タクシーの運行管理者とは、タクシードライバーを管理する国家資格です。仕事内容は、次の5つがあります。
1.タクシードライバーの指導 2.タクシードライバーのスケジュール管理 3.点呼や記録簿の保管 4.車両の管理 5.電話対応や配車手配 |
運行管理者の年収は350〜400万円程で、受験資格は運行管理に関しての実務経験が1年以上必要です。
本記事では上記の内容を踏まえ、タクシーの運行管理者について求められるスキルや業務内容について解説します。
この記事のまとめ
・タクシーの運行管理者とはタクシードライバーを管理をする国家資格
・タクシーの運行管理者の休日は月約6〜10日(シフト制)でスケジュールが安定している
・タクシーの運行管理者の国家資格の取得方法は2つある
運行管理者とはタクシードライバーを管理をする国家資格
運行管理者は、タクシードライバーの安全と効率を管理するための重要な国家資格です。タクシードライバーの勤務時間や健康状態をチェックし、安全運行を確保する役割をタクシー運行管理者は担います。
「職業情報提供サイトjobtag」では、次のように説明されています。
タクシー会社で利用客からの電話を受け、無線設備や車両検索用端末、電話機など通信関係機器を操作して送迎の手配をする。
配車に関しては、利用客への適切で丁寧な対応を行うとともに、車両の効率的な運行管理をする必要があるため、車両の位置を的確に把握し、迅速に配車を指示しなければならない。
また、タクシー会社は保有する車両台数に応じて運行管理者を配置しなくてはいけません。
保有台数 | 必要人数 |
1~39台 | 2人 |
40~59台 | 3人 |
60~79台 | 4人 |
80~99台 | 5人 |
100〜129台 | 6人 |
※参考:運行管理者の必要選任数が最低2名になります|国土交通省
上記の条件を満たせていないと、監査をもとに行政処分が課せられます。次章では、運行管理者の仕事内容について詳しく解説します。
出典:タクシー配車オペレーター|職業情報提供サイトjobtag
出典:運行管理者の必要選任数が最低2名になります|国土交通省
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タクシーの運行管理者:5つの仕事内容
運行管理者の5つの仕事内容は、次のとおりです。
1.タクシードライバーの指導 2.タクシードライバーのスケジュール管理 3.点呼や記録簿の保管 4.車両の管理 5.電話対応や配車手配 |
それぞれ解説します。
1.タクシードライバーの指導
運行管理者は、タクシードライバーの安全運転やサービス向上を目指して定期的に教育や指導します。タクシー運行管理者が指導する内容は、以下のとおりです。
指導内容 | 詳細 |
安全運転の指導 | ・交通ルールの遵守や危険予測と回避方法について |
運行計画の作成と管理 | ・適切な運行ルートの選定や運行スケジュールについて |
車両の点検と整備 | ・定期点検のスケジュール管理や故障時の迅速な対応について |
ドライバーの健康管理 | ・疲労管理と休息の指導やメンタルヘルスのサポートについて |
事故対応と報告 | ・事故発生時の初動対応や事故報告書の作成、再発防止策の実施について |
顧客サービスの向上 | ・接客マナーの指導やクレーム対応の方法、サービス品質の向上策について |
運行管理者はタクシードライバーを管理する立場なので、適切に指導できるように資格の取得や知識の習得は欠かせないでしょう。
2.タクシードライバーのスケジュール管理
運行管理者の重要な役割のひとつに、タクシードライバーのスケジュール管理があります。スケジュールの管理はタクシードライバーが効率的に働き、安全に運行するために欠かせません。
また、適切なシフト管理は過労や事故を防ぐだけでなく、タクシードライバーのモチベーションを高め、タクシー会社の運営効率を向上させます。
そのため、運行管理者は以下のポイントにもとづいてタクシードライバーのスケジュール管理が必要です。
仕事の内容 | 詳細 |
勤務シフトの作成 | ・ドライバーの勤務シフトを作成し、適切な休息時間を確保する |
勤務状況の把握 | ・タクシードライバーの勤務状況を常に把握し、必要に応じて調整する |
法律の遵守 | ・ドライバーが1ヶ月で勤務できる時間数を超えないように管理する |
台数と人数のバランス調整 | ・保有するタクシーの台数と勤務するドライバーの人数のバランスを考慮して調整する |
