探す
・転職エージェントを活用する
・求人票を鵜呑みにしない
・ホワイトな職場を見分ける
・ホワイトかブラック企業かを見分ける

これらのポイントについて詳しく解説していきますので、これから土木施工管理技士を目指す方は参考にしてみてください。

転職サイトで求人を探す

最近ではさまざまな転職サイトがあり、求人数が非常に多いサイトや建築業界に特化したサイトもあります。

ちょっとした空き時間にスマホで簡単に求人を探せるので、複数の転職サイトに登録することから始めましょう。

転職サイトの中には自分の経歴を登録しておけば、企業側からスカウトが届く機能も用意されています。

既に土木業界で働いていたり、転職に有利な資格を持っていたりする場合は、積極的に利用するようにしましょう。

転職エージェントを活用する

転職エージェントとは、転職ノウハウや求人動向に長けているキャリアアドバイザーと一緒に転職活動を進められるサービスです。

ヒアリングを行い理想の求人条件を伝えれば、一緒に求人を探してもらえるだけでなく、提出書類の添削や面接の練習も受けられます。

アドバイザーは企業の採用担当者に連絡もできるので、疑問に思うことがあれば企業に直接質問もしてもらえます。

働きながらで余裕がなく、初めての転職で進め方が分からない方におすすめです。

求人票を鵜呑みにしない

求人票を見ながら理想の企業を見つける場合には、内容を鵜呑みにしないようにしましょう。

企業にとって都合の悪い情報まで記載すると、求人が来なくなってしまうため、好条件しか載せていないことが多いからです。

収入や福利厚生だけでなく、実際に残業がどれくらいあるのか、年間休日や有給休暇の取得率はどれほどなのかを詳しく調べるようにしましょう。

求人票に載っていない場合は、転職エージェントのキャリアアドバイザーに質問してもらったり、企業の口コミサイトで調べたりできます。

ホワイトな職場の見つけ方

ホワイトな職場を見つけるには、実際に働いている人の声を調べるのが一番の方法です。

周りに建設業界で働いている人がいれば、転職を検討している企業について質問してみると良いでしょう。

企業の口コミサイトでは労働環境や職場の人間関係について、社員のリアルな声を知ることもできます。

転職エージェントで既に何人か転職実績がある場合には、過去にその企業に就職した人の声も聞ける可能性もあります。

ホワイトかブラックかの見極め方

給料や福利厚生、人間関係とは別に、企業自体がブラック企業やホワイト企業であるかも事前に調べられます。

土木業界におけるホワイトな企業は以下の通りです。

・IT、LOT技術の導入など働き方改革に積極的である
・余裕のある工期で仕事を受注している
・有給の取得率が高く、サービス残業がない

企業の公式HPには、経営理念や取り組みについて詳しく記載されています。

残業や休日出勤を減らすためにどのような取り組みを行っているのか、働き方改革を中心に調べてみるようにしましょう。

有給の取得率に関しては、80%以上であればホワイト企業と言えます。

余裕のある工期で受注しているか、サービス残業の有無は企業の口コミサイトで調べられます。

ブラック企業は、継続的に人材を募集しており、異常なほどに好条件となりがちなので注意しましょう。

一概には言えませんが、継続的に人材を募集しているということは、それだけ人が辞めていっている可能性があります。

また、最高年収や最高月収だけを紹介しており、他の企業が掲載しているような「給与の内訳」「年間休日」「月あたりの平均残業時間」の記載がない求人票にも注意が必要です。

関連記事:土木施工管理を辞めたいときに押さえておきたい転職のコツ

土木施工管理でもホワイトに働きやすいのは改修ゼネコン

土木施工管理の中でも、比較的ホワイトな労働環境と言えるのが「改修ゼネコン」です。

業務量が比較的少なく、ワークライフバランスを保ちながら働けます。

また、作業時間に制限があることが多いため、長時間労働になりにくい傾向です。

なぜこのような労働環境なのか、詳細について解説していきます。

改修ゼネコンとは

改修ゼネコンとは、建物の修理や修復だけでなく、性能や機能をより良くするための工事を取り扱う企業です。

具体的には建物内のバリアフリー化工事や、断熱塗料を使用して断熱効果を付与するといった工事があります。

改修工事は新築工事と比べて業務量が少なく、協力業者も多くないので、全体的な管理業務の負担が少ない特徴があります。

また、改修する建物は既に使用されており、住民がいるため作業時間に制限があるケースがほとんどです。

そのため長時間の残業となりにくく、余裕もあるので休みも取りやすいと言えるでしょう。

新築ゼネコンと改修ゼネコンの違い

新築ゼネコンの場合は更地から工事が始まるため、業務量が多い傾向にあります。更地の場合、人も住んでいないので作業時間に制限がありません。

比較的工事の規模も大きく工種も多いので、全体を管理するのは大変です。

改修ゼネコンにも、住人への配慮が大変で安全管理には細心の注意が必要といった特徴はありますが、総合的に判断すると負担が少ないと言えるでしょう。

マンション改修市場の将来性

改修工事の中でも特に需要が高く、将来性が高いと言えるのがマンションの改修工事です。

これまでに建築されたマンションは、徐々に劣化が進んできており、共有部の修繕工事は増加傾向にあるからです。

分譲マンション共用部修繕工事の市場規模は、2006年時点で4,578億円ほどでしたが、2013年には6,050億円を突破し、2025年には7,000億円を超えると予想されています。