行政処分の回避 | ・法律違反がないようにスケジュールを調整し、行政処分を回避する |
3.点呼や記録簿の保管
タクシードライバーの点呼と記録簿の保管も、運行管理者の大切な仕事です。
点呼はタクシードライバーが出発前に健康な状態なのかや、アルコールがある状態でないかをチェックする重要な業務です。また、点呼終了後は結果を記録簿に「記載・保管」しなければいけません。
このようにタクシードライバーが快適に働ける環境作りや、タクシー会社が指摘を受けないようにしっかり記録管理するのもタクシー運行管理者の重要な仕事です。
4.車両の管理
故障や点検は整備士に依頼しますが、法定点検や車検、日々の点検などの車両管理は運行管理者がおこないます。
また、タクシードライバーから異常がないかの確認も日々おこない、安全に運行できる管理が求められます。タクシー運転管理者がする車両管理の内容は、次のとおりです。
日常点検 | ・毎日の車両チェックをおこない問題がないか確認する |
定期点検 | ・法律にもとづく定期的な車両点検を実施する |
故障対応 | ・故障が発生した場合、迅速に修理手配する |
清掃 | ・車内外の定期的な清掃をおこない快適な乗車環境を維持する |
記録管理 | ・メンテナンス履歴や修理記録を詳細に記録し管理する |
保険および法定手続きの管理 | ・車両の保険更新や法定点検、登録手続きを適切におこない法律を遵守する |
消耗品の管理 | ・オイルやタイヤなどの消耗品の交換時期を管理し必要時に交換する |
車両購入および売却 | ・新車および中古車の購入手続きをする
・不要になった車両を売却をする |
配置と利用計画 | ・車両の効率的な配置と利用計画を立案し運行効率を最大化する |
環境対策 | ・燃費改善や排出ガス削減など、環境に配慮した運行管理を実施する |
日々の車両管理が適切にできると、全体の業務がスムーズに流れます。そのため、タクシー運行管理者を目指している人は、車両管理の重要性も理解しておきましょう。
5.電話対応や配車手配
運行管理者はタクシードライバーの指導や管理だけではなく、電話対応や配車手配もおこないます。
近年、タクシー配車アプリの普及により、電話での配車依頼は減少傾向です。しかし、高齢者や外国人などアプリを使いこなせない乗客も多く、電話対応は依然として重要です。
また、緊急時の対応や乗客からのクレーム対応なども電話で実施するため、常に冷静かつ丁寧な対応が求められるでしょう。そのため、運行管理者を目指す人は、電話対応や配車手配のスキルを磨く必要があります。
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関連記事:運行管理者になるデメリットとメリットは?年収や取得方法も紹介
タクシー運行管理者に求められる3つの資質
運行管理者に求められる3つの資質は、以下のとおりです。
・タクシードライバーに対して気配りができる ・仕事に対しての責任がある ・法令遵守ができる |
それぞれ解説します。
タクシードライバーに対して気配りができる
タクシードライバーにとって、気配りができる運行管理者は非常に心強い存在です。タクシードライバーがストレスなく快適に働ける環境作りは、顧客満足度にも直結します。
具体的にできるとよい気遣いは、以下のとおりです。
・体調不良を訴えるドライバーに対して無理のない勤務スケジュールを調整する ・運転中にトラブルがあったドライバーに対して話を親身に聞き適切なアドバイスをする ・長年勤務しているベテランドライバーに対して感謝の気持ちを伝える など |
上記のように自分からタクシードライバーに対して気配りができると、信頼関係を築くことができ、お互いに働きやすい環境を構築できます。
結果的にタクシードライバーも働きやすくなり、質の高いサービスを乗客に提供できるようになるでしょう。
このように運行管理者が、ドライバーに対して気配りができるのは非常に大切です。ドライバーの立場に立ち、気配りできる運行管理者を目指しましょう。
仕事に対しての責任がある
タクシー運行管理者には、仕事に対して次のような高い責任が求められます。
安全運行の確保 | ・ 適切な運行ルートの選定と管理、事故防止に努めなくてはいけない |
勤務時間の管理 | ・法律にもとづいた勤務時間の管理を徹底し、ドライバーの過労を防がなくてはいけない |
車両の点検と整備 | ・ 故障時の迅速な対応と修理手配をおこない業務の滞りを起こさないようにしなければいけない |
法令遵守 | ・交通法規および労働基準法を遵守して、損害を負わないようにしなければいけない |
健康管理 | ・ドライバーの疲労管理と休息の確保をして過労死を防がなくてはいけない |
事故対応 | ・事故発生時の初動対応と報告をして被害を最小限で抑えなくてはいけない |
顧客サービスの向上 | ・クレーム対応とサービス改善策の実施をして顧客満足度を向上させなくてはいけない |
運行管理者には、上記のような業務に対して高い責任感が求められます。そのため、社内で評価される運行管理者を目指すなら、責任感を持ち業務に取り組むのが大切です。
法令遵守ができる
タクシー運行管理者は道路運送法や労働基準法などの法令を遵守し、安全運行に努めなければいけません。法令は事故防止や乗客の安全確保、タクシードライバーの定着率向上にもつながります。
そのため、運行管理者を目指す人は、道路運送法や労働基準法などしっかり理解したうえで法令遵守に努めるようにしてみてください。
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タクシー運行管理者の国家資格を取得する2つの方法
タクシー運行管理者の国家資格を取得する方法は、次の2つがあります。
・国家試験に合格する ・実務経験や講習を受講して取得する |
詳しく解説します。
国家試験に合格する
タクシー運行管理者の国家資格を取得するには、毎年3月※1)と8月※1)に開催される国家試験に合格しなければいけません。
タクシー運行管理者の試験では「旅客」と「貨物」の2種類※1)がありますが、タクシーの場合は「旅客」を選択します。「運行管理者資格者」の受験に関する詳細は、次のとおりです。
資格名 | 運行管理者資格者証 |
試験実施時期 | 年2回(8月、3月) |
受験資格 | (1)自動車運輸事業者の運行管理に関し実務経験が1年以上の者 (2)基礎講習修了者及び、終了予定者 |
※参考:独立行政法人 自動車事故対策機構
※参考:令和5年度第2回試験の合格発表|公益財団法人 運行管理者試験センター
また、令和5年度の「運行管理者試験」の平均合格率は36.5%※2)と難易度は少し高めの資格となります。簡単ではありませんが対策をすれば合格は十分できるので、諦めずに勉強してみてください。
出典:※1)独立行政法人 自動車事故対策機構
出典:※2)令和5年度第2回試験の合格発表|公益財団法人 運行管理者試験センター
実務経験や講習を受講して取得する
タクシー運行管理者の国家資格を取得するには、実務経験を積みながら必要な講習を受講して取得する方法もあります。
実務経験と講習を組み合わせる方法では、5年以上※3)の運行管理に関する実務経験が求められます。
さらに5回※3)以上の講習を受講し、1回※3)以上は自動車事故対策機構による基礎講習と一般講習を受けるのが必須です。
詳しい内容は「運行管理者の取得は一般講習を5回受講すれば試験不要」でも解説しているので、あわせて読んでみてください。
出典:※3)自動車運送事業の運行管理者になるには|国土交通省
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タクシー運行管理者の「年収・福利厚生・休暇」について
タクシー運行管理者の「年収・福利厚生・休暇」について、以下よりそれぞれ解説します。
・年収:約350〜800万円 ・福利厚生:資格取得制度や交通費支給がある会社が多い ・月の休暇:約6〜10日 |
年収:約350〜800万円
運行管理者の年収は約350〜800万円と幅広く、経験や勤務する会社の規模によって異なります。
また、運行管理者の年収はタクシー業界の中でも比較的安定しており、昇進や役職によって大きく増加する可能性もあります。
運行管理者の平均年収は約484万円※4)で、タクシードライバー約361万円※5)と比較して約120万円以上高い水準です。また、都市部の大手タクシー会社だと、さらに高い年収も見込めるでしょう。
出典:※4)タクシー配車オペレーター|職業情報提供サイトjobtag
出典:※5)タクシー運転手|職業情報提供サイトjobtag
関連記事:運行管理者の給料相場は?年収や求人例について詳しく解説
福利厚生:資格取得制度や交通費支給がある会社が多い
タクシー運行管理者として働く場合、多くの会社が資格取得制度や交通費支給などの福利厚生を提供しています。