分譲マンション共用部修繕工事の市場規模

引用元:株式会社矢野経済研究所|マンション管理市場に関する調査を実施(2020年)

今後も国内の分譲マンションの戸数は増えていくと予想されており、修繕工事や改修工事の需要は高まっていくことでしょう。

関連記事:土木施工管理のホワイト企業はある?見極め方を徹底解説

土木施工管理からの転職でオススメの仕事3選

土木施工管理の辛さや魅力について解説してきましたが、将来的に辞めるとなった場合でも、それまでに培った経験はさまざまな職種で活かせます。

ここでは、土木施工管理の仕事から転職する場合におすすめする、3つの仕事について解説していきます。

テック企業

テック企業とは、IT技術を活用したビジネスを展開している企業のことです。

先述したようなIT・LOT技術を活用したタブレットでの業務管理や、無人建設、オンライン売買などを提供する企業側となります。

日本国内ではあまりなじみのないジャンルではありますが、テレワークやフレックス勤務が当たり前となりつつある中で急速に市場規模が拡大しています。

建設現場で役立つIT・LOT技術を開発する上で、実際に施工管理経験がある人材は非常に貴重であり、開発はもちろん営業としても十分活躍できるでしょう。

また、テック企業はフレックス勤務やテレワーク勤務を積極的に取り入れている企業が多く、労働環境の良さも転職する上での魅力と言えます。

不動産ディベロッパー

不動産ディベロッパーとは、大型商業ビルやリゾート開発など、規模の大きい不動産開発を行う専門業者のことです。

主な企業にはトヨタホーム・三井不動産・三菱地所などがあります。

不動産の土地の取得から建物の建設工事、物件のマーケティングや販売までを行います。

その中でも建設工事の業務には施工管理の仕事も含まれており、これまでの経験をそのまま活かすことができるでしょう。

不動産ディベロッパーは平均年収が非常に高く、更に収入を上げたい方におすすめの転職先となります。

一方で、求人数が少ないため、他の職種も一緒に探しながら転職活動をするようにしましょう。

公務員の土木職

公務員の中には、道路設備といった土木工事に携わる部署があり、技術者としてこれまでの土木施工管理経験を活かせます。

一般的な企業と比べると平均年収は若干低めにはなりますが、給料が安定しており不況などの影響を受けにくいメリットがあります。

リストラやクビになってしまうリスクも低く、定年まで働きやすいと言えるでしょう。

また、地方公務員であれば転勤もないため、単身赴任や長期間の出張が続くこともありません。

これから土木施工管理を目指すなら

土木施工管理の辛さや魅力について解説してきましたが、それでも土木施工管理を目指したいという方は、3つのポイントを意識することが大切です。

・目的を明確化する
・自分の市場価値を高める
・自己投資の感覚を持つ

これらのポイントについて詳しく解説していきます。

目的を明確化する

土木施工管理の仕事を目指すのであれば、仕事を通して何を得たいのか目的を明確化しておくようにしましょう。

「将来性がありそうだしなんとなく…」といった理由では、忙しさの中にあるやりがいや達成感を得られず長続きしにくくなります。

辛いことがあっても頑張れる「自分が土木施工管理の仕事を選んだ理由や目的」を明確にしておきましょう。

自分の市場価値を高める

土木施工管理者を目指す際には、自分の将来の市場価値について理解しておくようにしましょう。

土木施工管理者になるまでには、土木工事現場で経験を積まなければならず、長い下積み期間があります。

辛いと感じていても、土木施工管理者になれた時の市場価値を理解しておけば、辞めずに踏み留まりやすくなります。

辛い時期があっても、自分の市場価値は今後高まっていくことを意識しつつ経験を積んでいきましょう。

自己投資の感覚を持つ

土木施工管理技士の仕事は、誰にでも簡単に務まるものではありません。

土木工事を通して起こりうるさまざまな経験を通じて成長し、一人前の土木施工管理者になれます。

何があっても、「土木施工管理者として活躍する自分への投資をしている」という考えを持っていないと人間関係に悩んだり、長時間の残業が続いたりした時に諦めてしまいやすくなります。

まとめ

今回は、土木施工管理者はやめとけと言われている理由について解説してきました。

長時間労働で体力的にきつく、さまざまなスキルが求められることから、やめておけと言う人も中にはいます。

しかし、ものづくりが好きな人にはおすすめの仕事であり、やりがいや大きな達成感を感じられる魅力的な仕事とも言えるでしょう。

また、最近では現場のDX化や労働環境改善への取り組みが進められており、土木施工管理者の負担も軽減してきています。

将来性も非常に高く、未経験者であったとしても土木施工管理者を目指す魅力は十分あると言えるでしょう。

関連記事:土木施工管理からの転職先でオススメしたい19の仕事を紹介

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