そのため、タクシー運行管理者として転職する場合は、資格取得制度や交通費支給などの福利厚生が充実している会社を選ぶのが重要です。
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月の休暇:約6〜10日(シフト制)
「求人ボックス」の求人情報をみると、タクシー運行管理者の月の休暇は約6〜10日が多く、1日8〜10時間のシフト制が採用されています。
多くのタクシー会社で採用されているシフト時間は、早朝6時から午後3時、または午後3時から午前6時までのシフト制が多いようです。
そのため、タクシードライバーの隔日勤務のような休日数はありませんが、1日の働く時間は少ないので安定した生活は送りやすい勤務体系です。
ただし、深夜帯の勤務もあるので、深夜帯と日勤の割合についても求人応募の際はよく確認しておきましょう。
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タクシー運行管理者に関するよくある質問
タクシー運行管理者に関するよくある質問について、以下より4つ紹介します。
・運行管理者は基礎講習を受けなければいけませんか? ・運行管理者は誰でもなれる仕事ですか? ・運行管理者がきついと感じる業務はありますか? ・運行管理者の魅力はどのようなところですか? |
タクシー運行管理者は基礎講習を受けなければいけませんか?
運行管理者は選任された日を含む年度(4月1日〜翌3月31日)のうちに、一般講習または基礎講習を受けなければいけません。
はじめて運行管理者に専任する場合だと、基礎講習になるので16時間の基礎講習を受ける必要があります。
講習種別 | 対象者 | 講習時間 | 講習内容 |
基礎講習 | 運行管理者になろうとする者 | 16時間 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する基礎知識の習得を目的とする講習 |
一般講習 | 運行管理者 | 16時間 | 運行管理を行うために必要な法令及び業務等に関する知識の習得を目的とする講習 |
特別講習 | 事故を惹起した運行管理者 | 16時間 | 事故の再発防止を図るための知識の習得を目的とする講習 |
※参考:運行管理制度について|国土交通省
また、運行管理者であり続けるには、原則として2年※6)ごとに一般講習または基礎講習のいずれかを受講する必要があります。
運行管理者は誰でもなれる仕事ですか?
タクシードライバーの運行調整や乗客のクレーム対応など、多くの業務をこなす運行管理者は誰でもなれる仕事ではありません。
また、運行管理者になるには、国家資格である「運行管理者資格者証」を取得する必要があります。試験の合格率も36%※2)前後と難易度が高いため、しっかりと講習を受けて勉強する必要があるでしょう。
しかし、国家試験のため資格に対して有効期限もなく、一度取得できると一生使える資格です。そのため、タクシー業界で今後も長く働きたい人にはおすすめの仕事です。
タクシー運行管理者がきついと感じる業務はありますか?
運行管理者は、上層部の社長や役員とタクシードライバーの調整役のため、上からの指示と下から文句の板挟みになる状況が、きついと感じる人もいるでしょう。
しかし、きついと感じる以上に達成感や社会的な貢献を実感する場面も多く、やりがいを強く感じられる仕事です。
タクシー運行管理者の魅力はどのようなところですか?
運行管理者の魅力には、次のようなものがあります。
・頭を使い管理する立場のため腰痛持ちや長時間運転できない人でも働ける ・タクシードライバーほど乗客との距離が近くない ・さまざまな業務に取り組むため退屈さを感じない ・管理する立場なので昇給や昇進がしやすい ・将来的に安定して働ける など |
運行管理者には、上記のようにさまざまな魅力があります。今後、タクシー業界で長期的に働きたい人は、タクシー運行管理者として働く選択肢をしてみてもよいのではないでしょうか。
タクシー運行管理者についてのまとめ
タクシー運行管理者は、タクシー会社にとって中心的な役割です。仕事量は多いですが、やりがいもあり魅力的な仕事です。
また、経験を重ねていけば上層部に昇りつめるのも可能なので、キャリアアップしたい人におすすめです。
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